高エネルギー放射線治療システム 装置受渡ガイドライン


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高エネルギー放射線治療システム 装置受渡ガイドライン | Manualzz
2005 年 8 月 31 日
高エネルギー放射線治療システム
装置受渡ガイドライン
社団法人
日本画像医療システム工業会
第 1.3 版
2005 年 8 月 31 日
−
目
次
第 1.3 版
−
第1章
1
2
3
4
ガイドラインの目的
ガイドラインの適用範囲
ガイドラインの前提条件
用語
1
1
基本的注意事項
項目毎の確認事項および作業
診療用高エネルギー放射線発生装置
放射線治療計画システム
CT シミュレータ
X 線シミュレータ
放射線治療システム全体
4
8
3
第2章
1
2
2−1
2−2
2−3
2−4
2−5
第3章
1
2
3
4
解説・説明
参考資料・引用資料
付録 書式例
フロー図
17
19
20
26
第1章
1.ガイドラインの目的
診療用高エネルギー放射線発生装置を用いた放射線治療はますます増加の傾向
にあり、近年では腫瘍に放射線をより限定的に集中させ、かつ正常組織への影響
を極限にまで抑えることにより、治療効果を一層高める高精度放射線治療が実用
化している。
この背景には、放射線治療システムを構成する各装置・機器自体が、高度に発
展したコンピュータおよびIT技術を駆使し、それとともにより一層システム化
が進展したことが挙げられる。
その一方において、装置およびそれらにより構成されるシステムの高度化・複
雑化に伴い、操作ミスあるいはデータの取扱いミスなど、ヒューマンエラーによ
る過剰照射・誤照射事故が報告されるようになり、その増加が懸念されている。
このような事故の発生を未然に防ぎ、放射線治療の品質を維持向上させるため
に、関係諸学会からガイドラインあるいは指針の類が発刊されている。
これら関係諸学会が発刊しているガイドラインおよび指針を参照しつつ、シス
テムおよびその構成装置を提供する納入業者と、放射線治療システムを使用して
いただくユーザの両者に対する装置の受渡し指針として、
(社)日本画像医療シス
テム工業会が本ガイドラインを作成した。
2.ガイドラインの適用範囲
本ガイドラインは、外部照射による放射線治療システムに適用し、その適用装
置および適用事項はそれぞれ次のとおりとする。
(1)適用装置
①診療用高エネルギー放射線発生装置(以下「放射線発生装置」という。)
②放射線治療計画装置(以下「治療計画装置」という。)
③CT シミュレータ
④X 線シミュレータ
(2)適用事項
①接続試験
②受渡し試験
③線量測定・モデリング
④総合試験
⑤保守・点検
⑥システム変更・更新
巻末にこのガイドラインの全体フローを図示した。
1
3.ガイドラインの前提条件
放射線治療システムの据付調整を行う際に、ユーザ及び納入業者双方に責任者
を置くことが重要となります。ユーザ側は施設内の放射線治療実務経験のある診
療放射線技師、又は施設の責任者から放射線治療業務を委託された有資格者*を装
置管理責任者(第1章4.用語参照)とすることが望ましい。納入業者側はX線作
業主任者、又はこれと同等以上の知識、能力を有する者で、放射線安全の教育訓
練を受けた者を据付調整責任者(第1章4.用語参照)とします。また、治療計
画装置では実務経験者(3 年以上が望ましい)を据付調整責任者とします。受渡し
試験などで署名が必要な工程では、装置管理責任者(又はその上位の管理者)及
び据付調整責任者(又はその上位の管理者)によって署名がなされるものとしま
す。
責任者が不在となる場合は、代理の者を置くこととします。
受渡し後に施設側責任者が交代となった場合は、後任者は据付受渡し関連文書
の追記として日付と共に署名記載し、相互に記録・保管することとします。
* 有資格者には、平成16年10月に設けられた「放射線治療品質管理機構
(http:www.ics.co.jp/qcrt/)」による「放射線治療品質管理士」及び平成17年3月に
設けられた「日本放射線治療専門技師認定機構
(http:www.jart.jp/radiotherapy-org/)」が行う「認定制度」による認定者も含まれ
ます。
2
4.用語
本ガイドラインで使用する用語の意味は以下のとおりである。
項目
英文
説明
1
安全付帯設備
Safety equipment
監視カメラ、エリアモニタ等安全確保のために設置する設備
2
受渡前試験
Pre Inspection
装置組上げ後に、装置設計基準に適合しているか否かを確認する試験。
(装置の最大パフォーマンス確認試験)
3
受渡試験(引
渡・受入試験)
Acceptance Test
装置が設置され受渡しが行われる際に装置の性能、精度、安全が仕様に
合致していることを確認するための試験。受渡し試験は納入業者がユー
ザ立会いの下に行う。
Technical
装置に附属されている文書のうち、据付、調整、保守などについて記載
されているマニュアル。
4
5
技術文書
コミッショニング
document
Commissioning
計算結果と実測値を比較し入力ビームデータを個々の放射線発生装置
のビーム特性に合わせ込むプロセス。
医療機関が定める放射線障害予防規定において、診療用高エネルギー放
射線発生装置を設置または使用する施設において医療機関側から選出
された者で放射線障害防止に関する責任者として任命された者を言う。
(「高エネルギー発生装置の据付調整時の放射線安全ガイドライン」に
よる)
6
施設管理
責任者
Responsible person
of radiation
facility for use
7
据付調整
従事者
Installation and
adjustment worker
納入業者が放射線業務従事者として指名し、管理されている者で装置の
調整作業を行う者である。(「高エネルギー発生装置の据付調整時の放
射線安全ガイドライン」による)
8
据付調整
責任者
Responsible person
for installation and
adjustment
施設管理責任者の管理のもとで据付調整業務を安全におこなう者で、据
付調整従事者の中より選出される。(据付調整時の放射線安全ガイドラ
イン) 治療計画装置にあっては実務経験者(3 年以上が望ましい)を
据付調整責任者とする。
9
設置マニュアル
Installation manual
メーカが作成する据付調整を行うためのマニュアル。据付マニュアル、
サービスマニュアル等メーカにより呼称が異なる。
Maintenance by
expert
機器の保守点検はユーザの責務であるが、高度な専門知識が必要な保守
点検はメーカ*または専門業者に委託することができる。(医療法第 15
条の2) 装置の初期性能を長期にわたり維持し、安心して使用するた
めにも定期保守点検契約を締結すべきである。(*自社が製造した製品
に限る。また製造区分が表示、包装、保管のみの製造業者は保守点検を
行うことはできない。)
Responsible person
for equipment
施設内の責任者又は、責任者から放射線治療業務を委託された有資格者
10
11
専門業者による
保守点検
装置管理
責任者
12
添付文書
Attachment document
一般には、装置に附属の医療機器添付文書、取扱説明書、技術資料など。
「医療機器添付文書」は平成 17 年 3 月 10 日付け医薬食発 0310003 号及
び同 0310003 号通知により定められた記載要領により作成された当該装
置に関する文書。また、同 0310004 号も参照のこと。
13
納入業者
Supplier
主として装置を納品し据付調整を行う業者。(平成 17 年 4 月 1 日施行の
改正薬事法における「高度管理医療機器販売業」に相当する。)
14
メーカ
Maker
(装置の)製造業者(このガイドラインでは平成 17 年 4 月 1 日施行の改
正薬事法における「第一種製造販売業」も含む事とした。)
15
モデリング
Modeling
放射線発生装置のビーム特性を臨床に用いるために線量測定を行い、そ
のデータを演算処理しシステムに登録する一連の作業。システムを臨床
に適応させるためのモデル化を行う。
3
第2章
1. 基本的注意事項
1)装置導入に際して
(1) ユーザは、装置導入にあたり装置設置場所における監視カメラ、インターフ
ォン、照射表示灯等の設置状況を装置搬入前までに確認してください。
(2) 納入業者はユーザに対し、納入する装置のシステム構成及びヘッドレスト等
の患者固定具を含むアクセサリ類についての機能を事前に説明し、ユーザは
その構成と機能を確認し、治療のフローにおける各機器の機能と役割、機器
相互間の関係などの理解を深めておくことをお薦めします。
(2)ユーザは使用開始後の保守点検と QA/QC のための測定機器・用具等の整備状
況を確認してください。必要測定器・用具が自ら設備できない場合の借用・
レンタル等の調達先を確認しておくことが大切です。
(3)納入業者及びユーザは、据付調整に際し放射線施設における作業であるため
「診療用高エネルギー放射線発生装置据付調整時の放射線安全ガイドライン
(平成 14 年 3 月
(社)日本画像医療システム工業会)」を遵守してください。
2)装置受渡しに際して
(1) 納入業者は装置受渡し時に、受渡し試験を実施し装置性能と安全性を確認す
ること。また、装置管理責任者は受渡し試験に必ず立ち会ってください。シ
ステムの受入れ試験および QA には十分な時間をかけて検証する必要があり
ます。
(2) 受渡試験の各工程において問題がある場合は、装置の使用を禁止し、再調整、
再試験を行わなければ次のステップに進んではならない。
(3)受渡し試験記録は装置管理責任者及び納入業者双方で確認し、相互に署名し
保管してください。
(4)治療計画装置、シミュレータ等と組合せるシステムにおいては、相互間の
設定を厳重に確認してください。
また、その確認記録を装置管理責任者、納入業者双方の署名入りで保管して
ください。
(5)ユーザは使用開始に当たり装置の取扱い説明を受け、その実施記録を保管し
てください。
○ 受渡しに伴う各種確認書の書式例を付録として掲示いたします。
詳細内容は、装置納入業者、メーカにより異なりますので、書式例として
ご了承下さい。
(6)装置納入の際に薬事法第 63 条2等により「医家向け添付文書」の添付が義務
付けられています。医療機関関係者は、「医家向け添付文書」の最新版の内容
4
を基に納入業者から説明を受けてください。又、使用開始前までに添付文書
を熟読し、不明な点、疑問点等がある場合は納入業者に問い合わせを行い不
明点、疑問点を解決しておくことをお勧めいたします。
○ 巻末に「医家向け添付文書」のサンプルを示します。サンプルに示される「禁
忌・禁止」内容は基本的には共通文言です。
3)装置別注意事項(2章.2 項目毎の確認事項及び作業を参照してください)
(1)放射線発生装置
①
装置使用にあたって治療計画装置、シミュレータ等とデータを授受(直接間接
を問わず)又は参照する場合、パラメータの項目と座標の整合性について確認
してください。(詳細は機器附属のユーザーズマニュアルを参照してくださ
い。)
②
臨床使用において、X 線シミュレータ、CT シミュレータ等と治療台を兼用す
る場合には、治療台の操作機能、インターロック機能について確認してくだ
さい。
③
装置管理責任者は同一施設に複数の治療装置が設置されている場合、治療計
画での治療装置の一義性とデータ整合性を確認してください。
(2)治療計画装置
①
臨床使用する際には治療計画装置に適切なデータが入力されている事を確認
してください。計画線量に対するモニタユニットの計算については、その結
果が手計算などで検証が可能な場合は結果の妥当性を確認してください。
②
治療計画作成時には、線量分布は、空間的配置が適切か、積算線量が正しく
計算されているか、計算面の移動を適切に反映しているかなど、確認する手
順が不可欠です。
③
装置管理責任者は、治療計画装置の関連文書を参照の上、受入検査後のコミ
ッショニングを実施してください。各施設において適切なQAプログラムを確
立して、システムを安全に利用してください。
④
(1)の③を確認してください。
(3)CT シミュレータ、 X 線シミュレータ、
①
使用にあたり、CT シミュレータ、X 線シミュレータ、と治療装置の差異や精
度を確認してください。
②
シミュレータにおいて、ユーザが特に注意すべき項目は、治療用寝台との違
い、患者の体位や動き、照射野と関連付ける体表面のマーカの付け方、レー
ザーポインターの精度です。また、アーチファクトがないか、CT 値の精度(CT
値と電子密度の関係)、拡大率やひずみ、体輪郭の表現精度等の項目をチェッ
クし、定期的に点検する必要があります。
5
4)ユーザによる運用と点検
(1)使用開始に当たり、医療用具添付文書、取り扱い説明書、補足資料等を熟読
し、必要に応じ、いつでも取り出せるよう保管・管理してください。
(2)装置使用中は被ばくに注意してください。また(社)日本医学放射線学会による
「放射線診療事故防止のための指針」(平成 13 年 4 月)を参照してください。
(3)治療計画装置による計画立案後、計算結果を手計算結果と比較検証し、結果
に差異が無いことを確認してから治療をおこなってください。
(4)日常点検(始業前点検・終業点検)を励行してください。詳細は日本放射線
腫瘍学会研究調査委員会編集の「外部放射線治療装置の保守管理プログラム」
(平成 4 年 7 月)を参照してください。
(5)保守管理を励行してください。特に QA/QC については日本放射線腫瘍学会
QA 委員会編纂の「外部放射線治療における Quality Assurance(QA)システム
ガイドライン」(平成 12 年 3 月)を参照してください。
関連法規
「6ヶ月に 1 回以上線量測定を行い、その記録を 5 年間保存しておくこと。
(医療法施行規則第 30 条の 21)」
5)ユーザによる日常管理の体制
(1)臨床現場で利用されるパラメータは多岐にわたるため、その都度システム
の再確認が必要です。
(2)医療用具添付文書の使用上の注意に従って使用し、定期的なシステムの点
検を行ってください。
(3)装置に異常を発見した場合には、速やかに治療を中断し納入業者に連絡を
してください。
(4)装置廃棄及びメンテナンス等で不要となった放射化した部品の取り扱いに
ついては「放射線発生装置使用施設における放射化物の取扱いに係るガイ
ドライン」(平成 10 年 10 月・科学技術庁原子力安全局放射線安全課長)に
従ってください。
(5)装置管理者が交代した場合は、関連文書とともに引継ぎをお願いします。
6)総合試験
このガイドラインでは、「受渡し時に総合試験を行う」ことを指針として進言し
ていますが、具体的な「標準総合試験方法」についてのマニュアルは作成されて
いません。また、「標準総合試験方法マニュアル」は、工業会だけで作成するこ
6
とはできません。今後、放射線治療に関連する学会と当工業会の合同作業におい
て「標準総合試験方法マニュアル」を作成することを提案させていただきます。
なお、それまでは各社の技術マニュアル等により行うことといたします。
7
2 項目毎の確認事項および作業
2−1.
<放射線発生装置>
項
目
確認すべき事項または
確認方法または作業内容
作業事項
設置・受渡
○ 架台・寝台の性能
し前試験
○ ビームの性能
○
アクセサリ
・ 架台・寝台の垂直性・水平度・ダレ・ねじ
れ確認
・各社該当技術文書類 納入業者
・ 天板の負荷試験及び動作確認
・ 架台、コリメータ、寝台の各部回転精度確認 による
・ エネルギーの確認
・ 線量率の確認
・ 最大ビルドアップ点での軸外線量比
・ 照射野内平坦度、照射野内対称性
・ 照射野寸法
・ 治療深度での半影
・ 線量モニタの確認
・ 光照射野とX線照射野の一致性確認
・ 各アクセサリの装着確認
ウェッジフィルター、十字線板、
光学距離計精度、シャドートレイ等
・
○ 安全性及びインター
・
ロック
・
・
・
○ 投光器(ローカライ ・
ザ)
○
注意事項
責任所在
(ユーザ/納入業
確認
者/メーカ)
アクセサリの照合の確認
照射中表示確認
装置間及び周囲の物品との干渉の有無確認
エマージェンシー動作確認
ドアーインターロックの動作確認
取り付けの確実性及び精度確認(水平度、
垂直度、アイソセンタでの一致度等)
治療計画装置、照合記 ・ 治療計画装置からの入力データが照合記録
録装置等とのオンラ 装置に正しく入力され、そのデータによって治 ・接続仕様書による
イン接続
療装置が正常に設定され動作することの確認
8
納入業者間
○
取扱説明
・ 定位放射線治療、IMRT、原体照射治療、
ゲーティング、同室設置等の確認
個別仕様(オプショ
ン)に対する試験
・ 同室設置は同時曝射禁止、干渉の処置が為
されていることの確認
○ 基本操作の説明
応用事例の説明
注意事項の説明
○ 取扱説明実施の確認
○ 性能検証
○ 定期チェックデータ
受渡し
○
使用前準備
保守・点検 ○
保守・点検
システム
更新
○ 装置の変更等がシス
テム全体に与える影響
を確認する。
・目的に応じた、各社
技術仕様に基づく試 納入業者/納入業
験。納入業者間の接続 者間
試験。
・取扱説明書及び添付
・ 実運用に即した説明
・ 座標系とスケール、MLC のリーフの呼称、日 文書による
付表記法など、勘違いしやすい事項の説明
ユーザ及び納入業
者
・ 取扱説明を受けた者および実施者は受講記
・受講記録に相互に署
録
名
を作成し保管・管理
・ 性能検証データの確認
・各社制定の手順書に
・ 精度維持管理の項目の確認(リファレンス
よる
データとして)
・確認検証した旨の装
ユーザ及び納入業
・ 使用・保守管理に必要な測定器・器具の整
置管理責任者署名付
者
備状況を確認する。
き文書の交換
・ 校正された線量計及び必要な器具・用具で
装置の MU を校正する。
・ 治療に必要なデータを測定・採取する。
受渡し時確認項目に
よる(ユーザチェック)
・ 使用前確認(ユーザ)
・保守・点検マニュア
ユーザ及び専門修
・ 定期的チェック(ユーザ)
ル(納入業者・専門修
理業者
・ 専門修理業者による保守点検
理業者)
・ 保守・点検実施の記録を残す。
・保守・点検実施の記
録に署名
・総合システム試験は
・ 更新作業前にバックアップを作成する。
各々の組合せ条件に
(作業不備の際復元用とする)
て実施してください。
ユーザ及びメーカ
・ 更新機能の確認。(受渡し試験に準ずる。)
・装置管理責任者は関
・ 総合システムに対する影響は後記の「総合
連機器納入業者にシ
システム試験」に準じて実施する。
ユーザ
ステム及び装置変更
・ 実施記録を作成し相互に確認署名の上、保
を実施した旨を連絡
管する。
する。
9
2−2.
<治療計画装置>
項目
確認すべき事項または
確認方法または作業内容
作業事項
画像診断装置からのデータ転送
・接続仕様書参照・接
CT、MRI等 (各画像パラメータ)
続装置メーカ各社の
納入業者
・ シミュレータとの接続状態(各パラメータ)
受渡し試験内容を必
・ 治療装置・データ管理システム間の転送デ
ず確認する
ータ (転送パラメータ)
治療計画装置接続
インターフェース
○
基本操作の説明
応用事例の説明
注意事項の説明
・基本データによる入出力データの検証
取扱説明実施の
確認
・取扱説明を受けた者および実施者は受講記録 ・受講記録に相互に署
を作成し保管・管理
名
取扱説明
○
コミッシ
ョニング
・
○
設置・受渡
し前試験
受渡試験
性能検証
○
治療計画システムに
設定した各パラメータ
及び計算機能検証
取扱説明書参照
納入業者
仕様にもとづき機能確認を行う
・
・
線量測定
注意事項
○
治療装置の仕様
責任所在
( ユ ー ザ / 納 入 確認
業者/メーカ)
設定した各パラメータでの計算結果と実測
値の比較
使用対象事項の確認
X 線・電子線
エネルギー
ウエッジ、ブロック、シャドートレイ
コーン
MLC(多分割絞り)
10
確認検証した旨の装
置管理責任者署名付
ユーザ/納入業者
き文書の交換(別紙サ
ンプル様式有り)
ユーザ
装置管理責任者作成
(納入業者がサポ
のフォーマット
ート)
・治療装置が適法稼動
開始した後に作業を
ユーザ
行う
・施設管理責任者の管 (納入業者がサポ
ート)
理下での作業
・ユーザ所有の測定装
置を利用
○
○
照射野の数
ビームモデリング
(入力ビームデータ
の適正検討)
○
ハードウェアの動作
確認
ソフトウェア更新記
録の確認
保守点検
治療計画装置用必要データの確認
・
治療計画装置用必要データ測定法の確認
深部方向
OCR(OAR)方向
対角線方向
・
計算結果と実測値の比較
・
ハードウェアの適正稼動
ソフトウエア・パラメータの更新記録確認
・保守点検マニュアル 専門修理業者
基本データによる入出力データの検証
(ユーザ協力)
参照
測定方法
測定デー ○
タ入力/転
送
・校正済みの測定装置
の確認
・マニュアルに規定さ
れた必要データの取
得
・測定データの適・不
適の確認
・
ユーザ
・個々のデータを対象
(納入業者がサポ
に行う
ート)
・総合試験は各々の組
・ 更新作業前にバックアップを作成する。
合せ条件にて実施し
(作業不備の際復元用とする)
ユーザ/メーカ
○ 更新システムの設置
・ 更新機能の確認。(受渡し試験に準ずる。) てください。
変更点及び動作の確認
システム
・ 総合システムに対する影響は後記する「総 ・装置管理責任者は関
○ 装置の変更等がシス
更新
連機器納入業者にシ
合システム試験」に準じて実施する。
ユーザ
テム全体に与える影響
・ 実施記録を作成し相互に確認署名の上、保 ステム及び装置変更
を確認する。
を実施した旨を連絡
管する。
する。
その他
○
定期的確認作業
・通常使用時でも異変
・ 定期的に計算値と実測値の比較を確認する。 が感じられたときは
即座に確認作業を行 ユーザ
う
11
2−3. <CT シミュレータ>
項
目
確認すべき事項または
確認方法または作業内容
作業事項
○
X線出力
○ 架台・寝台精度
○ 安全性及びインターロ
ック
設置・受渡
し
○ 投光器(ローカライザ)
前試験
○ 治療計画装置・コンセ
ントレータ等の接続
○ コンフィギュレーショ
ンフィルム
注意事項
責任所在
(ユーザ/納入業 確認
者/メーカ)
・ 管電圧、管電流等の確認
・ 架台・寝台の垂直性・水平度・ダレ・ねじ
れ確認
・ 天板の負荷試験及び動作確認
・ CT基本性能確認
・ スキャン中表示確認
・ 装置間および周囲の物品との干渉の有無確
認
・ エマージェンシー動作確認
・ レーザ指示点とCT回転中心座標の一致確
・各社該当技術文書
認
納入業者
類による
・ マーキングに関わる精度確認
・ ビームの移動が可能な場合は、一定距離移動
させた場合も確認
・ 治療計画装置等との接続状態
・ 画像データおよび計画データが治療計画装
置等へ正常に転送されることの確認
・ 転送されたデータに欠損が無いことの確認
・ CT値と電子密度データの関係確認
・ 出力されたフィルムの照射野形状の一致性
確認
・ パラメータ表示値の確認
12
取扱い説明
○ 基本操作の説明
応用事例の説明
注意事項の説明
○ 取扱説明実施の確認
受渡し
○ 性能検証
○ 定期チェックデータ
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
基本操作説明
実運用のフローに則した説明
医用電気機器の使用上の注意事項
安全上の注意事項
使用・管理に関する注意事項
保証に関する説明
ソフトウェアの許諾範囲に関する説明。
取扱説明を受けた者および実施者は受講記
録を作成
精度データの確認
転送された画像データ、計画データの確認
CT値、電子密度データ確認
精度維持管理の項目の確認(リファレンスデ
ータとして)
・取扱説明書による
ユーザ及び納入業
者
・受講記録に相互に
署名
・確認検証した旨の
装置管理責任者署名 ユーザ及び納入業
付き文書の交換
者
・受渡時確認項目に
よる(ユーザチェッ
・ 使用前確認(ユーザ)
ク)
・ 定期的チェック(ユーザ)
・保守・点検マニュ
○ 保守・点検
アル(納入業者・専
・ 専門修理業者による保守点検
・ 保守・点検実施の記録を残す
門修理業者)
・保守・点検実施の
記録に署名
システム更
・総合システム試験
・ 更新作業前にバックアップを作成する。
新
は各々の組合せ条件
(作業不備の際の復元用とする)
にて実施してくださ
(受渡試験に準ずる。
)。
○ 装置の変更等がシス ・ 更新機能の確認。
い。
テム全体に与える影響を ・ 総合システムに対する影響は後記の「総合
・装置管理責任者は
システム試験」に準じて実施する。
確認する。
関連機器納入業者に
・ 実施記録を作成し相互に確認署名の上、保管
システム及び装置変
する。
更を実施した旨を連
絡する。
保守・点検
13
ユーザ
専門修理業者
ユーザ及びメーカ
ユーザ
2−4. <X 線シミュレータ>
項
目
確認すべき事項または
確認方法または作業内容
作業事項
○
設置・受渡 ○
し前試験
○
○
○
取扱説明
受渡し
注意事項
責任所在
( ユ ー ザ / 納 入 確認
業者/メーカ)
管電圧、管電流等の確認
・ 架台・寝台の垂直性・水平度・ダレ・ねじれ
確認
・ 天板の負荷試験及び動作確認
架台・寝台精度
・ スケール表示等の精度確認
・各社該当技術文書
・ 回転部の回転精度確認
納入業者
類による
・ 光照射野とX線照射野の一致性確認
・ X線照射中表示確認
安全性及びインター
・ 装置間及び周囲の物品との干渉の有無確認
ロック
・ エマージェンシー動作確認
投光器(ローカライ
・ アイソセンターに関わる精度確認
ザ)
・ 基本操作説明
・ 実運用のフローに則した説明
基本操作の説明
ユーザ及び納入業
・ 医用電気機器の使用上の注意事項
・取扱説明書による 者
応用事例の説明
・ 安全上の注意事項
注意事項の説明
・ 使用・管理に関する注意事項。
・ 保証に関する説明。
X線出力
○ 取扱説明実施の確認
・ 取扱説明を受けた者および実施者は受講記 ・受講記録に相互に
録を作成
署名
○ 性能検証
○ 定期チェックデータ
・ 精度データの確認
・確認検証した旨の
ユーザ及び納入業
・ 精度維持管理の項目の確認(リファレンスデ 装置管理責任者署名
者
ータとして)
付き文書の交換
14
保守・点検
○ 保守・点検
・
・
・
・
使用前確認(ユーザ)
定期的チェック(ユーザ)
専門修理業者による保守点検
保守・点検実施の記録を残す
・ 更新作業前にバックアップを作成する。
(作業不備の際復元用とする)
・ 更新機能の確認。
(受渡し試験に準ずる。)
。
○ 装置の変更等がシス
・ 総合システムに対する影響は後記の「総合
システム
テム全体に与える影
更新
システム試験」に準じて実施する。
響を確認する。
・ 実施記録を作成し相互に確認署名の上、保
管する。
・ 一部変更などを行った装置の確認は前出
(2.2.1∼2.2.4 の個別装置の項を参照。)
15
・受渡し時確認項目
による(ユーザチェ
ック)
・保守・点検マニュ
ユーザ及び専門修
アル(納入業者・専
理業者
門修理業者)
・保守・点検実施の
記録に署名
・ 総合システム試
験は各々の組合せ条
件にて実施してくだ
ユーザ及びメーカ
さい。
・装置管理責任者は
関連機器納入業者に ユーザ
システム及び装置変
更を実施した旨を連
絡する。
2−5. <放射線治療システム全体>
項
目
確認すべき事項または
確認方法または作業内容
作業事項
総 合 シ ス ○ システム全体の稼動
テム試験
状態を確認する。
注意事項
責任所在
( ユ ー ザ / 納 入 確認
業者/メーカ)
・ ファントム等を用い、一連の治療行為を模
・各々の組合せ条件に
した運用試験を実施し、総合システムとして
ユーザ
て実施してください。
の稼動、精度、安全等を確認する。
・
システム更新した装置の確認は前出
(2.2.1∼2.2.4)の個別装置の項を参照。
・ 総合システムに対する影響は前記の「総合
○ 装置の変更等がシス
システム試験」に準じて実施する。
システム
テム全体に与える影響を
・ 実施記録を作成し相互に確認署名の上、保
更新
確認する。
管する。
・ 一部変更などを行った装置の確認は前出
(2.2.1∼2.2.4 の個別装置の項を参照。
16
・
「総合システム試験」
は各々の組合せ条件
にて実施してくださ
ユーザ及びメーカ
い。
・装置管理責任者は関
連機器納入業者にシ ユーザ
ステム及び装置変更
を実施した旨を連絡
する。
第3章
1.解説・説明
1986 年から 2002 年の間に発生した放射線治療による主な被ばく事故は原子力公開情
報センタのインターネットホームページによると下表のとおりである。
ホームページアドレスは(http://kokai-gen.org/information/7_ho-tra.html)
(注:ホームページの内容は適時更新されています。)
年/月
1986 年
1990 年 12 月
1992 年
1995 年 12 月
1996 年 8 月
1998 年 6 月
1999 年
2001 年 2 月
2001 年 6 月
発生国(都市)
アメリカ
スペイン
アメリカ
中国 北京
コスタリカ
日本 沖縄
日本 東京
ポーランド
パナマ
装置
加速装置
加速装置
密封線源
リニアック
コバルト
アフターローディング
リニアック
リニアック
コバルト
主な原因等
コンピュータソフトの欠陥
装置故障(修理ミス?)
線源破損
不明(記載なし)
線源キャリブレーションミス
線源収納時作業事故
データ入力ミス
停電復旧後の確認作業不備
データ入力ミス
表からも分かるように事故の原因として人為的なミス(ヒューマンエラー)に起因してい
る場合が多い。またこれらは、データの入力ミスやプログラムによるもので日常の使用状
況では発見が難しく、事故がおきて初めて気がつく場合もある。
事故がおきる状況として
①
新しい装置の導入のため操作者(従事者)が装置に不慣れ。
②
装置の設置上の不備、プログラム上の不備。
③
放射線発生装置・治療計画装置・シミュレータ装置の納入業者が異なり、責任の
狭間がおき受渡し試験が不徹底。
④
修理・保守等による調整、設定等の変更に関して情報伝達及び確認作業に不備が
発生。
⑤
操作者のローテーションに際して、引継ぎ・申し送りが不十分。
⑥
操作に慣れが生じ、確認の省略、マニュアル軽視など。
⑦
定期的(半年以内)な線量確認作業の不徹底。
等があげられる。また、日本原子力学会誌(Vol.44,No9.2002)では事故の原因となる作業
が深夜に行われていることを指摘している。(深夜 12 時を中心に前後 2 時間が魔の時間
帯!)
今回作成したガイドラインは接続試験から使用開始、さらに使用後の保守点検・システ
ム更新までの作業の流れを、放射線発生装置、治療計画装置、シミュレータ別に項目列挙
し、各ポイントでどの様な確認が必要か、その確認方法及び注意事項、また、責任の所在
17
は何処にあるかなどを出来るだけわかり易く記した。
特に各装置間で治療データの授受を行うに当たっては、それが正しく渡されているかど
うかの確認を行うことが重要です。
一連の放射線治療システム全体の確認はユーザの責任で実施されなければなりません。
特に注意しなければならない4項目を以下に再度列記します。
1)受渡し試験
◎
受渡し試験実施時には施設側より装置管理責任者又はそれに準ずる方の立ち会い
をお願いしています。受渡し試験は納入業者が実施し、装置の正常動作と最大パフ
ォーマンス、安全性の確認を行うものですが、受渡し後は装置の所有権は施設側に
帰属し施設の管理下に置かれます。その為にも施設側の責任者は、受渡し試験に立
会い「システム受渡し確認書」にて内容及び状況を双方で確認し、署名捺印し保管
してください。
2)基本データの登録
◎ 治療計画装置への基本データの登録を行う際には以下のことを遵守してください。
① 深夜作業を避ける。
深夜作業は、判断力や集中力が低下し、思わぬ事故を招きます。
② ダブルチェック又はトリプルチェックを行うことを基本とし、複数名で実施す
る。
役割分担を決め、それぞれ個別に確認する。具体的に
は、データを読上げる係、データを入力する係、入力データを確認する係等を
決め以下の作業手順で行う。
ア)データ入力前に入力項目及び入力順位等の確認を行う。
イ)読み上げ担当者は、確認内容に従いデータを読み上げる。
例:「Wedge の1番・係数 1.0」
ウ)入力担当者は、それをキー入力し、入力後に画面表示を確認し読み上げを
行う。
エ)データ入力後、両者の読み上げ値と差異が無いことを確認する。
③
全てのデータを入力後にデータを印刷出力し再度確認し、担当者ごとに署名捺
印をし、記録を残す。
3)ビームの性能確認
◎ 医療法施行規則第 30 条の 21 で求められている6ヶ月毎の線量測定では特定の条件
でのみ測定するのではなく、照射可能なすべてのパラメータの組合せで測定するこ
とが望ましい。特定のウェッジフィルターの係数のみが入力ミスをされており、そ
のフィルターを用いると過剰照射となっていた例があります。このような、事故を
未然に防ぐためにも重要な組合せ条件は線量測定をすべきです。
18
4)システムへの追加・変更
◎ システムへの追加・変更・更新を行った場合、総合システム試験を行ってください。
施設側が独自に開発された治療計画装置、位置決め装置、患者固定具等を使用され
た場合の責任は施設側にあります。
19
2.参考資料・引用資料
(社)日本医学放射線学会
「放射線診療事故防止のための指針」
(平成 13 年 4 月)
医療放射線防護連絡協議会編集
「医療領域の放射線管理マニュアル」
(平成 13 年 6 月発行第 5 版)
日本放射線腫瘍学会研究調査委員会編集
「外部放射線治療装置の保守管理プログラム」
(平成 4 年7月)
日本放射線腫瘍学会 QA 委員会編纂
「外部放射線治療における Quality Assurance(QA)
システムガイドライン」
(平成 12 年 3 月)
(社)日本放射線技術学会
「放射線治療における誤照射事故防止指針」
(平成 15 年 2 月)
「放射線治療技術マニュアル」
(平成 10 年 3 月)
南山堂
「放射線治療学」
(平成 13 年 9 月)
(財)日本規格協会発行
「JIS Z 4705
−1993
医用電子加速装置−安全」
(平成 5 年 11 月)
「JIS Z 4714
−2001
医用電子加速装置−性能特性」
(平成 13 年 6 月)
(社)日本画像医療システム工業会
「診療用高エネルギー放射線発生装置・
据付調整時の放射線安全ガイドライン」
(平成 14 年 3 月)
AAPM (American Association of Physicists in Medicine)
Radiation Therapy Committee Task Group 53:
Quality assurance for clinical radiotherapy treatment
Planning.
European society for therapeutic radiology and oncology (ESTRO)
Quality assurance of the treatment planning systems Practical examples forNon-IMRT photon beams.
20
付録
書式例
治療計画装置SAMPLE
放射線治療計画装置受渡し確認書
本確認書は放射線治療計画装置の使用開始に伴い、
使用施設の装置管理責任者と、納入業者である弊社が、双方立会いのもとに
下記の作業を実施したことの確認書です。
作業項目
1.放射線治療計画装置の動作確認
2.放射線治療計画装置へのデータ転送の動作確認
3.放射線治療計画装置から治療機へのデータ転送の動作確認
確認記録
次のとおり作業を完了したことを確認します。
1.放射線治療計画装置の性能検証: 詳細は別紙のとおり
使用者:
施設名
部署
名前
確認者署名
年
月
日
納入業者
会社名
所属
名前
確認者署名
年
月
日
備考:
1. 受渡し試験の実施は医学放射線物理学会連絡協議会より平成 13 年 8 月 21 日付で
発行された勧告書にて実施勧告がなされております。
2. 患者治療に際しては使用データの確認をお願いします。
21
付録
SAMPLE
書式例
放射線治療計画装置へ入力した各パラメータの確認
ここでは、X線と電子線の線量計算に利用するパラメータである Dose/MU at Calibration Point
(cGy/MU)が正しく入力されていることを確認します。
装置名
放射線治療装置:
放射線治療計画装置:
(1)校正線量(絶対線量)
X線
X
線
エネルギー
入力すべき値
入力結果
Dose/MU at Calibration Point (cGy/MU)
Dose/MU at Calibration Point (cGy/MU)
4MV
10MV
0.73915
0.84783
0.73915
備 考
0.84783
X線ビーム測定シートのポイント線量の測
実機 Physics ユーザインタフェースを用いて入
定(マシン出力キャリブレーション値算出用)から
力値を確認して書き込むこと。
転記すること。
電子線
電 子 線
エネルギー
入力すべき値
入力結果
Dose/MU at Calibration Point (cGy/MU)
Dose/MU at Calibration Point (cGy/MU)
4MeV
6MeV
9MeV
12MeV
0.9821
0.9840
1.0037
0.9979
0.9821
0.9840
1.0037
0.9979
備 考
電子線ビーム測定シートの ポイント線量
実機 Physics ユーザインタフェースを用いて入
(絶対線量)の測定(マシン出力キャリブレーショ
力値を確認して書き込むこと。
ン値算出用)から転記すること。
(2)アウトプットファクター
X線エネルギー:4 MV (オープン照射野)
正方形一辺長さ
入力指定値
3.0
4.0
○○○
△△△
0.6228
0.4179
○○○
△△△
22
入力結果
0.6228
0.4179
○○○
△△△
付録
SAMPLE
書式例
実測値データと計算結果の精度確認
ここでは、放射線治療装置の実測線量と治療計画装置の線量計算の結果をX線および電子線の
各エネルギーごとに確認します。
装置名
放射線治療装置:
放射線治療計画装置:
測定条件:
測定年月日
: 実測:
○年○月○○日
計算
○年○月○○日
ビームエネルギー
: 4 MV
セットMU値
: 200 MU
線量計設定条件
: 照射野の中心位置
使用ファントム
: 水等価ファントム
ソフトウェアリリース名
:
計算条件(計算点・アルゴリズム)
注
意
: 必ず各ビームの出力校正<キャリブレーション>完了後に行ってください。
実測値と計算値の精度確認
照射野
(cm)
5X5
10X10
10X10
… … …
○ × ○
測定深度
(cm)
10
10
10
… … …
◎
絶対線量(cGy)
ウエッジ有無
無し
無し
有(15)
… … …
有(45)
23
実測値
計算値
111.7
147.1
110.4
… … …
◎△□.▽
111.4
146.9
110.5
… … …
◎△□.○
確認結果
OK
OK
OK
OK
付録
SAMPLE
書式例
取
扱
説
明
実
施
記
録
年
月
日
下記装置の安全な取扱い並びに操作方法及び諸注意の説明を○○株式会社の担当者より
説明を受けました。
1:
2:
3:
4:
説明装置名称
説明装置製造番号
説明日
説明担当者
5:
説明内容
6:
説明会御参加者
御
署
名
□
□
□
操作説明
取扱(保守管理等)説明
操作、取扱における注意事項。
□
その他
装置管理責任者殿
氏名
所属
説明員
印
病院
印
○○株式会社
部
部
住所
電話
備考
24
課
2004 年 7 月 16 日(新様式第 1 版)
承認(許可)番号 000000
器 具 器 械 09 医 療 用 エ ッ ク ス 線 装 置 及 び 医 療 用エックス線装置用エックス線管
特別管理医療機器・特定保守管理医療機器・設置管理医療機器
線形加速器システム(35159000)
販売名
XXXXXX
3)電気定格
定格電圧
周波数
消費電力
保護の形式
保護の程度
適合 EMC 規格
【警告】
被ばく警告
本装置は、下記事項を遵守しない場合は、放射
線の過剰照射等により死亡又は重篤な副作用が
発現する場合があります。
① 線量評価パラメータを定期的に確認するこ
と。
② 線量評価パラメータが放射線治療計画装置に
正しく入力されていることを確認すること。
治療計画データを検証の上使用すること。
クラスⅠ
B型
JIS T 0601-1-2:2002
4)本体寸法及び重量
寸法(mm) 幅 000、高 000、 奥行 000
重量 (kg) 0000
【性能・使用目的・効能又は効果】
1) 仕様
承認申請書の内容を正確に記載する。
2)使用目的
承認申請書に記載した使用目的、用途を記載する。
3)効能効果
該当する場合に記載する
[禁忌・禁止]
治療対象患者が埋込み式医療機器(ペースメーカ、除細
動器、脳脊髄刺激装置)等を使用している場合の照射に
際して、その用具への直接照射は行わないこと。また、
ペースメーカ装着患者への照射に際して下記のことを注
意し定期的な確認を行うこと。
その他の磁性金属、埋め込み型脳脊髄刺激装置などの埋
め込み型電子医療用具に対してもペースメーカ使用に準
ずること。
【操作方法又は使用方法等】
使用環境条件
温度
湿度
設置上の注意
必要があれば記載する。
1) ペースメーカを遮蔽しないで直接照射は行わない
こと。
2) 治療を開始する前にペースメーカの吸収線量を評
価しておくこと。
3) ペースメーカの吸収線量が2Gy 以下であれば、照
射開始前及び、照射後毎週ペースメーカの機能チェ
ックを行うこと。(ペースメーカの故障は 10∼
30Gy で発生する。機能変化は 2∼10Gy で観察さ
れ、信号の早期変化は故障発生の原因となる。
)
4) リニアックにおいてマグネトロンやクライストロ
ンの放電が発生する場合には、照射初回に患者の様
子を注意深く観察し、異常があれば適切に処置を行
うこと。
操作方法
承認申請書に記載した内容から逸脱しない範囲で
簡略して記載する。
【使用上の注意】
①
②
③
特に重要な事項がある場合は、他の文字に比較し
て見易いように配慮する。
当該装置に固有の注意事項があれば記載する。
共通文言は主なもののみを取り上げています。
― 共通文言 ―
使用注意(次の患者には慎重に適用すること。
)
① 妊婦、妊娠の疑いのある者、授乳中の者。
② 被検者自身の状態によって、被検者を危険な
状態にすると判断される場合の治療は行なわな
いこと。
【形状・構造等】
1)構成
本装置は、以下のシステムにより構成される。
(1)
(2)
(3)
2)各部の名称
① 装置外観の図や写真を入れ、直感的に装置が
把握できるようにする。又、代表的な部分や
使用説明に必要な部分に引き出し線を付けて
説明する。
② 必要に応じてブロック図も併用する。
重要な基本的注意
① 荷耐重(00kg)以上の患者への使用は慎重に行う
こと。(治療精度に影響を与える場合や、天板破
損の危険もあります。)
② この装置は、防爆型でないので装置の近くで可
燃性及び爆発性の気体を使用しないこと。
③ 装置を使用する際は設置環境を守ること。
④ 機器の線量計は定期的に構成すること。
相互作用
① 本装置の周辺で携帯電話、トランシーバなど
電磁波を発生する機器の使用は、装置に障害
取扱説明書を必ずご参照下さい。
25/30
②
を及ぼす恐れがあるので使用しないこと。
指定された機器以外の装置を接続した場合、
所定の EMC 性能を発揮できない恐れがあるの
で指定機器以外は接続しないこと。
その他の注意
本装置を廃棄する場合は、産業廃棄物となる。
必ず地方自治体の条例・規則に従い許可を得た産業廃
棄物処理業者に廃棄を依頼すること。
詳細な使用上の注意は、取扱説明書を参照のこと。
(製造物責任に関する事項は、取扱説明書に記載のこ
と)
【製造販売業者氏名又は名称及び住所等】
製造販売業者氏名
住所
:
:
電話番号
FAX番号
緊急時連絡先
:
:
:
製造会社氏名
住所/輸入先国
:
:
【作動及び動作原理】
承認申請書に記載した内容から逸脱しない範囲で
原理図などを用いて記載する。
【貯蔵方法・有効期間】
使用耐用年数(自主基準)
指定された保守点検を実施した場合に限り 00 年。
【保守点検に係る事項】
1)使用者による保守点検
点検項目
点検頻度
Linac
Sys.
Check
Safety
interlock
Test
Dosimeter
Calibration
Laser
Alignment
始業前
始業前
始業前
月1回
2) 業者による保守点検
点検項目
点検頻度
機構部点
3∼6 ヶ月
検
電気回路
3∼6 ヶ月
部点検
電源設備
点検内容(概要)
3∼6 ヶ月
点検内容(概要)
機構可動部の緩み、注
油、清掃、調整
各部の電圧、波形等の
点検
供給電源電圧、アース
接続、接地抵抗等
3) 消耗部品
本装置には次の消耗部品及び消費材が使用されてい
る。これらの部品・消費材を消耗寿命以内に交換及び補
充をしないと重大な不具合を発生することがある。
1.○○○○
寿命 000時間
2、○○○○
寿命 000時間
4)その他
本装置を常に安全に且つ正しく作動させるために
保守点検を必ず実施すること。
保守点検制度につきましては弊社にお問い合わせ
ください。
取扱説明書を必ずご参照下さい。
26/30
「高エネルギー放射線治療システム・装置受渡におけるガイドライン」フロー図
1:設置・使用・保守
網掛け部分が適用範囲
装
置
責任主体
発生装置
治療計画装置
シミュレータ
↓
↓
↓
設置調整
設置調整
設置調整
↓
↓
↓
受渡前試験
受渡前試験
受渡前試験
↓
↓
↓
接続試験
↓
↓
↓
受渡試験
受渡試験
受渡試験
↓
↓
↓
取説
取説
取説
↓
↓
↓
各納入業者
(社)日本画像医療システム工業会「診
療用高エネルギー放射線発生装置・据
付調整時の放射線安全ガイドライン」
⇔
各納入業者
(財)日本規格協会 「JIS Z 4714 医
用電子加速装置−性能特性」
、
「JIS Z
4705 医用電子加速装置−安全」
⇔
主契約業者
⇔
各納入業者/
ユーザ
⇔
各納入業者
業者
線量測定
↓
↓
↓
↓
↓
ユーザ/業者双方で確認書に署名し保管する。
← 取扱説明実施記録を作成
ユーザ/業者双方で実施記録に署名し保管する。
⇒
ユーザ
この時点で、装置管理の責任主体は業者より ユーザ/業者双方でシステム受渡確認書に署名し保
ユーザに移る。
管する。
線量測定と計画装置へのデータ入力はユーザ 線量測定者、データ入力者と結果を検証し確認書に署
の責任の下で実施することを明確化
名し保管する。
⇔
ユーザ
←
⇔
ユーザ
← 線量測定・モデリングの結果を検証
⇔
ユーザ
⇔
ユーザ・
(業者支援)
↓
保守・点検
2: バージョンアップ
装
← 受渡試験にユーザの立会いを求める
↓
使用
↓
各納入業者が協力し実施する。
↓
総合システム試験
↓
← 接続試験の責任主体を明確
↓
モデリング
⇔ (データ入力等を含
む)
↓
参考資料
⇔
受 渡 し
↓
「高エネルギー放射線治療システム・装置受渡ガイドライン」概要
(社)日本医学放射線学会:
「放射線診
療事故防止のための指針」
、
(社)日本
放射線技術学会:
「放射線治療における
誤照射事故防止指針」
、
「放射線治療技
術マニュアル」
、医療放射線防護連絡協
納入業者はユーザより保守点検に必要な技術情報の
保守点検の実施主体はユーザにある。納入業
議会編集:
「医療領域の放射線管理マニ
←
開示請求があった場合は速やかに情報を提供するこ
者はそれを支援する。
ュアル」
、日本放射線腫瘍学会研究調査
と。
委員会編集:「外部放射線治療装置の保
守管理プログラム」
(バージョンアップは各項目(工程)で発生する場合もあるので別掲とした。
)
置
バージョンアップ
責任主体
⇔
ユーザ/業者
「高エネルギー放射線治療装置安全対策ガイドライン」
← バージョンアップの責任主体を明確化
27
ユーザは関連業者に装置の変更等の実施について報
告する。
社団法人 日本画像医療システム工業会
法規・経済部会
安全性委員会
「高エネルギー治療安全対策WG」名簿
(平成16年2月20日現在)
主査
山田
副主査 金高
委員
阿部
委員
泉
委員
加納川
委員
後藤
委員
吉川
委員
坂本
委員
篠川
委員
高橋
委員
土屋
委員
松永
委員
薮
事務局 梅田
発
行
者
:
謙一 (株)千代田テクノル
正巳 (株)千代田テクノル
駿介 (株)Varian ME メディカルシステムズ
孝吉
富士フイルムメディカル(株)
洋
(株)日立メディコ
正治 (株)Varian ME メディカルシステムズ
孝志 (株)日立メディコ
修
東芝メディカルシステムズ(株)
毅
(株)島津製作所
修治
シー・エム・エス・ジャパン(株)
明
(株)Varian ME メディカルシステムズ
元
GE横河メディカルシステム(株)
光雄
兼松メディカルシステム(株)
尚志 (社)日本画像医療システム工業会
社団法人 日本画像医療システム工業会
法規・経済部会
安全性委員会
「高エネルギー治療安全対策WG」編
〒113-0034
電話
東京都文京区湯島2−18−12
湯島KCビル4F
03-3816-3450
FAX 03-3818-8920
28

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