低VOC塗装・工事セミナー ~建築塗装におけるVOC対策~ 2013年 9月13日 角筈区民ホール 日本建築仕上材工業会 井上照郷 2013年10月31日 都庁都民ホール (一社)日本塗装工業会 竹内金吾 建築塗装の改定の概要 (第Ⅰ部 第1章~第2章) 第2章 建築塗装(塗料仕上げ) (H25年JASS18改定に伴い見直し) 金属系素地面塗装(鉄鋼面) 金属系素地面塗装(亜鉛めっき鋼面) セメント系素地面塗装 第3章 仕上塗材仕上げ(変更なし) 塗料と仕上塗材の比較 塗 料 仕上塗材 塗り厚 数十ミクロン 数mm~約10mm 材料の品質 JIS K XXXX (化学) JIS A 6909 (建築) 日本標準産業分 類の製造業区分 F-製造業 1754 塗料製造業 F-製造業 3299 その他製造業 建築学会 標準工 JASS 18 塗装工事 事仕様書の区分 JASS 15 左官工事 JASS 23 吹付け工事 国交省 標準工事 塗装工事 仕様書の区分 左官工事 (仕上塗材仕上げ) 汎用的な仕上塗材仕上げの例 (1) 薄塗材E:樹脂リシン 薄塗材E:マスチックA 複層塗材CE:マスチックC 汎用的な仕上塗材仕上げの例 (2) 複層塗材:吹付けタイル 厚塗材:スタッコ 複層塗材:吹付けタイル 厚塗材:スタッコ 特殊な仕上塗材意匠仕上げの例 (1) 特殊な仕上塗材意匠仕上げの例 (2) 特殊な仕上塗材意匠仕上げの例 (3) 陶磁器質タイル調 石材調 東京都VOC対策ガイドにおける 建築塗装の基本事項 Ⅰ-1 【目的】 塗装工事の発注者などがVOC排出抑制のための仕 様選択を支援 【適用範囲】 特定の屋外塗装工事に適用するのではなく技術的 な参考資料として活用 【対象仕様】 JASS18(塗装工事:日本建築学会) 公共建築(改修)工事標準仕様書 Ⅰ-2,Ⅰ-4 【対象素地】 金属素地(鉄鋼面、亜鉛めっき面)、セメント系素地 【VOC量】 塗装系(下塗り~上塗り)のVOC量(g/m2) ※希釈するシンナーも含む 【耐久性ランク】 Ⅰ(汎用品レベル)~Ⅴ(優れている)でランク ※JASS18付録による 【材工費ランク】 A(安価)~E(高価) ※JASS18付録による 塗装仕様の工程表とVOC Ⅰ-5~Ⅰ-8 【塗装仕様】 工程、塗料、塗付量、希釈、塗り回数、塗装方法、 工程間隔 【VOC量】 工程ごとのVOC量と合計量(シンナー含む) 【VOC削減率】 比較対象仕様に対するVOC削減割合(%) 【留意事項】 材料、施工、適用部位などの補足 塗装仕様の改定ポイント Ⅰ-2 ①金属系素地面(鉄鋼面、亜鉛めっき面)およびセメン ト系素地面にシリコン系、ふっ素系の仕様を弱溶剤 系耐候性塗料塗りとして追加 平成18年版(弱溶剤系2液形ポリウレタン) ⇓ 平成25年版(弱溶剤系耐候性塗料) 1)弱溶剤系2液形ポリウレタン系 2)弱溶剤系2液形シリコン系 3)弱溶剤系2液形ふっ素系 ②合成樹脂調合ペイント塗りの素地を亜鉛めっき鋼面 から鉄鋼面に変更(JASS18改定、標仕は存続) 塗装仕様の改定ポイント(一覧表) Ⅰ-2 JASS18-2013 改定概要 JASS18(塗装工事) 第7版(2006年)改定時 ○ 環境保全と健康安全に配慮 ○ 水系塗料・非水分散形塗料の採用 ○ 弱溶剤形塗料の採用 ○ 室内濃度の測定 JASS18(塗装工事) 第8版(2013年) ○ 建築用塗料関連JIS改廃に伴う見直し JASS18改定の基本方針 ① 設計者・施工管理者・専門工事業団体・ 材料製造者団体に対するアンケート ↓ 建築塗装仕様としての必要可否を検討 採用する塗装仕様の選定 ② JIS廃止の塗装仕様は原則削除 ただし、複数製造所によって生産されている 建築塗装として不可欠なものは、日本建築学 会材料規格を制定し存続 JASS18の改定概要 (1) ※朱筆部分はVOCガイドの対象 Ⅰ-2 1.金属系素地面塗装(ワニス塗りを除く) ① 合成樹脂調合ペイント塗り(SOP)存続 鉄鋼面の仕様のみ存続。亜鉛めっき鋼面は削除 ② アルミニウムペイント塗り(AlP)廃止 ③ フタル酸樹脂エナメル塗り(FE)存続 鉄鋼面の仕様のみ存続。亜鉛めっき鋼面は削除 ④ アクリル樹脂エナメル塗り(AE)廃止 ⑤ 2液形エポキシ樹脂エナメル塗り(2-XE)廃止 ⑥ 2液形ポリウレタンエナメル塗り(2-UE)存続 Ⅰ-2 1.金属系素地面塗装(ワニス塗りを除く) ⑦ 弱溶剤系2液形ポリウレタンエナメル塗り (LS2-UE)存続 ⇒ 耐候性塗料 ⑧ アクリルシリコン樹脂エナメル塗り(2-ASE)存続 ⑨ 弱溶剤系アクリルシリコン樹脂エナメル塗り (LS2-ASE)新規追加 ⇒ 耐候性塗料 ⑩ 常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗り(2-FUE)存続 ⑪ 弱溶剤系常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗り (LS2-FUE)新規追加 ⇒ 耐候性塗料 ⑫ 多彩模様塗料塗り(EP-M)廃止 ⑬ つや有合成樹脂エマルションペイント塗り (EP-G)存続 JASS18の改定概要 (2) Ⅰ-2 2.セメント系素地面塗装(ワニス塗りを除く) ① 塩化ビニル樹脂エナメル塗り(VE)廃止 ② アクリル樹脂エナメル塗り(AE)廃止 ③ アクリル樹脂系非水分散形塗料塗り(NADE)存続 ④ 2液形ポリウレタンエナメル塗り(2-UE)存続 ⑤ 弱溶剤系2液形ポリウレタンエナメル塗り (LS2-UE)存続 ⇒ 耐候性塗料 ⑥ アクリルシリコン樹脂エナメル塗り(2-ASE)存続 ⑦ 弱溶剤系アクリルシリコン樹脂エナメル塗り (LS2-ASE)新規追加 ⇒ 耐候性塗料 Ⅰ-2 2.セメント系素地面塗装(ワニス塗りを除く) ⑧ 常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗り(2-FUE)存続 ⑨ 弱溶剤系常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗り (LS2-FUE)新規追加 ⇒ 耐候性塗料 ⑩ 2液形エポキシ樹脂エナメル塗り(2-XE)廃止 ⑪ 合成樹脂エマルションペイント塗り(EP)存続 ⑫ つや有合成樹脂エマルションペイント塗り (EP-G)存続 ⑬ ポリウレタンエマルションペイント塗り(UEP)存続 ⑭ 合成樹脂エマルション模様塗料塗り(EP-T)廃止 ⑮ 多彩模様塗料塗り(EP-M)存続 Ⅰ-5 JASS18改定内容とVOCガイドとの係り 1.金属系素地(鉄鋼面) (1)つや有合成樹脂エマルションペイント塗り(EP-G) ① 下塗りに水系の鉛・クロムフリーさび止めペイント を追加 ② 下塗りの水系さび止めペイントは存続 ⇓ VOCガイドで推奨する下塗り ① 鉛・クロムフリーさび止めペイント(JIS K 5674 2種) ② 水系さび止めペイント(JASS18M-111) Ⅰ-5 (2)合成樹脂調合ペイント塗り(SOP) ① 適用範囲から亜鉛めっき鋼面を削除 屋外の鉄鋼面のみに限定 ② 下塗りの鉛・クロム系さび止めペイントの廃止 ③ 下塗りに変性エポキシ樹脂プライマーを追加 ④ 下塗りの鉛・クロムフリーさび止めペイントは存続 ⇓ VOCガイドで推奨する下塗り ① 鉛・クロムフリーさび止めペイント(JIS K 5674)の 1種(溶剤系)のうち弱溶剤系 Ⅰ-6 (3)弱溶剤系2液形ポリウレタンエナメル塗り(LS2-UE) ① 材料規格の見直し 中塗り 弱溶剤系2液形ポリウレタンエナメル用中塗り (JASS18M-403) 上塗り 弱溶剤系2液形ポリウレタンエナメル (JASS18M-406) ⇓ 弱溶剤系建築用耐候性上塗り塗料(JIS K 5658) ただし、VOCガイドでは「公共建築工事標準仕様書」を準用し、 中塗り・上塗りは、鋼構造物用耐候性塗料(JIS K 5659)の弱溶 剤系を例示している。 Ⅰ-6 (4)弱溶剤系アクリルシリコン樹脂エナメル塗り (LS2-ASE) (5)弱溶剤系常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗り (LS2-FUE) ⇓ 弱溶剤系建築用耐候性上塗り塗料 (JIS K 5658)による仕様 ただし、VOCガイドでは「公共建築工事標準仕様書」を準 用し、鋼構造物用耐候性塗料(JIS K 5659)の弱溶剤系 による仕様を例示している。 Ⅰ-6 2.金属系素地(亜鉛めっき鋼面) (1)弱溶剤系2液形ポリウレタンエナメル塗り(LS2-UE) (2)弱溶剤系アクリルシリコン樹脂エナメル塗り (LS2-ASE) (3)弱溶剤系常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗り (LS2-FUE) ⇓ 弱溶剤系建築用耐候性上塗り塗料 (JIS K 5658)による仕様 ただし、VOCガイドでは「公共建築工事標準仕様書」を準 用し、鋼構造物用耐候性塗料(JIS K 5659)の弱溶剤系 による仕様を例示している。 Ⅰ-7 3.セメント系素地 (1)つや有合成樹脂エマルションペイント塗り(EP-G) JASS18、VOCガイドともに重要な変更なし (2)アクリル樹脂系非水分散形塗料塗り(NADE) ①JASS18は重要な変更なし ②平成18年版VOCガイドでは、弱溶剤系アクリル樹脂 エナメル塗りとしていたが、塗装仕様の名称を変更 ③近年の塗装仕様に準じてVOCガイドの工程表を改定 下塗りの塗付量 0.08 ⇒ 0.10 kg/m2 シンナー希釈率 下塗り25% 中・上塗り15% VOC量 下塗り68 g/m2 2 ⇒ 55g/m 中・上塗り75g/m2 ⇒ 10% Ⅰ-8 (3)ポリウレタンエマルションペイント塗り(UEP) JASS18、VOCガイドともに重要な変更なし (4)弱溶剤系2液形ポリウレタンエナメル塗り(LS2-UE) (5)弱溶剤系アクリルシリコン樹脂エナメル塗り (LS2-ASE) (6)弱溶剤系常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗り (LS2-FUE) ⇓ VOCガイドでは(4)~(6)の弱溶剤系建築用耐候性上 塗り塗料(JIS K 5658)による仕様を、弱溶剤系耐候性 塗料塗りとして掲載 その他VOCガイドでの解説 参考資料1 1.1 溶剤系塗装仕様と低VOC・環境配慮形塗装仕様 の対応(VOC比較) 参-1 1.2 VOCの算出方法 参-2~参-3 参考資料4(施工現場での対策) 参-18~参-20 4.1 塗料の保管・貯蔵管理 4.2 塗装方法の種類と特性 4.3 塗膜のはく離工法 4.4 塗着効率の向上 付表Ⅰ-1(詳細) 建築塗装のVOC算出DB 付表Ⅰ-2(詳細) 仕上塗材仕上げのVOC算出DB 参考資料1(付表1-1) 参-1 鉄鋼面「合成樹脂調合ペイント塗り」の比較例 溶剤系 VOC量 VOC量 環境配慮 削減率 塗装仕様 (g/m2) (g/m2) 塗装仕様 (%) 合成樹脂調 合ペイント (シアナミド 鉛さび止め ペイント) 21 つや有合 成樹脂エマ ルションペ イント 84 128 合成樹脂 調合ペイン ト(鉛・クロ ムフリー) 0 128 ※ 数値算出の詳細は「付表1-1(詳細)」参照 参-2~参-3 参考資料1(付表1-4~6) VOC量は「塗付量」と「含有率または希釈率」から算出 塗料中のVOC量は付表1-4~付表1-6による 塗 料 VOC 含有率 塗料の名称 % (例) シアナミド鉛さび止 めペイント(2種) (例) 25% 算出資料 JISの加熱残分 製造所資料 参考文献 (例) JIS加熱残分 75以上 参-18 参考資料4(施工現場での対策) 4.1 塗料の保管・貯蔵管理 4.1.1 現場搬入後の保管 (1)直射日光を避け、通気の良い場所に保管 (2)容器の破損などによる塗料や溶剤の漏れに注意 (3)塗料や溶剤を小分けした場合は容器の密閉に注意 4.1.2 調合・かくはん (1)調合は、はかりを使用して取扱説明書に準じる (2)2液形(反応硬化形)の塗料は可使時間に注意 (3)缶上部を切って開封した場合はシートなどで密閉 参-18~参-19 4.1.3 交換・洗浄 (1)洗浄用の溶剤は一時に大量に使用せず、少量ずつ 回数を多くして使用する(溶剤使用量の低減) 4.2 塗装方法の種類と特性 (1)塗装方法の種類 はけ塗り、ローラー塗り、吹付け(スプレー) (2)吹付けに比べはけ塗り・ローラー塗りは作業中の飛 散がなく、塗料のロスも少ない VOCの排出抑制に有効 4.3 塗膜のはく離工法 (1)塗膜はく離剤の選定と使用量の適正な管理 (2)シート状はく離剤の活用(VOC飛散・廃棄物対策) 参-19 エアースプレー(仕上塗材仕上げ) (自重式) ジュラクガン スタッコガン コンプレッサー リシンクガン タイルガン エアレススプレー(塗料) エアレス式 エアレスポンプ式 参-19 参-19 ローラー塗り(ハンドルの種類) レギュラータイプ ワンタッチタイプ 参-19 ローラー塗り(ローラーブラシの種類) レギュラー ミドル スモール 中毛 砂骨 コーナー ローラー ローラー ローラー 仕上塗材仕上げの概要 (第Ⅰ部 第3章) (1)仕上塗材は吹付材と言われていた 最初のJISは昭和45年(1970年)制定 (2)施工方法が吹付けばかりではなくローラー 塗りも普及してきたことから、JISの名称が 昭和58年(1983年)から仕上塗材に改称 (3)仕上塗材の層構成は、主材と下塗材・上塗 材の組み合わせによる 薄付け仕上塗材(リシン等)の層構成(例) 厚付け仕上塗材(スタッコ等)の層構成(例) 複層仕上塗材(吹付けタイル等)の層構成(例) 仕上塗材とVOC (1)仕上塗材の下塗材・主材・上塗材の生産量 合計のうち約5%(平成24年)が溶剤系 (2)そのうち溶剤を使用している塗材の多くは 上塗材で、主材のほとんどは水系 (3)上塗材の水系化は年々進んでおり、平成15 年(2003年)以降は、水系の上塗材が溶剤 系の上塗材より多く生産されている 平成24年(2012年)の水系上塗材と溶剤 系上塗材の比率は、約75:25 80 70 水系上塗材の割合(%) 溶剤系上塗材の割合(%) 60 50 (%) 40 30 20 10 0 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 年 水系および溶剤系上塗材の生産量割合(%) VOCガイドにおけるVOC削減の考え方 上塗材と下塗材を溶剤系から水系に変える ⇓ 下塗り~上塗りまでが水系システムの資料を pp.Ⅰ-9~Ⅰ-14に掲載 ⇓ 例)p.Ⅰ-12 外壁で最も多い複層塗材Eの場合(3.7) 溶剤系の下塗材および上塗材を水系に変えると VOCの削減率は95% 用 語 弱溶剤系塗料 労働安全衛生法に基づく有機溶剤中毒予防規 則に区分される第3種有機溶剤等を溶媒の主 成分とした塗料 塗付け量 被塗装面単位面積あたりの塗装材料(希釈す る前)の付着質量 所要量 被塗装面単位面積あたりの塗装材料(希釈す る前)の使用質量
* Your assessment is very important for improving the work of artificial intelligence, which forms the content of this project
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