(家具のVOC対策等実態調査及び今後のあり方を 検討する

(家具のVOC対策等実態調査及び今後のあり方を 検討する
平成 22 年度 経済産業省委託業務
平成 22 年度 中小企業支援調査
(家具のVOC対策等実態調査及び今後のあり方を
検討する調査事業)
報告書
平成23年2月
東京海上日動リスクコンサルティング株式会社
はじめに
本報告書は、経済産業省から東京海上日動リスクコンサルティング株式会社に委託された「平
成 22 年度家具のVOC対策等実態調査及び今後のあり方を検討する調査事業」の成果をとりまとめ
たものである。
かつて、住宅に使用される建材等から室内空気中に放散するホルムアルデヒド、揮発性有機化
合物(VOC、以下「VOC」という)等の化学物質により健康への影響が生じる問題、いわゆるシ
ックハウス症候群が社会的に大きな問題となり、建築基準法が改正され(2002 年公布、2003 年施
行)、建材からのホルムアルデヒドの放散については規制の対象とされた。一方、室内で使用され
る木製家具については規制はなく1、業界団体、メーカーをはじめとした関係各社は、ホルムアル
デヒドに関する自主基準を設定し、それに基づくマーク表示を行うなど、自主的な対策が進めら
れている。しかし、こうしたマーク表示は、自主表示制度であることから、近年急増しているア
ジア諸国からの輸入家具に対しては対応できていない。国内に流通する木製家具の一部では、健
康被害も発生しており、木製家具及びそれに使用される材料(木質材料、接着剤、塗料等)から
のホルムアルデヒド・VOCの放散量の低減化の徹底が課題となっている。
こうした背景から、アジア諸国からの輸入品の流通や国内関連業界の取組の現状・課題、また
シックハウス問題等に対する消費者の認識を把握し、木製家具をめぐるホルムアルデヒド・VOC
問題の対応方策を検討していく必要がある。
そこで、本事業は、木製家具及び木製家具に使用される木質材料からのホルムアルデヒド・VOC
の放散を主な調査対象とし、これらの国内外の関連法規制や関係業界の取組の現状、消費者の関
心等を調査し、その実態を明らかにすることにより、今後の国内木製家具のホルムアルデヒド、
VOCの環境対策のあり方の検討に資することを目的として調査を行った。
本報告書は、5 つの章から構成される。第 1 章では、国内の木製家具業界及び関連業界のホル
ムアルデヒド・VOCに関する対策の現状についてとりまとめた。第 2 章では、消費者の木製家具
からのホルムアルデヒド・VOCの放散等に関する関心・認識の状況について、インターネット調
査によるアンケートを行い、その実態の把握を試みた。第 3 章では、欧米及びアジア諸国におけ
る関連法規制や対策の現状について、現地ヒアリングを中心に調査を行い、その結果を整理する
とともに、日本と諸外国との法規制の比較を行った。第 4 章では、本事業において設置された、
木製家具産業を中心とした関連メーカー、産地、小売、卸、業界団体、研究機関、消費者、学識
経験者からなる有識者会議において、今後の木製家具のホルムアルデヒド・VOC対策のあり方に
関する議論の結果をとりまとめた。第 5 章は、参考として、欧米の現地ヒアリングの議事録を収
録した。
本調査が、今後の我が国における木製家具をめぐるホルムアルデヒド・VOC対策のさらなる充
実に向けた検討の一助になれば幸甚である。
1
平成 14 年国土交通省告示第 1113 号、第 1114 号及び第 1115 号対象の建築材料が使用された造り付け家具を除く。また、
「国等
による環境物品等の調達の推進等に関する法律」により、国等については、環境物品等の調達の推進を図るための方針の作成・
公表、当該調達方針に基づく物品等の調達が義務付けられている。その規定において、
「オフィス家具等」については、その大
部分の材料が木質の場合、ホルムアルデヒドの放散に関する要件を満たした物品の調達が求められるが、これを除く。
なお、本報告書で使用する「木製家具」の定義は、以下の通りとする。
「木製家具」とは、“総務省「日本標準商品分類」に基づく「家具」のうち、主として、木材、
木質材料(合板、繊維板、パーティクルボード等)で構成される家具(完成品)
”を指すものとす
「建築基準法の規制の対象となる造り付け家具3」を除く)
。
る2(ただし、
平成23年2月
東京海上日動リスクコンサルティング株式会社
2
3
机、いす、たんす、戸だな、ベッド等
平成 14 年国土交通省告示第 1113 号、第 1114 号および第 1115 号対象の建築材料が使用された造り付け家具
目次
1. 国内の木製家具関連業界のホルムアルデヒド・VOCに関する対策の現状 ..............................1
1.1. 業界による自主基準の設定状況........................................................................................1
1.1.1. (社)日本家具産業振興会 ..........................................................................................1
1.1.2. 全日本ベッド工業会....................................................................................................1
1.1.3. 日本接着剤工業会 .....................................................................................................2
1.1.4. (社)日本塗料工業会 .................................................................................................3
1.1.5. (社)日本建材・住宅設備産業協会..............................................................................4
1.2. メーカー、小売等の取組 ....................................................................................................6
1.2.1. ヒアリング調査実施記録 .............................................................................................6
1.2.2. ヒアリング結果 ...........................................................................................................7
1.2.3. (社)日本家具産業振興会会員企業の取組の現状.....................................................31
2. 消費者の木製家具からのホルムアルデヒド・VOC放散に対する関心・認識...........................39
2.1. 主な質問項目 .................................................................................................................39
2.2. 実施方法 ........................................................................................................................39
2.3. アンケート調査結果.........................................................................................................40
3. 諸外国における木質材料、木製家具に対するホルムアルデヒド・VOCに関する対策の現状 ..53
3.1. 欧米諸国 ........................................................................................................................53
3.1.1. 関連法規制及び業界基準等.....................................................................................53
3.1.2. ヒアリング調査実施概況 ...........................................................................................75
3.1.3. ヒアリング結果 .........................................................................................................75
3.2. アジア諸国......................................................................................................................79
3.2.1. 関連法規制及び業界基準等.....................................................................................79
3.2.2. ヒアリング調査実施概況 ...........................................................................................85
3.3. 木製家具に関する法規制の日本と欧米諸国との比較.......................................................86
4. 有識者会議における議論の結果 .........................................................................................88
4.1. 開催概況 ........................................................................................................................88
4.2. 有識者会議委員 .............................................................................................................89
4.3. 主要論点 ........................................................................................................................91
4.3.1. 我が国における木製家具および木質材料からのホルムアルデヒド・VOCの放散に関する法
規制および対策の現状 .......................................................................................................91
4.3.2. 諸外国における木製家具および木質材料からのホルムアルデヒド・VOCの放散に関する法
規制および対策の現状 .......................................................................................................92
4.3.3. 木製家具からのホルムアルデヒド・VOCの放散に関する問題に対する消費者の認識、関心
について .............................................................................................................................93
4.3.4. 「4.3.1」~「4.3.3」から導かれる課題 ...........................................................................94
5. 参考資料 ............................................................................................................................97
5.1. ドイツ ..............................................................................................................................97
5.1.1. ドイツ連邦環境庁(UBA:Umweltbundesamt) .............................................................97
5.1.2. フラウンホーファー ヴィルヘルム・クラウディッツ木材研究所(WKI:Fraunhofer Wilhelm
Klauditz Institut) ...............................................................................................................102
5.1.3. ドイツ木材・プラスティック加工業連合(HDH:Hauptverband der Holz und Kunststoffe
verarbeitenden Industrie)....................................................................................................105
5.2. スウェーデン .................................................................................................................108
5.2.1. スウェーデン環境保護庁(Swedish EPA:Swedish Environmental Protection Agency)及びス
ウェーデン化学物質庁(KEMI:Kemikalieinspektionen).......................................................108
5.3. 米国 ............................................................................................................................. 111
5.3.1. 米国環境保護庁(EPA)........................................................................................... 111
5.3.2. カリフォルニア州大気資源局(CARB:California Air Resources Board) ...................... 116
1. 国 内 の 木 製 家 具 関 連 業 界 の ホ ル ム ア ル デ ヒ
ド・ V O Cに関 す る対 策 の 現 状
1.1. 業界による自主基準の設定状況
木製家具業界及び関連業界では、2002 年の建築基準法改正の前後においてシックハウス
症候群が大きな社会問題になって以降、ホルムアルデヒド、VOC に関して、自主基準の設
定やそれに基づく表示制度等の取組が進められている。
以下に、木製家具業界及び関連業界のホルムアルデヒド及び VOC に関する対策の現状に
ついて記す。
1.1.1. (社)日本家具産業振興会
(社)日本家具産業振興会は、2002 年の建築基準法改正を受け、ホルムアルデヒドに関
する認定基準「室内環境配慮マーク」を 2003 年に制定し、自主表示制度を運用している。
認定基準は、
「家具に使用される合板、繊維板、パーティクルボード及び接着剤は F☆☆☆
または F☆☆☆☆のもので、塗料はホルムアルデヒドを含まないもの」である。
認証基準への適合は自主申告制である。「室内環境配慮マーク」の表示を希望する事業者
から適合材料で家具を製造する旨の申請書を受け付け、これに許可を出す方式となってい
る。申請は年度毎・企業単位である。
「室内環境配慮マーク」は、(社)日本家具産業振興会が意匠権を有しており、「室内環
境配慮マーク」の製品、タグ、取扱説明書等への表示を希望する事業者は、(社)日本家具
産業振興会が用意したシール・吊り下げタグを購入するか、自社で印刷するかのどちらか
の方法で表示を行う。シール・タグの代金には、登録料も含まれているが、自主印刷する
場合は別途登録料が必要となる。
1.1.2. 全日本ベッド工業会4
全日本ベッド工業会は、2002 年の建築基準法の改正を受け、ホルムアルデヒドに関する認
定基準である「フレーム環境基準」を 2006 年に制定し、自主表示制度を運用している。
その適合基準は、以下の通り。
4
全日本ベッド工業会 ウェブページ. http://www.zennihon-bed.jp/health_mattress/index.html(参照 2011-2)
1
・ 木質材・接着剤・塗料等に関する、遊離ホルムアルデヒドの放散量の規制(F☆☆☆以
上)。
・ 木質材、木材へのクロルピリオス含有物質を使用していない。
・ ウレタンフォームの発泡剤にオゾン層を破壊する物質を使用していない。
・ フレーム(含床板、ボトム)・木質材等の材料については、JIS S1102(住宅用普通ベッ
ド)に規定する強度を満足させている。
・ 保証期間を「2 年間」とした保証書を添付している。
「フレーム環境基準」は、型式認証制で、各社が材料の検査証明書を取得し、あるベッド
の型式の使用材料はA、B・・・というような目録をつくり、この目録で申請する方式とな
っている。この有効期限は、1 年である(更新が必要)。また「フレーム環境基準」は、全
日本ベッド工業会の会員企業のみが使用することができる。
会員企業各社は、カタログ、ホームページ、取扱説明書等で「フレームマーク」を表示
している。
1.1.3. 日本接着剤工業会5
日本接着剤工業会(JAIA)は、ホルムアルデヒド及び VOC について、室内空気質汚染対
策のための自主管理規定(「室内空気質汚染対策のための自主管理規定」
(2003 年制定)、
「室
内空気質汚染対策のための VOC 自主管理規定」
(2008 年制定))を設けている。本規定は、
同工業会の会員に限らず、非会員も含め、製造販売する住宅内装関連の建築・建材・家具
等用途の接着剤関連製品に適用される。
「室内空気質汚染対策のための自主管理規定6」は、ホルムアルデヒドに関する規定で、
化学物質による室内空気質汚染から居住者の健康への影響を軽減するために、安全で健康
に配慮した接着剤の供給を目的として規定された。対象となる接着剤の種類は、酢酸ビニ
ル樹脂系エマルション形、ビニル共重合樹脂系エマルション形、アクリル樹脂系エマルシ
ョン形など 12 種類で、ユリア/メラミン/フェノール/レゾルシノール樹脂、ホルムアル
デヒド系防腐剤等のホルムアルデヒドを放散する原材料を使用していない製品に対して、
製品の登録、申請者の適正な表示によりノンホルムアルデヒド製品である旨を宣言する品
質適合宣言がなされる。登録申請を受け付ける対象製品は、ノンホルムアルデヒド製品の
みである。登録期間は 3 年間で、申請者は、登録番号を得た後、JAIA(登録番号)F☆☆☆
☆を表示することができる。登録申請の費用は 1 件当たり 5,000 円で、更新の費用は 1 件当
たり 1,000 円となっている。原則として、印刷、シール等により製品に表示を行い、化学物
質等安全データシート(MSDS)、製品カタログには、決められた事項を記載することとな
っている。
5
6
日本接着剤工業会 ウェブサイト. http://www.jaia.gr.jp/.(参照 2011-02)
日本接着剤工業会 ウェブページ. http://www.jaia.gr.jp/information/etc/nonhol_kitei.pdf (参照 2011-02)
2
同様の自主管理規定が、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンの 4 物質(以
下、「4VOC」という)についても策定されている7。
4VOC については、基準適合製品の含有量管理値が、以下の通り規定されている。
表 1-1 「室内空気質汚染対策のためのVOC自主管理規定」の4VOCの含有量管理値
物質
JAIA 4VOC含有量
備考
管理値重量%
トルエン
0.1未満
キシレン
0.1未満
エチルベンゼン
0.1未満
スチレン
0.015未満
ただし、
エチレン酢酸ビニル共重合樹脂系エマルション
を含有する接着剤は、0.05重量%未満
出典)日本接着剤工業会「室内空気質汚染対策のためのVOC自主管理規定」
1.1.4. (社)日本塗料工業会8
(社)日本塗料工業会は、ホルムアルデヒド及び VOC について、ホルムアルデヒド放散
等級表示自主管理や低 VOC 塗料自主表示の取組を行うなどして、対策を進めている。
ホルムアルデヒドに関する取組の経緯としては、2003 年 7 月からの改正建築基準法施行
に際し、想定された運用面での問題に対して、経済産業省から自主表示による対応方策の
示唆を受けたことによる。その対応として、居室内で現場施工時に塗付される場合に使用
される塗料9を対象にした登録制度を設けた。審査に合格した製品には、規定された「登録
マーク表示モデル」に基づき、容器のラベル等の見やすい場所にホルムアルデヒド放散等
級を表示することができる。
登録の有効期間は 3 年間で、登録申請の費用は塗料 1 分類当たり、10 商品数以下の場合
5,000 円、11 商品数以上の場合 10,000 円となっている(更新費用も同じ)
。
なお、本登録制度は、同工業会の会員に限らず、非会員も対象としている。
7
日本接着剤工業会. 「室内空気質汚染対策のためのVOC自主管理規定」
(社)日本塗料工業会 ウェブサイト. http://www.toryo.or.jp/(参照 2011-2)
9
ただし、以下の製品を除く:①国土交通省告示第 1113~1115 号二のイ(平成 14 年 12 月 26 日)に規定されている
12 種類の塗料JIS規格に関するJISマーク表示品及びその対象となる商品、②JIS規格にホルムアルデヒド測定に関する規
定がある家庭用屋内壁塗料(JIS K 5960)のJISマーク表示品及びその対象となる商品、③告示対象以外の 15 種類の塗料
JIS 規格に関するJISマーク表示品、④工場塗装用塗料(工場で製品に塗付する塗料をいう)、⑤屋外塗装用塗料(屋外で
使用する塗料をいう)、同業者等に販売される原材料や半製品。出典)(社)日本塗料工業会. ホルムアルデヒド自主管
理要領(改定平成 22 年 10 月 1 日)
8
3
図 1-1 (社)日本塗料工業会の「登録マーク表示モデル」
出典)(社)日本塗料工業会「ホルムアルデヒド自主管理要領」
VOC に関する自主的取組としては、同工業会は、「低 VOC 塗料自主表示ガイドライン~
『低 VOC 塗料(溶剤形)』~」を策定し(2006 年)、低 VOC 塗料の自主表示を行っている10。
本ガイドラインは、大気汚染防止法の改正を受け(2006 年改正施行)
、大気汚染の主な原因
の一つとされる VOC を低減した塗料について、塗料の利用者や消費者から見てわかりやす
い表示(「低 VOC 塗料(溶剤形)
」)をすることで、消費者が塗料を選びやすくなる枠組み
を提供することを目的とするものである。
溶剤形塗料で、塗料中の VOC 含有量が 30 重量%以下の塗料製品は、「低 VOC 塗料(溶
剤形)」を、商品容器ラベルのほか、カタログ、MSDS に表示することができる。
この他、非トルエン・キシレン塗料自主表示の取組も行われている。
1.1.5. (社)日本建材・住宅設備産業協会11
(社)日本建材・住宅設備産業協会は、ホルムアルデヒド及び 4VOC について、自主表
示制度を設けている。
ホルムアルデヒドについては、2003 年 7 月からの改正建築基準法施行により、JIS・JAS
規格または国土交通大臣認定のない化粧板等については、自らホルムアルデヒド発散等級
の証明・表示をすることが必要となり、その対応として、複数の材料の性能確認、表示が必
要となる化粧板等については、同協会により、
「化粧板等のホルムアルデヒド発散等級自主
表示制度」が制定され(2003 年)、登録制度が設けられた。
登録対象となる製品は、下記の通り。
10
11
(社)日本塗料工業会. 「低VOC塗料自主表示ガイドライン~『低VOC塗料(溶剤形)』~」
(社)日本建材・住宅設備産業協会 ウェブサイト. http://www.kensankyo.org/(参照 2011-2)
4
注 1)原則として JAS 規格に該当するものを除く。但し、例外として以下のものについては表示の
申請を受理する。
・JAS 認定未取得の化粧板製造工場等で、JAS 基材(集成材等)と非ホル
ムアルデヒド系接着剤を用いて化粧板等を製造したもの。
・JAS 規格製品を購入し、当該工場に於ける加工が塗装等の軽微なもの。
注 2)ホルムアルデヒド発散建材については、JIS、JAS、大臣認定でホルムアルデヒド発散等級が確
認されているもの。
注 3)上記を組み合わせた建築基準法の内装に用いる面的な製品(フラッシュパネル、桟付きパネ
ル等)。
図 1-2 「化粧板等のホルムアルデヒド発散等級自主表示制度」の適用製品
出典)(社)日本建材・住宅設備産業協会「化粧板等のホルムアルデヒド発散等級自主表示制度について」
登録された材料については、同協会の表示マークを製品や梱包等に表示することができ
る。また、カタログにも、登録番号及びホルムアルデヒド放散等級等を記載することがで
きる。登録の有効期間は 3 年間で、登録料は、登録件数 50 件まで 10 万円となっている(更
新費用も同じ)。
同協会では、2008 年から、4VOC についても同様の自主表示制度「化粧版等からの 4VOC
放散に関する自主表示制度」を開始している。
また、ほとんどが複数の建築材料から構成されるドア、収納、キッチン等の住宅部品・
設備器具・建具・収納製品についても、建築基準法の改正を受け、建築確認時や現場での
確認の煩雑さを考慮し、その完成品としての製品に対して、ホルムアルデヒド放散等級を
明示する仕組みが整備された。具体的には、2003 年、
(社)日本建材・住宅設備産業協会及
び関連 3 団体((社)日本住宅設備システム協会、(社)リビングアメニティ協会、キッチ
ン・バス工業会)は、化粧板等を組み合わせた製品におけるホルムアルデヒド発散に関する
表示方法の統一化を図ることを意図した「住宅部品表示ガイドライン」を策定した。4VOC
についても、同様のガイドラインが 2009 年に策定されている。
5
1.2. メーカー、小売等の取組
前述の業界団体の取組を始めとして、傘下の産地やメーカー、小売、卸各社でも、シ
ックハウス問題に関連する対策は進んでおり、基本的には、材料(木質材料、塗料、接
着剤)に対するホルムアルデヒド対策を中心に取組が行われている。
国内の木製家具の関連業界について、取組の実態や課題を把握するため、14 団体等に対
してヒアリング調査を実施した。その結果を以下に記す。
1.2.1. ヒアリング調査実施記録
表 1-2 国内ヒアリング先一覧
ヒアリング対象
業界団体
実施日時
業界団体A
2010年10月6日(水)13:00~15:30
業界団体B
2010年10月13日(水)14:00~15:30
研究機関
研究機関A
2010年10月26日(火)15:00~16:30
メーカー
木工家具メーカー
2010年11月05日(水)13:00~13:40
オフィス家具メーカー
2010年11月16日(火)14:00~15:30
ベッドメーカーA
2010年10月13日(水)14:00~15:30
ベッドメーカーB
2010年10月25日(月)14:00~15:00
量販店
2010年10月15日(金)9:30~14:00
通信販売会社A
2010年10月26日(火)13:00~14:30
通信販売会社B
2011年1月26日(水)13:00~14:30
卸
ボランタリーチェーン
2010年12月03日(金)13:00~13:40
産地
産地A
2010年10月18日(月)15:00~17:00
産地B
2010年10月27日(水)10:00~11:30
産地C
2010年10月21日(木)15:00~16:00
小売
6
1.2.2. ヒアリング結果
(1) 論点整理
ヒアリングを実施するに当たり、以下の質問項目を設定し、調査を行った。
<主な質問項目>
・ ヒアリング先の取引形態・商流
・ 材料のホルムアルデヒド・VOC 対策の現状と課題
・ 完成品のホルムアルデヒド・VOC 対策の現状と課題
・ ホルムアルデヒド・VOC 対策品の表示の現状と課題
・ ホルムアルデヒド以外の化学物質への対応
・ 海外現地生産品のホルムアルデヒド・VOC 対策の現状
・ 消費者からのホルムアルデヒド・VOC に関する問い合わせ・関心
等
(2) ヒアリング結果概要
ヒアリング先の多くで、材料による対策を中心に取組が進められている。具体的には、
中質繊維板(MDF)、パーティクルボード等の木質材料については、F☆☆☆、F☆☆☆☆材
の使用、接着剤・塗料については、F☆☆☆☆材の使用や、トルエン、キシレンフリーの製
品の使用等である。完成品に関する対策としては、一部では、試験室を設置し、完成品に
対してホルムアルデヒドやトルエン等の放散量試験を実施したり、ホルムアルデヒド吸着
シートを製品に同梱するなどの取組も見られた。
ホルムアルデヒド、VOC 対策品の表示については、各業界団体が策定した自主基準に従
った表示、自社独自のマーク表示等の取組が見られた。一方で、販売店の協力が得られず、
製品本体へのホルムアルデヒド、VOC 対策品表示を行うことができず、自社ホームページ
やカタログ、取扱説明書にマークを表示しているという事例も見られた。
消費者からの木製家具に関する問い合わせは、近年、少ない傾向にあり、その問い合わ
せの内容としては、臭いに関するものが多い。クレームを受けた場合には、状況に応じて
商品の回収、ホルムアルデヒド・VOC の放散量の測定等の対応がなされている。
次ページ以降に各ヒアリング結果を記す。
7
① 業界団体
業界団体 A
1. ヒアリング先について
商流等
―
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-1. 材料
(現状)
• 繊維板の F☆☆☆☆材は、日本以外では入手不可。日本企業の海外企業に対する差別化要
素となっている。
(課題)
―
2-2. 完成品
(現状)
• 何らかのホルムアルデヒド・VOC 対策をした商品は60~70%程度と推測される。
(課題)
―
2-3. 表示
(現状)
• 業界でホルムアルデヒド低減対策品に対する適合認定マークを制定。
・事業者が認定基準への適合を年度毎に自主申告。これに基づいて、使用許可を与える。
企業単位での申請。
・シール、吊り下げタグ等に表示。
・申請費用は、事業者の売上に応じて1万円~17万円程度。家具1個では数銭程度。
・自主表示制度開始当初は、100数十社が申請・取得していたが、現在60社程度に減少。
・業界団体加盟企業以外も表示可能。
(課題)
• 小売側から、家具の塗装面へのシール貼付は、日焼け、デザイン性を損なう、はがす際
に塗装が痛む等により敬遠され、目立つ場所にマークを表示したくないという要請があ
り、マークを表示することができない。
• 家具に付けるマークは、ホルムアルデヒド対策品の表示以外にも多くある。メーカー側
でもデザイン性が損なわれる等の理由で、ホルムアルデヒド対策を実施していてもその
旨の表示をしない場合もある。
• 販売事業者は、店舗に家具を展示する際に煩雑感が出るのを嫌い、ホルムアルデヒド対
策品表示を外す場合が多く、ホルムアルデヒド対策品表示が消費者の目に届いていない。
このため、商品選択の際に、マーク表示が参考にされることもなく、マークへの適合が
商品の付加価値向上につながっていない。
2-4. ホルムアルデヒド以外の化学物質への対応
• 対策適合認定のトルエン、キシレン等への拡大については、法で規制されれば検討する。
3. 海外現地生産品のホルムアルデヒド・VOC対策等
3-1. 現状及び認識
―
8
業界団体 A(つづき)
3. 海外現地生産品のホルムアルデヒド・VOC対策等
3-2. 海外のホルムアルデヒド・VOCへの関心
• アジア・オセアニア地域の連盟に参加しているが、理事会でホルムアルデヒド・VOC に
関する話題は出ない。
4. 消費者対応及び関心
4-1. 消費者からの関する問い合わせ
• 臭いが強いというクレームは国産、海外産問わず寄せられるが、
「VOC」という文言での
問い合わせはない。
• 安価な家具に対して、臭いが強いというクレームが多い傾向がある。
• ホルムアルデヒド・VOC によって具合が悪くなった等の事故情報を聞いたことはない。
4-2. 消費者のホルムアルデヒド・VOC対策に関する関心
―
5. その他
• 家具業界には、約8,000事業所ある。そのうち半分は従業員1~3人。
• 業界の売上・出荷は、ともに減少傾向にある。
業界団体 B
1. ヒアリング先について
商流等
―
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-1. 材料
(現状)
―
(課題)
―
2-2. 完成品
(現状)
―
(課題)
• 加盟企業のうち、大型チャンバー、小型チャンバーを持っているメーカーは少ない。各
社、試験場にサンプルを持ち込んで試験している。
9
業界団体 B(つづき)
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-3. 表示
(現状)
• 業界で木質材料、接着剤、塗料等のホルムアルデヒド低減対策への適合認定マークを制
定。F☆☆☆以上が対象。
・加盟企業が、材料メーカーや検査機関から得た適合証明書を業界団体に提出し、業界
団体が適否を判断。
・業界団体加盟企業のみがマークを表示可能。
・年1回の更新制。
・業界団体で解説リーフレットを作成。また、業界団体のホームページでマークをアピ
ールしている。
(課題)
• PR 用のポスターを制作したが、小売が売り場で貼ってくれないので、消費者にマークが
浸透しない。
• マットレスでも業界団体で基準を制定してマークを表示しているが、小売がマークを貼
ってくれないという課題があった。マットレスは表示スペースに余裕があるため、マー
クとともに、マークの説明書きを同じラベルに記載し、消費者にマークをアピールして
いる。
2-4. ホルムアルデヒド以外の化学物質への対応
―
3. 海外現地生産品のホルムアルデヒド・VOC対策等
3-1. 現状及び認識
―
3-2. 海外のホルムアルデヒド・VOCへの関心
―
4. 消費者対応及び関心
4-1. 消費者からの関する問い合わせ
―
4-2. 消費者のホルムアルデヒド・VOC対策に関する関心
―
5. その他
―
10
② 研究機関
研究機関 A
1. ヒアリング先について
商流等
―
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-1. 材料
(現状)
―
(課題)
―
2-2. 完成品
(現状)
• 家具測定用大型チャンバー装置の開発。
・シックハウス問題への関心が高まった2002年・2003年頃から家具のホルムアルデヒド
問題の研究を開始した。材料(接着、塗装)のホルムアルデヒド・VOC 問題について
は、1999年頃から研究を行っている。
・住宅メーカーから、家具メーカーに対する家具のホルムアルデヒドに関する証明書提
出の要請があり、それを受けて、研究に着手。
・使用しているチャンバーサイズ:190cm×140cm×100cm(恒温恒湿室内に設置。家具
の他、実大の建材等を測定)。測定費用は7万~10万(1日当たり)。
(課題)
• 現状では、完成品家具を大型チャンバーで測定するとコストがかかるため、家具メーカ
ーは、材料(例:F☆☆☆☆材の使用)による対策を進めている。
• 大型チャンバーによる測定に関しては、ホルムアルデヒドに関しては条件式があるが、
VOC に関しては手法が確立されていない。
• 予算がつかないため、家具からのホルムアルデヒド・VOC 放散に関する研究が減ってい
る。
2-3. 表示
(現状)
• 産地の家具・建具認証制度を検討
・検討の背景:建材のように認定を実施するのでは、家具メーカーの負担がかなり大き
いため、地域独自の自主基準の検討を行い、体制を整備して、産地の家具・建材認証
制度の推進を図ろうとした。
・検討の結果:家具の種類の豊富さ、同種家具でも異なる仕上げ(塗装)方法、設置位
置や部屋の広さの違いによる室内空気質に与える影響等を検討した結果、自主基準の
策定は困難であることが判明した。ホルムアルデヒド・VOC の問題が沈静化している
状況下、現在、認証制度を実施する動きはない。
(課題)
―
11
研究機関 A(つづき)
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-4. ホルムアルデヒド以外の化学物質への対応
• 4VOC を中心に測定している。標準物質40~50種類を測定可能であるが、基準値がないの
で全てを測定することはない。
3. 海外現地生産品のホルムアルデヒド・VOC対策等
3-1. 現状及び認識
―
3-2. 海外のホルムアルデヒド・VOCへの関心
―
4. 消費者対応及び関心
4-1. 消費者からの関する問い合わせ
• 購入した家具の試験をしてほしいという消費者からの依頼もあるが、企業支援という当
機関の立場からお断りしている。
• 消費者から連絡が入った場合、消費者センターや保健所等に相談するようにお伝えして
いる。消費者センター等から依頼があった場合には、測定することは可能であるが、実
績はない。
4-2. 消費者のホルムアルデヒド・VOC対策に関する関心
• 地域では、住宅のホルムアルデヒド・VOC よりも学校(教室)のホルムアルデヒド・VOC
対策が議会で話題になっている。
5. その他
• シックハウス問題は、木質材料からのホルムアルデヒド・VOC の影響が大きく、材料の
評価と対策が求められた。その延長上に家具の問題があり、地域の家具メーカーと連携
し、家具へも対応可能な体制を整えている。
• 現在、家具メーカーと協同でのホルムアルデヒド・VOC 対策に関する研究は行っていな
い。
• 学校のホルムアルデヒド・VOC 低減対策の研究が中心となっている。
③ メーカー
ベッドメーカーA
1. ヒアリング先について
商流等
• 材料調達:
・木質材料については国内調達、無垢材については海外調達。
・海外の製造委託先が国内商社等を通じ国内材料の調達が可能であった場合には、国内
材料を使用している。調達不可能であった場合には、海外製の材料については、その
品質、安全面を担保し使用をしている。
• 販売チャネル:家具小売事業者。
• 製造:国内では子会社、海外では資本関係のない協力工場への委託。委託先工場へは、
技術指導を実施している。
12
ベッドメーカーA(つづき)
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-1. 材料
(現状)
• 同じ工場内で、F☆☆と F☆☆☆☆の木質材料を同時に扱うと、管理が大変なので、使用
するすべての木質材料を F☆☆☆☆に統一した。
• 国内生産品の木質材料は、F☆☆☆☆、海外での委託製品の木質材料は F☆☆☆以上とし
ている。
• 材料メーカーに対して、材料の型式毎に第三者機関の証明書を要求している。自社内で
確認の検査は実施していない。
(課題)
• F☆☆☆☆材はまだ若干値段が高く、流通は F☆☆☆が主流。F☆☆☆☆材は、厚みとサ
イズが制限される。F☆☆☆☆材を使用しようとすると、薄い材料を貼り合わせて使用し
なければならない。
2-2. 完成品
(現状)
―
(課題)
―
2-3. 表示
(現状)
• 自社で独自の基準を策定し、その基準に基づく自主マーク表示を行っている。
・ヘッドボードの裏にシールを貼付している。
・適合条件:
接着剤:ノンホルムアルデヒド
塗料:ノンホルムアルデヒド、トルエン、キシレン等を含まない。
木質材料(合板、集成材等):芯材、木口等も含めて主要部位を構成する材料は、F
☆☆☆☆であること。
木材(無垢材):製材、防虫加工段階でホルムアルデヒドを使用していないこと。
クロルピリホスを使用していないこと。
・当該シールが貼付された製品は、木質材料の購入先までひも付けし、管理している。
・ホームページ、商品カタログでアピールしている。
(課題)
• 住宅メーカーの展示・販売会では、各メーカーが独自にブースを出展することができる
ので、ホルムアルデヒド・VOC 低減商品である旨を POP 等でアピールできるが、家具販
売店では、マーク PR 用の POP やポスターを掲示してもらえない。
13
ベッドメーカーA(つづき)
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-4. ホルムアルデヒド以外の化学物質への対応
• 社内基準で、接着剤、塗料のトルエン、キシレンを規制している。
3. 海外現地生産品のホルムアルデヒド・VOC対策等
3-1. 現状及び認識
• 2001年に、タイで E2材を使って製造したベッドと、国内で E0材を使って製造したベッド
について、ホルムアルデヒド検査を実施したことがあったが、両製品ともにホルムアル
デヒドは検出されなかった。
3-2. 海外のホルムアルデヒド・VOCへの関心
• 欧州に輸出していたことがあるが、ホルムアルデヒド・VOC 低減商品の旨の証明書は不
要だった。日本ほど厳しくない印象である。
4. 消費者対応及び関心
4-1. 消費者からの関する問い合わせ
• 他社製フレームに自社のマットレスを敷いているベッドについて、消費者から臭いが強
いとのクレームがあり、第三者検査機関で6物質について試験したが、何も検知されなか
った(検査費用10万円)
。
4-2. 消費者のホルムアルデヒド・VOC対策に関する関心
• F☆☆☆☆等の表示は、消費者に全く浸透していないように感じる。化学物質過敏症や、
お子さんがアトピー性皮膚炎であるなどの事情のあるお客様は、関心があると思うが、
一般のお客様の関心は高くないと思う。消費者は、値段とデザインで商品を選択する傾
向がある。
5. その他
• マスコミの中には、
「ホルムアルデヒド・VOC の濃度が高いと、臭いがして、気分が悪く
なる」というような報道も見られるが、どの成分が健康に影響を与えているのかが明確
にはなっていない。家具の VOC 対策では、13物質まで考慮するのか、6物質でよいのか、
ホルムアルデヒドだけでよいのか、対象の範囲や基準を明確にする必要がある。線引き
が不明確なまま、すべての VOC が健康に影響を与えているという風潮になると、メーカ
ーとしてはその対応は難しい。
ベッドメーカーB
1. ヒアリング先について
商流等
• 材料調達:
・国内・海外の両方から調達。
・国内製造品の場合の主要国:中質繊維板(MDF)はニュージーランド、合板はインド
ネシア製。
・材料は問屋経由で入手。
• 販売チャネル:家具小売事業者、直営店
• 設計:社内
• 製造:100%外部委託(国内、タイ)
14
ベッドメーカーB(つづき)
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-1. 材料
(現状)
• 製造委託先が、材料調達及びその管理を行っている。
• 材料管理について、製造委託先での管理とあわせて、大型・小型チャンバー法による評
価及び梱包内濃度確認を適宜実施。
• 小型チャンバー、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーを所有。JIS A 1901
準拠評価を社内で実施可能。
• 木質材料、塗料、接着剤の新規品は、メーカーに成績証、MSDS を提出してもらい管理。
• 国内では F☆☆☆☆材の方が量を確保しやすい。F☆☆☆材を大量に集めるのは難しい。
(課題)
―
2-2. 完成品
(現状)
• 4M(人(Man)、機械(Machine)、材料(Material)、方法(Method))変動のタイミング
で梱包中のホルムアルデヒド・VOC 濃度を測定。
日本合板検査会の大型チャンバーを借用して測定。
• ホルムアルデヒド吸着材を自社開発(1995年)。製品完成時にホルムアルデヒド吸着材を
梱包個包装内に同梱。これによりコストは数百円アップ。
ホルムアルデヒド吸着材を同梱している理由は、2次予防の観点から。材料は F☆☆☆☆
材を指定しているが、海外からの輸入で2週間コンテナに閉じ込められると濃度が上がる
恐れがあるため。
• 新製品の量産立ち上げ時等に委託先向上に出向き、品質チェック、工程改善指導を実施。
(課題)
―
2-3. 表示
(現状)
• F☆☆☆☆材の使用、ホルムアルデヒド吸着材の使用など、製品自体では、対策を実施し
ている旨のアピールはしていない。
(課題)
• F☆☆☆☆材を使用していることは当たり前という感覚がある。ホルムアルデヒド・VOC
対策を実施したとしても、ホルムアルデヒド・VOC をゼロにはできない。化学物質過敏
症の方は、ゼロでないと健康に影響がある場合もあるため、どこまでアピールしてよい
かが難しい。
• ホルムアルデヒド・VOC 低減を訴求することは、ホルムアルデヒド・VOC が放散してい
ることを公表することにもなってしまい、他の家具へも影響を与えることから、売り場
で訴求しづらい。
15
ベッドメーカーB(つづき)
2-4. ホルムアルデヒド以外の化学物質への対応
• 接着剤については VOC 対策品を選択し、使用しているが、塗料については、対応しきれ
ていない。
• VOC を吸着する材料の開発も行ったが、使用している接着剤が厚生労働省の指針値と比
較しても低い数値であること、チャンバーで確認しても同じ結果であったこともあり、
VOC 吸着材は実用化していない。
3. 海外現地生産品のホルムアルデヒド・VOC対策等
3-1. 現状及び認識
• 他社から依頼され、中国製の製品を測定することもあるが、測定の結果、梱包内のホル
ムアルデヒド濃度が非常に高い場合がある。感覚的には F☆☆とか、それ以下の材料が使
われている印象である。
3-2. 海外のホルムアルデヒド・VOCへの関心
―
4. 消費者対応及び関心
4-1. 消費者からの関する問い合わせ
• 臭いに関してのお問い合わせは年間10~20件程度ある。
• 化学物質過敏症のお客様からのお問い合わせが年間1~2件ある。
• 接着剤の成分を教えてくださいという問い合わせが入ったりもする。
4-2. 消費者のホルムアルデヒド・VOC対策に関する関心
• ホルムアルデヒド・VOC を気にされる方もいるが、気にしない方の方が多い。
5. その他
―
木製家具メーカー
1. ヒアリング先について
商流等
• 材料調達:
・国内・海外の両方から調達。
・無垢材:国産、欧州産(自社調達)。
・合板:原産地の指定なし(商社、卸問屋経由)。
• 販売チャネル:
家具小売事業者(ディーラー)、直営店。
• 製造:自社生産(一部外注)
16
木製家具メーカー(つづき)
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-1. 材料
(現状)
• 改正建築基準法制定時に、対策を強化。
• F☆☆☆☆基準を満たす製品(部品、材料)を供給できる業者を選定し、購入。
• 材料
木質材料(合板・MDF・パーティクルボード)
:F☆☆☆☆材を使用。
接着剤:トルエン、キシレンフリーのものを使用。
塗料:トルエン、キシレン、及びエチルベンゼンを含まない塗料を採用。
MSDS による F☆☆☆☆確認を実施。
• 製造工程における塗料の使用量削減に取り組んでいる。
<取組内容>
はけ塗りやロールコートによる塗装/静電塗装設備の導入/水性塗料の代替を検討中/
塗料不使用の製品を開発中(塗装工程の削減)/自然塗料の使用
• これまで、合板は MSDS でチェックするのみであったが、検査機器(デシケーター法)
を購入し、検査体制づくりに着手している。
(課題)
• 購入材料による対策となるため、供給メーカー等の信頼性・信憑性を基に、証明書・MSDS
等の確認を自社で行い、購入・使用している。
2-2. 完成品
(現状)
• キャッチャー剤は使用していない。
(課題)
―
2-3. 表示
(現状)
• (社)日本家具産業振興会の「室内環境配慮マーク」を使用。
取扱説明書と一緒にマークのラベルを同梱している。製品本体にビニール袋詰めの取扱
説明書類を糸で括りつけている。
• ホームページ、カタログ、製品(取扱説明書)で、ホルムアルデヒドや VOC 削減の取組
を紹介。
• ショールームでは、POP 等を作成し掲示。
(課題)
• 店頭・ショールーム等で販売店(ディーラー)がビニール袋詰の取扱説明書類を取り外
してしまう場合や自然に外れてしまう場合がある。
2-4. ホルムアルデヒド以外の化学物質への対応
• 一部の製品(塗料)では、品質維持のため、4VOC を微量使用している(使用している製
品は品番で管理し、他の製品と区別)。
17
木製家具メーカー(つづき)
3. 海外現地生産品のホルムアルデヒド・VOC対策等
3-1. 現状及び認識
• 自社輸入製品に関しても、F☆☆☆☆証明書を提出できるように、環境整備を進めている。
• 海外からの一部の無垢材の購入については、F☆☆☆☆を満たしているだけでなく、
FSC/PEFC 認証を受けたものを購入。
3-2. 海外のホルムアルデヒド・VOCへの関心
―
4. 消費者対応及び関心
4-1. 消費者からの関する問い合わせ
• 消費者から「F☆☆☆☆商品なの?」と問合せを受ける場合がある。
• お客様から臭いについて質問を受けることがある。
4-2. 消費者のホルムアルデヒド・VOC対策に関する関心
• 家具に対して、ホルムアルデヒド・VOC 対策を求める消費者がいるかどうかは不明。
5. その他
• 他社の VOC に関する取組の情報が少なく、具体的な取組がわからない。
オフィス家具メーカー
1. ヒアリング先について
商流等
• 販売チャネル:グループ販社、通販。
• 製造:自社生産(国内8割、海外2割)
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-1. 材料
(現状)
• OEM 先から、証明書を取りつけている(ホルムアルデヒド・VOC に関する記載含む)。
(課題)
• 現在流通している木質材料は、デシケーター法で試験して F☆☆☆☆を達成していると謳
っているものが多い。デシケーター法とチャンバー法の相関がとれていないので、F☆☆
☆☆の材料で作った完成品を大型チャンバー法で測定すると、F☆☆☆☆を達成できない
こともある。
2-2. 完成品
(現状)
• オフィス向けデスクを大型チャンバーに入れて、そこからの化学物質の放出の実態調査
を順次行っている。
• 学校、公共機関では、建築物を引渡す前に、家具を置いた状態で放散量試験がなされる
ため、ホルムアルデヒド・VOC に関する証明書類の提出が求められ、その対応を行って
いる。
18
オフィス家具メーカー(つづき)
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-2. 完成品
(課題)
• 大型チャンバーで全数検査を実施するのは難しく、売上の大きなものから優先して実施
している。
• ホルムアルデヒド吸着剤については、各種吸着剤の業者からの売り込みに対応し、継続
的に試験をしている。吸着剤の形態は、梱包に入れるもの、材料に混ぜるものなど様々
だが、効果的な吸着剤がない。また、特定物質だけ取り去っても、臭いが減ることはな
い。
2-3. 表示
(現状)
• オフィス家具は店頭販売ではなくカタログ販売することが多いので、VOC 対策表示は製
品ではなくカタログに表示している。
(課題)
―
2-4. ホルムアルデヒド以外の化学物質への対応
• 「学校環境衛生基準」に定められた6物質に対して、サプライヤーから情報収集を行って
いる。
3. 海外現地生産品のホルムアルデヒド・VOC対策等
3-1. 現状及び認識
• 海外生産、海外販売品もあるが、ホルムアルデヒド、VOC 基準は国内と同一のものにし
ている。
• 欧州ではパーフォレーター法など、日本とは異なった測定方法がとられている場合もあ
り、国内測定方法との相関がなく苦慮している。
3-2. 海外のホルムアルデヒド・VOCへの関心
―
オフィス家具メーカー(つづき)
4. 消費者対応及び関心
4-1. 消費者からの関する問い合わせ
• 2003年頃と比べると、消費者からの問い合わせは少ない。
• 臭いが強いという問い合わせを含めて、化学物質の放散に関する問い合わせは、年間1件
あるかないかという程度。
• お客様が病院に行ったというケースは、2003年くらいにあったがそれ以降はない。
4-2. 消費者のホルムアルデヒド・VOC対策に関する関心
―
5. その他
―
19
④卸
家具ボランタリーチェーン
1. ヒアリング先について
商流等
• 販売チャネル:ボランタリーチェーン加盟企業、家具小売販売事業者。
• 製造:外部委託(海外)。オリジナル品の場合、デザインやサイズ等の仕様は自社から依
頼。製品設計はメーカーに任せている。
• 仕入れ:メーカーからの直接購入(国内、海外)
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-1. 材料
(現状)
• 部材の規制対応を確認する自社規定は未策定だが、製品購入時にバイヤーが個々に確認
している。
(課題)
―
2-2. 完成品
(現状)
• 製造された商品が、仕様通りの部材を使用していることを確認する手段はない。
(課題)
• 組立家具は、購入時点では完全に梱包された状態なので、完成品の家具に比べてホルム
アルデヒドが揮発しにくいまま、お客様に配送され得る。
2-3. 表示
(現状)
―
(課題)
• 全て F☆☆☆☆を使用した製品(完成品)であっても、管理、設置環境等によっては、F
☆☆☆にもなり得るため、F☆☆☆の表示を行っている場合もある。
2-4. ホルムアルデヒド以外の化学物質への対応
―
3. 海外現地生産品のホルムアルデヒド・VOC対策等
3-1. 現状及び認識
―
3-2. 海外のホルムアルデヒド・VOCへの関心
―
20
家具ボランタリーチェーン(つづき)
4. 消費者対応及び関心
4-1. 消費者からの関する問い合わせ
• 加盟店や販売先からホルムアルデヒド等の化学物質に関する要望はほとんどない。デザ
インや安全性(強度、バリ等)に関する要望が多い。
• F☆☆☆☆等の話題は、加盟店やお客様から寄せられたことがない。
• 臭いに関するクレームはない。
4-2. 消費者のホルムアルデヒド・VOC対策に関する関心
―
5. その他
―
⑤ 小売
量販店
1. ヒアリング先について
商流等
• 商品の調達:外部委託7割、自社工場生産3割。
• 製造:
・自社工場は、インドネシアとベトナムにある。
・外部委託のうち8割が海外、2割が国内メーカー。国内メーカーは大川が多い。
・取引先は年間に3割くらい新規の取引先が発生している。
• 商品(家具)
:完成品と組立品
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-1. 材料
(現状)
• 商品を採用する前に、委託先に対して、部材、接着剤、塗料等の事前検査を外部機関に
依頼するよう課している。その検査成績表を提出させ、基準に満たない場合には、委託
先に改善指示を出している。
(課題)
―
2-2. 完成品
(現状)
• 自社に家具試験室を設置(約6畳×2室)。検知管によるホルムアルデヒド、トルエンなど、
6物質の測定をしている。この検査で異常が発見された場合には、第三者機関に分析を依
頼している。
販売前に全型式についてホルムアルデヒド・VOC 放散量検査を実施、さらに1年に1回抜
き取りでホルムアルデヒド・VOC 放散量検査を実施している。
(課題)
• 過去に、委託先が量産途中で VOC 低減材から未対策材料に切り替えていたのを発見した
ことがある。
21
量販店(つづき)
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-3. 表示
(現状)
• システムキッチン以外には、ホルムアルデヒド・VOC の対策品表示を行っていない。
(課題)
• ホルムアルデヒド・VOC の対策品である旨の表示をすると、逆にお客様を惑わすことに
なる。売り場で表示があるものとないものが混在した場合に、「こちらは環境に悪いの
か?」との話になりかねないため。
2-4. ホルムアルデヒド以外の化学物質への対応
• トルエン含めて社内検査を実施している(パッシブ法)。
3. 海外現地生産品のホルムアルデヒド・VOC対策等
3-1.現状及び認識
―
3-2. 海外のホルムアルデヒド・VOCへの関心
―
4. 消費者対応及び関心
4-1. 消費者からの関する問い合わせ
• ホルムアルデヒド・VOC に関しての問い合わせは、ほとんどない。
• 臭いに関するクレームは、木製家具に限らない(タオル、羽毛布団の臭い等)。
4-2. 消費者のホルムアルデヒド・VOC対策に関する関心
• 「ホルムアルデヒド・VOC に配慮しています」という表示をしてもお客様がその製品を
選んでくれることはないと考える。ホルムアルデヒド・VOC 対策は、なされていて当た
り前との感覚ではないか。
5. その他
―
通信販売会社 A
1. ヒアリング先について
商流等
• 販売チャネル:通販(カタログ、インターネット)、直営店。
• 製造:外部委託(国内、海外)。外観、機能等の要望を提示し、生産を委託。
• 仕入れ:メーカーからの直接、あるいは問屋、商社経由等での購入。
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-1. 材料
(現状)
• ホルムアルデヒド低減商品は一定のニーズがあるので、F☆☆☆☆材の使用をメーカー、
問屋に指示。自社で検査することは難しいため、商品毎にメーカー、問屋から誓約書を
取っている。
• 直輸入品の場合には、自社に輸入者責任がかかってくるので、特に MDF とパーティクル
ボード、生産に使用している接着剤、塗料について、材料の証明書を取得している。
22
通信販売会社 A(つづき)
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-1. 材料
(課題)
• 海外からの直輸入品の検査を実施したところ、トルエン、キシレンフリーの誓約書を取
っていた製品でキシレンが検出されたことがあった。メーカーに確認したところ、確か
に入っているが、揮発するので問題ないとの見解。証明書や誓約書だけでは不十分と感
じた事例となったが、全商品検査等の対応は難しい。
• 国内では F☆☆☆☆材が出回っているが、海外で入手するのは難しい。
2-2. 完成品
(現状)
―
(課題)
• パーティクルボードの塊である低価格のカラーボックスまで F☆☆☆☆対応にして、その
分値段を上げることを消費者が望んでいるのか?消費者のニーズとホルムアルデヒド・
VOC 対策のバランスが難しい。
2-3. 表示
(現状)
• F☆☆☆☆を満たした製品に独自のマークを制定。
材料に関して、F☆☆☆☆を満たしている旨の誓約書を入手の上、表示している。
• 表示媒体は、カタログとホームページ。商品への貼付等はしていない。
• 一部直営店では POP にマークを表示している。
(課題)
―
2-4. ホルムアルデヒド以外の化学物質への対応
―
3. 海外現地生産品のホルムアルデヒド・VOC対策等
3-1. 現状及び認識
• 海外で F☆☆☆☆に対応できるのは一部のメーカーのみ。日本向けの家具を多く製作して
いないと難しい。東南アジアで MDF、パーティクルボードを生産している部材メーカー
は数社程度。
• 中国製の MDF、パーティクルボードは、ホルマリンフリー接着剤で固めたものではなく、
吸着剤を混ぜて F☆☆☆☆レベルにしていると聞く。一般的に考える F☆☆☆☆とは違う
やり方をとっているものもあるようだ。
3-2. 海外のホルムアルデヒド・VOCへの関心
―
23
通信販売会社 A(つづき)
4. 消費者対応及び関心
4-1. 消費者からの関する問い合わせ
• お客様が救急車で病院にかかった場合には、製品のホルムアルデヒド・VOC 検査を実施
している。先日、ぜんそく持ちの子どもが救急車で運ばれた際には、厚生労働省の室内
濃度指針値指定13物質の検査を実施した(検査費用52万円)。
• 臭いに関するお問い合わせは年間60件くらい(お客様総数は約400万人)。
さらに頭痛がするというクレームは年間5~6件。
通販の返品手段として、臭いが強いという人も中にはいる。
• ホルムアルデヒドの☆いくつですか?との質問を受けることもある。
• テレビ等の報道で、シックハウス等の報道があると、ホルムアルデヒド・VOC に関する
問い合わせが突発的に1日2~3件入ることがある。
4-2. 消費者のホルムアルデヒド・VOC対策に関する関心
• 低ホルムアルデヒド製品は、子ども向けを中心に一定の需要がある。
• 環境問題の高まりを受けて、2006年より、F☆☆☆☆商品に独自マークを貼付開始。
• 建築基準法の改正時には、一時、家具の規制と混同して、問い合わせしてくるお客様も
いたが、現在、それほど関心は高くないと感じる。
5. その他
―
通信販売会社 B
1. ヒアリング先について
商流等
• 販売チャネル:通販
• 製造:国内工場、海外(中国、ベトナム、タイ、マレーシア等)工場への外部委託。
• 製品の仕様設計・企画:社内
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-1. 材料
(現状)
• 部材は、原則 F☆☆☆以上を使用。
• 製造委託時、自社のホルムアルデヒド・VOC の取組を事前に説明。
• 製造委託先に、MDF、パーティクルボード、合板、接着剤、塗料のデシケーター法によ
る検査データ及び MSDS の提出を義務付け。
(課題)
• 海外では、F☆☆☆や F☆☆☆☆の部材の調達が困難な場合がある。
24
通信販売会社 B(つづき)
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-2. 完成品
(現状)
• 出荷前及び倉庫への入庫前に梱包内の放散濃度測定を実施。
• 指定品及び梱包内測定結果によって、倉庫内への入庫前に大型チャンバーに入れ、放散
濃度を測定。
• 臭気に関する官能評価を実施。
• 他社の取組を分析するため試買試験を実施。
(課題)
• 材料の加工(表面加工、塗料の使用等)や仕上げ作業等によって放散量が変化する可能
性がある。
2-3. 表示
(現状)
• 家具全品について、取扱説明書付属のリーフレット、梱包材に開封時・組立時の臭いに
関する注意書きを掲載。
• 通販ホームページにホルムアルデヒド対策の取組を掲載。
• 過去に、
「低ホルマリン」
、
「エコ塗装」等の表示をカタログに表示していたが、現在は表
示していない。
(課題)
―
2-4. ホルムアルデヒド以外の化学物質への対応
• トルエンの他、キシレン、エチルベンゼンの放散濃度を測定している。
3. 海外現地生産品のホルムアルデヒド・VOC対策等
3-1. 現状及び認識
―
3-2. 海外のホルムアルデヒド・VOCへの関心
―
4. 消費者対応及び関心
4-1. 消費者からの関する問い合わせ
• 最近、臭いに関する問い合わせは、ほとんどない。臭いに関するクレームの原因は、ホ
ルムアルデヒドや VOC ではなく、素材そのものの臭いに関する場合がほとんどである。
• 消費者から、臭いに関する問い合わせが入ってきた場合は、すぐに当該商品を回収し、
分析を行っている。同時に、同型の在庫商品についても同様の分析を実施している。
4-2. 消費者のホルムアルデヒド・VOC対策に関する関心
―
5. その他
―
25
⑥ 産地
産地 A12
1. ヒアリング先について
商流等
• 材料調達:
合板:オーストラリア、タイ、国内産
接着剤、塗料:国内産
• 販売チャネル:
家具小売事業者、直営店
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-1. 材料
(現状)
• ホルムアルデヒド・VOC 対策は各社任せ。材料の評価等を実施している会社は少ない。
• 木質材料については F☆☆☆☆材を、塗料、接着剤については、トルエン、キシレンフリ
ーのものを使っている。
• 合板に使用する接着剤(フェノール樹脂系、メラミン樹脂系、尿素(ユリア)樹脂系)
にホルムアルデヒド吸収剤を添加し、ホルムアルデヒドの放散を抑制している。
(課題)
―
2-2. 完成品
(現状)
―
(課題)
―
2-3. 表示
(現状)
• (社)日本家具産業振興会の「室内環境配慮マーク」を使用している。
テーブルには、天板の裏に貼付、椅子にはラベルをぶら下げている。
• 小売に対して、
「室内環境配慮マーク」等を付けて販売してほしいと要請したが、実施さ
れているかどうかはわからない。高級家具店は、展示の際もラベルを貼付してくれる。
• ブランドストーリー等を記載したリーフレットを作成し、その中の一部で、F☆☆☆☆材
を使用している旨を記載。
(課題)
―
2-4. ホルムアルデヒド以外の化学物質への対応
―
3. 海外現地生産品のホルムアルデヒド・VOC対策等
3-1. 現状及び認識
―
12
産地Aの高級家具メーカーのご担当者に、産地Aを代表してヒアリング調査にご協力いただいた。
26
産地 A13(つづき)
3. 海外現地生産品のホルムアルデヒド・VOC対策等
3-2. 海外のホルムアルデヒド・VOCへの関心
• 特注品で、ホルムアルデヒド・VOC に配慮したものを要求されたことがある。
4. 消費者対応及び関心
4-1. 消費者からの関する問い合わせ
―
4-2. 消費者のホルムアルデヒド・VOC対策に関する関心
• お客様からの要望で、県の研究施設に依頼して製品のホルムアルデヒド測定を行ったこ
とがある(1回1万円程度の費用)。検査費用が安いにもかかわらず、検査を実施していな
いということは、消費者からの要望がないということを示していると思う。
5. その他
―
産地 B
1. ヒアリング先について
商流等
• 材料調達:
木材:海外(アメリカ、ロシア等)が7~8割。
接着材・塗料:国内
• 販売チャネル:別注、OEM(B to B)の割合が増えている。
• 分業は少なく、一貫生産がほとんど(海外に製造拠点を持つ企業はない)。
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-1. 材料
(現状)
• 改正建築基準法によるホルムアルデヒドの規制より前に、取組を始めた。
• F☆☆☆☆材を使用している。F☆☆☆☆以外を入手することは、困難な状況。
• F☆☆☆☆材のコストも以前と比べて下がっており、コストがかかるという理由でホルム
アルデヒド・VOC 対策をしないという企業はない。
(課題)
―
13
産地Aの高級家具メーカーのご担当者に、産地Aを代表してヒアリング調査にご協力いただいた。
27
産地 B(つづき)
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-2. 完成品
(現状)
• 建築基準法の改正前後では、小売(特にデパート)からシックハウス対策のデータ提出
を要請されたが、現在はない(国内家具に関しては対策をとっていて当たり前という認
識があるのではないか)
。
• 試験機関と協同で、大型チャンバーを用いた家具のホルムアルデヒド・VOC 測定の研究
を進めたが、現在は実施していない。この取組により、組合企業の対策意識はかなり向
上した。
(課題)
• 完成品毎に大型チャンバーを用いて測定するのは、コスト・手間の面から現実的ではな
い。
2-3. 表示
(現状)
• (社)日本家具産業振興会の「室内環境配慮マーク」を使用している企業もある。一方
で、近年では、「室内環境配慮マーク」を使用しない企業も増えてきている。
• 取扱説明書に対策品であることを記載したり、製品に社名を焼印することで国産品であ
る(=対策済である)ことをアピールしている。
(課題)
• 「室内環境配慮マーク」に対する消費者の認知度が低い。
• 近年、ホルムアルデヒド・VOC 対策実施の有無を気にする消費者は少ない。
2-4. ホルムアルデヒド以外の化学物質への対応
―
3. 海外現地生産品のホルムアルデヒド・VOC対策等
3-1. 現状及び認識
• 輸入される海外家具も、日本の自主基準を満たすような規制を作ってもよいのではない
かと思う。
3-2. 海外のホルムアルデヒド・VOCへの関心
―
4. 消費者対応及び関心
4-1. 消費者からの関する問い合わせ
• 消費者からの問い合わせはほとんどない。
4-2. 消費者のホルムアルデヒド・VOC対策に関する関心
• 産地家具に関しては、ホルムアルデヒド・VOC に関する消費者からの問い合わせはほと
んどない。
5. その他
―
28
産地 C
1. ヒアリング先について
商流等
• 材料調達:
主に、海外材料メーカーから商社が買い付け、産地 C の材料問屋を経由して、各メーカ
ーが材料を調達。
• 販売チャネル:家具専門店、インターネット直販等
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-1. 材料
(現状)
• F☆☆☆以上を使っている。F☆☆☆を最低クリアしないと、小売が商品を購入してくれ
ない。販売店は、ホルムアルデヒド・VOC 関連で問題が起きることを嫌っている。
• 大手小売からは、どんな合板を使っているのか、データシートを要求される。公的機関
で検査したデータを添付する場合もある。
• 試験は、各社独自に実施しているようだ。公的検査機関が近くにあり、1検体5,000円程度。
• 国内では、F☆☆☆☆合板の流通量が多い。
• オイル塗装をする商品が増えている。
• 小さな木工所は別注家具を扱うことが多く、自衛(PL 対策)のために F☆☆☆☆を使う
ところが多い。
(課題)
• 合板の F☆☆☆☆は管理が難しい。F☆☆☆☆を F☆☆☆と同じ倉庫に保管してしまうと
F☆☆☆になってしまう。
• 合板の F☆☆☆☆材は虫が食いやすい。
2-2. 完成品
(現状)
• 建築基準法の改正の頃は、小売からデータシートの提出をうるさいくらい求められたが、
最近は少ない。
• 病院、学校等の公共施設内の造り付け家具を作る際や、マンション内の造り付け家具に
ついては、今でも MSDS の添付を求められる。
• ホルムアルデヒド吸着シートを同梱していたこともあったが、最近は材料が F☆☆☆以上
となっているので、実施しているところは少ない。
(課題)
―
2-3. 表示
(現状)
• 「日本製で F☆☆☆以上」というような独自シールを、製品の表側に貼付しているメーカ
ーも多い。食器棚等に対してはガラスに貼っている。
• 日本家具産業振興会の「室内環境配慮マーク」を使用しているメーカーもある。
29
産地 C(つづき)
2. ホルムアルデヒド・VOC対策について
2-3. 表示
(課題)
―
2-4. ホルムアルデヒド以外の化学物質への対応
• 取引先の販売店からの要求で、塗料はトルエン、キシレンが入っていないもの(エコシ
ンナー)を使っている。
3. 海外現地生産品のホルムアルデヒド・VOC対策等
3-1. 現状及び認識
• 日本に輸入される中国製家具は、日本向けに製造する。このためホルムアルデヒド対策
をしていない製品が輸入されることはあまりない。しかし輸入途中の管理が難しいので、
中国で検査したら F☆☆☆☆だったものが、日本で検査したら F☆☆☆☆を満たさないと
いう製品がある可能性がある。
• 海外製の合板についても、買い付けを行う商社が基準を指導しているようだ。ホルムア
ルデヒド・VOC 対策品でないと売れないので、商社が買い付けない。
• (自社では)海外工場で日本向け製品を生産しているが、使用している接着剤、塗料は F
☆☆☆☆。合板は F☆☆☆である。
3-2. 海外のホルムアルデヒド・VOCへの関心
―
4. 消費者対応及び関心
4-1. 消費者からの関する問い合わせ
• 消費者からの直接のお問い合わせはない。小売からの問い合わせはたまにある。
4-2. 消費者のホルムアルデヒド・VOC対策に関する関心
―
5. その他
―
30
1.2.3. (社)日本家具産業振興会会員企業の取組の現状
(社)日本家具産業振興会の協力を得て、傘下企業のホルムアルデヒド、VOC 対策の取
組の現状についてアンケートを実施した。
(1) アンケート実施の仕様
• 調査方法:
(社)日本家具産業振興会の会員 21 団体より傘下企業にアンケートを配布。FAX
により各企業より回答を得た。
表 1-3 (社)日本家具産業振興会会員団体
No.
会員団体
1
北海道家具工業協同組合連合会
2
協同組合秋田県家具工業会
3
山形県家具工業組合
4
茨城県家具建具商工連合会
5
埼玉県家具工業組合
6
神奈川県家具工業組合
7
山梨県家具工業協議会
8
加茂箪笥協同組合
9
協同組合飛騨木工連合会
10
静岡県家具工業組合
11
愛知県家具工業組合
12
大阪府家具工業組合
13
鳥取県家具工業組合
14
島根県家具振興会
15
広島県家具工業連合会
16
徳島県木竹工業協同組合連合会
17
香川県家具商工業協同組合
18
福岡県家具工業組合
19
大分県家具工業会
20
宮崎県家具工業会
21
鹿児島県家具工業振興会
31
• アンケート実施期間:2010 年 10 月 12 日(火)~10 月 22 日(金)
• アンケート項目:アンケートは、回答企業のプロフィール(所在地、企業規模、業種等)
とともに、ホルムアルデヒド・VOC に関する対策の有無や、対策の内容等について問う
内容とし、全 11 問で構成した。次ページにアンケート用紙を添付する。
32
経済産業省委託事業 木製家具のホルムアルデヒド・VOC対策実態調査 アンケート
経済産業省では、このたび、国内家具産業のホルムアルデヒド・VOC(トルエン、キシレン等)に対す
る取組の現状を把握するための基礎調査を行うこととなりました。
家具産業に携わるみなさまのご協力をお願いいたします。
お手数ですが、10月22日(金)までにFAX:03-5288-6596まで返送お願いたします。
1.御社の業態はどれにあたりますか?(当てはまるものすべてに○をしてください。)
1. 家具の製造
2. 家具の輸入
3. 家具の卸売
4. 家具の小売
2.御社が取扱っている(製造、輸入、販売等)主な製品は次のどれに分類されますか?
各分類に○をしてください。(例:木製チェアの場合 脚物・木製・可動式に○がつく。)
形態
材料(主な材料)
木製
金属製
脚物
籐製
箱物
3.御社の従業員数を教えてください。
1.1~3人
4.20~29人
7.100~199人
9.300~499人
2.4~9人
5.30~49人
8.200~299人
10.500人以上
3.10~19人
6.50~99人
プラスチック製
4.御社の所在地域を教えてください。
1.北海道 2.東北 3.関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、
東京、千葉、神奈川、新潟、長野、山梨、静岡)
4.中部(愛知、三重、岐
阜、富山、石川、福井)
5.近畿(滋賀、京都、大阪、奈良、和歌山、兵庫)
6.中国(岡山、広島、島根、鳥取、山口) 7.九州・沖縄
5.ホルムアルデヒド・VOCに関して、何か取組を行っていますか?
1.
はい
→ 質問7以降へ
2.
いいえ
→ 質問6へ
6.取組を行っていない理由は何ですか?(当てはまるものすべてに○をしてください。)
1. 対応する人手が少ない
4. 消費者への訴求力が不十分
6. その他(
2. 小売に受け入れられない
5. コストが見合わない
3. 技術的に対応できない
)
7.ホルムアルデヒドについて、どんな取組を行っていますか?
1. 材料に関する取組
2. 完成品に関する取組
3. その他(
)
8.どんな材料に対して、対策を行っていますか?
1. 合板
5. 塗料
2. 繊維板
6. その他(
3. パーティクルボード
4. 接着剤
)
9.材料に関して、どんな取組を行っていますか?
1. F☆☆☆材料の使用
2. F☆☆☆☆材料の使用
3. その他(
)
10.ホルムアルデヒド以外の物質(トルエン、キシレン等)に関する取組を実施している方に伺います。
どんな物質に対する取組を行っていますか?(当てはまるものすべてに○をしてください。
)
1. トルエン
2. キシレン
3. その他(
)
11.ご意見など、ご自由にお書きください。
アンケートは以上です。ご協力ありがとうございました。
(問合先)東京海上日動リスクコンサルティング(株)
TEL:03-5288-6583 担当
33
上沢
(2) アンケート回答企業について
アンケート回答企業数は 114 社であり、製造事業者が 70%を占めている。従業員数は、4
~9 人が最も多く 21%、次いで 10~19 人が 17%と小規模の事業者が多い。
製造・輸入・
卸売
4%
輸入・卸売
5%
製造・小売
4%
製造・卸売
5%
製造・輸入・
小売
2%
製造・輸入
7%
卸売
4%
製造
70%
図 1-3 アンケート回答企業の業種
300~499人
1%
500人以上
200~299人
2% 1~3人
3%
14%
100~199人
9%
4~9人
50~99人
21%
9%
30~49人
14%
20~29人
12%
10~19人
17%
図 1-4 アンケート回答企業の従業員数
34
関東
26%
九州・沖縄
21%
四国
6%
中部
29%
中国
6%
近畿
12%
図 1-5 アンケート回答企業の所在地
(3) アンケート結果概要
多くの企業が(約 90%)
、ホルムアルデヒド・VOC に関する何らかの対策をとっている。
その内容は、材料に関する取組が中心であり、合板、接着剤、塗料を対象に、F☆☆☆☆材
を使用しているという企業が多い。ホルムアルデヒド以外の物質に関しては、トルエン、
キシレンの対策を行っている企業が多い。
一方、対策を行っていない企業の理由としては、「対応する人手が少ない」、「技術的に対
応できない」
、「コストが見合わない」等が挙げられている。
(4) アンケート結果詳細
以下に、各設問に対する回答を記載する。
問 5:ホルムアルデヒド・VOC に関して、何か取組を行っていますか?
・約 90%の企業が何らかの取組を行っていると回答。
・取組を行っていない理由は、人手不足を挙げた企業が最も多く、次いで、技術的に対
応困難、コストが合わない、の順になっている。
・取組を行っていない企業の多くは、従業員 50 人以下の規模の事業者で、卸売の業種が
比較的多い。
35
いいえ
9%
問 6:取組を行っていない理由は何ですか?
(複数回答)
選択肢
回答数
・対応する人手が少ない
4
・技術的に対応できない
3
・コストが見合わない
2
・消費者への訴求力が不十分
1
・その他
‐仕入れ等材料商社に任せている
‐製造をしていない
はい
91%
■取組を行っていない企業の規模別内訳
■取組を行っていない企業の業種内訳
製造・卸売・
小売
13%
100人以上
10%
50~99人
10%
製造・輸入・
卸売
13%
1~9人
50%
製造・小売
13%
10~49人
30%
卸売
37%
輸入・卸売
12%
図 1-6 問 5、問 6 の集計結果
問 7:ホルムアルデヒドについて、どんな取組を行っていますか?(複数回答)
・材料対策を中心に取組が進められている。
120
100
製造
12%
101社
80
60
40
15社
20
1社
0
材料に関する取組
完成品に関する取組
図 1-7 問 7 の集計結果
36
その他
問 8:どんな材料に対して、対策を行っていますか?(複数回答)
・合板、接着剤、塗料の対策が進んでいる。
100
94社
93社
84社
80
56社
60
49社
40
20
2社
0
合板
繊維板
パーティクルボード
接着剤
塗料
その他
図 1-8 問 8 の集計結果
問 9:材料に関して、どんな取組を行っていますか?(複数回答)
・F☆☆☆☆材料の使用による材料対策が多い。
・その他、試験機導入、部品単位でのホルムアルデヒド放散量社内検査体制の構築、品
質検査証、出荷証明書の提出、無垢材の使用、オイル塗装、自然健康塗料の使用等の
対策を行っている企業もある。
93社
100
80
60
40
20
19社
7社
0
F☆☆☆材料の使用
F☆☆☆☆材料の使用
図 1-9 問 9 の集計結果
37
その他
問 10:ホルムアルデヒド以外の物質(トルエン、キシレン等)に関する取組を実施している方
に伺います。どんな物質に対する取組を行っていますか?(複数回答)
・トルエン、キシレンに対する取組をしているという回答が多い。
70
62社
60
52社
50
40
30
20
5社
10
0
トルエン
キシレン
その他
図 1-10 問 10 の集計結果
問 11:自由意見
• 基準等に関する意見
• 家具に関して、妥当性のある最低限度の基準・規定があり、その基準・規定を何らか
の形で確認が出来る事、輸入家具に関する基準・規定もあり遵守確認やトレースが出
来る体制が必要である。
• 材料等の対策に関する意見
• 当社の規模では、F☆☆☆☆の資材を使用することくらいしか対応しきれない。
• 弊社には、測定機器がないため、材料購入の際、その表示を信用するしかない。
• 現在、仕入れ材は、すべて F☆☆☆☆であるため、特別な取組は行っていない。
• F☆☆☆、F☆☆☆☆のものしか流通していない。
• 別注箱物家具については、すべての場合において、F☆☆☆☆を使用している。
• 安心して使用できる家具、安全第一主義の材料を使用している。
• 塗料についてはアミノアルキドからラッカー塗料に変更している。また、ウレタン塗
料は一部商品だけで使用している。
• 無垢材と天然オイル・ワックスを使用した家具づくりを行っている。
• 社内で使用する塗料・接着剤は、厚生労働省が定める 14 化学物質を含まないものを
使用している。また製品以外の洗浄用シンナー等も同様に対応している。
• トルエン、キシレンを含む接着剤、塗料は使用していない。
• トルエン、キシレンは、OEM 先の要求に従う。
• ホルムアルデヒド吸着・分解シートを自主開発し、自社製品梱包内へ同梱している。
高い吸着性能とコストパフォーマンスが評価され、大手小売で採用されている。
38
2. 消 費 者 の 木 製 家 具 か ら の ホ ル ム ア ル デ ヒ ド ・
VOC放散に対する関心・認識
アジア諸国から低価格の木製家具の輸入量が増える一方で、木製家具から発生する臭
い等による健康被害も一部で発生している。
国内の木製家具及び関連業界において、自主的なホルムアルデヒド、VOCに関する取
組が進む中、その対策品の表示に関する消費者の認知度やシックハウス問題に対する関
心の実態を定量データにより明らかにすることは、今後の関係業界団体、メーカー、小
売等のマーク表示等の普及方策検討の参考となりうる。
本章では、インターネット調査により、消費者 1,000 人を対象にアンケート調査を行
った結果を記す。
2.1. 主な質問項目
・
用語の認知度
・
家具の購入先
・
国産、輸入品の購入意向とその動機
・
購入時の選択嗜好性
・
家具の臭いが気になった経験の有無とその対応
・
家具の臭いで具合が悪くなった経験の有無
・
ホルムアルデヒド対策品表示の認知度
・
購入時のホルムアルデヒド対策表示品の選択嗜好性
2.2. 実施方法
(1) 調査対象
・
株式会社クロス・マーケティングのモニター
男性 500 人、女性 500 人
ただし、家具工場、家具販売店、ホームセンター勤務者を除外。
・
全国 8 エリア(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州、沖縄)の人口構
成比に合わせて配信。
39
(2) アンケート実施期間
・
2010 年 11 月 20 日~11 月 21 日
2.3. アンケート調査結果
(1) 結果概要
① 認知度
・「シックハウス」、「ホルムアルデヒド」の用語については、85~90%が「知っている」と
回答し(「名前を聞いたことがある」の回答を含む)、消費者の認知度は高い。さらに、
「ホ
ルムアルデヒド」が、人の健康に対して影響を与えることについても、認知度は高い。
・「VOC」、
「F☆☆☆☆/F☆☆☆」、業界団体が実施しているマーク表示については、認知度
が低い(85~90%が、
「知らない」と回答)。ただし、アレルギー等の疾患のある消費者に
ついては、他の消費者と比較して、「VOC」、「F☆☆☆☆/F☆☆☆」の認知度は高い。ま
た、「就学前の子どもがいる」消費者については、他の消費者と比較して「F☆☆☆☆/F
☆☆☆」の認知度が高い。
② 家具の購入先
・家具量販店、家具販売店、ホームセンター等の実店舗で購入する消費者が多い。
③ 木製家具の購入時の選択嗜好性
・価格が同じである場合、製品の形、質感・高級感、耐久性を重視する割合が高い。同時
に、国産志向も根強い。一方、
「化学物質対策」を重視する消費者は約 3%と少数である。
④ 臭いが気になった経験の有無とその対応
・木製家具購入時、臭いが気になったことのある割合は、約 30%で、そのうち、5%が、臭
いにより体調が悪くなったと回答している。
(2) 結果詳細
以下に、各設問に対する回答を記載する。
問 1:「シックハウス」、「ホルムアルデヒド」、「VOC」、「F☆☆☆☆/F☆☆☆」の用語について
どの程度ご存知ですか?(単一回答、n=1000)
・シックハウス、ホルムアルデヒドについては、「名前を聞いたことがある」と回答した人
を含めて 85~90%が、当該用語を何らか「知っている」と回答。
40
・VOC、F☆☆☆☆/F☆☆☆については、85~90%が「知らない」と回答。
図 2-1 問 1 の集計結果
問 1-1:「シックハウス」の用語についてどの程度ご存知ですか?
・喘息、乾癬14、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、シックハウス症候群、化学物質
過敏症等の既往歴のある消費者については、「用語の意味を詳しく知っている」の回答の
割合が高い。
注)図中の‘*’表記について:
5%の有意水準で有意差ありの意。本図以降の図中の表記も同様。
図 2-2 問 1-1 のクロス集計結果(シックハウスについて)
14
炎症性角化症という分野に含まれる皮膚病。
41
問 1-2:「ホルムアルデヒド」の用語についてどの程度ご存知ですか?
・喘息、乾癬、アレルギー性鼻炎、食物アレルギー、シックハウス症候群、化学物質過
敏症等の既往歴のある消費者については、「用語の意味を詳しく知っている」の回答の
割合が高い。
図 2-3 問 1-2 のクロス集計結果(ホルムアルデヒドについて)
問 1-3:「VOC」の用語についてどの程度ご存知ですか?
・喘息、シックハウス症候群、化学物質過敏症の既往歴のある消費者については、「用語の
意味を詳しく知っている」の回答の割合が高い。
図 2-4 問 1-3 のクロス集計結果(VOCについて)
42
問 1-4:「F☆☆☆☆/F☆☆☆」の用語についてどの程度ご存知ですか?
<既往歴別の回答>
・喘息、乾癬、シックハウス症候群の既往歴のある消費者については、「用語の意味をあ
る程度知っている」の回答の割合が高い。
図 2-5 問 1-4 のクロス集計結果①(F☆☆☆☆/F☆☆☆について)
<子どもの年代等別の回答>
・就学前の子どもがいる消費者については、F☆☆☆☆/F☆☆☆を「知っている」割合が
高い。
図 2-6 問 1-4 のクロス集計結果②(F☆☆☆☆/F☆☆☆について・子どもの年代等別)
43
問 2:ホルムアルデヒドが人体に与える影響についてご存知ですか?(単一回答、n=1,000)
・
「影響を与えることは知っている」の回答を含めると、約 83%の消費者が「知っている」
と回答。
図 2-7 問 2 の集計結果
問 3:いすや机、棚、ベッド等の木製家具を購入するときは、どこで購入しますか?
(複数回答、n=1,000)
図 2-8 問 3 の集計結果
44
問 4:価格が同じならば、木製家具を購入するときに最も重視することは何ですか?
(単一回答、n=1,000)
・「形」
、「質感・高級感」
、「耐久性」の順で回答が多い。
・「化学物質対策」を挙げた消費者は、約 3%にとどまる。
回答
%
耐久性
手触り
質感・高級感
収容量
形
化学物質対策
国産かどうか
ブランド
その他
18.6
5.0
26.6
11.6
27.9
2.9
3.4
2.0
2.0
図 2-9 問 4 の集計結果
問 5-1:同じ価格の木製家具で国産と輸入品があったとしたら、どちらを購入しますか?
(単一回答、n=1,000)
・約 95%が、
「国産」を購入すると回答。
図 2-10 問 5-1 の集計結果
問 5-2:なぜ「国産」を選ぶのですか?(自由回答)
・安心
・安全
・信頼できる
・品質が良い
等
45
問 5-3:なぜ「輸入品」を選ぶのですか?(自由回答)
・デザインが良い
・おしゃれ
・かっこいい
・安い
等
問 6:同じ木製家具で、化学物質対策をした製品と対策をしていない製品があったとしたとき、
化学物質対策をした製品を購入しますか?(単一回答、n=1,000)
・約 13%が、価格によらず購入意欲を示し、約 60%が、価格次第でできるだけ購入した
いと回答。
図 2-11 問 6 の集計結果
<子どもの年代等別の回答>
・小学生の子どもがいる消費者については、「価格次第でできるだけ対策品を購入する」
の回答の割合が高い。
図 2-12 問 6 のクロス集計結果(子どもの年代等別)
46
問 7-1:自宅で購入した家具について、家具の臭いが気になったことがありますか?
(単一回答、n=1,000)
・約 30%が、家具の臭いが気になったことがあると回答。
図 2-13 問 7-1 の集計結果
<男女・年齢別の回答>
表 2-1 問 7-1 のクロス集計結果①(性別・年齢別)
<喫煙(経験)別の回答>
表 2-2 問 7-1 のクロス集計結果②(喫煙(経験)別)
問 7-2:臭いが気になったときにどのような対応を取りましたが?(複数回答、n=277)
・「換気した」の対応が最も多く、次いで、「特に何もしなかった」の回答が多い。
「購入
店に問い合わせた」、「メーカーに問い合わせた」の回答は少ない。
47
図 2-14 問 7-2 の集計結果
問 7-3:臭いについて問い合わせた先で、どのような指示や説明を受けましたか?「臭いのし
た商品」、「臭いの種類」、「問い合わせ先の指示・説明内容」をできるだけ具体的に
お答えください。(自由回答)
・整理ダンスを購入した際、自然でない臭いが少ししたため、販売店、メーカーに問い
合わせた。危害を与えるようなものではないということであったため、しばらく引き
出しを開けっ放しにしておき、臭いが消えてから使用した。
・(リビングのテーブル、いす、応接セットについて)「新品なので数週間は臭いが気に
なるかもしれないが、落ち着くと思う」と言われた。その通りだった。
・「木の自然特性なので時間が経てば臭いはなくなり、人への影響のないものなので問題
ない。もしトラブルが生じた場合は状況次第で補償がある」と説明を受けた。
・「臭いは多少気になるかも知れないが、数日すればしなくなる。有害物質は使っていな
い」との説明を受けた。
・(レンジ棚について)「扉を開放して換気して欲しい」との説明を受けた。
・ソファーの皮の臭いが強く、問い合わせたところ、クリーニング用の WAX をもらった。
・(ソファについて)ナイロンのような独特の臭いがし、目等にかゆみの症状が出たので
問い合わせをした。「とりあえず換気をすること、そのうち臭いはしなくなる」と言わ
れた。
・床板を張り替えた時に、接着剤の臭いがしばらくした。とにかく換気に努めた。
問 8-1:家具の臭いで体調が悪くなった経験はありますか?(単一回答、n=1,000)
・「ある」と回答したのは約 5%。
・居住形態別には、一戸建、マンションの順に、「ある」の回答の割合が高い。
・居住している住宅の築年数 7 年~15 年未満の場合、体調が悪くなった経験が「ある」
の回答の割合が高い。
48
・「喘息」、「アトピー性皮膚炎」、「シックハウス症候群」、「化学物質過敏症」等の既往歴
のある消費者については、「ある」の回答の割合が高い。
図 2-15 問 8-1 の集計結果
<住居形態別の回答>
表 2-3 問 8-1 のクロス集計結果①(住居形態別)
<住宅築年数別の回答>
表 2-4 問 8-1 のクロス集計結果②(住宅築年数別)
<既往歴別の回答>
表 2-5 問 8-1 のクロス集計結果③(既往歴別)
49
問 8-2:直近の経験で、その症状はいつ出ましたか?(単一回答、n=45)
・約 50%が「開梱時」と回答。
・
「家具を設置してから 1 日以内」も含めると 60%以上の人が、家具の開梱・設置から短
時間で症状が出ている。
表 2-6 問 8-2 の集計結果
回答
%
開梱時
48.9%
家具を設置したから1日以内
13.3%
3日以内
2.2%
1週間以内
2.2%
1ヶ月以内
2.2%
6ヶ月以内
4.4%
6ヶ月以上前
26.7%
―
100%
問 8-3:具体的にどんな症状が出ましたか?(複数回答、n=45)
・「目の症状」、「頭痛・頭が重い」、
「鼻の症状」の順に、回答が多い。
図 2-16 問 8-3 の集計結果
50
問 9-1:以下のマークを見たことがありますか?(複数回答、n=1,000)
・いずれのマークについても、認知度は低い。
※「室内環境配慮マーク」:(社)日本家具産業振興会
※「フレームマーク」:全日本ベッド工業会
図 2-17 問 9-1 の集計結果
問 9-2:過去、木製家具を購入するときに、「室内環境配慮マーク」や、カタログの環境配慮表
示を考慮しましたか?(単一回答、n=83、「室内環境配慮マーク」、「フレームマーク」のいずれ
かを見たことがある人を対象として)
・「室内環境配慮マーク」
、「フレームマーク」のいずれかを見たことがある人のうち、約
35%が家具購入時に表示を考慮している。
・「喘息」の既往歴のある消費者については、木製家具購入時に、「室内環境配慮マーク」
や、カタログの環境配慮表示をする割合が高い。
図 2-18 問 9-2 の集計結果
51
<既往歴別の回答>
図 2-19 問 9-2 のクロス集計結果①(既往歴別)
<子どもの年代等別の回答>
図 2-20 問 9-2 のクロス集計結果②(子どもの年代等別)
52
3. 諸外国における木質材料、木製家具に対するホ
ル ム ア ル デ ヒ ド・ V O Cに関 す る対 策 の 現 状
本章では、欧米及びアジア諸国における関連法規制や対策の現状について、現地ヒアリ
ングを中心に調査を行い、その結果を整理するとともに、日本と諸外国との法規制の比較
を行った。
3.1. 欧米諸国
欧米諸国については、ドイツ、スウェーデン、EU、米国(連邦、カリフォルニア州)を
対象として調査を行った。
ドイツ、スウェーデン、米国のいずれの国においても、木質材料に対して、ホルムアル
デヒドの放散量に関する規制がなされている。
ドイツ及びスウェーデンは、有害化学物質規制において、ホルムアルデヒド、VOC を含
む有害物質に対して、放散量あるいは含有量の規制をしている。一方、米国は、連邦、カ
リフォルニア州とも、木質材料に着目して、木質材料から放散するホルムアルデヒドを規
制する個別の法令を制定している。各国の法令の規制対象については、ドイツ及び米国カ
リフォルニア州は、木質材料に加え、木質材料を使用した完成品を対象としているのに対
して、スウェーデン及び米国(連邦)は、木質材料を対象としており、規制の対象は異な
る。ただし、いずれの場合も、ホルムアルデヒドの放散基準値が設定されているのは、木
質材料のみである。
また、各国とも、業界において、ホルムアルデヒド、VOC の放散基準を持つ規格やエコ
ラベルが策定されている。
3.1.1. 関連法規制及び業界基準等
ドイツ、スウェーデン、EU、米国の関連規制の内容及び業界の取組を以下に整理する。
53
(1) ドイツ
① 関連法規制
(a) 化学品禁止規則
ドイツでは、木質材料、木製家具からのホルムアルデヒド・VOC の放散については、
「化
学品禁止規則(Prohibition of Chemicals Ordinance - ChemVerbotsV)」により規制されている。
本規則の現行版は、2003 年 6 月に発効し、直近では、2010 年 11 月に改正が行われている。
本規則は、ドイツにおける化学物質管理の基本法である「化学品法(ChemG)」を施行す
るための政令規則の 1 つである。有害化学物質・調剤及びそれらを含有または放散する物
質・調剤・成形品の上市を禁止している。規制対象となる物質は、DDT、アスベスト、ダ
イオキシン等の有害化学物質 31 物質であり、ホルムアルデヒド、ベンゼン、トルエン等も
含まれている。
ホルムアルデヒド・VOC に関する規制値についてみると、ホルムアルデヒドについては、
ホルムアルデヒドの放散濃度が 0.1ppm を超過する木質材料(パーティクルボード、ブロッ
クボード、合板、繊維板)の上市を禁止している。ただし、適切な塗装が施され、塗装後
に基準を満たすことを前提として上市される木質材料には、当該禁止措置は適用されない。
また、上記基準を満たさない木質材料を含む家具の上市も禁止している。ベンゼンについ
ては、質量含有率が 0.1%以上のベンゼン及びその調剤の上市を禁止している。トルエンに
ついては、質量含有量が 0.1%以上の接着剤及びスプレーの一般消費者への販売を禁止して
いる。
(参考)
【ドイツ「化学品禁止規則」附属書より、ホルムアルデヒド放散規制の対象品に関
する条文の抜粋】
Abschnitt 3: Formaldehyd
(英訳※)
(1) Coated and uncoated wood-based materials (particle board, block board, plywood and
fiber board) are not allowed to be placed on the market if the equilibrium concentration of
formaldehyde in the air of a test room, caused by the wood-based panel, exceeds 0.1 ml/m³
(ppm).
(2) Furniture which contains wood-based materials that do not meet the requirements in
paragraph 1 may not be placed on the market. Paragraph 1 is considered fulfilled if the
furniture under paragraph 1 complies with the above mentioned equilibrium concentration by
testing the complete (finished) product.
(3) Washing, cleaning and maintenance products with a mass content of more than 0.2%
formaldehyde are not allowed to be placed on the market.
※ドイツ連邦環境庁(UBA)による英訳。
54
木質材料の試験方法については、化学品禁止規則において、以下の方法が規定されてい
る15。
<主たる方法>
・ チャンバー法(DIN EN717-1)
<副次的な方法>
・ ガス分析法(DIN EN717-2)
・ パーフォレーター法(DIN EN120)
(b) AgBBスキーム16
ド イ ツ で は 、 建 材 を 対 象 と し て 、 建 材 の 健 康 影 響 評 価 委 員 会 ( the Committee for
Health-related Evaluation of Building Products(AgBB:Ausschuss zur gesundheitlichen Bewertung
von Bauprodukten))スキームが導入されている。これは、ドイツ各州の建築法(building codes
of the Federal States(Länder))や EU の「建設製品指令(CPD:Construction Products Directive)」
17
の要件が満たされるよう建材の健康影響評価を確立することを目的とし、放散試験方法及
び評価基準を定めたものである。ドイツ建設技術研究所(DIBt:Deutsches Institut für
Bautechnik)による建材の認可に用いられる。
現在は、AgBB スキームの対象品は、建材のみで、家具は対象外であるが、今後は、家具
やその他の消費者製品にも対象範囲を広げていくことが検討される予定である18。
AgBB スキームの対象物質は、VOC(沸点範囲が 50-100℃~240-260℃の間の揮発性有機
化合物19)のみで、ホルムアルデヒドを含む高揮発性有機化合物(VVOC:Very Volatile Organic
Compound)(沸点範囲が 0℃未満~50-100℃の間の揮発性有機化合物20)は対象となってい
ない。これは、VOC に適用している試験方法を VVOC には適用できず、VVOC には新たな
試験方法が必要なためである。今後は、ホルムアルデヒドを含めた VVOC も対象とするよ
う改正が行われる予定である21。
AgBB スキーム下での化学物質の評価には、室内空気最小濃度(LCI:Lowest Concentration
of Interest)が用いられており、製品の化学物質放散濃度は、物質毎に定められた LCI 値と
比較される。ある製品に含まれる物質濃度との LCI 比が 1 を超過すると、ドイツでは上市
することができない。現在、170 の VOC に対して、LCI 値が設定されている。また、AgBB
スキームには、臭いに関する統一の試験方法や評価方法がないため、今後は臭いに関する
15
連邦環境省. Bekanntmachung analytischer Verfahren für Probenahmen und Untersuchungen für die im Anhang der
Chemikalien-Verbotsverordnung genannten Stoffe und Stoffgruppen.
http://www.bmu.de/files/pdfs/allgemein/application/pdf/analyseverfahren.pdf(参照 2011-01)
16
Committee for Health-related Evaluation of Building Products. Health-related Evaluation Procedure for Volatile Organic
Compounds Emissions (VOC and SVOC) from Building Products. 2010
17
89/106/EEC。93/68/EEC及び(EC) No 1882/2003 により改正。さらに、欧州議会は、2011 年 1 月 18 日に、第 2 読会にて、
建設製品指令を改正する規則案を承認した。
18
2010 年 10 月に実施した連邦環境庁(UBA)に対するヒアリングによる。
19
UBA. Implementation of Health and Environmental Criteria in Technical Specifications for Construction Products.
20
同上。
21
2010 年 10 月に実施した連邦環境庁(UBA)に対するヒアリングによる。
55
試験も導入する予定である22。
AgBB の試験には、1 製品あたり、2,500~3,000 ユーロ(280,000~336,000 円23)の費用が
かかる24。これらの費用に対して、政府の支援スキームはない。
② 業界による取組
(a) ラベル制度
前述の政府による規制に加え、業界が主導して、あるいは、政府と共同で、エコラベル
を開発している。ここでは、そのうち代表的なブルーエンジェル、ゴールデン M 及び LGA
schadstoffgeprüft について、その概要を記す。
• ブルーエンジェル(Blue Engel)25
「ブルーエンジェル」は、人の健康や環境の保護を目的に、製造から
廃棄までライフサイクル全体を考慮した、環境に配慮した製品やサービ
スに対する認定基準を設け、基準を満たしたものに対してエコラベルの
表示が認められる環境ラベル制度である。1978 年より導入され、ドイ
ツ連邦環境庁(UBA)、環境ラベル審査会、ドイツ品質保証・表示協会
(RAL)によって運営されている。ラベルの所有権は、ドイツ環境・自
然保護・原子力安全省(BMU)にある。現在、約 90 製品群で、合計約 11,500 品目が認証さ
れている。対象品は、木製家具、建材、塗料、木工玩具、省エネ冷凍・冷蔵庫、再生紙、
プリンターなど広範囲にわたる。
ブルーエンジェルの認知度は、非常に高く、2006 年の UBA による環境に対する意識調査
では、79%の人が同マークを認知し、38%の人が買う際にマークを見ていたと回答してい
る26。
木製家具に関しては、RAL-UZ38 により、加工前の木質材料のホルムアルデヒドの放散濃
度が、定常状態で 0.1ppm という基準が設定されている。また、使用中のホルムアルデヒド
及び VOC(蒸圧で空気中に放散される有機化合物27)の室内濃度の基準値も設定されてい
る。VOC の基準は、AgBB スキームの LCI 値より厳しいものとなっている。各基準を表 3-1
に記す。
22
2010 年 10 月に実施した連邦環境庁(UBA)に対するヒアリングによる。
1 ユーロ=112 円換算(2011 年 2 月為替レート使用)
24
フラウンホーファー ヴィルヘルム・クラウディッツ木材研究所(WKI:Fraunhofer Wilhelm Klauditz Institut)への問い
合わせによる。
25
ブルーエンジェル ウェブサイト. RAL-UZ 38 Low-Emission Wood Products and Wood-Base Products.
http://www.blauer-engel.de/en/products_brands/vergabegrundlage.php?id=55(参照 2011-01)
26
連邦環境省・連邦環境庁. Umweltbewusstsein in Deutschland 2006 (Environmental Awareness in Germany 2006). Berlin. 2006.
27
RAL gGmbH. Basic Criteria for Award of the Environmental Label, Low-Emission Wood Products and Wood-Base Products
RAL-UZ 38
23
56
表 3-1 「ブルーエンジェル」のホルムアルデヒド・VOCの室内空気質基準
対象物質
基準値
0.05ppm
ホルムアルデヒド
600μg/ m3
VOC(沸点50~250℃)
(二面製品の場合は300μg/ m3)
100μg/ m3
VOC(沸点250℃以上)
※立体製品の場合の基準値
出典)Basic Criteria for Award of the Environmental Label
Low-Emission Wood Products and Wood-Base Products RAL-UZ 38
製造者が製品に「ブルーエンジェル」を表示するためには、認証機関による試験が必要
となるが、試験には、1 製品当たり、約 5,000~10,000 ユーロ(56~112 万円28)の費用がか
かる29。2010 年 10 月に実施したドイツ木材・プラスティック加工業連合(HDH:Hauptverband
der Holz und Kunststoffe verarbeitenden Industrie)に対するヒアリングによれば、
「ブルーエン
ジェル」の取得には費用がかかり、また、一般的にドイツの消費者は、ドイツ製で、
“Made
in Germany”と表示されている製品に対して、政府が定めた高い基準を達成しているという
信頼を持っているため、家具製造者側に、「ブルーエンジェル」を表示する動機は、あまり
ない。ただし、ラッカーなど過去に問題のあった製品については、消費者の意識が高いた
め、「ブルーエンジェル」を表示している場合が多い。
• ゴールデン M(Goldenes M)30
「ゴールデンM」は、100 超の家具及びその部品製造者が参画するド
イツ家具品質協会(Deutsche Gütergemeinschaft Möbel)による品質ラベ
ルである。ドイツ家具品質協会は、家具の耐久性、機能性、安全性、及
び、健康や環境への適合性に関する品質・試験の規格(RAL-GZ 430)
を策定している。これには、包装や輸送、廃棄、リサイクルに関する規
則も含まれる。これらの品質を満たす家具には、RALよりラベルが授与
される。また、
「ゴールデンM」は、基準や試験方法など、
「ブルーエン
ジェル」と緊密に連携しており、家具に使われる革や布地、木質材料等の基準を「ブルー
エンジェル」と同レベルにしたり、
「ブルーエンジェル」に使用されているラベル番号を共
通で利用している。
基準が設定されている物質は、ホルムアルデヒド、総VOC、革製品に対する特定物質(ク
ロロフェノール・ブロモフェノール、2-[(チオシアノメチル)チオ]ベンゾチアゾール
28
1 ユーロ=112 円換算(2011 年 2 月為替レート使用)
WKIへの問い合わせによる(2011 年 1 月 13 日)
。
30
ドイツ家具品質保証協会. Allgemeine Güte- und Prüfbestimmungen für Möbel (RAL-GZ 430).
ドイツ連邦環境庁. Recommended eco-labels. http://www.umweltbundesamt.de/produkte-e/beschaffung/umweltzeichen.html(参
照 2011-01)
29
57
( TCMTB ) 等 )、 そ の 他 の 物 質 ( ク ロ ロ フ ェ ノ ー ル 、 ピ レ ス ロ イ ド / ペ ル メ ト リ ン
(Pyrethroid/Permethrin)、アゾ染料等)で、臭いについての基準も設定されている。ホルム
アルデヒド及びVOCの放散基準値を表 3-2 に記す。
表 3-2 「ゴールデンM」ホルムアルデヒド・VOCの放散基準
対象物質
ホルムアルデヒド
TVOC(C6-C16)
TSVOC(>C16-C22)
収納家具
布張り家具
≦0.05 ppm
≦600 μg/m3
≦80 μg/m3
構成材料の皮
≦240 μg/h
≦60 μg/m3
≦0.05 ppm
≦1,800 μg/h
≦450 μg/m3
≦320 μg/h
≦80 μg/m3
≦60 μg/m3
≦0.05 ppm
≦450 μg/m3
≦80 μg/m3
出典)Allgemeine Güte- und Prüfbestimmungen für Möbel (RAL-GZ 430)
• LGA schadstoffgeprüft
LGA schadstoffgeprüft(LGA pollutant tested)31は、ドイツにおける検
査・認証機関である LGA(TÜV Rheinland LGA Beteiligungs GmbH)に
よる任意の認証制度で、机や椅子、マットレスからプリンター用のトナ
ーまで、様々な室内用製品を対象にしている。有害物質の放散レベルの
低い製品については、要件を満たし検査に合格すれば、ラベルを表示す
ることができる。
基準は、ホルムアルデヒド、VOC を含む有害化学物質に対して設定されている。ホルム
アルデヒドの放散基準値は、0.05ppm である。
(b) 商品テスト誌32
ドイツには、ラベル制度に加え、商品テストにより商品の品
質を向上させる仕組みがある。これは、1964 年に連邦経済省(当
時)により設立された独立、非営利の消費者団体、商品テスト
財団(Stiftung Warentest)が商品テストを実施し、その結果を冊
子「テスト(test)」において公表するものである。商品テスト
財団は、毎年、市場から家庭用の様々な商品サンプルを抽出し、
化学物質の放散量や安全性を含め様々なテストを行い、その結果を製造者名、商品名とと
もにレポートにまとめ、冊子「テスト(test)」において公開している。レポートは、業界に
31
Label Online. LGA-schadstoffgeprüft (Möbel). http://www.label-online.de/label-datenbank?label=438(参照 2011-01)
Federal Ministry of Economics and Technology. Make it Fit: Norms and Standards.
http://www.german-business-portal.info/GBP/Navigation/en/Business-Information/norms-and-standards,did=146948.html(参照
2011-01)
32
商品テスト財団(Stiftung Warentest)ウェブサイト. http://www.test.de/(参照 2011-01)
58
依存することなく、中立的立場で、事実についてのみ記載しており、技術的な情報や品質
基準、ラベル等の様々な情報も整理されている。商品テスト財団は、これまでに約 85,000
商品についてテストを行っている。
冊子「テスト(test)」は、毎月平均 59.5 万部発行されている。ドイツでは、同財団の認
知度が 96%に達し、そのうち 3 分の 1 の消費者が、商品購入時に、同冊子を参考にすると
いう統計結果がある33。ドイツ木材・プラスティック加工業連合(HDH)へのヒアリング34
によると、ドイツにおいては、消費者、製造者双方に認知度の高いこの仕組みが非常に効
果的に機能し、製品の品質向上に寄与している。
(c) 業界の取組に対する政府による支援
政府は、これらの業界の取組について、パンフレットやウェブサイトを通じて、消費者
向けに情報提供を行っている。
図 3-1 は、政府が推奨するエコラベルについて紹介するUBAのウェブページである。
推奨エコラベル
・ 清掃/衛生
・ オフィス
・ 室内構成品
など
図 3-1 UBAの推奨エコラベルを紹介するウェブページ
出典)UBAウェブページ(http://www.umweltbundesamt.de/produkte-e/beschaffung/buero/buerogeraete/la
serdrucker.html#Ecolabels)
33
34
岸葉子. 商品テスト誌の日独比較と今後の課題. 千葉大学
2010 年 10 月時点。
59
公共研究. 2006. 第 3 巻第 4 号. 221-250.
(2) スウェーデン
① 関連法規制
(a) 化学製品・バイオ有機体規則
スウェーデンでは、木質材料からのホルムアルデヒド・VOC の放散については、
「化学製
品・バイオ有機体規則(KIFS 2008:2 — The Chemical Products and Biotechnical Organisms
Regulations)
」により規制されている(1998 年 6 月公布。2008 年 5 月改正)。
本規則は、1,4-ジクロロベンゼンや水銀、重金属など特に有害性の高い化学物質の使用に
ついて規制している。ホルムアルデヒド・VOC の放散についての法制化には、EU の改正溶
剤指令(2004/42/EC)が制定されたことも影響しているが、スウェーデンでは、中国からの
輸入品問題や国内製造者のホルムアルデヒド・VOC 問題があり、以前から取り組んでいた。
ホルムアルデヒドについては、KIFS 2008:2 により、木質材料(パーティクルボード、合
板、木質繊維板、ブロックボード、他の類似の木質材料)を対象に、ホルムアルデヒドの
放散量は 0.124mg/m3 以下と規定されており、製造者及び輸入業者がその義務対象者となる。
また、VOC(101.3kPa で初留点が 250℃以下の有機化合物35)については、塗料やニス、自
動車補修製品を対象に規制されている。
(参考)
【化学製品・バイオ有機体規則より、ホルムアルデヒド放散規制の対象品に関する
条文の抜粋】
Formaldehyde in Wood-based Boards
Area of application
Section 19 The provisions in Sections 20-25 apply to wood-based boards (particle boards,
plywood, wood-fibre boards, block board and similar wood-based boards) containing
additives with formaldehyde as an ingredient.
The provisions shall not apply to phenol-glued boards, where the added formaldehyde occurs
only as a co-polymer with phenol.
ホルムアルデヒドの放散の試験方法については、KIFS 2008:2 において、スウェーデン規
格「チャンバー法によるホルムアルデヒド放散(SSEN717-1:2004)」あるいはそれに準じた
規格の試験方法を用いることが規定されている。
(b) 製品登録制度
スウェーデンでは、スウェーデン化学物質庁(KEMI:Kemikalieinspektionen)により製品
登録制度が実施されており、全ての製造者と輸入業者に対し、毎年、製品の用途や製品中
の VOC の濃度等を KEMI に報告させている。
35
化学製品・バイオ有機体規則
60
2009 年の製品登録制度における登録情報によると、860 の事業者が、スウェーデンで家
具を製造、販売しており、14,000 トンの家具が扱われている。そのうち、家具の材料中に
VOC を含有していると報告しているのは、7 製品のみであった。
本制度は、2008 年から開始されたばかりの制度であり、報告される情報の精度の向上や
対象企業への制度の周知が今後の課題となっている36。
② 業界による取組
(a) ラベル制度
スウェーデンでも、業界主導のラベル制度があり、ここでは、「ノルディックスワン」に
ついてその概要をまとめる。
• ノルディックスワン37
「ノルディックスワン」は、スカンジナビア諸国のノルウェー、スウ
ェーデン、デンマーク、フィンランド、アイスランドにおいて公式に採
用されているエコラベルである。1989 年に策定され、建材及び装飾品、
自動車用品、家庭用暖房器具、家庭用化学品、機器、オフィス機器、事
務用品、紙パルプ製品、雑貨、サービス、その他に区分された製品に対
して、製品のライフサイクルにおける環境影響に関する基準を設定している。
建物、装飾、家具に使用される木質材料38については、ホルムアルデヒドに関して、以下
のどちらかの基準を満たさなければならない。
① 遊離ホルムアルデヒドの含有量は、以下の基準を上回ってはならない。
・単一値:乾燥製品 100g 当たり 8mg 以下
・6 ヶ月平均値:乾燥製品 100g 当たり 6.5mg 以下
② ホルムアルデヒド放散量:0.13mg/ m3 以下
• その他
その他に、「BASTA」と呼ばれる有料の会員制度によるラベル制度や「家具の事実」
(Mobelfakta)と呼ばれる任意のラベル制度もある。「BASTA」は、企業が自主的に、特定
の化学物質の含有量を規制し、ラベルを表示する制度で、ホルムアルデヒドの監視等にお
いて KEMI の支援を受けている。本制度では、建材を対象とし、製造者及び輸入業者がラ
ベルを表示することになっている。「家具の事実」は、スウェーデン木材家具業界団体
(Swedish Association of Wood and Furniture Industry)が技術基準、環境基準、社会的責任基
準を定めており、ホルムアルデヒドの放散基準については、EN312 で定められた E1 クラス
36
2010 年 10 月に実施したスウェーデン環境保護庁、KEMIに対するヒアリングによる。
池田耕一. 諸外国における室内空気質規制に関する研究. 2005.
ノルディックスワン ウェブサイト. http://www.nordic-ecolabel.org/(参照 2011-01)
38
ノルディック・エコラベリング、Nordic Ecolabelling of Panels for the building, decoration and furniture industry
37
61
(8mg/100g)と同等の基準が設定されている。
(3) EU
① 関連法規制
EUでは、木製家具に対するホルムアルデヒド・VOCの放散に関する規制はない。
「建設製
品指令(89/106/EEC)」は、建設作業(建築や土木作業を含む)において組み入れられる製
品を対象とした指令で、このうち、木質材料(Wood based Panels and Elements)は、規制の
対象に含まれる。本指令は、1989 年に制定後、1993 年(93/68/EEC)及び 2003 年((EC)
No 1882/2003)に改正されており、直近では、2011 年 1 月 18 日に、欧州議会第二読会にお
いて、本規制を改正する規則案が採択されている。
本指令により、要件を満たさない製品の上市は禁止される。本指令の基本要件の 1 つと
して、製品のライフサイクルを通して、雇用者や居住者、近隣住民の衛生、健康、安全の
脅威とならないよう、また環境に過度の影響がないよう製品を設計することが求められて
おり、室内大気へのVOCの放散も特に考慮すべきとされている39。ただし、VOCの放散につ
いては、本指令の中で、放散基準値は設定されていない。
また、基本要件を満たした建設製品には、CEマークを表示すること
が義務付けられている。CEマークとは、EU地域において上市される指
定の製品40に表示が義務付けられる基準適合マークで、製品毎に、指定
される適合性評価方法に基づいた評価を実施し、適合性を証明・宣言し
た製品に表示される41。
② ラベル制度
• フラワー(Flower)
EU レベルでは、環境に配慮した製品やサービスが流通する市場を目
指して、1992 年に EU エコラベル「フラワー(Flower)」が設立された。
製品のライフサイクル全体を考慮し、木製家具を含む 24 製品群を対象
に基準が設定されている。現在、建造物やパソコン等の製品群について
は基準を策定中で、2015 年までに 40~50 製品群に拡大することを目指
している。
木製家具については、2009 年に基準が設定された(2009/894/EC)。製造、未処理の木質
材料の状態、表面加工、家具の組立のそれぞれの段階における、接着剤や添加剤、木質材
料のホルムアルデヒドあるいは VOC(293.15K で 0.01kPa 以上の蒸気圧を持つ有機化合物ま
39
欧州委員会. Guidance Paper H (concerning the Construction Products Directive – 89/106/EEC) A Harmonised Approach
Relating to Dangerous Substances Under the Construction Products Directive. 2002.
40
現在、建設製品指令を含む 22 の指令が、CEマーク表示対象指令となっている。
41
JETRO. 欧州でのCEマーキングの概要. http://www.jetro.go.jp/world/europe/eu/qa/01/04S-040011(参照 2011-2)
62
たは特定の使用条件下で同等の揮発性を有する有機化合物42)等の含有量や放散量の基準が
設定されている。各基準値を表 3-3 に記す。
表 3-3 「フラワー」のホルムアルデヒド・VOCの基準
対象物質
遊離ホルムアルデヒド
ホルムアルデヒド
対象品
木質材料に使用される製品・調剤
木質材料に使用される結合剤・接
着剤
パーティクルボード
繊維板
基準値
0.3%(w/w)
0.5%(w/w)
EN312のEIクラスの基準値
(8mg/100g)の50%
EN622-1のAクラスの基準値
(9mg/100g)の50%
表面加工剤の物質・調剤
0.05ppm
5%
35g/m2
接着剤
5%(w/w)
出典)Commission Decision of 30 November 2009 on establishing the ecological criteria for the
award of the Community eco-label for wooden furniture
表面加工剤
VOC
(4) 米国
① 関連法規制
(a) 木質材料のホルムアルデヒド放散規制(連邦)
米国(連邦)では、木質材料に対して、ホルムアルデヒドの放散に関する法規制が制定
されている。木質材料からのホルムアルデヒドの放散については、「木質材料のホルムアル
デヒド放散規制(Formaldehyde Standards for Composite Wood Products Act)」により規制され
ており、同規制は、「有害物質規制法(TSCA:Toxic Substances Control Act)」にタイトル 6
として追加された。2010 年 7 月に発効しており、2013 年までに、実施規則が制定される予
定である。
連邦レベルでの同規制制定には、後述するカリフォルニア州での規制の動向が影響して
いるが、ハリケーン・カトリーナ後の緊急時に、高ホルムアルデヒドのキャンピング・ト
レーラーが使われ、問題となったことも背景にある。当時は、緊急時ということで基準が
軽視され、また、気候も相まって、ホルムアルデヒドが高濃度で放散された。
規制の制定に当たっては、複合パネル協会(CPA:Composite Panel Association)、広葉樹
合板・単板協会(HPVA:Hardwood Plywood and Veneer Association)、キッチン・キャビネッ
ト製造者協会(KCMA:Kitchen Cabinet Manufactures Association)、オフィス家具製造者協会
(BIFMA:Business and Institutional Furniture Manufacturer’s Association)など、当時から活発
42
木製家具のエコラベル環境基準を制定する委員会決議(COMMISSION DECISION of 30 November 2009 on establishing
the ecological criteria for the award of the Community eco-label for wooden furniture(2009/894/EC)
)
63
に取組を進めていた業界が積極的に関わって基準値が検討された。
本規制は、米国内で販売、供給、上市、製造される木質材料(硬質合板、中質繊維板(MDF)、
パーティクルボード(適用除外あり))、最終品(finished products)に使用されるこれらの木
質材料を対象に、ホルムアルデヒドの放散基準を設定するものである。製造業者、小売業
者など、規制対象品を扱うすべての者が基準達成の義務を負う。放散基準を達成している
製品には、ラベルが表示される予定である。ラベルの詳細については、今後制定される実
施規則によって定められる。ホルムアルデヒドの放散基準値を表 3-4 に記す。
表 3-4 米連邦のホルムアルデヒドの放散基準
基準値
∗1
施行日 ~2011/7/1ま
たは2012/7/1∗2
2011/7/1または
2012/7/1以降∗3
0.05ppm
ベニアコア硬質合板(HWPW-VC)
複合コア硬質合板(HWPW-CC)
0.08 ppm
0.05 ppm
中質繊維板(MDF)
0.21 ppm
0.11 ppm
薄い中質繊維板(Thin MDF)
0.21 ppm
0.13 ppm
パーティクルボード(PB)
0.18 ppm
0.09 ppm
*1:2013 年 1 月までに制定される規則の公布から 180 日後
*2:MDF、パーティクルボードについては、2011 年 7 月 1 日、複合コア硬質合板、薄いMDFについては、
2012 年 7 月 1 日
*3:①MDF、パーティクルボードについては、*1 の施行日が 2011 年 7 月 1 日以降の場合、施行日以降
②複合コア硬質合板、薄いMDFについては、*1 の施行日が 2012 年 7 月 1 日以降の場合、施行日以降
出典)木質材料のホルムアルデヒド放散規制
(参考)
【木質材料のホルムアルデヒド放散規制より、ホルムアルデヒド放散規制の対象品
に関する条文の抜粋】
‘(b) Requirement‘ (1) IN GENERAL- Except as provided in an applicable sell-through regulation
promulgated pursuant to subsection (d), effective beginning on the date that is 180 days after
the date of promulgation of those regulations, the emission standards described in paragraph
(2), shall apply to hardwood plywood, medium-density fiberboard, and particleboard sold,
supplied, offered for sale, or manufactured in the United States.
‘(2) EMISSION STANDARDS(中略)
‘(4) APPLICABILITY- The formaldehyde emission standard referred to in paragraph (1)
shall apply regardless of whether an applicable hardwood plywood, medium-density
fiberboard, or particleboard is-‘(A) in the form of an unfinished panel; or
‘(B) incorporated into a finished good.
64
ホルムアルデヒド放散の試験方法については、木質材料のホルムアルデヒド放散規制に
おいて、以下の方法によることが規定されている。
• 四半期毎の試験:
・ 大型チャンバー法による木質製品からのホルムアルデヒドの気中濃度及び放散速
度測定のための規格試験法(ASTM E-1333-96(2002))
・ 小型チャンバー法による木質製品からのホルムアルデヒドの気中濃度及び放散速
度測定のための規格試験法(ASTM D6007-02(2008))
• 品質管理試験:
・ 小型チャンバー法(ASTM D6007-02(2008))
・ デシケーター法による木質製品からのホルムアルデヒドの気中濃度及び放散速度
測定のための規格試験法(ASTM D5582-00(2006))
米国環境保護庁(EPA:Environmental Protection Agency)は、木質材料のホルムアルデヒ
ド放散規制の導入により規制対象者にかかる負担について、制定前に費用対効果分析を行
っている。EPA へのヒアリングによれば、通常、試験は、製品を試験施設に送って行うた
め、製造者自身が大型チャンバーを購入する必要はなく(ただし、大企業は大型チャンバ
ーを所有している)、また、企業は、すでに業界の任意基準を満たすために、試験を行って
いるため、規制導入による追加の負担とはならない、とのことである。試験の実施に関し
て、政府からの支援は行われていない。
(b) 木質材料のホルムアルデヒド放散削減のための空気中の毒性規制措置(カリフォルニア
州)
カリフォルニア州大気資源局(CARB:California Air Resources Board)は、連邦レベルの
規制より前の、2008 年 4 月に「木質材料のホルムアルデヒド放散削減のための空気中の毒
性規制措置(Airborne Toxic Control Measure (ATCM) to Reduce Formaldehyde Emissions from
Composite Wood Products)
」を制定している。
CARB は、ホルムアルデヒドについては、1970 年代後半からその問題性を認識していた。
第二次世界大戦後、尿素樹脂(Urea Formaldehyde Resin)の使用が拡大される中で、プレハ
ブ住宅(manufactured house)や可動教室(portable classroom)等において、ホルムアルデヒ
ドの健康への悪影響が指摘されるようになり、室内のほとんどのホルムアルデヒドの放散
源である木質材料を規制することとなった。規制の制定にあたっては、関連するステーク
ホルダーとの協議やパブリックコメントの過程に 6 年を要した。
ATCM には、カリフォルニア州での販売、上市、供給、使用、販売を目的に製造される
木質材料(硬質合板、パーティクルボード、中質繊維板)及びこれらの木質材料を使用し
た最終品を対象に、木質材料のホルムアルデヒドの放散基準が規定されている(ただし、
ホルムアルデヒドの放散基準は、木質材料に対してのみ設定されている)。製造業者、販売
65
業者、輸入業者、最終品の組立業者、小売業者が基準達成の義務を負う。ホルムアルデヒ
ドの基準値を表 3-5 に記す。
表 3-5 CARBのホルムアルデヒドの放散基準
基準値
ベニアコア硬質合板
(HWPW-VC)
複合コア硬質合板
(HWPW-CC)
中質繊維板
(MDF)
薄い中質繊維板
(Thin MDF)
パーティクルボード
(PB)
2009/1/1
2009/7/1
2010/1/1
2011/1/1
2012/1/1
2012/7/1
0.08 ppm
0.08 ppm
0.05 ppm
0.05 ppm
0.05 ppm
0.05 ppm
0.08 ppm
0.08 ppm
0.08 ppm
0.08 ppm
0.08 ppm
0.05 ppm
0.21 ppm
0.21 ppm
0.21 ppm
0.11 ppm
0.11 ppm
0.11 ppm
0.21 ppm
0.21 ppm
0.21 ppm
0.21 ppm
0.13 ppm
0.13 ppm
0.18 ppm
0.18 ppm
0.18 ppm
0.09 ppm
0.09 ppm
0.09 ppm
出典)木質材料のホルムアルデヒド放散削減のための空気中の毒性規制措置
(参考)
【「木質材料のホルムアルデヒド放散削減のための空気中の毒性規制措置」より、ホ
ルムアルデヒド放散規制の対象品に関する部分の抜粋】
(c) Applicability. This airborne toxic control measure applies to:
(1) Manufacturers of hardwood plywood, particleboard, and medium density fiberboard that
manufacture, sell, offer for sale, or supply these products for use in California;
(2) Distributors of hardwood plywood, particleboard, medium density fiberboard, and
finished goods that contain composite wood products, that sell, offer for sale, or supply these
products or goods for use in California;
(3) Importers of hardwood plywood, particleboard, and medium density fiberboard, and
finished goods that contain composite wood products, that sell, offer for sale, or supply these
products or goods for use in California;
(4) Fabricators that use hardwood plywood, particleboard, and medium density fiberboard to
make other goods that are sold, offered for sale, or supplied for use in California;
(5) Retailers of hardwood plywood, particleboard, medium density fiberboard, and finished
goods that contain composite wood products, that sell, offer for sale, or supply these
products or goods for use in California; and
(6) Third party certifiers as defined in title 17, California Code of Regulations, section
93120.1.
(d) This airborne toxic control measure does not apply to hardwood plywood, particleboard,
medium density fiberboard, and finished goods that contain composite wood products that
are manufactured, distributed, fabricated, imported, sold, offered for sale, or supplied for
shipment and use outside of California.
木質材料製造者には、CARBが認定した第三者認証機関による認証を受け、その個別の認
証番号を記載したラベルを木質材料に表示することが義務付けられている。また、家具製
造者には、基準を遵守した木質材料を使用していることを示すラベルを最終品に表示する
66
ことが義務付けられている。CARBは、現在 34 の認証機関を認定しており43、そのうち米国
内には、3~4 機関、中国にも約 10 機関ある。
ホルムアルデヒド放散の試験方法については、ATCMにおいて、以下の通り規定されてい
る。
・ 大型チャンバー法による木質製品からのホルムアルデヒドの気中濃度及び放散速
度測定のための規格試験法(ASTM E1333-96(2002))
・ (条件付きで)小型チャンバー法による木質製品からのホルムアルデヒドの気中
濃度及び放散速度測定のための規格試験法(ASTM D6007-02(2008))
製造者によって行われる履行確認試験は、大型チャンバー法及び小型チャンバー法によ
って行われる。小型チャンバー法による試験を行う場合は、第三者認証機関により、大型
チャンバー法による試験結果と同等であることが証明されなければならない。また、3 ヶ月
に一度の頻度で、定期品質管理試験を行わなければならず、上記の 2 つの試験方法のいず
れかの結果との相関関係を示さなければならない。
CARBまたは地方大気区域の職員によって行われる履行順守の確認試験は、大型チャンバ
ー法、小型チャンバー法、小型チャンバー法の代替試験法によって行われる。
試験の費用については、大型チャンバー法(ASTM E1333)の場合、400 ドル(33,200 円44)、
小型チャンバー法(ASTM D6007)の場合、135 ドル(約 11,200 円45)となっている46。
② 政府による情報提供
米国(連邦)では、木質材料からのホルムアルデヒド放散に関する法規制に加え、米国
消費者製品安全委員会(CPSC:Consumer Product Safety Commission)やEPAから、消費者向
けにホルムアルデヒドや室内空気質に関する情報提供が行われている。
• CPSC による情報提供
CPSCのウェブページ47では、ホルムアルデヒドとは何か、なぜ問題なのか、ホルムアル
デヒド濃度に影響する要因、主な発生源、ホルムアルデヒドによる症状、ホルムアルデヒ
ドへのばく露回避方法等が解説されている。また、建材や家具を購入する際に注意する点
や、ホルムアルデヒドの放散レベルを低減させる方法等についても情報提供されている。
43
2010 年 10 月時点
1 ドル=83 円換算(2011 年 2 月為替レート使用)
45
1 ドル=83 円換算(2011 年 2 月為替レート使用)
46
CARBが承認した第三者認証機関の一つ、複合パネル協会(CPA:Composite Panel Association)による試験費用。記載
した費用は、いずれも会員価格。
47
CPSC ウェブページ. http://www.cpsc.gov/cpscpub/pubs/725.html(参照 2011-2)
44
67
ホルムアルデヒドとは?
なぜ問題なのか?
通常のホルムアルデヒド
の濃度とは?
図 3-2 CPSCウェブページ
出典)CPSCウェブページ(http://www.cpsc.gov/cpscpub/pubs/725.html)
• EPA による情報提供
EPAでは、パンフレットやウェブサイト上で、室内空気質の改善のための情報提供を行
っている。
2008 年 9 月にEPAより発行された室内空気質改善のためのパンフレット「Care for Your
Air:A Guide to Your Indoor Air Quality」
(全 7 ページ)48では、室内大気汚染の原因となる
汚染物質について紹介されており、その 1 つとしてVOCも取り上げられている。同パンフ
レットには、室内空気質の向上方法や、改築・新築時のアドバイス等も掲載されている。
ウェブ上では、CPSCと共同で作成された様々な室内大気汚染について解説するページ
(The Inside Story:A Guide to Indoor Air Quality49)が設置され、ホルムアルデヒドに関し
て、その発生源や健康影響、ばく露の軽減方法が解説されている。
48
49
EPA ウェブページ. http://www.epa.gov/iaq/pdfs/careforyourair.pdf(参照 2011-2)
EPA ウェブページ. http://www.epa.gov/iaq/pubs/insidest.html(参照 2011-2)
68
室内空気質の改善
図 3-3 EPAパンフレット
出典)EPAウェブページ(http://www.epa.gov/iaq/pdfs/careforyourair.pdf)
69
ホルムアルデヒドとは?
ホルムアルデヒドの健康影響
自宅でホルムアルデヒドへの
ばく露を軽減するために
図 3-4 EPAウェブページ
出典)EPAウェブページ(http://www.epa.gov/iaq/pubs/insidest.html#ref8)
③ 業界による取組
(a) 規格
政府によるこれらの取組とは別に、業界による規格やラベルの制定等の取組も活発に行
われており、ここでは、そのうち、オフィス家具製造者協会(BIFMA)による規格につい
て記す。
BIFMAは、2005 年に、
「オフィス家具・椅子から放散されるホルムアルデヒド及び総揮発
性有機化合物の低放散基準 [ANSI/BIFMA X7.1-2007](ANSI/BIFMA X7.1-2007 Standard for
Formaldehyde and TVOC Emissions of Low-emitting Office Furniture Systems and Seating)」を制
定している。これは、米国規格協会(ANSI:American National Standards Institute)より正式
認可を受けている。本基準は、安全性、耐久性、構造的妥当性の評価について共通の基準
を示しており、ホルムアルデヒド及び総VOCの放散基準を設定している。本基準は、現在、
改定を行っている。また、別途、2008 年には、さらに厳しいVOC放散基準を含む家具のサ
ステナビリティ基準(BIFMA e3-2008 Furniture Sustainability Standard)を制定し、現在、ANSI
70
の認可待ちである。
表 3-6 BIFMAのホルムアルデヒド・VOCの放散基準(ANSI/BIFMA X7.1-2007)
ワークステーション
ホルムアルデヒド
総VOC
椅子
0.05 ppm以下
3
0.5 mg/m 以下
0.025 ppm以下
0.25 mg/m3以下
出典)Proposed-Revised Standard for Formaldehyde and TVOC Emissions of Low-emitting Office Furniture and
Seating
(b) ラベル制度
米国でも、非営利団体や業界団体により策定されたラベルが多数存在している。ここで
は、そのうち、グリーンガード及びグリーンシールについて、その概要を記す。
• グリーンガード50
グリーンガードは、2001 年に、米国の非営利団体、グリーンガ
ード環境研究所により策定されたラベルである。オフィス環境や
その他の室内空間において使用される製品の化学物質放散基準を
定めており、建材、仕上げ材、備え付け家具、家具、洗浄剤、電
子装置等が対象となっている。対象物質は、総VOC、ホルムアルデヒド、総アルデヒド、
4-フェニルシクロヘキセン、呼吸域粉塵等である。ホルムアルデヒド、VOCのばく露濃度基
準を表 3-7 に記す。
表 3-7 グリーンガードのホルムアルデヒド・VOCのばく露濃度基準(168 時間)
ホルムアルデヒド
総VOC
建材・仕上げ材、木材塗装、カ
ウンター、高級家具、画像表
示製品、家具ワークステーショ
ン、可動壁 等
OEM材、マットレス、ベッド、椅
子、テーブル、ワークステーシ
ョン部品、棚、子ども向け家具
等
0.05ppm以下
0.025ppm以下
0.5mg/m3 以下
0.25mg/m3 以下
出典)GREENGUARD INDOOR AIR QUALITY (IAQ) STANDARD FOR BUILDING MATERIALS,
FINISHES AND FURNISHINGS
50
グリーンガード ウェブサイト. http://www.greenguard.org/en/index.aspx(参照 2011-01-21)
71
• グリーンシール51
グリーンシールは、1989 年に、米国の非営利団体であるグリーンシ
ールにより米国で初めて策定された環境認証プログラムである。建材、
洗浄剤、清掃サービス、照明、塗料等に対して、ライフサイクルを考慮
して、持続可能性基準を設定している。VOC(初留点が 280℃以下で、
大気光化学反応に関与する有機化合物52)も対象となっており、濃度基
準は、製品カテゴリー毎に定められている。例えば、床材の塗料のVOC
濃度は、100g/L以下となっている。また、必須の要件ではないが、製品カテゴリーにかかわ
らず、省エネ、廃棄物削減、省資源、放散削減、生物多様性保全の分野において先進的な
製品について、その取組を促進させるために、任意の要件を定めるプログラム53を実施して
いる。その中では、VOCについては、VOCを添加していないこと(No added VOC)、VOC
濃度が 10g/L未満であること、VOCを添加していない旨を表示していることなどの要件を定
めている。
(5) (1)~(4)の整理
上記(1)~(4)で記した欧米における木製家具・木質材料からのホルムアルデヒド・
VOCの放散に関する法規制・規格の主なものを以下の表に整理する。
51
52
53
グリーンシール. ウェブサイト. http://www.greenseal.org/(参照 2011-01)
Green Seal, Inc. GS-11, Green Seal™ Standard for Paints and Coatings
Claim Verification Program。
72
<「3.1.1」
(1)~(4)の整理表>
国
規制
/基準
名称
化学物質禁止規則
(Prohibition of Chemicals
Ordinance - ChemVerbotsV)
[2003]
規制
ブルーエンジェル:低放散木質製
品・木質材料
(Blue Angel: RAL-UZ38
Low-Emission Wood Products
and Wood-Base Products)
[1978]
概
要
• 概要:有害化学物質及び調剤の上市、有害物質を含有または放散する物質、調剤、成形品の上
市を禁止する規則。
• 木質材料・家具に係る対象物質:ホルムアルデヒド
• 放散基準:ホルムアルデヒド 0.1ppm
※ただし、基準値は、木質材料に対して設定されている(完成品に対して基準値は設定されてい
ない)。
• 対象品:(同規則の対象物質にホルムアルデヒドが含まれ、そのホルムアルデヒドを使用している
以下の製品が対象)木質材料及びそれを使用した家具
• 対象者:規制対象物質、及び、それを含有・放散する製品を上市する者。
• 概要:「ブルーエンジェル」は、人の健康や環境の保護を目的に、製造から廃棄までライフサイク
ル全体にわたって考慮し、環境に配慮した製品やサービスに対する基準を設定。1978 年より導入
され、ドイツ連邦環境庁(UBA)、環境ラベル審査会、ドイツ品質保証・表示協会(RAL)によって運
営されている(ラベルの所有権は、ドイツ環境・自然保護・原子力安全省(BMU))。現在、約 90 製
品群で、合計約 11,500 品目が認証されている。対象製品は、木製家具、建材、塗料、木工玩具、
省エネ冷凍・冷蔵庫、再生紙、プリンターなど広範囲にわたる。
木製製品・木質材料に係る対象物質:(RAL-UZ38 の空気中濃度に関する基準)ホルムアルデヒ
ド、有機化合物、CMT 物質(発がん性、変異原性、催奇形性を示す物質)
• 放散基準:ホルムアルデヒド 0.05ppm
※加工前の木質材料に対する基準:ホルムアルデヒド 0.1ppm
• (RAL-UZ38 の)対象品:木質製品、木質材料
ドイツ
ゴールデンM
(Goldenes M)
任意規格
LGA schadstoffgeprüft
(LGA pollutant tested)
規制
化学製品及びバイオ技術生物に
関する法規
(KIFS 2008:2 — The Chemical
Products and Biotechnical
Organisms Regulations)
[2008]
スウェーデン
ノルディックスワン
(Nordic Swan)
[1998]
• 概要:「ゴールデン M」は、100 超の家具及びその部品メーカーが参画するドイツ家具品質協会
(Deutsche Gütergemeinschaft Möbel)による品質ラベル。ドイツ家具品質協会は、耐久性、機能
性、安全性、及び、健康や環境への適合性に関する品質・試験の規格(RAL-GZ 430)を策定。こ
れには、包装や輸送、廃棄、リサイクルに関する規則も含まれる。これらの品質を満たす家具に
は、RAL よりラベルが授与される。「ゴールデン M」は、基準や試験方法など、「ブルーエンジェル」
と緊密に連携しており、家具に使われる革や布地、木質材料などの基準を「ブルーエンジェル」と
同レベルにしたり、「ブルーエンジェル」に使用されているラベル番号を共通で利用している。
• 家具に係る対象物質:ホルムアルデヒド、VOC、革製品に対する特定物質(クロロフェノール・ブロ
モフェノール、2-[(チオシアノメチル)チオ]ベンゾチアゾール(TCMTB)など)、その他の物質(クロロ
フェノール、ピレスロイド/ペルメトリン、アゾ染料等)
※臭いに関する試験あり。
• 放散基準:【収納家具の場合】ホルムアルデヒド 0.05ppm
• 対象品:家具
• 概要:LGA ラベルは、ドイツにおける検査・認証機関である LGA(TÜV Rheinland LGA Beteiligungs
GmbH)による任意の認証制度で、机や椅子、マットレスからプリンター用のトナーまで、様々な室
内用製品を対象にしている。有害物質の放散レベルの要件を満たす製品には、ラベルを表示す
ることができる。
• 家具に係る対象物質:ホルムアルデヒド、VOC 等
• 放散基準:【家具の場合】ホルムアルデヒド 0.05ppm
• 対象品:机や椅子、マットレスからプリンター用のトナーまで、様々な室内用製品
• 概要:有害性の高い化学物質の使用について規制。
• 木質材料に係る対象物質:ホルムアルデヒド
• 放散基準:ホルムアルデヒド 0.124mg/ m3
• (ホルムアルデヒド基準が適用される)対象者:製造者、スウェーデンに木質材料を輸入する輸入
事業者
• 概要:ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、アイスランドが公式に採用する多国間
エコラベル制度。建材及び装飾品、自動車用品、家庭用暖房器具、家庭用化学品、機器、オフィ
ス機器、事務用品、紙パルプ製品、雑貨、サービス等を対象に、製品の製造過程における環境影
響に関する基準が設定されている。
• 木質材料に係る対象物質:ホルムアルデヒド
• 放散基準:ホルムアルデヒド 0.13mg/ m3
• 対象品:建材及び装飾品、自動車用品、家庭用暖房器具、家庭用化学品、機器、オフィス機器、
事務用品、紙パルプ製品、雑貨、サービス、その他
任意規格
家具の事実
(Mobelfakta)
[1972]
• 概要:スウェーデン木材家具業界団体(Swedish Association of Wood and Furniture Industry)が、
運用する任意のラベル制度。
スウェーデン木材家具業界団体が技術基準、環境基準、社会的責任基準を定めている。
• 家具に係る対象物質:ホルムアルデヒド
• 放散基準:ホルムアルデヒド 0.124mg/ m3
• 対象品:家具
(次ページにつづく)
73
<「3.1.1」
(1)~(4)の整理表>(つづき)
国
規制
/基準
EU
任意規格
名称
木製家具のエコラベル環境基準を
制定する委員会決議
(COMMISSION DECISION of 30
November 2009 on establishing
the ecological criteria for the
award of the Community
eco-label for wooden furniture
(2009/894/EC))
[2009]
木質材料のホルムアルデヒド放散
規制(Formaldehyde Standards for
Composite Wood Products Act)
[2010]
規制
米国・連邦
オフィス家具・椅子から放散される
ホルムアルデヒド及び総揮発性有
機化合物の低放散基準
[ANSI/BIFMA X7.1-2007]
(ANSI/BIFMA X7.1-2007 Standard
for Formaldehyde and TVOC
Emissions of Low-emitting Office
Furniture Systems and Seating)
[2005]
任意規格
米国・カリフォルニア州
規制
グリーンガード
(GREENGUARD)
[2001]
木質材料のホルムアルデヒド放散
削減のための空気中の毒性規制
措置
(Airborne Toxic Control Measure
(ATCM) to Reduce Formaldehyde
Emissions from Composite Wood
Products)
[2008]
概
要
• 概要:EU エコラベル(「フラワー(Flower)」)は、環境に配慮した製品やサービスの流通を意図
して、1992 年に設立された制度で、木製家具を含む 24 製品群を対象に、製品のライフサイク
ル全体を考慮した基準が設定されている。現在、建造物やパソコン等の製品群については基
準を策定中で、2015 年までに 40~50 製品群に拡大することを目指している。木製家具につい
ては、2009 年にエコラベル基準が設定された(2009/894/EC)。同基準では、接着剤や添加剤
中の有害化学物質の利用制限や組立品からの VOC の放散基準が設定されている。
• 木製家具に係る対象物質:ホルムアルデヒド、VOC、有害化学物質(特定の毒性を有する化
学物質、重金属など)
• 放散基準:【繊維板の場合】ホルムアルデヒド EN622-1の A クラスの基準値(9mg/100g)の
50%
• (2009/892/EC の)対象品:木製家具
• 概要:米国内で製造、上市、販売、供給される木質材料及び最終品に使用されるこれらの木
質材料を規制。木質材料に対してホルムアルデヒドの放散基準を設定(完成品に対しては設
定されていない)。MDF、パーティクルボードについては 2011 年 7 月以降、複合コア硬質合板、
薄い MDF については、2012 年 7 月以降、基準値が厳格化される。
• 木質材料に係る対象物質:ホルムアルデヒド
• 放散基準:【MDF の場合】ホルムアルデヒド 0.21ppm[~2011 年 6 月 30 日]、0.11ppm[2011 年
7 月 1 日(または規則施行日)~]
• 対象品:米国内で製造、上市、販売、供給される硬質合板、MDF、パーティクルボード、最終品
に使用されるこれらの木質材料
• 対象者:対象製品を扱うすべての者
• 概要:オフィス家具・椅子からの大気中へのホルムアルデヒド、VOC の低放散の要件(基準)
を規定。「ANSI/BIFMA」規格は、ホルムアルデヒド等の放散に関連する安全性のほか、耐久
性、構造的妥当性の評価の共通の基準を示したもの。家具製造者協会(BIFMA)により開発さ
れ、米国規格協会(ANSI)により正式認可を受けている。2008 年には、別途、VOC 放散基準を
含む家具のサステナビリティ基準を制定し、2011 年 2 月現在、ANSI の認証待ちである。
• オフィス家具・椅子に係る対象物質:ホルムアルデヒド、総 VOC
• 放散基準:【椅子の場合】ホルムアルデヒド 0.025ppm、総 VOC 0.25mg/m3
• 対象品:オフィス家具・椅子
• 概要:米国の非営利団体であるグリーンガード環境研究所により策定されたラベル。オフィス
環境やその他の室内空間において使用される製品の化学物質放散基準を規定。
• 建材・仕上げ材・家具に係る対象物質:総 VOC、VOC、ホルムアルデヒド、総アルデヒド、4-フ
ェニルシクロヘキセン、呼吸性粒子(respirable particles)等
• 放散基準:【椅子の場合】ホルムアルデヒド 0.025ppm、総 VOC 0.25mg/m3
• 対象品:オフィス環境やその他の室内空間において使用される製品(建材、仕上げ材、備え付
け家具、家具、洗浄剤、電子装置等)
• 概要:カリフォルニア州で製造、販売、供給される木質材料及び木質材料を使用した最終品を
規制。木質材料に対してホルムアルデヒドの放散基準を設定(完成品に対しては設定されて
いない)。製造者は、カリフォルニア州大気資源局により承認された第三者機関から放散基準
適合の検証を受け、製品にラベルを表示することが義務付けられている。履行確保のため、
査察が実施されることもある。
• 木質材料に係る対象物質:ホルムアルデヒド
• 放散基準:【MDF の場合】ホルムアルデヒ 0.21ppm[~2010 年 12 月 31 日]、0.11ppm[2011 年 1
月 1 日~]
• 対象品:カリフォルニア州で製造、販売、供給される硬質合板、パーティクルボード、中質繊維
板(MDF)及びこれらの木質材料を使用した最終品
• 対象者:パネル製造者、販売業者、輸入者、最終品組立業者、小売業者
74
3.1.2. ヒアリング調査実施概況
2010 年 10 月 18 日から 27 日に、スウェーデン、ドイツ、米国における政府機関、業界団
体、企業にヒアリング調査を実施した。
表 3-8 にヒアリング先一覧を記す。
表 3-8 ヒアリング先一覧
ヒアリング対象
実施日時
スウェーデン
ドイツ
米国
イケア(IKEA of Sweden AB)
2010年10月18日(月)13:00~14:00
スウェーデン環境保護庁(Swedish
Environmental Protection Agency)
スウェーデン化学物質庁(KEMI:
Kemikalieinspektionen)
フラウンホーファー ヴィルヘルム・クラ
ウディッツ木材研究所(WKI:Fraunhofer
Wilhelm Klauditz Institut)
ド イ ツ 連 邦 環 境 庁 ( UBA :
Umweltbundesamt)
ドイツ木材・プラスティック加工業連合
( HDH : Hauptverband der Holz und
Kunststoffe verarbeitenden Industrie)
米 国 環 境 保 護 庁 ( EPA : Environmental
Protection Agency)
カリフォルニア州大気資源局(CARB:
California Air Resources Board)
2010年10月19日(火)09:00~10:40
2010年10月20日(水)10:00~11:30
2010年10月21日(木)09:00~10:30
2010年10月22日(金)11:00~12:30
2010年10月25日(月)14:00~15:30
2010年10月27日(水)09:00~11:00
3.1.3. ヒアリング結果
(1) 論点別整理
ヒアリング調査結果を基に、以下に主要論点を整理する。
① 規制の履行確保手段
ドイツでは、化学品禁止規則の執行権限が州にあるため、履行確保も州によって行われ
ている。違反時には、禁固刑もしくは罰金が適用される。
建材の健康影響評価委員会(AgBB)スキームの履行の確保は、州の建設管理当局によっ
て行われている。査察は、ドイツ建設技術研究所(DIBt)から承認を受けた企業の製品群
75
全てに対して毎年行われ、違反の場合は、500,000 ユーロ(5,600 万円54)の罰金が科される
55
。
スウェーデンKEMIは、化学製品・バイオ有機体規則による木質材料のホルムアルデヒド
放散規制の履行を監視するため、ラベル表示を査察するなどしている。また、前述の製品
登録制度も木質材料のホルムアルデヒド放散規制の履行確保のための一手段となっている
るが、制度が開始された 2008 年では、家具の材料中にVOCを含有しているとの報告があっ
たのは、7 製品に止まっている。
米国(連邦)では、現在、「木質材料のホルムアルデヒド放散規制」の履行確保のための
手段について、検討中である。本規制では、木質材料に対して基準が設定されているため、
最終品から放散されるホルムアルデヒド濃度ではなく、木質材料から放散されるホルムア
ルデヒド濃度の測定が必要となる。そのため、最終品に組み込まれた木質材料については、
商品から木質材料を取り出すことなく最終品のまま試験を行っても、最終品を構成する木
質材料からの放散量を測定することのできる試験方法を検討している。その試験方法が確
立されれば、EPAが店舗から商品を引き取り、試験を実施する予定である。
違反時は、有害物質規制法(TSCA)の下、最大 37,000 ドル(約 307 万円56)、一日 500
ドル(41,500 円57)の罰金が科せられる。その他、商品の撤去、商品販売禁止の裁判所命令
等も行われる。また、偽証ラベル等は、刑事罰の対象となり、まれにそのようなケースも
ある。
カリフォルニア州CARBは、「木質材料のホルムアルデヒド放散削減のための空気中の毒
性規制措置(ATCM)」の履行を確保するため、①試買試験による検査、②第三者認証機関
によるラベル制度、③流通過程管理書類(Chain of Custody Documentation)を行っている。
①
試買試験による検査:店舗で、最終品も含めた商品を購入し、試験所で試験をして
いる。試験所での試験は、約 2 年前に始められた。
②
第三者認証機関によるラベル制度:CARB が認証した第三者機関によるラベルであ
るので、当該ラベルが表示されているということは、製品が規制を遵守しているこ
とを示すものである。従って、CARB の執行部が店舗でラベルが表示されているこ
とを確認している。
③
流通過程管理書類:基準に遵守した木質材料を使用していることを示す文書で、川
上から川下まで、当該文書を商品に添付して流通させなければならない。家具製造
者も川上から受け取った文書を、最終的には一般市民のレベルまで商品に添えて伝
54
55
56
57
1 ユーロ=112 円換算(2011 年 2 月為替レート使用)
UBA Indoor Hygiene, Health-related Environmental Impactsへの問い合わせに基づく(2010 年 1 月時点)
。
1 ドル=83 円換算(2011 年 2 月為替レート使用)
1 ドル=83 円換算(2011 年 2 月為替レート使用)
76
えなければならない。
上記①の試買試験を行うに当たり、最初のスクリーニング段階では、持ち運び可能なフ
ラット・チャンバー(Flat Chamber)と呼ばれる検査機器を用いて、店舗で試験を行ってい
る。このフラット・チャンバーでは試験できない、完全にコーティングされているような
最終品は、表面を剥がして試験を行っている。その際、試験方法は、
「(4)①(b)」に前述
した大型及び小型チャンバー試験が用いられる。
違反の際は、違反の度合いによるが、環境規制または刑法に対する違反として訴追され
る。罰金は、10,000 ドル(83 万円58)/日超で、違反企業は、公表される。
② 輸入品に関する問題及びその対策
ドイツでは、輸入品も化学品禁止規則の対象であるものの、実態としては、輸入品に対
する効果的な規制手段がなく、日本と同様に、輸入品に対する履行の確保が課題となって
いる。消費者も、より安価な輸入品を購入する場合もあり、ホルムアルデヒド・VOC 放散
レベルの高い安価な輸入品の問題を、商品選択の際に、認識できないこともある。このよ
うな輸入品問題に対して、政府は、市場の輸入品を購入し、放散や安全性に関する分析を
行い、現状の把握に努めている。その結果は、レポートにまとめられている。ドイツの家
具製造業界も、ドイツ製の家具がホルムアルデヒド・VOC 放散について厳しい基準を維持
していることを、消費者への情報提供を通じて啓蒙している。また、前述の冊子「テスト
(test)」により商品テストの結果を公表する仕組みは、輸入品に対しても有効に機能してい
る。
米国でも、中国からの輸入品の一部において、健康関連の問題が発生している。CPSC は、
実際に市場から輸入品を引き取って試験を行い、輸入品にリスクがあるとの調査結果を得
ている59。「木質材料のホルムアルデヒド放散規制」では、輸入品も対象となっており、輸
入される最終品に使用される木質材料も本規制の基準に従わなければならないため、輸入
品の品質改善が期待される。
カリフォルニア州では、家具の 65%を中国から輸入している。ATCM の下では、違反が
あった場合、その製品を所持したりその商品に関与した全ての事業者への責任の可能性を
考慮し、輸入業者にも責任を負わせることで、輸入品の規制を行っている。
③ 消費者の関心等
ドイツでは、環境や健康等に関心の高い消費者が多く、低ホルムアルデヒド・VOC 製品
が好まれる傾向にある60。しかし、近年、環境や健康に関するラベルの種類が増加し、各ラ
ベルの対象、目的、基準等を消費者が理解するのが難しい状況になっている。これについ
58
59
60
1 ドル=83 円換算(2011 年 2 月為替レート使用)
CPSC. Import Safety Strategy. 2008. http://www.cpsc.gov/businfo/importsafety.pdf(参照 2011-2)
2010 年 10 月に実施したWKIに対するヒアリングによる。
77
て、現在、EU レベルで、室内製品に対するラベルの調和について検討されている61。
米国では、ハリケーン・カトリーナ後に、ホルムアルデヒド濃度の高いキャンピング・
トレーラーが問題になったことにより、消費者の間でホルムアルデヒド問題やラベルに対
する理解や認識が進みつつある。家具等の輸入品の健康問題を認識し、価格が安くても輸
入品を購入しない消費者も多い。特に、子どものいる家庭では、その傾向が強い。一方で、
消費者の関心は、特定の製品や化学物質を取り上げるニュースに左右されるところが大き
い。また、消費者は、従来の商品と同額であれば環境によい商品を選択するが、環境によ
い商品が従来の商品より高額であれば選択しない、という調査結果もあり、デザイン等で
商品を選択する消費者も少なくない。さらに、一般的に、環境によい製品は低機能である
と考えている消費者もいる62。
④ 今後の規制の動向
ドイツでは、化学品禁止規則においては、木質材料や家具に対してホルムアルデヒドの
放散量を規制しており、一方、AgBB スキームにおいては、ホルムアルデヒドを含む VVOC
は対象外となっている。これについて、現在、ホルムアルデヒドを含む VVOC も AgBB ス
キームの対象とすることが検討されている。特に、ホルムアルデヒドは、多くの放散源が
あるために、室内空気質の観点で問題視されている。また、AgBB スキームに、臭いに関す
る基準を導入することも検討されている。これらに比べ、対応の優先度は落ちるが、AgBB
スキームの対象品を、建材から家具を含めたその他の消費者製品に広げることも検討され
ている。
さらに、ドイツは、EU レベルで進められている、室内で用いられる材料のラベルや放散
量試験及び評価方法の統一化の検討にも参画している63。
スウェーデンでは、現在、木質材料に対してホルムアルデヒドの放散量を規制している
が、木製家具に対しては、ホルムアルデヒド・VOC の規制をしていない。スウェーデン環
境保護庁及びスウェーデン化学物質庁へのヒアリングによれば、今後、現在優先的に取り
組んでいる建材を含め、建物内に使用される製品全般を対象として、ホルムアルデヒド・
VOC 規制を導入することはあっても、木製家具のみを対象として、ホルムアルデヒド・VOC
含有量や放散量を規制する必要性を感じていないと回答している。
米国(連邦)では、現在、木質材料を対象に、ホルムアルデヒドの放散量を規制してい
る。EPA へのヒアリングによれば、今後、ホルムアルデヒド以外に他の VOC を規制対象と
する重要性を認めておらず、その予定はないと回答している。「木質材料のホルムアルデヒ
61
62
63
Harmonised Framework on Indoor Material Labelling Schemes
2010 年 10 月に実施したEPAに対するヒアリングによる。
Harmonised Framework on Indoor Material Labelling Schemes
78
ド放散規制」は、米国議会の要請を受けて法制化したもので、EPA は、ホルムアルデヒド
や VOC 対策を喫緊の課題とは認識していない。
(2) ヒアリング結果(詳述)
ヒアリング結果の詳細は、第 5 章の「参考資料」を参照のこと。
3.2. アジア諸国
アジア諸国については、木製家具の我が国への輸入額の最も多い中国(平成 21 年現在)
及び、2 番目に多いベトナム(平成 21 年現在)を対象国として、木製家具からのホルムア
ルデヒド・VOC の放散に関する法規制や、関連業界の取組状況について現地ヒアリングに
よる調査を行った。
中国では、木質材料からのホルムアルデヒドの放散に関する法規制が敷かれているが、
ベトナムについては、同様の法規制については、現時点では未整備である64。
3.2.1. 関連法規制及び業界基準等
(1) 中国
① 関連法規制
中国では、木質材料からのホルムアルデヒド等の化学物質の放散に対して、以下の法令
により規制されている。
表 3-9 木製家具に関連したホルムアルデヒドなど化学物質規制
対象
木質材料
法令
【国家強制基準】
室内装飾材及び改装材-木製家具の有
害 物 質 制 限 ( Indoor decorating and
refurbishing materials-Limit of harmful
substances of wood based furniture)
(GB18584-2001)
概要
木製家具の装飾材および改装材中の
有害物質の許容限度値、試験方法等を
規定。
【許容限度値】
・ホルムアルデヒド≦1.5 mg/L
・(塗料中の)重金属
鉛≦90 mg/L
カドミウム≦75 mg/L
クロミウム≦60 mg/L
水銀≦60 mg/L
(次ページにつづく)
64
ベトナム環境・資源省(MONRE)、ベトナム科学技術省(MOST)へのヒアリングに基づく(2010 年 12 月時点)
。
79
表 3‐9 木製家具に関連したホルムアルデヒドなど化学物質規制(つづき)
対象
木質材料
法令
【国家強制基準】
室内装飾材及び改装材-木質パネルお
よびその製品のホルムアルデヒド放散
の 制 限 ( Indoor decorating and
refurbishing materials - Limit of
formaldehyde emission of woodbased
panels and finishing products)
(GB18580-2001)
概要
木質パネル等から放散されるホルム
アルデヒドの許容限度値(表3-11参
照)、試験方法等を規定。
室内空気
【国家推奨基準】
室内空気質基準
(GB/T18883-2002)
住宅及びオフィスの室内空気質の汚
染物質の基準値及び試料採取・試験方
法を規定。
【基準値】
・ホルムアルデヒド≦0.10 mg/m3
・総VOC≦0.60 mg/m3
・アンモニア≦0.20 mg/m3
・ベンゼン≦0.11 mg/m3
・NO2≦0.24 mg/m3
・SO2≦0.50 mg/m3
等
出典)各法令(GB18584-2001, GB18580-2001, GB/T18883-2002)
表 3-10 (参考)木製家具に関連したホルムアルデヒド・VOCの業界基準
対象
木質材料
(ラベル)
業界基準
【業界強制基準】
環境ラベル製品の技術要求(木質パネ
ル及びその製品)
(HJ 571-2010)
概要
木質パネル、床材、仕上げ材等の環境
ラベルに関する基本的要求事項、技術
的要求事項、試験方法について規定。
ホルムアルデヒドの放散量、総VOCの
放散速度を規定。
【許容限度値】
・ホルムアルデヒド(繊維板、パーテ
ィクルボード、合板等)≦0.12mg/m3
・ホルムアルデヒド(複合床材等)≦
0.08mg/m3
・総VOC≦0.5 mg/m2・h(72h)
出典)HJ 571-2010
80
表 3-11 木質材料から放散されるホルムアルデヒド許容限度値(GB18580-2001)
製品種類
MDF、パーティクルボー
試験法
許容限度値
使用法
≦9 mg / 100g
そのまま室内で使用可
≦30 mg / 100g
室内で使用するために処理
が必要
≦1.5 mg / L
そのまま室内で使用可
≦5.0 mg / L
室内で使用するために処理
が必要
チャンバー法
≦0.12mg/m3
そのまま室内で使用可
デシケーター法
≦1.5 mg / L
そのまま室内で使用可
抽出法
ド等
プライウッド、ブロック
デシケーター法
ボード等
木質パネル(ラミネート
フロア等)
出典)GB18580-2001
② 行政による履行確保65
政府は、一般的に、定期、あるいは不定期に抜き取り検査を行うことによって、製造者
等の履行確保を図っている。地方行政においては、検査人員が少なく、十分な履行確保の
体制の構築が課題となっている。
③ 輸出品対策66
木製家具製造者は、国家質量監督検験検疫総局(AQSIQ)への事前届出(輸出企業概要、
品質管理体制に関する資料、主要材料の明細や供給製造者リスト、企業の生産設備等の説
明)が義務付けられている。
AQSIQは、輸出企業に対して、定期または不定期に抜き取り検査を行っている。この他、
地方行政に対して、通知を発布し67、輸出品に対する査察・監視を強化するよう要請してい
る。
また、中国商務部(MOFCOM)、AQSIQ、中国軽工芸品輸出入商会(CCCLA)は、共同
で、「輸出用家具の品質・安全性管理のためのガイド(Guide of Quality & Safety Control to
Export-Oriented Furniture)」を公表している(2008 年)。
④ 今後の法規制の動向68
規制当局は、今後、木製家具に対する法規制については、現行基準の更新及び補完に重
点を置きつつ、法制度の整備を進めていく方針である。そのため、産業界からの理解が得
られ、また、政府が監視しやすい仕組みとし、業界全体で、法令遵守の意識を高めていく
65
66
67
68
中国環境保護部政策法規司政策法規処へのヒアリングに基づく(2010 年 11 月時点)。
中国環境保護部政策法規司政策法規処へのヒアリングに基づく(2010 年 11 月時点)。
国质检检函[2007]1011 号
中国環境保護部政策法規司政策法規処へのヒアリングに基づく(2010 年 11 月時点)。
81
ことが必要との見解を示している。
⑤ 家具業界の現状69
(a) 木製家具関連業界団体の取組
業界団体(広東省家具協会)には、木質材料、木製家具に関する自主的な基準や低ホル
ムアルデヒド商品に対する認証制度はない。
ホルムアルデヒドに関する対策として、特別な支援は行っていないが、国内外の業界の
技術情報の提供や、家具の輸出税還付等の支援(木製家具の輸出が増加しているため)を
行っている。
傘下企業からは、協会に対して、世界各国の木製家具の関連法令について、適時な情報
提供及び対応方策の具体的指導の要望を受けている。
消費者への支援としては、消費者からの苦情受付のための窓口(電話応答)を設置して
いる。また、消費者に対して、優良製造者の推薦、家具に関する注意喚起活動、品質優良
表彰大会の開催等を行っている。こうした取組を通して、消費者に優良企業の情報を伝え、
ホルムアルデヒドに対する注意を促している。
(b) 取引先(日本)の対応
日本の取引先からは、日本の関連基準を満たす品質を要求されることが多く、中国国内
の製造者は、積極的にその要請に応じている。検査データの提出やISOの認証取得をしてい
ることなどが求められる。
日本を始めとして米国、欧州向けの輸出製造者は、品質を重視しており、ホルムアルデ
ヒドに関する対策を個別にとっている。
(c) その他
製造者は、ホルムアルデヒドに関する対策を実施するのにかかる費用を輸出品価格に転
嫁するのは難しい状況である。中国では、ホルムアルデヒドの検査費用は、比較的小額(1,000
元~1,500 元(12,000 円~15,000 円70)/点)であり、一般的には価格に転嫁されない。
⑥ 消費者の関心について71
木製家具や建材等によるシックハウス問題は、消費者にとって重大問題と受け止められ
ている。シックハウス症候群の罹患も多く見られ、訴訟問題も増えている。特に、都市部
では、関心が非常に高まっており、コスト等のバランスを考慮しながら、シックハウス問
題を回避しようとしている。
中国環境保護部が実施した都市部の消費者向けの意識調査結果によれば、製品の人の健
69
70
71
中国広東省家具協会へのヒアリングに基づく(2010 年 11 月時点)。
1 元=12 円換算(2011 年 2 月為替レート使用)
中国広東省家具協会へのヒアリングに基づく(2010 年 11 月時点)。
82
康や環境への影響を非常に重視している。環境ラベルについても同様の認識を持っている72。
中国消費者協会は、過去に北京と杭州の 83 戸の改修済み室内環境状况について検査を実
施すると同時に、アンケート調査を実施した。その結果によると、発がん性のあるホルム
アルデヒドの放散値は、基準値を超過しており、アンケート回答者の多くに、鼻炎、気管
支炎、結膜炎等を発症し、頭痛、だるさ等の症状が見られた。これらの原因は、木質材料、
接着剤、塗料等によるものである。
このような状況下、環境配慮型の木製家具は、徐々に評価が高まってきており、同時に、
そうした製品の販売にも力が注がれてきている。
木製家具の購入時には、ブランド、検査合格標識、環境保護ラベル73の 3 つを判断基準に
する消費者が増加している。
(2) ベトナム
① 関連法規制74
ベトナムでは、木製家具を対象としたホルムアルデヒド、VOCに関連する法規制は、現
時点ではない75。
ベトナムでは、「製品及び商品の品質に関する法律」(以下、「品質法」という)(Law on
Products and Goods Quality)
(2008 年 7 月施行)により、
“製品・商品を製造又は取引をする
組織及び個人(例えば、製造業者、輸入業者、輸出業者、販売業者)
、並びにベトナムにお
いて製品・商品に関する活動をしている組織及び個人(例えば、消費者、適合性を判定す
る組織(conformity evaluation organization)、専門組織、消費者保護団体、製品・商品の品質
検査機関(product and goods quality examination agencies)及び製品・商品の品質検査局(product
and goods quality inspectorate))に関する権利及び義務76”が規定されている。品質法の下、
詳細を規定した政令(Government Decree)が複数発出されているほか、ベトナム科学技術
省(MOST:Ministry of Science and Technology)により、特定の分野の製品・商品の品質に
ついて規定した通達(circular)が複数発出されている。
参考までではあるが、木質材料に関連して、2009 年 6 月、おもちゃ(16 歳未満の子ども
向けのおもちゃ)の安全性に関する国家技術基準の公布及び実施に関する通達(Circular No.
18/2009/TT-BKHCN)77が発出された(2010 年 4 月施行)78。この通達では、物理的・機械
72
中国環境保護部政策法規司政策法規処へのヒアリングに基づく(2010 年 11 月時点)。
73
ISO14020 シリーズに基づく中国の環境ラベル制度。木製家具や木質材料のほか、消費者製品など幅広い
分野の製品を対象とする。
74
ベトナム環境・資源省(MONRE)International Cooperation Departmentへのヒアリングに基づく(2010 年 12 月時点)。
ベトナム環境・資源省(MONRE)International Cooperation Department、ベトナム科学技術省(MOST)へのヒアリン
グに基づく(2010 年 12 月時点)
。
76
(独)日本貿易振興機構(JETRO). 日系企業のためのベトナムビジネス法規ガイドブック. 2010.3
77
Circular No. 18/2009/TT-BKHCN on promulgating and implementing the National technical regulation on safety of toys
78
ベトナム計画・投資省(MPI:Ministry of Planning and Investment) ウェブページ.
http://www.business.gov.vn/DoPrintFrame.aspx?uctrl=pagedList&ekfldr=278&LangType=1033&printing=true&wholetopic=true
(参照 2011-2)
ベトナム標準・品質局(STAMEQ :Directorate for Standards and Quality) ウェブペー
75
83
的な要求事項の他、可燃性、電気的な安全性、ラベル、化学物質に関して規定されている。
このうち、ホルムアルデヒド関しては、3 歳未満の子ども向けのおもちゃに対して以下の通
り規制値が設定されている。
表 3-12 (参考)3 歳未満の子ども向けのおもちゃに対するホルムアルデヒド規制
対象
試験方法
要求事項
ホルムアルデヒド(布地)
TCVN 7421-1:2004
(ISO 14184-1)
≤ 30 mg/kg
ホルムアルデヒド(紙)
EN 645 / EN 1541
≤ 30 mg/kg
ホルムアルデヒド(樹脂で接着さ
れた木材)
EN 717-3
≤ 80 mg/kg
出典)Circular No. 18/2009/TT-BKHCN
79
② 輸出品対策80
ベトナムから国外への輸出品対策として、ホルムアルデヒド、VOCに関する対策は特に
行われておらず、一般的な通関検査が行われている。
なお、ベトナム商業省貿易促進庁(VIETRADE:Vietnam Trade Promotion Agency)は、国
際貿易センター(ITC)と共同で、「木製家具輸出のための市場ガイドライン(Marketing
Guidelines for Wood Furniture Exporters)」
(2007 年)を公表し、主要諸外国の市場や関連法制
度、輸出時の必要手続き等に関する情報提供を行うなどして、輸出製造者等への支援を行
っている。
③ 家具業界の現状81
(a) 木製家具産業界の現状
ベトナム国内で木製製品を製造する企業数は、約 3,000 社で、木製製品の主な輸出品目は、
床材、家具(机、いす)
、木材で、このうち、木材の輸出先の半分は日本向けである。
ベトナム国内で木製家具製造者など、輸出品を取り扱う企業は、取引国・取引先の規制、
基準に従った対応を個々に行っている82。一方、ベトナム国内向け製品を取り扱う企業につ
いては、ホルムアルデヒドに関する対策についての認識は高くはない。
(b) 木製家具関連業界団体の取組
業界団体(ベトナム木材・森林製品協会)では、傘下企業に対してホルムアルデヒド・
ジ.http://www.toyassociation.org/AM/PDFs/Safety/APECMeeting/tuan.pdf(参照 2011-2)
79
http://www.dncustoms.gov.vn/Data/CV_nganh_khac/18_2009_TT_BKHCN_26_06_2009.htm(参照 2011-2)
80
ベトナム環境・資源省(MONRE)International Cooperation Departmentへのヒアリングに基づく(2010 年 12 月時点)。
81
ベトナム木材・森林製品協会(Vietfores)へのヒアリングに基づく(2010 年 12 月時点)
。
82
ベトナム環境・資源省(MONRE)International Cooperation Departmentへのヒアリングに基づく(2010 年 12 月時点)。
84
VOCに関する特別な対策、支援は行っておらず、各製造者が、取引先向けの対応を個別に
行っている。一般的な業界支援としては、展示会開催、技術指導、情報提供などの取組を
行っている。
傘下企業からは、パートナー・顧客探し、宣伝活動、各国の市場動向、規制・基準等に
関する情報提供の要望を受けている。
3.2.2. ヒアリング調査実施概況
表 3-13 ヒアリング先一覧
ヒアリング対象
実施日
中国
ベトナム
中国環境保護部政策法規司政策法規処
2010年11月14日
広東省家具協会
2010年11月15日、16日
ベトナム環境・資源省(MONRE)
International Cooperation Department
2010年12月7日
ベトナム木材・森林製品協会(Vietfores) 2010年12月3日
85
3.3. 木製家具に関する法規制の日本と欧米諸国との比較
木製家具に関連するホルムアルデヒド・VOC 放散規制について、日本と欧米諸国との比較整理表を以下に記す。
表 3-14 木製家具に関連するホルムアルデヒド・VOC放散の各国法規制比較
日本
米国(連邦)
米国(カリフォルニア州)
ドイツ
スウェーデン
木製家具(完成品)
根拠法令
-
-
試験方法
-
-
木質材料
根拠法令
建築基準法
木質材料のホルムアルデヒド
放散規制 ( Formaldehyde Standards
F☆☆☆☆
≦0.005mg/m2・h
F☆☆☆
0.005<, 0.02≤mg/m2・h
F☆☆
0.02<, 0.12≤mg/m2・h
ベニアコア硬質合板 0.05ppm
• Phase1注1)
パーティクルボード 0.18 ppm
MDF 0.21 ppm
薄い MDF 0.21 ppm
複合コア硬質合板 0.08 ppm
• Phase2注1)
パーティクルボード 0.09 ppm
MDF 0.11 ppm
薄い MDF 0.13 ppm
複合コア硬質合板 0.05 ppm
木質材料のホルムアルデヒド
放散削減のための空気中の毒
性規制措置(ATCM)
-
※材料に対する試験
化学物質禁止規則
-
(ChemVerbotsV)
チャンバー法(DIN EN 717-1) -
※完成品に対する試験の結
果、木質材料に対して設定
されているホルムアルデヒ
ド放散規制値(0.1ppm 以下)
を満たしていれば、木質材
料に対して遵守すべきレベ
ルを達成しているとみなさ
れる(完成品に対する試験
でも可)。
•
上述の木製家具(完成品)に
同じ
上述の木製家具(完成品)に
同じ
化学製品及びバイオ技術生
物に関する法規(KIFS 2008:2)
• Phase1注2)
パーティクルボード 0.18 ppm
MDF 0.21 ppm
薄い MDF 0.21 ppm
複合コア硬質合板 0.08 ppm
ベニアコア硬質合板 0.08 ppm
• Phase2注2)
パーティクルボード 0.09 ppm
MDF 0.11 ppm
薄い MDF 0.13 ppm
複合コア硬質合板 0.05 ppm
ベニアコア硬質合板 0.05ppm
0.1ppm
0.124mg/ m3
for Composite Wood Products Act)
規制値(ホ
ルムアル
デヒド)
86
表 3-14 木製家具、木質材料からのホルムアルデヒド・VOC放散に関する各国法規制比較(つづき)
木質材料
試験方法
(compliance
method)
日本
米国(連邦)
米国(カリフォルニア州)
• 小型チャンバー法(JIS A
1901)
• デシケーター法注3)
<四半期毎>
• 大型チャンバー法(ASTM
E 1333-96)
• 小型チャンバー法(ASTM
D 6007-02)
<品質管理試験>
• 小型チャンバー法(ASTM
D 6007-02)
• デ シ ケ ー タ ー 法 ( ASTM
D5582-00)
• 大型チャンバー法(ASTM
E 1333-96)
• 小型チャンバー法(ASTM
D 6007-02)
ドイツ
スウェーデン
• チ ャ ン バ ー 法 ( DIN EN チャンバー法(SSEN 717-1)
717-1)
• ガス分析法(DIN EN 717-2)
• パーフォレーター法(DIN
EN 120)
注 1)パーティクルボード、MDF
「Phase1」
:規則施行日~2011 年 6 月 30 日 「Phase2」
:2011 年 7 月 1 日以降、あるいは施行日が 2011 年 7 月 1 日以降の場合、施行
日以降
複合コア硬質合板、薄い MDF 「Phase1」
:規則施行日~2012 年 6 月 30 日 「Phase2」
:2012 年 7 月 1 日以降、あるいは施行日が 2012 年 7 月 1 日以降の場合、施行
日以降
注 2)パーティクルボード「Phase1」
:
MDF
薄い MDF
複合コア硬質合板
ベニコア硬質合板
~2010 年 12 月 31 日
~2010 年 12 月 31 日
~2011 年 12 月 31 日
~2012 年 6 月 30 日
~2009 年 12 月 31 日
「Phase2」: 2011 年 1 月 1 日~
2011 年 1 月 1 日~
2012 年 1 月 1 日~
2012 年 7 月 1 日~
2010 年 1 月 1 日~
注 3)合板、木質系フローリング、構造用パネル、MDF、パーティクルボード、壁紙、壁紙施工用でん粉系接着剤、ホルムアルデヒド水溶液を用いた建具用でん粉系接着
剤及び塗料については、個別の日本工業規格(JIS 規格)又は日本農林規格(JAS 規格)に定められたガラスデシケーター法の試験及び判断基準により確認するこ
とができる。また、集成材又は単板積層材のように、これらに対応する JAS 規格にアクリルデシケーター法による試験及び判断基準の規定がある材料については、
JAS 規格のアクリルデシケーター法のより確認することができる。更に、上記の材料等を用いてボード状に加工した試験体での評価が可能であり、それが適切であ
ると判断される材料(判断根拠の詳細については、別に定める詳細規程による)についてはガラスデシケーター法により確認することができる83。
83
(財)日本建築総合試験所. ホルムアルデヒド発散建築材料の性能評価業務方法書. ウェブページ. http://www.gbrc.or.jp/contents/building_confirm/minister_authorization/sub/formaldehyde_rule.pdf
(参照 2011-2)
87
4. 有識者会議における議論の結果
本報告書の第 1 章から第 3 章において、国内外の木製家具に関する法規制や対策の現状、
消費者の木製家具からのホルムアルデヒド放散に関する関心・認識について、調査結果を
整理した。本章では、こうした国内外の現状を踏まえ、今後の木製家具のホルムアルデヒ
ド・VOC 対策のあり方に関する検討を行うため本事業において設置された、木製家具産業
を中心とした関連メーカー、産地、小売、卸、業界団体、研究機関、消費者、学識経験者
からなる有識者会議における議論の結果をとりまとめる。
以下に、有識者会議の開催概況及び委員、議論の主要論点を記す。
4.1. 開催概況
表 4-1 有識者会議開催概況
開催日時
議事
配布資料
第1回
2010年11月5日(金)
14:00~16:00
・国内におけるVOC
対策の現状と課題
について
第2回
2010年12月3日(金)
14:00~16:00
・消費者の関心・認
識等について
・諸外国における関
連法制度、業界自
主基準と我が国の
現状について
•資料1:本委託事業の背景・目的(仕様書)
•資料2:有識者会議 全3回の主な議題
•資料3:国内ヒアリングによるホルムアルデヒド・
VOCに関する取組の現状・課題等の調査結果
•資料4:
(社)日本家具産業振興会 傘下企業に対す
るVOC対策実施に関するアンケート調査結果
・資料1:第1回有識者会議の意見整理及び議事録
・資料2:消費者の木製家具に関する意識調査結果
・資料3:PIO-NETにみる家具のホルムアルデヒド・
VOCに関する消費生活相談
・資料4:諸外国における関連法制度、業界自主基
準等の調査結果
-資料4-1:欧米関連法令及び業界基準の概要一
覧
-資料4-2:欧米ヒアリング結果(詳細)
-資料4-3:中国における関連法令及び業界等の
取組状況調査結果
・参考資料1:厚生労働省「室内空気中の化学物質
濃度の実態調査」結果(平成14年度~平成17年度)
・参考資料2:国民生活センター「木製ベッドから
発生する化学物質等-ホルムアルデヒドを中心
に-」(平成20年)
88
表 4-1 有識者会議開催概況(つづき)
開催日時
2011年2月9日(水)
14:00~16:00
第3回
議事
配布資料
・今後の木製家具の
ホルムアルデヒ
ド・VOC対策のあ
り方に関する論点
整理
・資料1:第2回有識者会議の意見整理及び議事録
・資料2:有識者会議における議論の主要論点(た
たき台)
・参考資料1:
【訂正版】欧米における木製家具等か
らのホルムアルデヒド・VOCの放散に関する法
規制・規格一覧
・参考資料2:第2回有識者会議で委員より出された
ご質問、ご指摘等に対する回答
-参考資料2-1:欧米諸外国のヒアリング調査の
補足
-参考資料2-2:消費者アンケート調査の補足
4.2. 有識者会議委員
※敬称略(五十音順)
【委員】
○学識経験者(2 名)
田辺
東
新一
賢 一
早稲田大学創造理工学部建築学科 教授
近畿大学医学部環境医学・行動科学教室 講師
○業界団体(3 団体)
上田
隆司
全日本ベッド工業会 技術委員会 委員長
根上
和彦
(社)日本建材・住宅設備産業協会 建材事業部 事業部長
橋本
久幸
(社)日本家具産業振興会
○研究機関(2 機関)
藤本
哲夫
(財)建材試験センター 中央試験所 環境グループ 統括リーダー
吉田
梨沙
(独)国民生活センター 商品テスト部 主事
○消費者団体(1 団体)
剣持
敏一
(財)日本消費者協会 総務部長
○産地(1 団体)
松永
祐司
静岡県家具工業組合 副理事長
○メーカー(2 社)
栗原
英昭
カリモク家具(株) 生産統括センター 技術グループ 次長
天満
啓司
コイズミファニテック(株) お客様相談室 室長
89
○小売(3 社)
杉 山
清
利根川
隆弘
橋本
栄二郎
(株)ニトリ 取締役、専務執行役員
(株)東京インテリア家具 取締役、商品部 部長
(株)ディノス フルフィルメント本部 品質管理部 グループリーダ
ー
○卸(1 社)
為家
勝昭
ジェフサセントラル(株) 常務取締役
【オブザーバー】
○業界団体
杉 本
浩
(社)日本家具産業振興会 専務理事、事務局長
丸山
郁夫
(社)日本家具産業振興会 課長
高橋
富雄
(社)日本建材・住宅設備産業協会 VOC審査委員
石川
康博
(株)ディノス フルフィルメント本部 品質管理部 部長
佐藤
和明
(株)ニトリ 品質業務改革室・技術グループ マネージャー
○小売
90
4.3. 主要論点
本事業では、
「木製家具のVOC対策等実態調査及び今後のあり方を検討する調査事業」に
おいて、木製家具および木質材料からのホルムアルデヒド・VOC放散に関連する国内外の
法規制、関連業界の取組の現状及び課題等について、調査を行った。実態としては、ホル
ムアルデヒドを中心とした対策が進んでおり、また、国内における関連業界へのヒアリン
グ調査や有識者会議での議論においても、ホルムアルデヒドに関連する対策、課題が主で
あった。
このため、以下の論点とりまとめに当たっては、木製家具および木質材料からのホルム
アルデヒドの放散に関わる点を中心に整理を行った。
なお、ここで「木製家具」とは、
“総務省「日本標準商品分類」に基づく「家具」のうち、
主として、木材、木質材料(合板、繊維板、パーティクルボード等)で構成される家具(完
成品)”を指すものとする84(ただし、「建築基準法の規制の対象となる造り付け家具85」を
除く)。
4.3.1. 我が国における木製家具および木質材料からのホルムアルデヒ
ド・VOCの放散に関する法規制および対策の現状
我が国においては、木製家具からのホルムアルデヒド・VOCの放散に関する法規制は
ない86。
ただし、建築材料は、建築基準法の規制の対象であり、ホルムアルデヒドおよびクロ
ルピリホスに関する規制がある。ホルムアルデヒドについては、それを放散する建築材
料を内装の仕上げに使用する際の面積制限、換気設備の設置義務付け、天井裏に使用す
る建築材料の制限、あるいは換気設備による換気等の義務付けがあり、クロルピリホス
については、それを添加した建築材料の使用が禁止されている。
国内では、木製家具の材料(木質材料、塗料、接着剤)については、ホルムアルデヒ
ド放散等級F☆☆☆、F☆☆☆☆の材料の流通が主流となっている。木製家具に対するホ
ルムアルデヒド・VOCの放散に関する法規制がない87中で、こうした流通の状況に加え
て、市場からの要請、あるいは、企業の社会的責任といった観点から、各メーカーは、
F☆☆☆あるいはF☆☆☆☆の材料の調達・利用等の材料対策を中心に取組を行っている。
84
机、いす、たんす、戸だな、ベッド等
平成 14 年国土交通省告示第 1113 号、第 1114 号および第 1115 号対象の建築材料が使用された造り付け家具
86
ただし、
「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」により、国等については、環境物品等の調達の推進を
図るための方針の作成・公表、当該調達方針に基づく物品等の調達が義務付けられている。その規定において、
「オフィ
ス家具等」については、その大部分の材料が木質の場合、ホルムアルデヒドの放散に関する要件を満たした物品の調達
が求められる。
87
脚注 86 に同じ。
85
91
さらに、木製家具の業界団体や一部企業(メーカー、小売)は、使用材料のホルムアル
デヒドの放散に関する基準を自主的に定め、適合製品にはラベルを表示するなどして、
傘下企業も含めた取組を進めている。
なお、塗料業界、接着業界でも、従前より自主的な取組が進んでおり、ホルムアルデ
ヒド、あるいはVOCについて、自主表示ガイドライン、自主管理規定が策定されるなど、
対策が進められている。また、建築業界においても、ホルムアルデヒドおよびVOCに関
して自主表示制度を整備するとともに、住宅部品・設備機器・建具・収納については、
完成品としてホルムアルデヒド放散性能が明示されるよう表示ガイドラインが策定さ
れている。
品質管理/品質保証の手段としては、基本的には、木質材料、木製家具の調達時に、
材料の第三者機関による試験成績証明書等の取得が行われている。これに加えて、調達
品に対して、自社での抜き取り試験の実施、あるいは、製造委託先に出向いての品質や
製造工程の監査等の取組も見られる。
一方、木製家具の完成品対策については、大手企業の中には、製品型式毎の使用材料
の管理、大型チャンバーによる定期的な試験を行っている企業もあるが、試験費用の負
担や管理の手間が大きい等の理由により、各社、対策の状況に差が見られる。
木製家具および木製家具に使用される木質材料からの化学物質の放散試験は、主とし
て、ホルムアルデヒドを対象として実施されている。各社対応は異なるが、ホルムアル
デヒドの他、企業によっては、トルエン、キシレン等のVOCについても試験を行ってい
る。
かつて、シックハウス症候群が大きな社会問題になって以降、国内では、上述のよう
に、ホルムアルデヒドの放散に関する対策を中心に、木製家具の業界団体、メーカー、
小売、卸各社の自主的な取組が進んでいる。
4.3.2. 諸外国における木製家具および木質材料からのホルムアルデヒ
ド・VOCの放散に関する法規制および対策の現状
本事業では、EU、ドイツ、スウェーデン、米国(連邦およびカリフォルニア州)の
法規制および対策の現状について調査を行った。これらの欧米 3 ヶ国では、いずれの国
においても、木質材料88からのホルムアルデヒドの放散に関する規制値が設定されてい
る。また、ドイツ、カリフォルニア州では、木質材料に加えて、木質材料を含む完成品
も規制の対象となっている。
産業界による取組は積極的に行われており、業界団体は、木製家具や木質材料89に対
して、ホルムアルデヒド、VOC等の放散に関する自主基準を設定し、適合品に対してラ
ベル表示を行い、消費者への情報提供に努めている。EUでは、「フラワー」、ドイツで
88
89
各国の根拠法令における定義に従う。
各任意規格等における定義に従う。
92
は、「ブルーエンジェル」や「ゴールデンM」、スウェーデンでは、「ノルディックスワ
ン」等が、米国では、
「グリーンガード」等のラベルが浸透している。
アジア諸国については、本事業では、中国およびベトナムを対象国として調査を行っ
た。中国においては、木質材料に関するホルムアルデヒドの放散に関する法規制が敷か
れている。ただし、中国国内メーカーの大部分を占める中小企業の関連法令の遵守意識、
また、行政による履行確保のための体制は十分ではないとの指摘もある。ベトナムにつ
いては、関係省庁へのヒアリングによれば、現時点では、木製家具および木質材料から
のホルムアルデヒドの放散に関する法規制はない。
国によって木製家具や木質材料からのホルムアルデヒド・VOCの放散に関する規制や
対策の状況が異なる諸外国では、流通している材料の品質レベルについても、必ずしも
我が国と状況は同じではない。しかし、当該国においても、生産委託元の品質要求に対
応しているメーカーもある。また、現地生産を行っている日本メーカーでは、日本国内
で使用している材料と同等の品質の材料を用いて生産・管理を行っている場合が多い。
輸入品対策として、生産委託先からの試験成績証明書等の取得、あるいは自社での抜
き取り検査も一部企業でなされているものの、試験成績証明書と実際の品質が異なると
いった事例や、輸送中の管理の不備による品質劣化といった事例が起きている。
実際、2008 年 10 月に、
(独)国民生活センターより公表された「木製ベッドから発
生する化学物質等-ホルムアルデヒドを中心に-」の比較的安価な(50,000 円以下)組
立て式木製ベッド(引き出し付、マットレスなし)7 銘柄を対象とした試験結果による
と、新品のベッドを組み立てて、
“設置 1 日後に、7 銘柄中 3 銘柄で室内濃度指針値を
上回るホルムアルデヒド濃度となった。そのうち 1 銘柄は指針値の 7 倍以上であり、2
銘柄は 15 日経っても指針値を上回っていた”という結果であった。この 3 銘柄は、い
ずれも輸入品であった。
4.3.3. 木製家具からのホルムアルデヒド・VOCの放散に関する問題に
対する消費者の認識、関心について
消費者は、ホルムアルデヒドに関して、その用語や人の健康に影響がある点について
の認知は進んでいるものの、関連業界団体や一部企業が貼付しているホルムアルデヒド
対策製品のラベル表示や、ホルムアルデヒド放散等級表示についての認知度は低い。一
方で、本事業で実施した消費者アンケート結果によると、ホルムアルデヒド等の化学物
質対策製品の購入意欲に対する質問で、対策製品とそうでない製品があった場合、「価
格が高くても対策品を購入する」、あるいは「価格次第でできるだけ対策品を購入する」
と回答した割合は、約 7 割であった。
メーカーや小売、研究機関等に寄せられる木製家具に関する消費者からの問い合わせ、
クレームの内容としては、製品開梱時等の臭いに関するものが多い。そのうち、一部で
93
は、健康被害も発生している。(独)国民生活センターの「全国消費生活情報ネットワ
ーク・システム(PIO-NET:パイオネット)」によると、過去約 10 年間(2000 年度以降
受付、2010 年 10 月末登録分まで)に、家具(家具・寝具のうち、ふとん類、こたつ用
品を除く)に関する相談が 30,360 件寄せられ、そのうち、臭いや化学物質に関するも
のは 1,945 件、さらに、そのうちの 812 件が危害情報(生命や身体に危害を受けた情報)
となっている90。
臭いに関する問い合わせやクレームを受けた場合、各社、状況に応じて、製品の引き
取り、ホルムアルデヒド・VOC試験の実施等の対応を行っている。しかし、試験の結果、
化学物質の放散について、異常は検出されないといった結果が得られる場合もある。
4.3.4. 「4.3.1」~「4.3.3」から導かれる課題
国内外における木製家具および木質材料からのホルムアルデヒド・VOCの放散に関す
る対策、消費者の関心等の現状において、以下のような課題が挙げられる。
(1) 品質管理/品質保証
・等級の異なるホルムアルデヒド放散等級の木質材料、木製家具を、同空間内で保管、
あるいは輸送する場合、異なる等級の木質材料を同空間内で保管すると、品質の高い
方の等級が下がってしまうことがあることから、品質を維持・確保するためには、保
管、輸送等の管理の手間、コストがかかる。輸入品についても、輸送中の保管状況に
よっては、出荷時の品質から劣化する場合がある。
・木製家具、木質材料の製造委託先から取得した試験成績証明書に記載のある品質と実
際に納入された製品の品質が異なる事例が起きていることから、試験成績証明書の取
得に加えて、自社での検査体制を整備し、二重に品質を確認するなどの取組も一部に
見られる。しかし、こうした対応には、手間、コストの負担が大きいことから、企業
規模によっては対応に限界がある。
(2) 対象物質
・消費者の木製家具の臭いに関する問い合わせ、クレームは、木製家具に対する他の問
い合わせ、クレームと比べて多い。一方で、臭いの感覚には個人差があり、また、現
時点では、臭いとその原因物質との因果関係が明確になっていないという状況下にお
いて、どの物質に対して、優先的に対策をとるべきかについては、懸念物質の優先順
位を決めるスクリーニングの実施の如何も含め、検討が必要である。
・消費者にとって、ホルムアルデヒドに対する認知度は高く、また、臭いの原因物質であ
ると捉えられがちである。しかし、実際には、臭いの原因物質は、ホルムアルデヒドだ
90
第 2 回有識者会議における委員提示資料に基づく。
94
けではなく、消費者の認知と科学的な事実にズレが生じている部分もある。
(3) 輸入品対策
・木製家具および木質材料からのホルムアルデヒド・VOCの放散に関する規制のない諸
外国からの輸入品については、当該国において、輸出向け製品と当該国内向け製品間
で、品質に著しい差が見られる場合がある。そうした国から製品(材料、完成品)を
輸入する場合、自社、取引先の管理体制を含め、その品質をどのように担保するかが
課題である。輸入品の中には、ホルムアルデヒド・VOCの放散レベルの高い製品があ
り、購入した消費者に健康被害が発生する事例も報告されており、品質管理に対する
関連業界のモラルの向上が求められる場面も見られる。
・国内品と同様、輸入品についても、木製家具、木質材料の製造委託先から取得した試
験成績証明書に記載のある品質と実際に納入された製品の品質が異なる事例が起き
ており、この割合は、国内品に比べて多い。試験成績証明書の取得に加えて、自社で
の検査体制を整備し、二重に品質を確認するなどの取組も一部に見られるが、手間、
コストの負担が大きく、こうした対応には企業規模によっては限界がある。試験成績
証明書の取得以外にも、あるいはそれと組み合わせて、輸入品の品質を担保できる方
策の検討が必要である。
(4) 消費者への情報提供
・関連業界団体や一部企業が貼付しているホルムアルデヒド対策製品のラベル表示に対
して、消費者の認知度が低いという状況の背景には、木製家具の売場において、木製
家具のラベル表示の種類が多く煩雑になる、販売店側で販促したい製品の販売の妨げ
になるなどの理由により製品にラベル表示がなされていない、あるいは、国産品の流
通量そのものが相対的に少ないといった要因が挙げられる。木製家具からの臭いによ
る健康被害が一定程度発生している中、現状では、消費者の製品選択時に、当該製品
に係る人の健康への影響に関する十分な情報提供がなされているとは言えない状況
にある。
・近年、概して、消費者のシックハウス問題に関する関心が低下している中、人の健康
影響リスクの低減、国内産業の振興の観点から、今後、関連業界団体や一部企業が実
施しているホルムアルデヒド対策品のラベル表示をいかに活用していくか、その方策
を検討するとともに、関連業界団体、メーカー、小売が連携することにより、消費者
のラベル表示等の認知度を上げるための取組が必要である。
・消費者の購入時の選択嗜好性について、製品価格による影響はあるものの、一定程度
の割合で、ホルムアルデヒド等の化学物質対策製品の購入意欲も見られる。関連業界
団体、メーカー、小売、卸が、木製家具からのホルムアルデヒドの放散に関する対策・
表示の取組を進めると同時に、行政や業界団体、メーカーを中心に、消費者の理解を
95
促す積極的な情報提供がなされることで、消費者自身のリテラシーが向上し、消費者
自らの判断により対策製品が選択される好循環が生まれることも期待される。
(5) 木製家具に関する基準
・建築業界においては、F☆☆☆、F☆☆の建築材料は、建築基準法により使用面積の制
限を受けるため、木製家具業界は、住宅メーカーから、木製家具についてもF☆☆☆
☆材を用いた製品の要請を受けている。一方で、木製家具業界では、建築基準法やそ
の他法令により、ホルムアルデヒドの放散に関する法規制は受けない91。木製家具メ
ーカーにとっては、業界によって業界標準/規制基準が異なる中で、上記で述べた品
質管理等に関する課題も抱えながら、他業界からの品質に関する要請に応えざるを得
ない状況下にあり、中小規模の事業者の多い木製家具業界においては、人的資源、金
銭的資源の両面から、負担が大きい。
・上述の課題の解決に向けた方策の一つとして、木製家具に対する統一的な基準やガイ
ドラインを策定することも、検討の余地があると考えられる。ただし、ホルムアルデ
ヒド・VOCに関するガイドラインや基準の検討に当たっては、関連業界の現状、科学
的な見地から、以下の点を踏まえる必要がある。
【ガイドラインあるいは基準検討時の課題】
‐ガイドライン策定や基準設定の検討時には、それによる社会コストへの影響につい
ても考慮が必要である。
‐人の健康への影響との因果関係(臭いと懸念物質との関係等)を明確にして、対策
をとるべき物質(対象物質)を選定する必要がある。
‐ホルムアルデヒド・VOCの人の健康への影響については、アレルギー体質であるか
否か、既往症の有無、また、人の発達段階(乳幼児)等によって、問題となるレベ
ルが異なってくることについても考慮する必要がある。
‐木製家具業界とその他の関連する業界で標準となっている基準との関係性を考慮
する必要がある。
‐木製家具の設置環境(住宅の気密性、設置家具の個数、室内温度・湿度等)により、
ホルムアルデヒドの室内濃度は変わる。基準検討時には、木製家具を構成する木質
材料、接着剤、塗料等の製品規格を基に検討するなどの方法が考え得る。
‐基準検討時には、適合品の認定に関して、その対象(材料、完成品)や方法につい
ても検討に含める必要がある。
91
脚注 86 に同じ
96
5. 参考資料
第 3 章「3.1 欧米諸国」に記した現地ヒアリングの議事録を以下に記す。
5.1. ドイツ
5.1.1. ドイツ連邦環境庁(UBA:Umweltbundesamt)
(1) ヒアリング実施概要
• 日時:2010 年 10 月 21 日 09:00~10:30
• 場所:UBA
• 対応者:UBA
環境衛生・生態系保護局(Health-related Environmental Protection, Protection of
Ecosystems)
室 内 衛 生 、 健 康 関 連 環 境 影 響 ( Indoor Hygiene, Health-related Environmental
Impacts)
Ana Maria Scutaru氏
(2) ヒアリング内容
① 関連法規制等について
(a) 化学品禁止規則(Chemical Prohibition Ordinance)について
・ 化学品禁止規則は、特定の化学物質を含有した商品の上市を規制するもので、ホルムア
ルデヒドに関しては、0.1ppm 超のホルムアルデヒドを放散する木質材料(パーティクル
ボード、ベニア板、単板シート、繊維板)及び、その木質材料を使用した家具の上市が
禁止されている。現在、家具の材料からのホルムアルデヒド放散を規制する唯一の法律
である。
・ 輸入業者も同規則の規制対象であるが(輸入業者も家具に使用される木質材料からのホ
ルムアルデヒド放散を 0.1ppm 以下に抑えなければならない)
、輸入品に対しては、効果
的な規制手段がなく、規制は効果を挙げていない。従って、基準を満たしていない輸入
97
品がドイツの市場に出回っている可能性はある。
・ 基準を満たした木質材料を使用した家具であっても、一つの部屋の中にホルムアルデヒ
ドを放散する複数の家具や他の製品、タバコの煙等があれば、問題となり得ることを考
慮すると、現状の 0.1ppm より厳しい基準値を設定しておくべきだと認識している。建
材の健康影響評価委員会(AgBB)ワーキンググループでも、この問題を議論している。
ただし、AgBB が対象とするのは、VOC のみであり、ホルムアルデヒドは、現在は対象
外である。
・ 木質材料のホルムアルデヒド放散基準は、E1(ホルムアルデヒドの室内大気への放散が
0.1ppm 未満)
、E2(ホルムアルデヒドの室内大気への放散が 1.0ppm 未満)、E3(ホルム
アルデヒドの室内大気への放散が 2.3 ppm 未満)の 3 段階で評価されている(基準値は
いずれもパーティクルボードの場合)。ドイツで販売が許可されるのは、化学品禁止規
則に規定されている、放散量が 0.1ppm 以下の E1 レベルの製品のみであるが、欧州の他
の国では、E2 レベルの製品が許可されている国もある。
(b) 建材の健康影響評価委員会(the Committee for Health-related Evaluation of
Building Products ( AgBB : Ausschuss zur gesundheitlichen Bewertung von
Bauprodukten))スキームについて
・ AgBB スキームは、建材を対象に、ドイツ各州の建築法(building codes of the Federal States
(Länder))や EU の建設製品指令(CPD)の要件が満たされるよう建材の健康影響評価を
確立することを目的とし、放散試験方法及び評価基準を定めたものである。ドイツ建設
技術研究所(DIBt:Deutsches Institut für Bautechnik、建材及び建築様式に認可を与える
政府機関)による建材の認可に用いられる。
・ AgBB スキームの対象製品は、現在は、建材のみで、家具は対象外であるが、今後は、
家具やその他の消費者製品にも対象範囲を広げていくことを検討する予定である。
・ AgBB スキームの対象物質は、VOC(沸点範囲が 50-100℃~240-260℃の間の揮発性有
機化合物)のみで、ホルムアルデヒドを含む VVOC(Very Volatile Organic Compounds、
沸点範囲が 0℃未満~50-100℃の間の揮発性有機化合物)は対象となっていない。これ
は、VOC に適用している試験方法を VVOC には適用できず、VVOC には新たな試験方
法が必要なためである。今後は、ホルムアルデヒドを含めた VVOC も対象とするよう
改正を行う予定である。
・ AgBB スキームは、2000 年当初、任意のものとして導入され、UBA は業界とも協議を
重ねた。2000 年から 2004 年の初期段階には、製造者が AgBB スキームの測定、評価方
法に従って多くの試験を行った。その後、業界も含めて 2 回の会議を開催し、本スキー
ムの仕組みの向上や実現可能性等を検討し、2005 年に DIBt の認可ガイドラインに導入
された。これにより、ドイツで建材を販売するためには、AgBB スキームに従って試験
98
を行い、DIBt からの認可が得ることが義務付けられた。
・ VOC を含有する製品を扱う木製製品業界からは、VOC が規制対象となることについて、
あまり好ましく思われなかったが、UBA は AgBB スキームを立ち上げてからの 10 年の
間、低放散商品の製造を目指す木製製品業界と協力してきた。
・ AgBB スキームでの化学物質の評価には、室内空気最小濃度(LCI:Lowest Concentration
of Interest)を用いており、製品の化学物質放散濃度は、物質毎に定められた LCI 値と比
較される。ある製品に含まれる物質濃度に対する LCI 比が 1 を超過すると、ドイツでは
販売することが出来ない。
・ 欧州では、化学物質の評価に用いられる上記の LCI 制度について、調和化を図っている。
現在、ドイツ以外に LCI 制度を用いているのはフランスのみだが、フランスの LCI 制度
はドイツとは異なった基準となっている。
・ AgBB スキームの LCI リストは、オープンリストであり、製造者から、化学物質のリス
トへの掲載申請を受け付けている。試験を行っても特定できない物質や LCI リストに含
まれていない物質に対しては、評価不可能な化合物(Non-assessable compounds)として
基準値が設けられているが(これらの物質は必ずしも危険とはいえないため、LCI 物質
より高い基準値が設けられている)
、安全性が評価され LCI リストに組み込まれること
で、より緩い基準値が設定されることもあるため、製造者が申請を行うことができるよ
うになっている。昨年受け付けた申請の多くは、オランダ等の外国から受け付けている。
・ 現在の AgBB スキームには、臭いに関する統一の試験方法や評価方法がないため、今後
は臭いに関する試験も導入する予定である。現在、臭いの評価方法について調査を行っ
ている。建材からの臭いに関しては、ISO16028 による標準化も進んでいる。
② ラベルについて
・ 現在ドイツ国内には、任意のラベルが数多く存在している。
・ ブルーエンジェルは、認証機関による試験において、UBA が設定した環境や健康への
影響、安全性、機能性、リサイクル可能性、エネルギー消費等の基準すべてに合致した
商品にのみ、ドイツ品質保証・表示協会(RAL:Deutsches Institut für Gütesicherung und
Kennzeichnung)から授与されるラベルである。輸入商品の場合も、試験を行い基準に合
致した場合にのみ、ブルーエンジェルが授与される。
・ ブルーエンジェルの総 VOC 放散基準値は、例えばフロアリングの接着剤の場合、28 日
間のチャンバー試験で 0.1mg/m3 以下となっている。AgBB スキームの基準値が 1.0mg/m3
であるのと比較し、厳しい基準となっている。
・ 100 超の家具製造者が参画するドイツ家具品質協会(Deutsche Gütergemeinschaft Möbel)
は、低放散製品に対し、“Golden M”のラベルを表示している。“Golden M”は、耐久性、
機能性、安全性及び、健康や環境への影響の基準に合致した家具に授与されるラベルで、
ラベルは RAL より授与される。また、ドイツ家具品質協会では、劣悪な輸入品に対し
99
ても、消費者に情報提供するなどして手を打とうとしている。ただし、実際の対策を実
施できるのは、政府のみである。
・ 政府は、ブルーエンジェルや“Golden M”を初めとするラベルについて、一般市民にパン
フレット等を通して情報提供を行っている。ただし、ラベルを表示していない家具がよ
り安価であれば、消費者がそちらに流れてしまうので問題である。
・ 消費者がラベルを理解しているかどうかについては、ラベルの数が多いのが問題である。
ラベルによっては、材料としての材木を規制するものや、生産過程に児童労働の関与が
ないかを表示するものなど、様々である。どのラベルが、何を対象に、何を規制しよう
として、どの基準で表示されているかを消費者が理解するのが難しい状況になっている。
・ このような状況を受けて、統一の基準を持って屋内製品からの化学物質放散による健康
影響を評価するため、室内製品に対するラベル制度の調和化が、現在 EU レベルで進ん
でいる。短期間に効率的に調和化を図るため、小規模のワーキンググループから始め、
フランス(AgBB スキームと同様のスキームあり)、デンマーク(AgBB スキームと同様
のスキームあり)、フィンランド、イギリスが参加している。調和化にあたっては、建
材のみを対象とすることは避け、屋内製品全般を対象としている。家具も装飾品
(decorative products)として組み込まれることが検討されている。問題は、履行の確保
である。
・ 現在は国によって異なる試験方法を調和化する試みも進んでおり、現在ドラフト段階で
ある。これにより、健康影響評価の統一も容易になる。
・ 最終的には、建材からの放散レベルを示す CE マーク(安全性や技術面の基準に合致し
た製品に記されている)を設定したいと考えている。CE マークの放散レベルとして 3
段階設定し、
「A」(任意のラベルを表示可能な基準)、「B」
(AgBB スキームで認められ
る放散基準(ドイツで販売が許可される最低基準))、「C」(それ以下)とし、欧州全土
に適用したいと考えている。
・ これらの調和化が進めば、複数国で製品を販売する製造者にとっても、一度の試験で済
み、負担が軽減される。
③ フランスについて
・ フランスでは、環境・労働安全省(AFSSET:Agence Française de Sécurité Sanitaire de
l'environnement)が、ドイツの AgBB スキームに類似したスキームを持っている。フラ
ンスでは当初、任意の取組として始まったが、ドイツの AgBB スキームが国内の業界に
認識されているのに対し、フランスの AFSSET のスキームは業界からの関心も低く、任
意の取組として成功しなかった。そのため、フランスでは法制化することとなった(未
発効)。
・ 当該法律では、建材の他、家具も対象となっている。
・ ドイツからみると、このフランスの法律はあまり高く評価できない。放散レベルは、
100
「A+」、
「A」
、
「B」、
「C」の 4 段階で評価されるが、規制の対象となる物質は 11 物質に
限定されており(ホルムアルデヒド、トルエン、総 VOC を含む)、いくつかの物質は、
既に技術的に他の物質との代替が可能である。また、基準値が高いため、ドイツでは販
売が禁止されるレベルでも、フランスでは最高レベルの「A+」の評価を受ける。さら
にレベル「C」は、
「~以上」であり、最高値の制限がない。例えば、ホルムアルデヒド
の場合、「A+」は 10μg/m3 未満、「A」は 60μg/m3 未満、「B」は 120μg/m3 未満、「C」は
120μg/m3 以上となっている。
④ その他
・ 試験やラベル取得にかかる費用を政府が支援するスキームはない。建材一商品を試験す
る費用は、1,500~2,000 ユーロである。試験を行う機関として、12 機関が認証されてお
り、DIBt は、これらの機関の試験結果を基に、製品を承認する。
・ 業界は規制対象物質数が少ないことを望むが、UBA の調査によると、規制対象物質が
少ないからといって、費用が安く済むということはない。
・ ブルーエンジェルの試験方法は、AgBB スキームの定める試験方法と異なる。現在、AgBB
スキームの試験方法をブルーエンジェルにも適用できるかどうか調査を行っている。
・ IKEA は、ホルムアルデヒドに非常に厳しい基準を適用しており、その影響力が大きい
ため、多くの製造者が IKEA の基準に従おうとしている。
101
5.1.2. フラウンホーファー ヴィルヘルム・クラウディッツ木材研究所
(WKI:Fraunhofer Wilhelm Klauditz Institut)
(1) ヒアリング実施概要
• 日時:2010 年 10 月 20 日 10:00~11:30
• 場所:WKI
• 対応者:材料分析、室内化学
Jan Gunschera氏
品質評価、接着剤プロジェクトマネージャー(Quality Assessment, Project Manager
Adhesives)
Andreas Zillessen氏
(2) ヒアリング内容
① フ ラ ウ ン ホ ー フ ァ ー ヴ ィ ル ヘ ル ム ・ ク ラ ウ デ ィ ッ ツ 木 材 研 究 所 ( WKI :
Fraunhofer Wilhelm Klauditz Institut)について
・ WKI は、公的研究機関で、活動資金を、連邦政府からの支援、業界とともに申請する公
共財源、民間企業からの委託契約で、それぞれ 3 分の 1 ずつ賄っている。ただし、試験
を要請する企業は、自ら試験費用を負担している。
・ WKI への試験要請は、法的要件、及び、任意のガイドラインやラベルの基準への充足の
両方の目的で、製造者や小売業者から行われている。多くの場合が、材料の製造者から
の要請である。
・ WKI は、カリフォルニア州大気資源局(CARB)が定める基準及び、E1 放散クラス(ド
イツで販売が許可される放散レベル)の確認試験、ブルーエンジェルの認証のための試
験等を行っている。製品サンプルの放散試験を行うとともに、製造者の製造工程や品質
管理制度を評価し、製造者独自の品質管理が行えるよう支援している。
・ WKI は、依頼者の要請に応じて、EN 規格、ASTM 規格、JIS 規格の試験方法に基づい
て試験を行っている。多くの試験要請は、EN 規格に基づくものである。
・ カリフォルニア州の規制は、ドイツの規制より厳しいが、双方で求められる試験方法が
異なるため、カリフォルニア州の規制レベルに達していたとしても、ドイツで販売する
ためには、ドイツの試験方法に従って試験を行わなければならない。
・ 輸入品の試験要請も、製造者や輸入業者から行われる。例えば、世界中から材料を調達
する IKEA は、調達先に試験結果の報告を要求しているため、これらの調達先が WKI
に試験の要請をしてくる。欧州外からの輸入品の市場が大きくないため、WKI では、欧
州外から完成品として輸入される家具の試験はあまり行っていない。中国やタイから試
102
験要請は、まれではあるが、ある。
② 家具に対する規制について
・ (家具については、ホルムアルデヒドのみが規制の対象となっている現状に対して、ホ
ルムアルデヒド以外の VOC を規制する必要性を感じるかという問いに対して、)建材に
対しては、複数の VOC を対象に、規制を行っているが、建材から VOC が放散していて
も、家具から VOC が放散していても、室内大気という意味では同じことであるため、
家具に対しても、ホルムアルデヒド以外の VOC について規制があってもよいのではな
いか。
・ 個別の製品が規制に従っていても、複数の家具が一部屋に入ることで、室内大気ガイド
ライン(オフィスや居住空間、学校等の室内大気の有機化学物質の基準値を設定する連
邦環境庁のガイドライン)を超過してしまう場合もある。
・ (上記質問に対して別の意見として)市場の原理で、製品の質を維持することができれ
ば、政府が規制を導入する必要はない。ドイツでは低ホルムアルデヒド・VOC 商品が
消費者に好まれるため、その需要と供給のバランスにより、効果的に VOC の放散量は
低レベルに抑えられている。建材については規制が行われているが、家具業界では、ラ
ベル制度など業界の自主的な規制が機能しており、十分ではないかと考える。将来的に、
ラベル表示やラベルの基準が変更される可能性はあるが、全ての VOC が人体に同じ影
響を与えるわけではなく、毒性のデータも揃っていないため、そうした VOC も同様に
規制するというのは難しいのではないか。
・ 欧州では、臭いを規制する動きもある。臭いに対する任意のラベルもあるが、臭いの感
じ方には個人差があるため、臭いの測定方法については、議論がある。臭いは、技術的
安全性、放散基準に続く、製品を評価する第三の要素である。AgBB でも将来的に、臭
いの観点を盛り込むことにしているが、まだ実施されていない。
③ ラベルについて
・ ブルーエンジェルは、材料としての木質材料に表示されるものと、完成品としての家具
に表示されるものの 2 種類がある。WKI で行う試験の大部分は、木質材料に表示される
ラベルの試験で、家具全体の試験は少数である。
・ ブルーエンジェルの他には、「Nature Plus」、「EMICODE」(フロアリングの製品が対象)
のラベル制度がある。また、昨年 11 月に、欧州委員会は、木製家具を EU のラベル制
度(Regulation(EC)No.1980/2000)に組み込んだ(2009/894/EC)。現在、本ラベル制度
では、250~300 程度の製品しか認証されておらず、重要性は低いが、今後は重要性が高
まるだろう。その他、スカンジナビア地方のラベルもドイツでは使われている。逆に、
ドイツのラベルもスカンジナビア地方で使用されている。ただし、現在、ドイツで一番
重要視されているのは、ブルーエンジェルである。
103
・ 概して、中小企業の家具製造者は、高級家具を生産していることが多く、対象とする消
費者も健康等に意識が高い場合が多いので、ドイツでは試験やラベルの表示が行われて
いるのではないか。
・ ブルーエンジェル等のラベルは、パッケージに表示されるのが通常である。
・ ラベル表示は、ドイツやスカンジナビア地方、オーストリアで行われているが、他の国
ではあまり行われていない。ドイツやスカンジナビア地方、オーストリアでは、ホルム
アルデヒドの問題を早くから意識していたため、取組が進んでいると考えられる。
④ その他
・ 近年は、エネルギー政策の影響(バイオ燃料の推進)で、ヨーロッパの木材の価格が高
騰しており、質の高いロシアの木材のヨーロッパへの輸入が増えている。
104
5.1.3. ドイツ木材・プラスティック加工業連合(HDH:Hauptverband der
Holz und Kunststoffe verarbeitenden Industrie)
(1) ヒアリング実施概要
• 日時:2010 年 10 月 22 日 11:00~12:30
• 場所:HDH
• 対応者:HDH
技術、基準、環境、調査課
課長Georg Lange氏
(2) ヒアリング内容
① ドイツ木材・プラスティック加工業連合(HDH:Hauptverband der Holz und
Kunststoffe verarbeitenden Industrie)について
・ HDH は、ドイツの家具業界を代表しており、傘下にドイツ家具連合(VDM:Verband der
Duetschen Mӧbelindustrie)
、ドイツプレハブ製造者連合(BDF:Bundesverband Deutscher
Fertigbau)などを持つ包括組織である。
・ HDH の傘下には、1,000 以上の家具製造者がおり、ほとんどが中小企業である。家具業
界の構成は、日本に似通っている。
② 関連法規制について
・ ドイツでは、政府はホルムアルデヒドのような非常に危険な物質のみ、法律によって規
制し、その他の物質に関しては、ラベル制度など業界が低放散製品に関する独自のルー
ルや規格を作って運用している。これらの任意の規格が十分に機能していれば、政府に
よる介入はなく、機能しなければ、規制が設けられることになる。
・ 政府による法規制が導入されれば、チャンバーの購入など試験に多くの費用がかかり、
また、試験に長時間を費やさなければならなくなる。
・ ドイツでの家具の品質維持には、商品テスト財団(Stiftung Warentest、連邦政府によっ
て設立された独立の消費者団体)のレポートが効果的に機能している。商品テスト財団
は、政府から資金を得ている非営利の組織で、毎年市場から家庭用の様々な商品サンプ
ルを抽出し、放散や安全性を含め様々なテストを行い、その結果を製造者名、商品名と
ともにレポートにまとめ、商品テスト誌として公開している。レポートは、業界に依存
することなく、中立的立場で、事実についてのみ記載しており、技術的な情報や品質基
準、ラベルなど様々な情報をまとめている。製造者、消費者双方によく知られた組織で
あるため、製造者にとっては、ホルムアルデヒド放散基準を達成していなければ、自社
105
名が公開されることになるため、基準達成の動機となっている。非常によい制度だと考
えている92。
③ ラベルについて
・ ブルーエンジェルは、取得や試験に費用がかかり、また、一般的にドイツでは、製品が
ドイツで製造され、製品に“Made in Germany”と表示されていれば、政府が定めた高い
安全性やホルムアルデヒドなどの放散レベルを達成していることの証となっている。そ
のため、消費者もそれほどブルーエンジェルにはこだわらないため、製造者側に、ブル
ーエンジェルを表示する動機があまりない。ただし、過去に問題のあったラッカーなど
は、消費者の意識が高いので、ブルーエンジェルを表示している場合が多い。
・ 製造者は、商品テスト財団の試験結果をラベルとして商品に表示することができる。ラ
ベルの表示は無料である。ただし、当該製造者の、商品テスト財団の試験を受けた製品
全ての試験結果を表示しなければならない。例えば、製造者 A の 10 製品が、商品テス
ト財団の試験を受けた場合、
「優」の評価を受けた商品 2 点、
「良」の評価を受けた商品
7 点、「可」の評価を受けた商品 1 点、のようにラベルに記載しなければならない。
・ 耐久性、機能性、安全性、及び健康や環境への影響に関するドイツ家具品質協会の自主
的なラベル制度である“Golden M”は、放散基準を含め、ドイツでは非常に高いレベル
を設定している。ただし、ブルーエンジェルの方が公的なものとして受け入れられてい
る。“Golden M”は、基準や試験方法など、ブルーエンジェルと緊密に連携しており、家
具に使われる革や布地、木質材料などの基準をブルーエンジェルと同レベルにしたり、
ブルーエンジェルに使用されているラベル番号を共通に利用している。両ラベルとも、
欧州の試験方法を採用している。
④ 輸入品について
・ ドイツでも、輸入品に関して、日本と同じような問題を抱えている。中国やベトナムな
どで生産された安価な家具は、ホルムアルデヒド・VOC 放散レベルが高いものであっ
ても、商品選択の時に、消費者はそれを認識できていない。
・ 業界は、ドイツ製の家具がホルムアルデヒド・VOC 放散について高い基準を維持して
いることを、消費者への情報提供を通じて教育している。
・ 政府は、市場の輸入品を購入し、放散や安全性に関する分析を行い、レポートにまとめ
ている。
・ 商品テスト財団のレポート制度は、輸入品に対しても行われており、有効に機能してい
ると考えている。輸入品を分析し、レポートにまとめて消費者に情報提供する仕組みは、
日本でも有効に機能するのではないか。
92
商品テスト財団が発行する冊子「テスト(test)」は、毎月平均 59.5 万部発行される雑誌。ドイツでは、
同財団の認知度が 96%に達し、そのうち 3 分の 1 の消費者が、商品購入時に、本冊子を参考にするという
統計がある。(岸葉子(2006)、「商品テスト誌の日独比較と今後の課題」)
106
⑤ その他
・ 製品に表面加工がなされていれば、材料からの放散は、室内空気質にはあまり影響がな
い。一方、布張りの製品では、大型チャンバーで製品全体の試験が必要となる。
・ 現時点で、小売業者が製造者に対して、低ホルムアルデヒド・VOC 商品を要求するこ
とはあまりない。
・ 製造者が VOC 対策にかける費用は、商品価格に転嫁している。
・ HDH では、加盟企業を対象に、新しい規制等の情報提供のためのセミナーを開いてい
る。
107
5.2. スウェーデン
5.2.1. スウェーデン環境保護庁(Swedish EPA:Swedish Environmental
Protection Agency ) 及 び ス ウ ェ ー デ ン 化 学 物 質 庁 ( KEMI :
Kemikalieinspektionen)
(1) ヒアリング実施概要
• 日時:2010 年 10 月 19 日 09:00~10:40
• 場所:スウェーデン環境保護庁
• 対応者:スウェーデン環境保護庁
実施・執行局(Implementation & Enforcement Department)
第一技術責任者(Principal Techinical Officer)
Ingrid Jedvall氏
スウェーデン化学物質庁(KEMI)
シニア技術オフィサー(Senior Technical Officer)
Åsa Thors氏
(2) ヒアリング内容
① 関連法規制について
(a) 背景
・ スウェーデンでは、約 40 年前から環境関連の法律が制定されてきたが、1999 年にそれ
までの 15 の法律を一つにまとめる環境法典(Environmental Code)が発効し、大きく変
わった。環境法典は、枠組法であり、スウェーデン環境保護庁やスウェーデン化学物質
庁(KEMI:Kemikalieinspektionen)が詳細を規定している。スウェーデン環境保護庁と
スウェーデン化学物質庁は、どちらも環境省の下に位置する所管官庁である。
・ スウェーデンにおけるホルムアルデヒド・VOC 関連規制(「化学製品及びバイオ技術生
物規則(KIFS 2008:2)」)は、「特定の塗料、ニス及び補修用製品における有機溶剤の使
用による VOC の抑制のための理事会指令及び指令 1999/13/EC の修正」指令(2004/42/EC)
93
に基づいている。
・ これらの指令に関連した国内法制定の背景には、EU 指令が制定されたこともあるが、
93
2004/42/EC指令:特定の製品分類(塗料、ニス及び自動車補修用塗料)を対象に、VOCの含有量の上限
を設定。これらの製品は指令に掲げる条件に適合しなければ販売できない。
108
スウェーデンでは、中国からの輸入品や国内の製造者側にホルムアルデヒド・VOC の
問題があり、EU 指令制定以前から、国内でもホルムアルデヒド・VOC の問題に取り組
んでいた。
(b) 化学製品及びバイオ技術生物規則(KIFS 2008:2)
・ 「化学製品及びバイオ技術生物規則(KIFS 2008:2)」のホルムアルデヒド・VOC に係る
規定は、溶剤指令(2004/42/EC)を国内法化したものである。国内法化する際に、規制
対象を明確にし、スウェーデンでの監視方法に合った法律とするために、指令から若干
の変更を行っているが、ほぼ指令どおりの内容となっている。
・ 溶剤指令(2004/42/EC)は、スウェーデン国内では、KEMI が所管している。KEMI は、
製造者や輸入業者を監視し、小売業者に対しても監督指導を行うことで、監視が効果的
に実施されるようにしている。また、サプライチェーンや輸入業者の管理方法について、
業界と協議を行っている。
・ KEMI は、VOC の含有量やラベルの監視による履行確保を行っており、溶剤指令
(2004/42/EC)に基づいて、KEMI は、3 年に一度、監視結果や実施措置について欧州
委員会に報告を行っている。前回は、2008 年の夏、次回は、2011 年の夏を予定してい
る。現在、KEMI は、地域組織から報告のための情報を収集している。
・ (完成品としての家具からのホルムアルデヒド・VOC 放散を規制する必要を感じてい
るかという問いに対して)KEMI で現在、優先的に取り組んでいるのは、玩具と建材、
RoHS 指令であるため、現在は考えていない。欧州では、建材関連の市場は非常に大き
いため、家具だけに焦点を当てるのではなく、建物内に使われる全てのものを対象とし
て、人へのばく露量を削減することになるのではないか。
② 製品登録制度について
・ KEMI は、製品登録制度を実施している。これは、全ての製造者と輸入業者に対し、毎
年、製品の用途や VOC(初留点が 250℃以下の有機化合物)の含有量等を KEMI に報告
させる制度である。登録制度には、現在、2,500 の企業から 16,000 の化学物質を含有す
る製品が登録されている。
・ 2009 年の製品登録制度における登録情報によると、860 の事業者がスウェーデンで家具
を製造、販売しており、14,000 トンの家具が扱われている。家具の材料中に VOC を含
有していると報告しているのは、7 製品のみであった。製品登録制度において、KEMI
に報告される製品の多くは、塗料や接着剤である。
・ VOC の含有量を報告させる本制度は、2008 年から開始されたばかりの制度であり、今
後、報告される情報の精度を高める必要がある。企業は、自社が本制度の対象であるこ
とを認識していない場合が多い。
・ 一般市民は、登録情報を KEMI のウェブサイト上のデータベースで検索することができ
109
る。登録内容の機密情報は、一般には公開されていないが、消費者は、企業に対し問い
合わせすることができる。
・ 本製品登録制度も、
「化学製品及びバイオ技術生物規則(KIFS 2008:2)」の履行確保手段
の1つである。
③ 輸入品について
・ スウェーデンでは、IKEA が家具市場の大部分を占めている。IKEA は、以前から環境問
題に関心を持っており、厳しい環境基準を持っているが、問題は、IKEA がその基準を
遵守できるかどうかである。昨年、スウェーデンでは、IKEA のブランケットや枕に入
れられた羽毛が問題となった。
④ ラベルについて
・ 業界主導のラベル制度がある。その 1 つが、BASTA と呼ばれる有料の会員制度による
ラベル表示であり、企業が自主的に、特定の化学物質の含有量を規制している。KEMI
では、この取組を支援しており、ホルムアルデヒドの監視を行っている。本制度では、
建材が対象となっており、製造者及び輸入業者がラベルを表示する。
・ スウェーデン規格協会(Swedish Standard Institute、スウェーデンでの規格化を統括する
非営利組織で、約 1,500 の会員企業・組織を持つ。)は、様々な製品ラベル制度を持って
おり、家具に対するラベルも持っている。
・ スウェーデンには、その他に、
「ノルディックスワン(Nordic Swan)」というラベル制度
があり、この制度は、ノルディック地方の国々と協同して行っている。このため、EU
のエコラベル「フラワー(Flower)」は、スウェーデンではあまり普及していない。
・ ホルムアルデヒドのラベルとしては、CE マークがある。CE マークのうち、家具に関す
るものは、MDF の基準である。
⑤ その他
・ シックハウスの問題は、スウェーデンでは、かなり以前に問題となった。現在では、ス
ウェーデン環境保護庁においては、あまり話題となっていない。
・ KEMI において建物や建材が話題となるのは、リサイクル品についてである。リサイク
ル品の含有化学物質の情報が、商品と共にリサイクル業者に伝わるよう、法制化が検討
されている。現在、第二読会の段階である。
・ 現在、EU では、規制の他にも、建材に対する基準が数多く存在しているが、モニタリ
ングに問題を抱えている。これらの基準には、詳細事項が含まれており、これを基に、
国内で規制することになるのだが、KEMI には、これら全ての基準を調査する資源がな
い。
110
5.3. 米国
5.3.1. 米国環境保護庁(EPA)
(1) ヒアリング実施概要
• 日時:2010 年 10 月 25 日 14:00~15:30
• 場所:EPA、東棟、会議室 4355xx
• 対応者:EPA
放射線・室内空気質局(Office of Radiation & Indoor Air)
Philip P. Jalbert氏
室内環境課(Indoor Environments Division)
Laureen E. Burton氏
汚染防止・有害物質局国家プログラム化学物質課(Office of Pollution Prevention and
Toxics National Program Chemicals Division)
Lynn Vendinello氏
Cindy F. Wheeler氏
他3名
(2) ヒアリング内容
① 「 木 質 材 料 の ホ ル ム ア ル デ ヒ ド 排 出 規 制 ( Formaldehyde Standards for
Composite Wood Products Act)」について
(a) 背景
・ カリフォルニア州では、ホルムアルデヒドの濃度を懸念しており、空気中毒性規制措置
(Airborne Toxic Control Measure)の中で、以前から業界が設定していた任意の基準を基
に、利用可能な最善の技術(BAT:Best Available Technology)の導入により達成可能な
ホルムアルデヒドの基準を制定した。また、カリフォルニア州は、木材に対する業界任
意 基 準 や 、 オ フ ィ ス 家 具 製 造 者 協 会 ( BIFMA : Business and Institutional Furniture
Manufacturer’s Association)の家具に対する基準を考慮し、基準を制定した。
・ 連邦レベルでの新法制定には、このようなカリフォルニア州での動向が影響しているが、
ハリケーン・カトリーナ後の緊急時に、高ホルムアルデヒドのキャンピングトレーラー
が使われ、問題となったことも背景にある。当時は、緊急時ということで基準が軽視さ
れたことや、気候も高ホルムアルデヒド放散に寄与した。現在、連邦緊急事態管理庁
(FEMA:Federal Emergency Management Agency)は、キャンピングトレーラーに対し
111
て、ホルムアルデヒドの基準を厳格に適用している。
・ このような背景を受け、「木質材料のホルムアルデヒド排出規制」を、当初は米国環境
保護庁(EPA:Environmental Protection Agency)のみで成立させようとしたが、業界は、
不合理な規制を嫌い、また、カリフォルニア州の状況を踏まえ、よりよい法律の制定を
希望していたので、EPA の職員に対して、プレゼンテーションを行ったり、視察に招く
などして、積極的に議論を推し進めた。
・ 新法制定に当たっては、複合パネル協会(CPA:Composite Panel Association)、広葉樹合
板・単板協会(HPVA:Hardwood Plywood and Veneer Association)、キッチン・キャビネ
ット製造者協会(KCMA:Kitchen Cabinet Manufactures Association)、BIFMA 等の大規模
な業界団体と協議した。CPA や HPVA には、傘下企業の多くが従う業界基準があったた
め、連邦の規制によってそれらの基準が統一されるに当たって、政府と積極的に関わっ
てきた。これらの大規模な業界団体は、ISO や EPA の方向性をカリフォルニア州の規制
に合わせ、統一させたいと考えている。
・ 中小企業に対しても公平な法律となるよう、中小企業とも協議している。
・ 「木質材料のホルムアルデヒド排出規制」は、2013 年までに実施規則が制定される。
(b) 規制対象
・ 本規制は、塗料や接着剤等の材料を規制するものでも、完成品を規制するものでもなく、
その中間である木質材料(硬質合板、中質繊維板、パーティクルボード)のホルムアル
デヒドの放散を規制するものである。
・ 本規制では、ホルムアルデヒドのみが規制対象物質となっているが、ホルムアルデヒド
以外に VOC を規制することについては、現在、EPA の優先事項ではない。ホルムアル
デヒドについては、室内空気質という観点から、任意の基準が多く制定され、EPA でも
喘息等の問題の中で扱ってきたが、今回の法制化は、米国議会の要請を受けたため対応
を行っているものである。水銀のように EPA 自ら規制の必要性を感じて規制を行って
いるわけではない。
・ 本規制では、規制対象商品を取り扱うすべての者が規制の対象となる。製造者、小売業
者、輸入事業者など全てが、対象商品が規制に合致していることを証明しなければなら
ない。
(c) ラベル
・ 規制を達成している商品には、ラベルが表示される予定である。ラベルの詳細について
は、今後制定される実施規則によって定められる。
(d) 規制対象者の負担
・ 法律の導入により規制対象者にかかる負担について、制定前に費用対効果分析を行った。
通常、試験は、製品を試験施設に送って行うため、製造者自身が大型チャンバーを購入
112
する必要はない(ただし、大企業は大型チャンバーを所有している)。また、企業は、
すでに業界の任意基準を満たすために、試験を行っているため、規制導入による追加の
負担とはならない。試験の実施に関して、政府からの支援は行っていない。
(e) 履行確保
・ 履行確保の詳細手法について、現在、EPA にて検討中である。木質材料については、EPA
が販売店でラベルが表示されているかを確認することによって履行を確保できると考
えている。
・ 完成品に含まれる木質材料については、EPA にて、製品から木材を削り取ってホルムア
ルデヒド放散量を試験する方法(Destructive testing)と同等の試験結果を得られ、かつ、
商品を傷つけることなく試験する方法を検討している。その試験方法が確立されれば、
EPA が店舗から商品を引き取り、試験を実施する。
・ カリフォルニア州は、完成品を構成する木質材料(材料品としてではなく)に対しても
試験を行うことにしているが、完成品を構成する木質材料に対する適切な試験方法がな
いために、その履行確保が十分にできていないとして批判されている。
(f) 違反時の措置
・ 違反時は、有害物質規制法(TSCA)の下、最大 37,000 ドル(約 307 万円94)、一日 500
ドル(41,500 円95)の罰金が科せられる。その他、商品の撤去、商品販売禁止の裁判所
命令等も行われる。また、まれではあるが、偽証ラベル等は、刑事罰の対象となる。
② 業界の任意基準について
・ 業界が制定する任意のホルムアルデヒド基準は、消費者に受け入れられる商品でなけれ
ば販売数が伸びないというマーケティングの観点から、製造者が推進しようとしている
ため、商品によっては有効に機能している。一方で、最低基準を規定しているに過ぎず、
有効に機能していない任意のホルムアルデヒド基準もある。
③ 消費者について
・ ハリケーン・カトリーナの後、キャンピングトレーラーに住んでいた市民は、ホルムア
ルデヒドに関心を持つようになった。
・ 消費者が関心を持つのは、特定の製品や化学物質がニュースで取り上げられるためであ
る。ニュースに取り上げられると、EPA にも問い合わせがくる。
・ 現在、消費者の関心を集めているのは、中国からの輸入品であるドライウォールである。
ただし、この問題は、一部の州に限定しており、全米的な問題ではない。
・ ドライウォールやカーペット等がニュースとして取り上げられる際に、一般的に一番に
94
95
1 ドル=83 円換算(2011 年 2 月為替レート使用)
1 ドル=83 円換算(2011 年 2 月為替レート使用)
113
問題視されるのはホルムアルデヒドであり、消費者レベルでは、ホルムアルデヒドはよ
く知られた化学物質である。
④ 一般的なラベルについて
・ 消費者は、概して、ラベルに興味を示さず、デザイン等で商品を選択する。消費者はラ
ベルを見ても、
「健康によさそう」、
「環境によさそう」、
「ホルムアルデヒド・VOC は健
康によくないもの」、
「低放散製品はよいもの」程度にしか受け取っていないのではない
か。
・ 消費者向けのホルムアルデヒド放散に関する表示は、3 つのレベルで行われているが、
消費者は、それぞれのレベルの意味を理解していない。3 つのレベルとは、「低放散
( Low-emitting )」、「 超 低 放 散 ( Ultra low-emitting )」、「 ホ ル ム ア ル デ ヒ ド 非 含 有
(Formaldehyde free)」である。
・ 低放散(Low-emitting)と完成品に表示されていても、それにより、健康への影響の有
無が明確になっていない。これは、一般的に商品に表示されるラベルが、室内空気質と
いう観点に基づいて表示されていないためである。商品に表示されるラベルは、大気浄
化法(Clean Air Act)がオゾン層への反応性という観点から規制する、特定の VOC のリ
ストに基づいて表示されている。
・ 消費者は、ラベルの意味を正確に理解していないが、「市場に出ているもの」は、政府
や製造者が、消費者を守るために対策を行っている、という信頼を寄せている。
⑤ 輸入品について
・ 米国では、中国からの輸入品に、健康関連の問題を抱えている。
・ 米国消費者製品安全委員会(CPSC:Consumer Product Safety Commission)は、実際に市
場から輸入品を引き取って試験を行い、輸入品にリスクがあるとの調査結果を得ている。
・ 「木質材料のホルムアルデヒド排出規制」は、輸入品も対象としており、輸入される完
成品に使われている木質材料も基準に従わなければならないので、状況が改善されるの
ではないか。
・ 消費者は、輸入品(電気製品等は除く)の健康問題を認識しているので、価格が安くて
も輸入品を購入しない人は多い。特に、子どものいる家庭では、その傾向が強い。
⑥ 試験方法について
・ 「木質材料のホルムアルデヒド排出規制」では、試験方法として「大型チャンバー法に
よる木質製品からのホルムアルデヒドの気中濃度及び放散速度測定のための規格試験
法(ASTM E-1333-96(2002))」、「小型チャンバー法による木質製品からのホルムアル
デヒドの気中濃度及び放散速度測定のための規格試験法(ASTM D6007-02(2008))」
、
「デ
シケーター法による木質製品からのホルムアルデヒドの気中濃度及び放散速度測定の
114
ための規格試験法(ASTM D5582-00(2006))」を採用しているが、EPA は、日本や欧州
で使用されている試験方法による試験結果と、ASTM 規格を用いて得られる試験結果の
等価性を証明できるようにするための対策を講じなければならない。
115
5.3.2. カリフォルニア州大気資源局(CARB:California Air Resources
Board)
(1) ヒアリング実施概要
• 日時:2010 年 10 月 27 日 09:00~11:00
• 場所:CARB
• 対応者:CARB
固定汚染源部/物質評価課(Stationary Source Division/Substance Evaluation Section)
Jim M. Anguila氏
Angela Scondes氏
固定汚染源部/測定評価課(Stationary Source Division/Measures Assessment Branch)
Jose Gomez氏
固 定 汚 染 源 部 / 測 定 開 発 課 ( Stationary Source Division/Measures Development
Section)
David Mallory氏
Research Division
Peggy L. Jenkins氏
(2) ヒアリング内容
① 木質材料のホルムアルデヒド排出削減のための空気中の毒性規制措置
( Airborne Toxic Control Measure (ATCM) to Reduce Formaldehyde
Emissions from Composite Wood Products)について
(a) 背景
・ カリフォルニア州大気資源局(CARB:California Air Resources Board)は、ホルムアル
デヒドについては、1970 年代後半から認識していた。木質材料(硬質合板(HWPW)、
中質繊維板(MDF)、パーティクルボード)は、第二次世界大戦後から消費者に受け入
れられ、製造者も開発を続けてきた。その中で、木質材料を製造するのに、尿素樹脂(Urea
Formaldehyde Resin)が、最も安価で高性能であると分かり、1970 年代まで尿素樹脂の
使用を拡大してきた。
・ 尿素樹脂の使用が拡大される中で、特に、プレハブ住宅(manufactured house)は、通常
の家と比較しても気密性が高いため、室内で使用される木材から室内大気に放散される
ホルムアルデヒド濃度が高くなり、健康に悪影響を与えるようになった。当時、連邦レ
ベルでは、ホルムアルデヒドの基準が全くなかったため、米国住宅都市開発省
116
(Department of Housing and Urban Development Agency)が、プレハブ住宅を対象として
ホルムアルデヒド基準を制定した。
・ その後、1990 年代後半に、カリフォルニア州で、市民グループが子どもの喘息を問題視
するようになったり、2000 年頃から、全米的に学校の生徒の健康が懸念されるようにな
り、再びホルムアルデヒドに注目が集まった。また、政策として、教育支援のために資
金が当てられ、1 クラスの生徒数を削減することになり、教室数を増やす必要が出てき
たため、新たに可動教室(portable classroom)が購入された。この可動教室は、プレハ
ブ住宅と気密性等の条件が同じで、これらの教室での生徒の喘息が問題となり、教室の
製造者に対して裁判が起こされるまでに至った。
・ その後、CARB は、木質材料の調査(製品の種類、質、製造施設等)を行い、一般的な
ホルムアルデヒド放散量を調査した。この際に、最新の樹脂製品や樹脂製造会社等も調
査の対象に含めた。2000 年から 2006 年までは、海外での事例も含め、多くの評価を行
い、米国の業界のイニシアティブにより、1970 年から 2000 年の間に、従来のレベルと
比較し、80%のホルムアルデヒドが低減されていたにもかかわらず、米国のホルムアル
デヒド放散レベルが非常に高いことが分かった。
・ これらの調査結果を基に、カリフォルニア州では、木質材料を対象に規制をすることに
なったが、室内のほとんどのホルムアルデヒドの放散源は、木質材料であったため、規
制の合理的な理由となった。
・ WHO の国際がん研究機関(IARC:International Agency for Research on Cancer)がホルム
アルデヒドを発がん性物質として特定したこと、また、白血病との因果関係を特定して
いることも、ホルムアルデヒドに対する規制を行った要因となった。
・ 規制制定に当たっては、一般市民や政府機関など関連ステークホルダーと起草し、ステ
ークホルダーからコメントを受け付ける過程を経なければならない。そのため規制制定
には長時間を要することになり、本規制には約 6 年を要した。
(b) 規制の枠組み
・ カリフォルニア州では、3 つのタイプの大気汚染物質を規制している。①基準汚染物質
(Criteria Pollutant:オゾン、NOx、SOx 等を規制)、②毒性の高い大気汚染物質(Toxic Air
Contaminant)、③地球温暖化に係る物質である。
・ このうちホルムアルデヒドは、②の中で規制されている。②は、人体に悪影響のある化
学物質を規制するもので、現在、250 以上の化学物質がリスト化されて規制されている。
その中から CARB では、23 の化学物質を特定している。最近特定されたのは、2006 年
に特定された間接喫煙に関する物質である。ホルムアルデヒドは 1992 年に特定された。
②で規制する化学物質の 70%が、ディーゼル車から排出されるものである。CARB では、
これらの化学物質の特定、及び、削減を管轄している。
117
(c) 規制対象製品
・ ATCM は、木質材料及びそれを使用した最終品を対象としている(ただし、規制値は、
木質材料に対して設定されている)
。
・ 家具に使用される塗料に対しては、地区レベルで独自の規制ルールがあり、CARB は、
それらの地区レベルのルールを監督している。この地区レベルの規制では、輸入品は対
象となっていない。
・ CARB は、完成品としての家具のホルムアルデヒド基準を導入したいと考えているが、
CARB には、室内大気に関する規制権限がないため、導入できていない。
(d) 規制対象物質、基準値
・ カリフォルニア州の規制では、現在、ホルムアルデヒドのみが ATCM の対象となってい
る。これまでに、カリフォルニア州では、木質材料からのホルムアルデヒド放散量を従
来のレベルから半減させている。また、これにより、ホルムアルデヒドによるがんの発
生確率を 40%削減することを目指している。
・ ホルムアルデヒドには、安全な基準というものはなく、CARB には、できる限りホルム
アルデヒド放散量をゼロに近づける削減方法を開発することが求められている。一方で、
経済的な実現可能性と利用可能な最善の技術(BAT)を考慮し、現在のホルムアルデヒ
ド基準としている。現在の基準値は、日本の F☆☆☆、F☆☆☆☆の基準に近い。
・ 日本では、F☆☆☆であっても F☆☆であっても事業者は販売することができるが、カ
リフォルニア州のホルムアルデヒド基準は、全ての事業者に一律に適用される上限基準
である。
・ ホルムアルデヒドを含まない、あるいは超低ホルムアルデヒド商品(第 2 フェーズの基
準値を下回る基準を満たす商品)は、CARB への申請により、第三者認証機関による試
験を免除される。これにより、現在、約 70 社が、試験を免除されている。
(e) ラベル
・ ATCM では、木質材料製造者に対して、CARB が認定した第三者認証機関による認証を
受け、その個別の認証番号を記載したラベルを木質材料に表示することを義務付けてい
る。第三者認証機関は、木質材料の製造工程を検査し、その工場で製造される全ての商
品がカリフォルニア州の放散基準を遵守していることを証明できるよう、製品を試験し、
それをもって工場を認証する。また、家具製造者には、基準を遵守した木質材料を使用
していることを示すラベルを完成品に表示することを義務付けている。CARB では、現
在 34 の認証機関を認定しており、そのうち米国内には、3~4 機関、中国にも約 10 機関
ある。
(f) 履行確保
・ 規制には、製品が規制を遵守しているかを特定するための試験方法が定められており、
118
大型チャンバー法による木質製品からのホルムアルデヒドの気中濃度及び放散速度測
定のための規格試験法(ASTM E1333-96(2002))及び小型チャンバー法による木質材
料からのホルムアルデヒドの気中濃度及び放散速度測定のための規格試験法(ASTM
D6007-02(2008))がそれにあたる。
・ 実際の履行確保の手段としては、①試買試験による検査、②第三者認証機関によるラベ
ル制度、③流通過程管理書類(Chain of Custody Documentation)、がある。
・ ①試買試験による検査:店舗で、完成品も含めた商品を購入し、試験所で試験をしてい
る。試験所での試験は、約 2 年前に始められた。
・ ②第三者認証機関によるラベル制度:CARB が認証した第三者機関によるラベルである
ので、当該ラベルが表示されているということは、製品が規制を遵守していることを示
すものである。CARB の執行グループが店舗でラベルが表示されていることを確認して
いる。
・ ③流通過程管理書類:基準に遵守した木質材料を使用していることを示す文書で、川上
から川下まで、当該文書を商品に添付して流通させなければならない。家具製造者も川
上から受け取った文書を、最終的には一般市民のレベルまで商品に添えて伝えなければ
ならない。
・ 上記①の試買試験を行うに当たり、最初のスクリーニング段階では、フラット・チャン
バー(Flat Chamber)が使われている。これは、持ち運び可能な検査機器で、店舗で試
験することができる。このフラット・チャンバーでは試験できない、完全にコーティン
グされている完成品は、表面を剥がして試験を行う。
・ 法律の執行に当たっては、内部検証手順(Internal Inspection Protocol)に従って、法律の
執行前に、企業に対する周知活動及び、複数の企業を対象とした査察を行った。その後、
移行期間をおいて、2009 年1月に執行された。
(g) 違反時の措置
・ 違反の際は、違反の度合いによるが、環境規制、または、刑法に対する違反として訴追
する。罰金は 10,000 ドル(83 万円96)/日超と高額である。違反企業は、CARB と協議
し、違反を認めず CARB と裁判所で争うか、違反を認めて、違反の軽減措置や罰金額に
ついて協議することになる。大半の場合は、後者である。
・ CARB が違反を突き止めた場合は、違反企業を新聞に掲載している。企業側は、事業に
影響が出るため、公表されるのを懸念している。
② 業界の取組について
・ 米国には、オフィス家具のオフィス家具製造者協会(BIFMA:Business and Institutional
Furniture Manufactures Association)、家庭用家具のアメリカ家庭家具連合(AHFA:America
96
1 ドル=83 円換算(2011 年 2 月為替レート使用)
119
Home Furnishing Alliance)という大きな業界団体があるが、前者は独自の基準を持って
おり取組が進んでいるのに対し、後者は取組が遅れている。BIFMA が先進的取組を行
っているのは、オフィス家具が長期的に使われる傾向にあること、多くの人が一度に影
響を受けるので、裁判に持ち込まれやすいことなどが要因だと考えられる。家庭用の家
具は、多くが中国やベトナムなど海外で生産されている。
・ アメリカの家具の大企業であるアシュリー・コーポレーション(Ashley Corporation)は、
多くの VOC 関連調査を行っている。
③ 消費者について
・ 一般市民は、ホルムアルデヒドの問題について、あまり情報を持っていない。ホルムア
ルデヒドの問題は、ハリケーン・カトリーナの後に使用されたキャンピングトレーラー
に問題があり、話題になったことで、消費者の認知が進んだ。現在は、状況が変わりつ
つあり、製品にラベルを表示するようになったため、そのラベルについての問い合わせ
が多い(ただし、ラベルは基本的には、商業ラインのためのもので、消費者を念頭に置
いたものではない)。また、従来は、安価な商品を選んでいた消費者にも、現在は、お
金を出せば健康な商品を購入できるという理解が浸透しつつある。
・ 「グリーン商品」と呼ばれる、環境によいとされる商品には基準がなく、消費者にとっ
ては、比較的新しいもので、意味が明確ではないため、消費者に混乱を与えている。消
費者は、従来の商品と同額であれば環境によい商品を選択するが、環境によい商品が従
来の商品より高額であれば選択しない、という調査結果がある。消費者は、一般的に、
環境によい製品は機能が落ちると考えている。
・ 消費者は、政府のプログラムによって保護されていると思っている。ホルムアルデヒド
が危険な化学物質であることを理解するようになった消費者から、なぜ商品に発がん性
物質であるとの表示をしないのかといった質問を受けるようになった。
④ 輸入品について
・ カリフォルニア州では、65%の家具を中国から輸入している。その他には、インドネシ
アからの輸入が多い。
・ 輸入品については、輸入業者が責任を負う。
・ カリフォルニア州の規制では、違反があった場合、その製品を所有したりその商品に関
与した全ての事業者に責任がある可能性があるとみなす。実際、罰金について協議する
場合など、この原則はよく使用されている。事業者は、使用する製品に対して、合理的
な予防手段を講じなければならない。
120
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Thank you for your participation!

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