研究成果報告書 - KAKEN - 科学研究費助成事業データベース

研究成果報告書 - KAKEN - 科学研究費助成事業データベース
様式C-19
科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書
平成25年6月10日現在
機関番号:32687
研究種目:基盤研究(C)
研究期間:2010~2012
課題番号:22530669
研究課題名(和文) 心理教育的リーダーシップ訓練プログラムの開発と有効性の検討
研究課題名(英文)
A study to develop a program designed for training of
psychoeducational leadership and to examine the effects
研究代表者
古屋 健(FURUYA TAKESHI)
立正大学・心理学部・教授
研究者番号:20 173552
研究成果の概要(和文)
:本研究では教員に求められる心理教育的リーダーシップを教員養成教
育の中で育成するための訓練プログラムを開発した。このプログラムは講義,基礎スキル訓練,
プロジェクトチーム体験の3つのパートから構成された。基礎スキル訓練のリフレクションレ
ポートの内容分析の結果,各訓練の効果を確認できた。また,プログラム前後のエゴグラムプ
ロフィール得点に有意な変化が生じたことも確認することができた。
研究成果の概要(英文):In this study, we proposed a training program to develop the
psychoeducational leadership skills necessary for teachers. The program consists of three
components; a) lecture, b) basic skill training, and c) project-team experience. As a result of
text-mining analysis of participants’ reflection-reports, it was suggested that they
deepened insight about basic leadership skills by experiencing exercise. Also, it was found
that significant changes ware occurred in some Egogram-profile scores of participants.
交付決定額
(金額単位:円)
2010年度
2011年度
2012年度
年度
年度
総 計
直接経費
1,200,000
1,100,000
900,000
間接経費
360,000
330,000
270,000
3,200,000
960,000
合
計
1,560,000
1,430,000
1,170,000
4,160,000
研究分野:社会科学
科研費の分科・細目:心理学
キーワード:社会系心理学・心理教育的集団・リーダーシップ・訓練プログラム
1.研究開始当初の背景
教育の充実は,その直接の担い手である教
員の資質能力に負うところが大きい。文部科
学省では,そのために教員免許制度の改革
(免許更新制,特別免許状等),教員採用方
法の改善(社会人の活用,人物評価重視の選
考等),教員人事評価制度の改正(指導力不
足教員への対応,教員評価システムの改善),
教職大学院の設置等をはじめとするさまざ
まな対策を講じてきた。また,教員養成教育
カリキュラムでは教育実習やインターンシ
ップなど現場実習の充実強化が図られてい
る。教育実習により育成される実践的指導力
には,大きく分けて教科等の授業を構想立案
し,実施し,それを振り返って点検できる力
と,児童生徒理解に基づいた個別及び集団指
導できる力の2つがある。このうち前者につ
いては,現行の教員養成カリキュラムの中で
も多くの講義が用意され,豊富な学習機会が
保証されている。しかし,それと比較すると,
後者の内容については教員免許状取得のた
めに必修とされる教職科目の他に学修でき
るチャンスに乏しいのが現状である。われわ
れは日頃大学でその種の教職科目(生徒指
導・教育相談・教育心理学)を担当する中で,
授業で学修した基礎基本を実習でさらに伸
ばすためには,実習前教育の一環として実践
に結びつける学修プロセスが必要であると
考えた。
本研究はこのような着想に基づき,平成 19
~21 年度科学研究費補助金(基盤C)を得て
実施した「心理教育的観点からみた教員資質
の分析とその評価・開発方法に関する研究」
(研究代表者:古屋健,連携協力者:所澤潤・
懸川武史・山口陽弘)を踏まえて計画された。
前研究では,教員に求められる児童生徒理
解・生徒指導の力は,心理教育的集団
(psychoeducational group)すなわち「成員
の心理的成長を促す集団活動を行う集団」の
リーダーに求められる資質と共通している
という前提に立ち,心理教育的集団リーダー
の資質分析と,そこから明らかになった能力
やスキルを測定するための尺度構成を試み
た。具体的には,効果的に聴き,質問し,応
答することに関わるコミュニケーション・ス
キルと,自分の行動や感情を自己制御
(self-regulation)する能力の2点に着目し
た研究を実施した。また,その最終年度(平
成 21 年度)には,これらの基礎的な能力・
スキルを含めた心理集団的リーダーシップ
を高めるためのプログラムを構想し,講義の
中で試行的に実践した。この研究で明らかに
されたことは次のように整理できる。
(1)心理尺度や心理検査を実施し,その結果を
学生本人にフィードバックして自己分析さ
せることで,自分の実践的指導力における長
所や短所に気づけるようになる。
(2)実習前指導としてリーダーシップ訓練を
することで,教員資質のある側面については
実質的な向上を図ることができる。
(3)実習前に自分の実践的指導力について課
題意識を持つことで,その後で経験する教育
実習の教育効果の向上を図ることができる。
そこで本研究では,前研究で構想した心理
教育的リーダーシップ訓練プログラムをよ
り洗練させ,その有効性と妥当性を確認する
ことを目指した。
2.研究の目的
本研究では,次の3つの目的を設定した。
(1)心理教育的リーダーシップ訓練プログラ
ムの開発
学部における教員養成教育で利用できる
訓練プログラムを開発する。前研究で試行さ
れたプログラムは,集団過程とリーダーシッ
プに関する科学的知見(代表的な理論や研究
についての知識)の学習と,主に集団場面を
利用した体験学習から構成されていた。しか
し,試験,受講生の授業評価,その後の面接
等の結果から,いずれの面でもさらに改善す
る余地が残されていることが明らかであっ
た。特に,内容の精選とリフレクション指導
のあり方が課題となる。
(2)プログラムの有効性と妥当性の検討
訓練プログラムでは個別スキル別のエク
ササイズから構成されている。そのため,プ
ログラムの有効性を確認するためには,訓練
全体のスキルアップや資質向上の効果を見
るだけでなく,個別のスキル訓練の効果につ
いても検討する必要がある。特にリフレクシ
ョンの内容にまで踏み込んだ効果測定の手
法を開発する必要がある。
(3)心理教育的リーダーシップ専門的訓練プ
ログラムの開発
学部における教員志望の学生を対象にし
たプログラムの次の段階として,現職教員も
学ぶ教職大学院でも実施できるような教師
教育のための専門的訓練プログラムが求め
られる。そのための手法としては,基礎プロ
グラムと類似した内容で難度を高めること
でスキルアップを図る方法と,より高度なス
キルを高めるための新たな内容を追加する
ことである。
3.研究の方法
(1)心理教育的リーダーシップ訓練プログラ
ムの開発
前研究で試行したプログラムは以下の通
りであった。
①集団過程とリーダーシップに関する代表
的な理論と研究についての学習
②心理検査(エゴグラム)と教師スキル尺度
(チェックリスト)による自己分析
③集団課題解決場面を利用した体験学習
前研究の結果から,以上の3領域すべてに
ついて改善すべき点が指摘された。まずAに
ついては,試験の結果から,一般的な概説を
超えて心理教育的集団の特殊性を理解する
までに至らない受講生が見られたことから,
授業内容の構成に工夫が必要であると判断
された。Bについては,自己分析のためのツ
ールとしては有効であったが,次の体験学習
との関連が明確でなかったために,体験学習
や教育実習での課題意識にまで繋がらなか
った。結果のフィードバックやプロフィール
の表示方法を工夫して課題診断的検査にす
ることで,自分自身の課題を意識させ,その
改善への意欲を高めるような工夫が求めら
れる。さらに,Cについては,試行として多
くの内容を盛り込みすぎたために,プログラ
ム全体としての効果は確認できたものの,
個々の課題の有効性を厳しくチェックでき
なかった。課題を精選し,課題終了後のリフ
レクションのための時間を十分にとって,さ
らに詳細な課題分析が必要である。
本研究ではこれらの点を踏まえて訓練プ
ログラムの内容の精選を図って試行し,最終
的に統一プログラムとして統合整理する。な
お,実施対象は群馬大学教育学部の「心理教
育的指導論」と立正大学心理学部「リーダー
シップ・トレーニング」を受講する大学生で
ある。
(2)プログラムの有効性と妥当性の検討
プログラムの有効性はプログラムを構成
する個別スキル訓練の効果と,プログラム全
体の効果の2つの側面から検討された。個別
スキルについては,対象となるスキルをチェ
ックするための質問紙が作成され,エクササ
イズ後のリフレクションペーパーによって
自己評価と他者評価がなされ,共有化が図ら
れた。また,課題として任意のエクササイズ
を取り上げ,より詳細なリフレクションレポ
ートの提出を求めた。
また,プログラム全体の効果については,
プログラムの最後に実施するプロジェク
ト・チーム体験のプレゼンテーションの質,
及び事前事後に実施したエゴグラムのプロ
フィール変化を主な指標とした。
(3)心理教育的リーダーシップ専門的訓練プ
ログラムの開発
群馬大学教職大学院で開講している「児童
生徒指導のためのロールプレイ実習」の受講
生を対象に,教育現場での指導との関連を重
視した専門的プログラムを試作し,実施した。
専門的スキルのために追加された主な訓練
内容としては,自分自身の教育経験を踏まえ
た自動・生徒理解の深化を図るエクササイズ
と,学部学生を対象とする訓練プログラムへ
の参加(ファシリテーター経験)等がある。
4.研究成果
(1)心理教育的リーダーシップ訓練プログラ
ムの開発
開発された訓練プログラムは大きく分け
ると講義,スキル訓練及びプロジェクト・チ
ーム体験の3つのパートから構成される。講
義にはプログラムへのガイダンスが含まれ
ており,またプロジェクト・チーム体験はス
キル訓練の総まとめとして位置づけられる
ことから,この順序は変更できない。スキル
訓練はさらに自己理解と他者理解,コミュニ
ケーション・スキル訓練,そして集団活動ス
キル訓練の3部に分かれており,この順序に
も意味がある。次にその概要を示す。
パート I 講義:講義の目的は2つある。
一つは訓練プログラムへのガイダンスであ
り,もう一つは集団の特質と集団活動におけ
るリーダーシップの役割について参加者の
認知的知識と理解を深めることである。
パートⅡ スキル訓練:本プログラムでは
リーダーシップを発揮する上で必要な基本
的なスキルとして,自己理解と他者理解,コ
ミュニケーション・スキル,集団活動スキル
という3つのスキル群を考えた。スキル訓練
は原則として1テーマについて1授業時間
(90 分)で実施するよう計画されている。
自己理解と他者理解:ここでは,それぞれ
異なる個性を持つ人間として自己と他者に
焦点が当てられる。個性によって,個人は社
会的関係の中で固有な貢献を果たすことが
できる。その意味で,個性とは個人の持つ社
会的リソースであるとも言える。リーダーに
は,自他の社会的リソースを正しく理解し,
集団活動の中でそれを発揮できるよう促す
ことが求められる。
コミュニケーション・スキル:コミュニケ
ーションはそのような自己と他者との二者
関係の中でなされる社会的営みであり,コミ
ュニケーションによって個人の持つリソー
スが他者のために差し出され,他者に受け取
られる。提供され,受容されたリソースの質
や量が二者関係の特徴を決定する。
集団活動スキル:以上の個人および二者関
係での体験を経て,最後に経験されるのが集
団活動である。集団は二者関係の累積ではな
い。最も大きな違いは,二者関係の中では比
較的容易になされた個別的配慮や調整が,集
団関係の中では複数の人を相手に行わなけ
ればならない。加えて,集団全体で取り組む
べき課題や目標があり,そのために自他の持
つリソースを効率よく動員し,統合していく
必要がある。プログラムの中では,集団活動
の中で自分の持つリソースを提供するに始
まり,集団目標の達成のためにメンバー間の
関係を調整しながら自他のリソースを活用
する活動まで,ステップを踏んで体験するこ
とができる。
パートⅢ:プロジェクト・チーム体験
スキル訓練プログラムの効果を定着させ
るために,本プログラムの最後にできるだけ
現実場面に近い課題を設定し,訓練を通して
身についた諸スキルを実際に使ってみる体
験を組み込んだ。プロジェクト・チーム体験
は,対話的アプローチに基づき,ワールドカ
フェとオープンスペースの手法によってメ
ンバーのモチベーションアップから集団の
課題解決プロセスまでを一括して体験する
学習プログラムとなっている。これにより参
加者は現実場面の中で自分の持つリソース
をチームの目標達成に向けて効率的に発揮
し,集団に貢献することを経験する。
試行段階でのプロジェクト・チーム体験で
は,教育実習を前に参加者一人ひとりの解決
すべき課題がテーマとなった。オープンスペ
ースによる提案の結果、実習スケジュールや
準備,あるいは子どもとのかかわり方や教科
の指導法に関するテーマによって自発的な
チームが構成された。授業3時間分をプロジ
ェクト活動に充て,成果発表会を行い,全員
でその成果を共有することができた。
(2)プログラムの有効性と妥当性の検討
①個別のスキル訓練の有効性
個別のスキル訓練の有効性を確認するた
め,プログラム参加者に対しスキル訓練の各
種エクササイズでのリフレクション報告の
提出を求め,その内容をテキストマイニング
の手法により分析した。
対象はプログラムに参加した大学生 30 人
である。行ったエクササイズは,自己理解・
他者理解スキルのための「エゴグラム」「他
己紹介」
「私の取扱説明書」
,コミュニケーシ
ョン・スキルのための「流れ星のワーク」
「伝
達スキル」「アサーティブ・コミュニケーシ
ョン」「フィードバック」訓練,集団活動ス
キルのための「プレゼンテーション・スキル」
「集団課題解決」(「おもしろ村」「おもしろ
レジャーランド)と「合意形成課題」(スリ
ー/テンス)である。受講生には,これらの
エクササイズ,およびその後に実施した「ワ
ールドカフェ」の中から3つを選び,自分の
経験を踏まえたリフレクションについてレ
ポート(1テーマ当たり千字以内)を提出す
るよう求めた.分析したのは,提出されたレ
ポート 90 本のうち「ワールドカフェ」とガ
イダンスの一部として実施したエクササイ
ズ「ロールプレイ」を選択したものを除いた
81 本である
エクササイズは訓練目標によって自他理
解,伝達型コミュニケーション,対話型コミ
ュニケーション,および集団活動の4タイプ
に分類され,エクササイズ・タイプ別に頻出
語が抽出された。その結果,エクササイズ・
タイプによって頻出語は異なり,各エクササ
イズの訓練目標に合致するリフレクション
がなされていたことが確認できた。
また,エクササイズ・タイプと人を指す名
詞,人の属性・状態・リソースを示す名詞,
および活動を表す動詞とサ変接続名詞との
関連についてコレスポンデンス分析を行っ
た結果,どの分析でもエクササイズ・タイプ
と分析語の分布は共通して三角形構造を示
していた.それぞれの三角形の頂点のひとつ
は常に集団活動であり,他の2の頂点は人を
指す名詞では自他理解と伝達型,人の属性で
は自他理解と対話型,活動を示す単語では伝
達型と対話型とそれぞれ異なっている.この
ことは,共通して見られる三角形が集団活動
を頂点とするピラミッド構造となっている
ことを示唆している.
たとえば,人の特徴・状態・リソースを指
す名詞のコレスポンデンス分析から,参加者
がスキル訓練の中で自分または他者のどの
ような側面に注目し,リフレクションをして
いたのか推測することができた。まず,自他
理解のエクササイズでは個人の趣味や関心,
性格や好き嫌いといった個人としての内面
的・私的な特徴が注目されている。次の伝達
型コミュニケーションのエクササイズでは
対象に対する理解・解釈といった認識的要素
と感想・印象といった感情的要素が言葉によ
って扱われる。同じコミュニケーションのエ
クササイズでも,対話型になると表情,姿勢,
視線といった非言語的な手がかりを使いな
がら相手の気持ちを配慮したり自己を主張
する課題に取り組んでいたことが推測でき
る。そして最後の集団活動では,個人の価値
観や倫理的立場から積極的に活動に参加で
きたかどうかが省察される。また,価値観は
時に先入観や偏見という形をとることにま
で気づきが及んでいる。
以上の結果は,スキル訓練の一連のエクサ
サイズを体験することで参加者が個人の多
様な側面に触れ,またそれについてリフレク
ションする機会を得ていたことを示唆する
ものである。
②プログラム実施の効果
プログラム全体の効果を確認するために,
プログラムを試行した授業の受講生を対象
にプログラム実施前後でのエゴグラム・プロ
フィールを比較した。エゴグラムは新版 TEG
Ⅱ ( 東 京 大 学 医 学 部 心 療 内 科 TEG 研 究
会,2006)を利用した。
対象は大学生 138 名(2回とも測定値を得
た対象者数 128、以下同じ)である。うち
33(28)名は教育系 A 大学 3~4 年次の演習科
目(授業 A1),19(14)名は次年度開講の同科
目(授業 A2),37(35)名は B 大学 2 年次の心
理学関連科目(授業 B)
、27(27)名は C 短大 2
年次の心理演習系科目(授業 C),24 (24) 名
は C 短大 2 年次の授業 C とは異なる受講者
の心理系科目(授業 D)における授業の受講
生であった。授業 A1、A2、B、C について
はいずれも半期(1 回 90 分、15 回)の授業
のなかで複数のエクササイズを行ない,訓練
期間をはさんだ前後の授業時間内で TEG に
より測定を行った。授業 D は統制群であり訓
練は行っていない。
訓練実施前後における TEG 尺度得点の比
較を行った結果,統制群である授業 D 以外の
プログラムを実施した授業の受講生では,主
要な尺度得点に有意な変化が認められた。
A1 と A2 のデータを合併し,尺度得点の比
較を行った結果を表1に示した。CP、NP、
A および FC 尺度においては,いずれも1回
目よりも2回目の平均点が高く示されてお
り,トレーニング実施後には得点が有意に上
昇することが示された(paired-t test, df=41)。
AC 尺度および L 尺度においては、有意な差
は認められなかった。
表1
授業 A における TEG 尺度得点変化
〔雑誌論文〕(計3件)
音山若穂・古屋 健・懸川武史 心理教育
的リーダーシップ訓練の試み(2)-授業前
後における TEG 項目の変化- 群馬大学教育
学部紀要人文・社会科学編,査読無,62,2013,
167-176.
同様に,授業Bにおいては NP と FC 尺度に
有意な差が認められ,授業 C においては、L
尺度を除く全ての尺度に有意差が認められ
た。以上の結果から,訓練プログラムにはエ
ゴグラムで測定される自我状態を変える効
果があることが示唆された。
なお,授業によって有意な変化が認められ
た尺度に違いが見られた。授業で行った基本
的スキル訓練の内容が授業によって一部異
なっていたこと,特にプロジェクト・チーム
体験で取り上げたテーマ課題が異なってい
たことが結果に影響を及ぼしていた可能性
がある。
さらに,全資料を基に個別項目ごとに訓練
前後の評定を比較した結果,以下の項目で有
意な変化が認められた。CP 尺度では「責任
感が強い」
「言うべきことは言う」の 2 項目,
NP 尺度では「寛大である」
「人の気持ちがよ
くわかる」
「何気ない気配りをする」
「人の気
持ちがなごむように話をする」「人助けをす
ることに喜びを感じる」「親身になって行動
する」
「人には暖かく接している」の7項目,
A 尺度では「他人の話を聞くときに根拠を求
める」「物事には常に原因があるから結果が
あると考える」「物事を言葉できちんと説明
できる」「筋道立てて考える」の4項目,FC
尺度では「ユーモアのセンスがある」「いつ
も楽しめることを探している」「のびのびと
振る舞うことができる」「人見知りしない」
「人を笑わせることが得意である」「つねに
その場を楽しむことができる」「明るい」の
7項目である。いずれも1回目よりも2回目
の平均点が高く示されており,訓練実施後に
は得点が上昇することが示された(paired-t
test, df=104,p<.05)。以上の結果は,尺度得
点の変化がすべてポジティブな方向への変
化であったことを示している。
(3)心理教育的リーダーシップ専門的訓練プ
ログラムの開発
専門的プログラムについては参加者が少
人数であったため,統計的に効果を確認する
ことはできなかった。しかし,リフレクショ
ン・レポートの内容を点検した結果,リーダ
ーシップの意義や自分自身のスキルについ
て洞察を深めていたことが示唆された。
5.主な発表論文等
(研究代表者、研究分担者及び連携研究者に
は下線)
古屋 健・懸川武史・音山若穂 心理教育
的リーダーシップ訓練の試み(3)―訓練プ
ログラム試案― 立正大学心理学研究所紀
要,査読無,第 11 号,2013, 25-44.
古屋 健・懸川武史・音山若穂 心理教育
的リーダーシップ訓練の試み(4)―リフレ
クション報告のテキストマイニング分析―
立正大学心理学研究年報,査読無,第4号,
2013, 21-32.
6.研究組織
(1)研究代表者
古屋 健(FURUYA TAKESHI)
立正大学・心理学部・教授
研究者番号:20 173552
(2)研究分担者
懸川 武史(KAKEGAWA TAKESHI)
群馬大学・教育学部・教授
研究者番号:20511512
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