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2 | Manualzz
ソニーの CSR※の考え方
イノベーションと健全な事業活動を通じて、企業価値の向上を追求することが、ソニーグループ
の企業としての社会に対する責任の基本をなすものです。ソニーグループは、その事業活動が、
直接、間接を問わず、さまざまな形で社会に影響を与えており、そのため健全な事業活動を営むた
めには、株主、お客様、社員、調達先
(サプライヤー)
、ビジネスパートナー、地域社会、その他の
機関を含むソニーグループのステークホルダーの関心に配慮して経営上の意思決定を行う必要が
あると認識しています。ソニーグループは、このことを踏まえて、事業を遂行するよう努力します。
※ CSR
(Corporate
Social Responsibility)
=企業の社会的責任
ハイライト
目次
CEOメッセージ
社長インタビュー
ソニーグループの概要
マネジメント体制
コーポレートガバナンス
コンプライアンス
サプライチェーン・マネジメント
2
4
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コンプライアンス体制の強化 ................................ 12-15
9
10
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16
「ソニーサプライヤー行動規範」
の制定と導入 .... 16-17
人々とソニー
18
株主
19
お客様:品質とカスタマーサティスファクション 21
お客様:使いやすさへの取り組み
24
社員:雇用、労使関係
25
社員:多様性、機会均等
26
社員:人事制度、人材育成
29
社員:職場環境、安全衛生
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コミュニティー:社会貢献活動
34
コミュニティー:地域とともに
35
コミュニティー:次世代を担う子どもたちのために 38
地球環境とソニー
ソニーグループ環境ビジョン
ソニーにかかわる環境負荷の全体像
「Green Management
(グリーン・マネジメント)2005」の結果報告
環境中期目標「Green Management 2010」
環境マネジメント体制
製品の省エネルギー・省資源
製品に含まれる化学物質の管理
物流における環境負荷低減への取り組み
環境配慮型製品・サービスの具体例
Eco Products
(エコ・プロダクツ)
Eco Technology
(エコ・テクノロジー)
Eco Entertainment
(エコ・エンタテインメント)
製品リサイクルの取り組み
事業所における地球温暖化防止活動
事業所における資源の循環利用
事業所における化学物質の管理
事業所における自然環境保全
事業所環境データ
環境データの第三者検証報告書
CSRレポート2006について
40
41
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グローバルなコンプライアンスネットワークを通じて、「ソニーグ
ループ行動規範」
と内部通報制度の啓発を図り、ソニーグループ全体
における誠実で倫理的な事業活動への取り組みを強化しています。
法令遵守、環境保全、安全衛生、人権および労働環境への配慮など
に関するサプライヤー向けの基準となる「ソニーサプライヤー行動
規範」を制定し、対象となるサプライヤーの方々に内容をお知らせ
するとともに、当行動規範の遵守を要請しました。
顧客視点に基づく品質改善への取り組み ............ 21-23
顧客視点での品質基準の制定や品質管理体制の強化、社内の品質情
報窓口の開設、サービス体制の拡充などを通じて、お客様の視点で
の製品品質・サービス品質のさらなる向上を目指しています。
社員の多様性推進 ................................................... 26-28
社員の多様な個性や価値観を生かしていくため、国籍の多様化、現
地人材の登用、マイノリティーや女性の活用、障害者雇用など、地
域ごとに重点課題に取り組んでいます。
子どもたち向けの社会貢献プログラムの実施 .... 38-39
心に深く響く体験を通して、次世代を担う子どもたちの豊かな創造
性を育むことを目指し、「For the Next Generation」をテーマに
したソニー独自の社会貢献プログラムを実施しています。
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「Green Management 2010」の策定 .............. 46-47
地球温暖化対策、資源循環、化学物質管理などに関して、2010年
度までの新たな環境中期目標「Green Management 2010」を策
定しました。
グローバルな環境マネジメントシステムの構築 ....... 48
従来、各事業所単位で取得していた環境マネジメントシステム認証
(ISO 14001)について、ソニーグループ対象402拠点を統合した
認証体制への移行を完了しました。
製品に含まれる特定化学物質の全廃 .................... 52-54
製品に含まれる特定化学物質を管理するため、全世界共通の化学物
質管理基準を設けています。この基準にもとづき全世界で出荷する
ほぼすべての製品からこれらの特定化学物質を全廃しました。
環境配慮型製品・サービスの推進 ........................ 56-61
製品づくりやサービスの提供において「楽しみを高めること」と「環
境負荷を低減すること」の両立を目指し、そのコンセプトを「Sonymade ECO」というフレーズを通じてお客様にお伝えしています。
1
CEOメッセージ
“Sony United(ソニー・ユナイテッド)”
ソニーはエレクトロニクス、ゲーム、エンタテインメント、お
よび金融などを含むさまざまな事業分野を持つグローバル企業で
す。そして、その人材もまた多様であり、彼らの有する豊富な経
験と仕事に対する幅広い関心が、ソニーの大きな力となっていま
す。私は、社員の可能性を最大限に伸ばしていくことにより、ソ
ニーが力強く成長していくものと確信しています。ソニーの再活
性化プラン策定にあたっても、社外のさまざまなステークホル
ダーの方々に加え、世界各地の社員の協力を得ました。さらに、
ソニーグループ共通の目標の達成に向けて、社員が豊富なスキル
や創造力を最大限に生かして活躍できる環境を整えるための方策
を講じています。こうしてソニー自身を強くすることによって、
我々がCSR(企業の社会的責任)活動を行うための基盤がより強固
なものとなっていきます。
2005年に私がCEOに就任してすぐに、ソニーにとって重要な
課題を把握し、実行可能な施策を策定するため、地域・部門の枠
を超えた検討チームを発足させました。このチームは、組織構造
の見直しを行うとともに、社員、お客様、ディーラー、サプライ
ヤー、そして株主といった幅広いステークホルダーに意見を求め
ました。この見直しプロセスには、社員も積極的に参加しまし
た。ソニーが発展していくためには何をすべきか、全グループ企
業の社員からアイデアを募る“Sony Ideas(ソニーアイデア)
”プ
ログラムを実施したところ、世界中で2,000人を超える社員から
アイデアが提案され、経営陣はそれを慎重に検討しました。これ
らのアイデアの多くが、実際にソニー再活性化プランに盛り込ま
れています。私は、社員と直接コミュニケーションを取るために
世界の多くの事業所を訪れて、社員とタウンホール・ミーティン
グを行いました。例えば、中国やインドでは、社員が熱意にあふ
れ、共通の目的実現に向けてグループ各社の強みを生かしていこ
うという取り組みを、十分に理解してくれていることに感銘を受
けました。
こうした取り組みは、グループの結束を目指す“Sony United”
の一部です。この活動は、グループ全体での優先順位を明確に
し、徹底した規律と熱意を持ってそれを実現していくことを目指
しており、これは、社員にやる気を与え、ステークホルダーの期
待に沿う成果を生むために不可欠なものだと考えています。設立
趣意書の中で、ソニーは目標のひとつとして「真面目なる技術者
の技能を最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工
場の建設」を掲げました。社員、技術力、そして創造力というソ
ニーの経営資源を協調しながら十分に活用することによって、文
化と社会の発展に貢献できるよう、ソニーはこれからも技術革新
と製品開発を推進していきます。
2
Entertaining the Future ∼未来をもっと楽しく∼
る取り組みを強化するための重要な方策を実施しました。その一
グループの結束は、私の考えるソニーのビジョン
“Entertaining
例として、ソニーは持続可能な社会の実現を目指し、「Green
the Future”
の達成のために不可欠です。このビジョンはソニーの
Management 2010」と題する環境中期目標を策定しました。
使命であり、熱意であるとともに、お客様の生活を豊かにすると
この目標のもと、ソニーグループは、2010年度に向けて、事業
いう点で、ソニーのCSRを強化するものであると考えています。
のあらゆる側面で環境への負荷を低減するための取り組みを進め
ソニーは、コンテンツと技術を併せ持つというユニークなポジ
ています。また、ソニーの基本的な倫理方針をエレクトロニクス
ションにより、コンテンツ制作のプロセスやお客様のご要望、さ
のサプライヤーの方々にもご理解いただき、協力を得るために、
らにはこれらを結び付ける技術とはどのようなものなのか理解す
「ソニーサプライヤー行動規範」
を策定しました。この規範には、
ることができます。また、ソニーは斬新で魅力的な製品により、
法令や規定の遵守、人権の尊重、および環境配慮が盛り込まれて
お客様に最高のエンタテインメントをお届けできるよう、一丸と
います。
なって努力しています。これは、ハイディフィニション(HD)の
さらに、地域社会への支援の一環として、ソニーグループとそ
導入において、ソニーが主導的な役割を果たしていることからも
の社員は、最近ではパキスタン、インド、アフガニスタンを襲っ
明らかです。ソニーの有する業務用および民生用の先端技術と、
た地震や、インドネシア・ジャワ島中部地震、また米国南部に甚
名作から最新作に至る膨大な映画ライブラリーにより、お客様に
大な被害をもたらしたハリケーンによる被災者の方々のために寄
ご家庭でHDをお楽しみいただけるようになりました。HDの高精
付を行いました。そのほか、世界で延べ約30,000人の社員がそ
細かつ鮮明で実像に迫る映像は、お客様に飛躍的に豊かなエンタ
れぞれの地域のニーズに応じたさまざまなボランティア活動に参
テインメント体験を提供します。これは一例に過ぎません。ソ
加しています。ソニーの創業者である盛田昭夫が提唱した「グ
ニーは、斬新で魅力的な製品を提供し続けることにより、今後も
ローバル・ローカライゼーション(グローバルな経営理念にもと
お客様の生活を豊かなものにし、企業価値を向上させていきま
づいた現地化の推進)」
の方針は、こうした活動に顕著に示されて
す。また、これらの製品は、このCSRレポートでも触れているよ
います。企業の社会的責任はさまざまなステークホルダーの支援
うに、使いやすさと環境への影響に十分配慮した設計となってい
や協力によって実現されるため、ソニーは今後もステークホル
ます。
ダーとのコミュニケーションとCSR活動への取り組みを強化して
私たちは
“Entertaining the Future”という使命を追求するに
いきたいと考えています。
あたって、ソニースピリットの基本が、誠実さに対する強いコ
ミットメントであることを常に意識しています。「ソニーグルー
本レポートではソニーのCSR活動の一部をご紹介しています。
プ行動規範」に規定されているように、ソニーは最高の倫理基準
本レポートが、ソニーの取り組みに対する皆様のご理解の一助と
を有しており、またそのさらなる強化に向け絶えず努力していま
なれば幸いです。
す。さらに、ソニーは事業を行う各地域のあらゆる関係法令や規
定の遵守を担保するために、グローバルなレベルで最適なコーポ
レートガバナンスおよびコンプライアンスシステムを構築してい
ます。こうした倫理およびコンプライアンスに対する献身的な取
取締役 代表執行役
り組みは、ソニーの企業文化の基本です。
会長 兼 CEO
ハワード・ストリンガー
次世代の発展に向けて
ソニーはまた、この社会を次世代に引き継いでいくための取り
組みも行っています。例えば、国連はミレニアム開発目標を掲げ
ており、このほかにも地球温暖化防止や子どもたちの健康や教育
といった地球規模の問題を解決するために、グローバルなイニシ
アチブや枠組みが打ち出されています。ソニーはグローバル企業
として、持続可能な社会実現に向け、さまざまなパートナーと連
携して大きな役割を果たすべきであると私は考えています。
2005年度、ソニーはこうした観点を踏まえ、CSR全般におけ
3
社長インタビュー
ソニーは、2005 年 6 月に代表執行役会長兼 CEO にハワード・ストリンガー、代表執行役社長
兼エレクトロニクス CEO に中鉢良治が就任し、新たな経営執行体制へ移行しました。
「顧客視点」を掲げて改革を進める中鉢社長兼エレクトロニクス CEO に、ソニーの CSR につい
て聞きました。
新経営執行体制に移ってから1 年が経ちましたが、振り返ってい
客様は誰かということを考え、社員一人ひとりがそれぞれの業務
かがですか?
の中で顧客視点を意識するよう、強く呼びかけています。
昨年の社長就任時に、まず社員の士気を高める必要があると考
主要課題として品質の重視をうたっていますが、どのように考え
えました。ここ数年、業績が低迷を続けている中で、社員は自信
ていますか?
をなくしがちでしたが、ソニーには、これまで培ってきたDNAの
ようなものがあります。そのチャレンジ精神を再燃させること、
品質は、モノづくりを行う企業にとって最も基本的な社会的責
すなわち「心の V 字回復」が必要です。社員に方向性をきちんと
任です。狭義の意味での品質とは材料や性能など、製品の質を指
示し、多様な人材がそれぞれの能力を引き出し、十分に活躍する
しますが、それにさらなる価値を加えることで、お客様の満足、カ
ことができる体制を整えるべく改革を進めています。また、それ
スタマーサティスファクションにつながると考えています。それ
により、高い企業倫理が保たれると思います。
は、例えば、製品の使いやすさや接続性などといったことであり、
全社活動方針として、3 つのコーポレート・イニシアチブを掲
お客様は製品の使用を通じた体験から、その製品を買って満足し
げて、企業体質の強化に取り組んでいます。第一に、
「カスタマー
たかという判断をされるのです。そしてその満足に、さらなる価
ビューポイント(顧客視点)
・イニシアチブ」ですが、商品企画を
値が加わって、ブランドというものにつながるのではないでしょ
はじめあらゆる業務を顧客視点で見直すという社内の意識改革を
うか。ブランドとは、製品の一貫性や継続性が積み重なることに
狙ったものです。次に、
「テクノロジー・ナンバーワン・イニシア
より、製品自体が手元になくても残る質感のようなものです。信
チブ」は、ソニーが経営資源を集中する商品、技術領域で、競争
頼されるブランドであるために、その入口である品質は、最低限
力の源泉である差異化技術の強化、デバイスとの連携を推し進め
の要求事項です。
るものです。最後の「GENBA(現場)
・イニシアチブ」は、ビジ
ネスを支える現場である設計・製造・販売、それぞれの現場で社
品質問題が抱える難しさはどのようなことでしょうか?
員一人ひとりが生き生きと仕事ができるよう、オペレーション力
をさらに強めることが目的です。
「1品たりともお客様に不良品を届けてはいけない」
という思い
「心の V 字回復」を果たした輝ける職場から、お客様の期待さ
で、製造の現場では製品を出荷しているわけですが、残念ながら
れる半歩先の商品が生まれることによって、ソニーはステークホ
品質問題はゼロにはなっていません。製品のデジタル化にともな
ルダーの方々の期待に応えることができると考えています。
い、最近ではソフトウェアに起因する品質問題の比率が高くなっ
ています。製品の使いやすさや品質を高める上で、ソフトウェア
「顧客視点」とはどのようなことですか?
の品質向上を喫緊の課題として取り組んでいます。また、万が一、
お客様にご迷惑をかける可能性のある品質不良があった場合、お
企業にとっては、すべての面において顧客視点が重要です。最
客様に速やかに告知して実際の影響をできるだけ低減することが
近のソニーの商品は、ともすればひとりよがりで中途半端な機能
企業の責任であると認識しています。お客様の満足度が高まるよ
や性能の訴求が強すぎて、使い勝手などお客様がソニーに期待し
う、鋭意努力しています。
ているものとの乖離があるのではとの反省がありました。この
「カスタマービューポイント・イニシアチブ」の活動の一つとし
て、全社横断的な会議である商品戦略会議を新設し、事業部門を
グローバル企業として、特に先進的に取り組んだことはどのよう
なことでしょうか?
超えて、お客様の求めている商品を討議しています。
また、ここでいう「顧客」とは、お客様だけではなくあらゆる
ソニーは世界各地域で多様なビジネスを行っていますが、環境
ステークホルダーを意味しており、その満足を追求することがソ
の分野をはじめ、
新たな法規制が各国で次々と導入されています。
ニーの社会的責任であると考えています。したがって、自分のお
ソニーでは法令に準拠するのみならず、さまざまな自主基準をソ
4
ニーの世界標準として推進しています。例えば、EU では RoHS
です。私は最近、このソニー教育財団の理事に就任しましたが、次
指令※により、2006年7月から特定化学物質の使用が禁止されま
世代の育成はソニーにとって大きなテーマであると考えています。
すが、ソニーでは欧州のみならず、全世界で出荷するほぼすべて
ソニーは、グループ各社や財団などを通じて、世界各地の地域社
の製品において、2005 年度末までにこれらの特定化学物質を全
会の特性に応じた社会貢献活動に取り組んでいますが、引き続き
廃しました。環境配慮を行うことは、企業の社会的責任だけでな
こうした活動を強化していきたいと考えています。
く、競争力にもつながると考えています。また、グローバル企業
ソニーは今年で 60 周年を迎えましたが、設立趣意書や創業者
としてコンプライアンスの重要性を社内に強く訴えていますが、
の志を引き継ぎながら、時にはそれをライバルとして新たなもの
これには各国の法令や規範を遵守することはもちろん、企業倫理
をつくり上げていくことが、今、ソニーのやるべきことだと思っ
や社会通念と調和した行動をとることも含まれます。
ています。
※
最後に、個人的に今重要と考えている CSR のテーマについて
お聞かせください。
RoHS指令:EUにおける電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限
に関する指令。詳細は 53 ページ参照。
取締役 代表執行役
社長 兼 エレクトロニクスCEO
ソニーの創業者の井深大は、創業の目的の一つに「国民科学知
中鉢 良治
識の実際的啓発」を掲げ、基金や財団を設立して理科教育を支援
してきました。それが日本の産業の発展に貢献すると考えたから
5
ソニーグループの概要
会社概要
本社所在地
創立
社員数
売上高および営業収入
東京都品川区北品川 6-7-35
1946 年 5 月 7 日
15 万 8,500 名(2006 年 3 月 31 日現在)
7 兆 4,754 億円(2006 年 3 月 31 日に終了した 1 年間)
ソニー組織概念図 (2006 年 7 月 1 日現在)
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商 品 戦 略 会 議
技 術 戦 略 会 議
生 産 戦 略 会 議
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資 材 戦 略 会 議
販 売 戦 略 会 議
Headquarters
(ヘッドクォーターズ)/コーポレートR&D
半導体事業グループ
半導体関連事業
VAIO事業部門 パーソナルコンピュータ関連事業
パーソナルソリューションビジネスグループ
B to Cダイレクトビジネス関連事業
コアコンポーネント事業グループ デバイス・モジュール関連事業
テレビ・ビデオ事業本部 テレビ、ビデオ関連事業
B&P 事業本部 プロフェッショナルユース商品・サービスによる
B2Bソリューション関連事業
コネクト事業部門 デジタルコンテンツ配信関連事業
ソニーフィナンシャルホールディングスグループ
リースおよびクレジット、生命保険、損害保険、
銀行の金融事業
オーディオ事業本部 オーディオ関連事業
デジタルイメージング事業本部 ビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどデジタ
ルイメージング関連事業
ゲームビジネスグループ ゲームビジネス関連事業
ソニー・エリクソン・
モバイルコミュニケーションズ
携帯電話、次世代マルチメディア携帯電話関連事業
エンタテインメントビジネスグループ 映画・音楽を中心とするエンタテインメントビジ
ネス関連事業
エレクトロニクス事業においては、2005 年 9 月に発表した中
売・マーケティングなどの重要領域において、横断的な連携の仕
期経営方針の重点項目として、組織を大幅に改組し、重要分野の
組みを強化し、製品分野を超えた意思決定の迅速化、全体最適化
意思決定権限をエレクトロニクス CEO に集中する体制としまし
を図っています。
た。これにともない、それまでのカンパニー制を廃止し、各事業
ソニーは、グループ内のリソースを最大限に生かし、世界を
本部が相互に連携しながら、それぞれの事業領域に集中できる体
リードするエレクトロニクス・エンタテインメント企業として、
制を確立しました。また、商品戦略、技術、資材調達、生産、販
より魅力的な商品・サービスを提供していくことを目指します。
6
ビジネス概要
Electronics
エレクトロニクス
事業内容
オーディオ、ビデオ、テレビ、情報・通信、半導体、コンポーネント、その他から構成されるエレクトロニクス事業
Game
ゲーム
Pictures
映画
Financial Services 金 融
All Other
その他
事業内容
事業内容
事業内容
事業内容
家庭用ゲーム機およびソフトウェア
事業
映画およびテレビ番組などの映像コ
ンテンツ事業
生命保険、損害保険、銀行、リース
およびクレジット・ファイナンス事業
音楽コンテンツ事業、音楽出版事
業、ネットワークサービス事業、ア
ニメーション作品の制作・販売事業
およびその他の事業
© Sony Computer Entertainment. Inc.
All rights reserved.
MEMOIRS OF A GEISHA © 2005 Columbia Pictures
Industries, Inc., DreamWorks L.L.C. and Spyglass
Entertainment Group, LLC. All Rights Reserved.
財務ハイライト(単位:億円)
売上高および営業収入
営業利益
100,000
80,000
当期純利益
2,500
75,783
74,736
74,964
71,596
74,754
2,500
2,000
1,913
1,854
2,000
1,638
60,000
1,500
1,500
1,346
1,236
1,155
1,139
989
40,000
1,000
1,000
20,000
500
500
0
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885
153
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(各年3月31日に終了した1年間)
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05
06
(各年3月31日に終了した1年間)
ビジネス別売上高構成比※1
02
03
04
05
06
(各年3月31日に終了した1年間)
地域別売上高構成比
■ エレクトロニクス:64.3%
■ ゲーム:
12.0%
■ 映画:
9.3%
■ 金融:
9.3%
■ その他:
5.1%
(売上高 7兆4,754億円:2006年3月31日に終了した1年間)
■ 日本:
29.0%
■ 米国:
26.2%
■ 欧州:
23.0%
■ その他地域:21.8%
(売上高 7兆4,754億円:2006年3月31日に終了した1年間)
※ 1 各分野間の取引を含みます。
7
取締役・執行役
取締役会
議長:小林 陽太郎 * 副議長:河野 博文 *
ハワード・ストリンガー
ソニー(株)代表執行役 会長 兼 CEO
中鉢 良治
ソニー(株)代表執行役 社長 兼 エレクトロニクスCEO
井原 勝美
ソニー(株)代表執行役 副社長 資材戦略、テレビ・ビデオ事業担当
岡田 明重*
(株)三井住友銀行 特別顧問
河野 博文*
JFEスチール
(株)専務執行役員
小林 陽太郎*
富士ゼロックス(株)相談役最高顧問
橘・フクシマ・咲江*
コーン・フェリー・インターナショナル(株)日本担当 代表取締役 社長 米国本社 取締役
宮内 義彦*
オリックス(株)取締役 兼 代表執行役 会長 グループCEO
山内 悦嗣*
(株)三井住友フィナンシャルグループ 取締役
ピーター・ボンフィールド*
Telefonaktiebolaget LM Ericsson 取締役
住田 笛雄*
住田会計事務所長
張 富士夫*
トヨタ自動車(株)代表取締役 副会長
ネッド・ローテンバック*
Clayton, Dubilier & Rice, Inc. オペレーティング・パートナー
ヨーラン・リンダール
LivSafe AB 会長 兼 CEO、LivSafe, Inc. 会長 兼 CEO、INGKA Holding B.V. 取締役
指名委員会
監査委員会
報酬委員会
議長: 小林 陽太郎*
議長: 山内 悦嗣*
議長: 岡田 明重*
委員: 河野 博文*
委員: 橘・フクシマ・咲江*
委員: 宮内 義彦*
ピーター・ボンフィールド*
住田 笛雄*
張 富士夫*
ハワード・ストリンガー
ヨーラン・リンダール
中鉢 良治
* は会社法第 2 条第 15 号に定める社外取締役の要件を満たしています。
執行役
ハワード・ストリンガー**
代表執行役 会長 兼 CEO
中鉢 良治**
代表執行役 社長 兼 エレクトロニクスCEO
井原 勝美**
代表執行役 副社長 資材戦略、テレビ・ビデオ事業担当
大根田 伸行
執行役 EVP 兼 CFO
木村 敬治
執行役 EVP、 技術戦略、知的財産担当
ニコール・セリグマン
執行役 EVP 兼 ジェネラル・カウンセル
中川 裕
執行役 EVP 、商品戦略、デジタルイメージング事業、オーディオ事業担当
** は取締役を兼務しています。
8
(上記は2006年6月22日現在の新任取締役・執行役および役職情報)
マネジメント体制
ソニーのコーポレートガバナンス強化の歩み
2005 年
カンパニー制を廃止
(エレクトロニクス事業組織
の大幅改組)
2003 年
委員会等設置会社へ移行
2000 年
取締役会議長を設置
執行と取締役を分離
1999 年
ネットワークカンパニー制導入
1998 年
報酬委員会・指名委員会を設置
1997 年
執行役員制導入
1994 年
カンパニー制導入
1991年
外国人(社外)取締役の登用
1983 年
事業本部制導入
1976 年
CEO 制導入
1970 年
社外取締役 2 名設置
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○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
取締役会 会議
Sony Corporation 9
コーポレートガバナンス
ソニー
(株)
は、経営の最重要課題の一つとして、コーポレートガバナンス体制の強化に取り組ん
でいます。その一環として、日本の会社法上の
「委員会設置会社」を経営の機関設計として採用し
ています。また、内部統制およびガバナンスの枠組みについて、継続的に評価し、適宜改善を
行っていきます。
基本的な考え方
コーポレート・エグゼクティブ:
ソニー
(株)
は、経営の最重要課題の一つとして、コーポレート
●
事業ユニット、研究開発、本社機能など、特定領域についての
ガバナンス体制の強化に取り組んでいます。その一環として、会
業務執行責任を担い、取締役会および執行役が決定する基本方
社法上の
「委員会設置会社」を経営の機関設計として採用し、法令
針のもとで、担当業務を遂行
に定められた事項を遵守することに加え、経営の監督機関である
取締役会の執行側からの独立性を強化するための事項、各委員会
ソニー独自の工夫
がより適切に機能するための事項などの独自の工夫を追加し、健
ソニー
(株)
では、ガバナンス強化のため、法律に定められた事
全かつ透明性のある仕組みを構築・維持しています。また、それ
項に加え、取締役会の執行側からの独立性を確保するための事
ぞれの責任範囲を明確にしたうえで取締役会が執行役に業務執行
項、各委員会がより適切に機能するための事項などを取締役会規
に関する決定権限を委譲し、迅速な意思決定による効率的なグ
定に盛り込み、制度化しています。その主なものは、以下のとお
ループ経営を推進しています。
りです。
●
取締役会議長・副議長と代表執行役の分離
経営機構の概要
●
社外取締役の再選回数の制限、委員会メンバーのローテーション
ソニー
(株)
は、法定機関として、取締役会および指名・監査・
●
各委員会議長の社外取締役からの選任
報酬の各委員会、ならびに執行役を設置しています。これらの法
●
利益相反の排除や独立性確保に関する取締役の資格要件の制定
定機関に加え、特定の担当領域において業務を遂行するコーポ
●
指名委員会の人数の下限の引き上げ(5名以上)
レート・エグゼクティブを設置しています。
●
報酬委員へのソニーグループのCEO、COOならびにこれに準ず
各機関の主な役割
●
監査委員の他の委員会メンバーの兼任の原則禁止
取締役会:
●
指名委員の2名以上は執行役を兼務する取締役
●
原則として報酬委員の1名以上は執行役を兼務する取締役
る地位を兼務する取締役の就任禁止
●
ソニーグループの経営の基本方針の決定
●
ソニーグループの業務執行の監督
●
委員会メンバーの選解任
●
執行役の選解任
指名委員会:
●
取締役の選解任議案の決定
監査委員会:
●
取締役の職務執行の監査、および執行役の職務執行
(財務諸表の
会議体の開催状況
2005年度
(2005年4月1日∼2006年3月31日)
において、取締
役会は8回、指名委員会は5回、監査委員会は11回、報酬委員会
は7回開催されました。各取締役は、2005年度における在任期間
中に開催された取締役会および所属する委員会の会議について、
その開催総数の少なくとも75%以上に出席しました。
作成プロセス、情報開示に関する統制と手続き、内部統制、コ
●
ンプライアンス体制、リスクマネジメント体制、内部通報制
監査委員会と内部監査部門の連携状況
度、内部監査体制、その他に関するもの)
の監査
ソニー
(株)
は、内部監査部門を設置しており、同部門が国内外
会計監査人の選解任議案の内容の決定および会計監査人に対す
の主要グループ会社に設置されている内部監査部門を統括するこ
る報酬の承認、会計監査人の職務の監督と評価
とによりグローバルに統制のとれた内部監査活動を展開していま
報酬委員会:
●
いては計5回)
監査報告を行うとともに、監査委員会宛てに毎月の
ループ・エグゼクティブの個人別報酬の決定
監査報告書を提出しています。また、内部監査部門の独立性強化
執行役:
●
す。内部監査部門は監査委員会において定期的に(2005年度にお
取締役、執行役、コーポレート・エグゼクティブ、ならびにグ
取締役会から授権された範囲で、ソニーグループの業務執行を
決定し、また業務を執行する。
10
のため、同部門責任者の任免について監査委員会の同意を必要と
しています。
コーポレートガバナンス機構
選解任
会計監査人
株主総会
取締役の
選解任議案の決定
会計監査人の
選解任議案の決定
取締役の選解任
監督機能
取締役会
委員会メンバーの選解任
監査報告
業務
監査
報
告
監
督
・
評
価
報酬決定
指名委員会
報酬委員会
権限委譲
報酬決定
監査委員会
業務監査
監督
連携
執行機能
執行役
内部監査部門
権限委譲
コーポレート・エグゼクティブ
米国企業改革法と企業情報開示に関するガバナンス
米国では、企業会計不祥事の頻発を契機に、2002年に米国
て、主要なビジネスユニット等の責任者から重要事項の報告
企業改革法(Sarbanes-Oxley Act:SOX法)が制定されまし
を受け、ソニーグループにとっての重要性に照らして開示を
た。ソニー(株)は、米国証券取引委員会(SEC)に登録してい
検討する仕組みを構築しています。この仕組みの設計・運営
るため、この法律の適用を受けます。
と適正な財務報告の担保について、ソニーグループのIR、経理、
S O X法にもとづく義務の1つとして、ソニーグループの
法務、広報、財務、内部監査、人事を所管する責任者により
CEOおよびCFOは、SECに提出する年次報告書 Form 20-F
構成される
「ディスクロージャーコミッティ」
という諮問機関
について、財務諸表の適正性、情報開示に関する統制と手続
が設置されており、CEO、社長およびCFOを補佐しています。
き、および内部統制に関する所定の事項を証明する義務があ
また、2007年3月期からは、財務報告に関する内部統制に
ります。
係る報告書をForm 20-Fに含めることも義務づけられるため、
ソニー(株)では、「情報開示に関する統制と手続き」とし
これに向けグループ全体で内部テスト等を進めています。
内部統制およびガバナンスの枠組みに関する取締役会決議
統制およびガバナンスの枠組みに関する事項につき、現体制を確
2006年4月26日開催の取締役会において、会社法第416条第
認のうえ、かかる体制を継続的に評価し、適宜改善することを決
1項第1号ロおよびホに掲げる当社およびソニーグループの内部
議しました。
URL
内部統制およびガバナンスの枠組みに関する取締役会決議 http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/library/tousei.html
東京証券取引所へ提出した「コーポレートガバナンスに関する報告書」 http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/library/governance.html
11
コンプライアンス※1
法令を遵守し、倫理的に事業活動を行うことは、ソニーの企業文化において最も基本的な事項の
一つです。ソニーでは、コンプライアンス統括部門の設置、「ソニーグループ行動規範」
の制定と
導入、内部通報制度の導入を行い、コンプライアンスネットワークを通じて、ソニーグループ全
体における誠実な事業活動への取り組みを強化し、法的・倫理的問題に適切に対応する体制を確
保しています。
コンプライアンス体制強化の取り組み
CSR活動の推進
ソニーは、法令、規則および社内規則・方針の遵守と倫理的な
ソニーは、2003年3月、CSRの推進を担当する部署をソニー
事業活動の重要性をソニーグループ内に周知徹底し、さらに推進
(株)
に設置しました。同部署では、企業の社会的責任にかかわる
していくことを目的として、2001年7月、ソニーグループ全体の
関連部署との連携、活動方針の立案、仕組みの導入、規則の策定
コンプライアンス活動を横断的に統括する部門を、ソニー
(株)
に
や、啓発を含めたソニーグループ全体へのCSR推進を図っていま
設置しました。このコンプライアンス統括部門では、ソニーグ
す。また、情報発信などを通じてさまざまなステークホルダーと
ループのコンプライアンスの方針および体制の整備、ソニーグ
のコミュニケーション活動に取り組んでいます。
ループの危機管理対応などに取り組んでいます。
CSR活動の推進にはグローバルな視点と地域との連携が重要で
また、2003年7月、米州、欧州、日本※2、東アジア※3、パンア
す。ソニーは世界的規模で産業界におけるCSRの取り組みを推進
※4
ジア において、ソニー
(株)
に設置されているコンプライアンス
している
「持続可能な発展のための世界経済人会議
(WBCSD)」
に
統括部門を補佐し地域のコンプライアンス活動を統括する部門を
創立以来、参画しています。このほか、欧州でCSRの普及を目指
設置し、コンプライアンスネットワークを構築しました。各地域
しているNPO団体「CSRヨーロッパ」や、米国を本拠地として
のコンプライアンス統括責任者は、担当地域のソニーグループ会
CSRに配慮した会員企業の事業活動を支援するNPO団体
「ビジネ
社へのコンプライアンス上の指示監督権を持ち、互いに連携を取
ス・フォー・ソーシャル・レスポンシビリティ
(BSR)」
などに参
りながら、グローバルなコンプライアンス体制の確立および維持
加しています。また、CSRの専門性が求められる中、国際標準化
に努めています。
機構による社会的責任の規格
「ISO26000」
の策定作業や、グロー
※2
※3
※4
バル・リポーティング・イニシアティブ(GRI)によるサステナビ
担当地域:日本、韓国、台湾
担当地域:中国本土、香港
担当地域:東南アジア、中近東、アフリカ、オセアニア
リティ報告書のガイドライン改定作業にメンバーとして参画し、
中心的な役割を担っています。
コンプライアンスネットワーク
コンプライアンス担当執行役
コンプライアンス統括部門
地域コンプライアンス
統括部門
各地域の子会社
※1
12
米州
欧州
日本
東アジア
パンアジア
統括責任者
統括責任者
統括責任者
統括責任者
統括責任者
米州子会社
欧州子会社
日本子会社
コンプライアンス=法令その他の規範を遵守すること。
東アジア子会社
パンアジア子会社
ソニーグループ行動規範
ソニーは、2003年5月、ソニーグループ全体のコーポレートガ
ソニーグループ行動規範
(項目)
バナンスの強化、および法令の遵守と倫理的な事業活動のさらな
2003年5月制定
る徹底を目的として、ソニーグループのすべての取締役、役員、
および従業員一人ひとりが守らなければならない基本的な事項
を、
「ソニーグループ行動規範」として制定しました。この行動規
範では、法令遵守に加え、人権尊重、製品・サービスの安全、環
【適用対象会社】
ソニー株式会社
ソニー株式会社が直接または間接に発行済議決権付株式
または持分の過半数を所有するグループ会社
ソニー株式会社の取締役会が適用対象と定める会社
●
●
●
境保全、企業情報開示など、ソニーグループの企業倫理や事業活
動にかかわる基本方針を定めています。
【適用対象者】
すべての取締役、役員、および従業員
「ソニーグループ行動規範」
は、経済協力開発機構(OECD)
多国
籍企業ガイドライン、国連グローバルコンパクト、国連世界人権
宣言など、主要な国際基準やガイドラインを参考に制定されま
した。
「ソニーグループ行動規範」は、世界中のソニーグループ各社に
おいて、自社の行動規範として採択され、導入されています。
またソニーでは、この「ソニーグループ行動規範」の制定を契機
として、ソニーグループのガバナンス上の重要事項について、ソ
ニーグループ共通ルールの整備および一元管理を行っています。
「ソニーグループ行動規範」
・内部通報
制度啓発のための小冊子、カード、
ポスター、研修用DVDなど
【規定項目】
1.基本原則
1-1
法令、社内規則・方針の遵守
および誠実で倫理的な事業活動
1-2
ステークホルダーとの関係
1-3
多様性の理解
1-4
構造的利益相反の回避
1-5
社内通報
2.人権の尊重
2-1
雇用における機会均等
2-2
強制労働、児童労働の禁止
2-3
健全な雇用・労働
2-4
職場環境
3.誠実で公正な事業活動
3-1
製品・サービスの安全
3-2
環境保全
3-3
公正競争
3-4
広告
3-5
企業情報開示
3-6
個人情報
3-7
知的財産
3-8
機密情報
3-9
公正な調達
3-10
贈答、接待
3-11
記録および報告
4.倫理的行動
4-1
インサイダー取引
4-2
個人的利益相反
4-3
会社資産
4-4
メディアとの関係と公的発言
URL
「ソニーグループ行動規範」 http://www.sony.co.jp/code/
経済協力開発機構 多国籍企業ガイドライン http://www.oecd.org/
国連グローバルコンパクト http://www.unglobalcompact.org/
国連世界人権宣言 http://www.un.org/Overview/rights.html
13
内部通報制度
ソニーグループ行動規範・内部通報制度の啓発
ソニーは、
「ソニーグループ行動規範」
の制定を受けて、社員の
ソニーでは、
「ソニーグループ行動規範」
・内部通報制度につい
コンプライアンス活動への参画を容易にし、法令や社内規則違反
て、ソニーグループ各社で啓発を図るため、イントラネット上の
の潜在的なリスクに対して早期に対処するために、内部通報制度
ホームページに情報を掲載しているほか、小冊子やカード、ポス
「ソニーグループ・コンプライアンス・ホットライン」
を設けてい
ターの配布、研修やeラーニングの実施、社内報での記事掲載な
ます。運営にあたっては、米州、欧州、日本、東アジア、パンア
どを行っています。
ジアの各地域に通報窓口を設置し、ソニーグループの全社員から
今後も、
「ソニーグループ行動規範」
で定められた社内方針や価値
の通報を電話、電子メール、郵便などで受け付ける体制を敷いて
観の重要性を啓発や研修を通じて、継続的に周知していきます。
います。
「ソニーグループ・コンプライアンス・ホットライン」は、コン
プライアンス担当執行役に直結する窓口として、通常の指揮命令
系統から独立して運営されています。通報案件内容は、定期的に
経営陣および監査委員会に報告されるほか、重要案件についても
適宜個別報告が行われます。
ソニーでは、匿名による通報を可能とし、通報者の保護の観点
から、誠実に通報を行った者が社内において不利益な扱いを受け
イントラネットを利用した行動規範・内部通報制度の啓発:
「ソニーグループ行動規範」や内部通報制度の情報を掲載しています。
ることがないようにしています。
2005年度は、ソニーグループ全体で、約320件の通報を受け
ました。通報の内容には、雇用、労働、職場環境、情報管理、環
境保全、経理関連などがあります。受け付けた通報については、
調査、事実確認の上、適宜対応しています。また、通報された問題
への対応を契機として、社内規則を整備、再徹底するなど、社内
の体制や手続きの見直し、対策が講じられたケースもあります。
ソニーグループ・コンプライアンス・ホットライン
コンプライアンス担当執行役
監督
通報
報告
本社コンプライアンス部門
地域コンプライアンスオフィサー
米州
欧州
東アジア
パンアジア
調査・確認
14
日本
報告
ソニー
(株)監査委員会
危機管理体制
ソニーでは個人情報管理の強化に努めていますが、2005年8月
ソニーは、多様化するリスクに対して、ソニーグループ全体で
には、国内ソニーグループ会社において、業務委託先のミスによ
の横断的な対応を実行できるよう、2001年よりグループ・クラ
り、一部のお客様に宛先ラベルが二重に貼られた状態で宅配便を
イシス・マネジメント体制を敷き、ソニーグループとして迅速か
発送するという事件が起こりました。ソニーは対象となる方にお
つ適切な危機管理を行える仕組みを構築しています。この体制下
詫びと説明を行うと同時に、当該事件を公表しました。ソニー
では、危機を3段階のレベルに分類しています。レベル1は、ソ
は、このような事態の重大性を深く受け止め、業務委託先の管理
ニーグループに広範囲に重大な影響を及ぼす可能性がある危機と
も含めソニーグループ全体での個人情報管理体制の強化と再発防
定義され、CEOの陣頭指揮により対応します。レベル2は、レベ
止の徹底に傾注してまいります。
ル1には該当しないもののソニーグループに広範囲に影響を及ぼ
※1
対象はソニー(株)およびその国内子会社
す可能性がある危機と定義され、専門機能を担当するマネジメン
トによる横断的組織で対応します。レベル3は、他のビジネスユ
ニットへの影響が及ばない危機であり、各ビジネスユニットやグ
ループ会社で対応します。
個人情報管理
ソニーでは、商品の販売やサービスの提供を行う際、お客様や
お取引先の個人情報をご提供いただくことがあります。
一方、インターネットなどを通じて、個人情報を電子データで
大量に取得、利用、管理することが容易になるにしたがい、情報
漏えいの防止など、情報管理の強化がますます重要になってきて
います。
「ソニーグループ・プライバシーポリシー」より一部抜粋
「お客様の視点」を常に持ち続け、イノベーションと健全な事業活動
を通じてお客様により良い製品やサービスを提供すること、21世紀の
ブロードバンド時代においても
「お客様にとって最も信頼されるパート
ナー」であり続けることは、ソニーグループ各社(「ソニー」、以下も同
様とします。)
にとって最大の目標であり、お客様から高い期待を寄せ
ていただいているソニーにとっての使命と考えています。
ソニーでは、お客様の個人情報は、こうした期待のもとお客様が自
らの意思により特定の目的での利用のためにソニーに預託したもので
あり、その個人情報を安全に保管し、お客様の意思を尊重して利用す
ることが、ソニーに課せられた最大の課題であると認識しております。
ソニーは、2000年7月にソニーグループ共通の「個人情報に関
するソニーの基本原則」を定めるとともに、個人情報管理を推進
するための担当部署をソニー
(株)内に設置し、同部署とソニーグ
ループ各社で任命された推進責任者との連携により、ソニーグ
ループ全体の個人情報管理体制を構築しています。この体制のも
と、社内規則や業務プロセスの整備を行い、お客様や取引先など
の個人情報の適切な取り扱いにソニーグループ全体で取り組んで
います。
また、ソニーグループ国内各社においては、ソニーグループの
個人情報管理方針をご理解いただくために、「ソニーグループ・
プライバシー・ポリシー」※1を採択し、2005年4月から運用して
います。
個人情報管理においては、社員一人ひとりの意識が重要な要素
になることから、ソニー(株)では、全社員を対象に毎年1回、個
人情報管理にかかわるコンプライアンス意識や管理レベル、情報
セキュリティの向上を目的とした研修を行っています。さらに、
個人情報を取り扱う部門においては、より具体的・専門的な内容
の研修を実施しています。このような研修活動は、ソニーグルー
プ各社にも展開しています。
URL
ソニーグループ・プライバシーポリシー http://www.sony.co.jp/privacy/
15
サプライチェーン・マネジメント
ソニーは、公正な調達姿勢のもとに、客観的な基準にもとづいて調達先およびOEM先※1を選ぶこ
とを基本的な方針としています。またソニーは、調達先およびOEM先が、関連法令の遵守、人権
尊重、環境保全および製品・サービスの安全に関するソニーグループの基本方針に賛同すること
を期待しています。
公正・公明・公平な調達姿勢
サプライヤーも含めたCSRマネジメント
調達先
(サプライヤー)
の方々に対し、ソニーは公正・公明・公
ソニーは、CSRの実現には社内だけではなく、サプライヤーの
平を基本的な調達姿勢としています。ソニーの資材調達活動で
協力も必要と考えています。
は、公正とは定められた方針や手順によって調達業務を行うこ
ソニーにおける、サプライヤーも含めたCSRマネジメント向上
と、公明とは恣意的な行動をしないこと、公平とは均等に門戸を
への取り組みの第一段階として、2002年に
「グリーンパートナー
開放すること、と考えています。また、サプライヤーの方々と相
※2
環境品質認定制度」
を設け、化学物質管理に必要な基準を満たす
互信頼関係を築くことが重要である、と考えています。
サプライヤーのみから部品調達を行っています。
エレクトロニクスの資材担当者は、清廉潔白・誠実を基本に、
※2
サプライヤーとの間で私的な関係や利害をもつことを禁じられて
「グリーンパートナー環境品質認定制度」
については、53ページをご覧くだ
さい。
います。例えば、資材担当者が、個人的にサプライヤーからの贈
答品を受け取ること、ソニー社員でありながらサプライヤーの経
「ソニーサプライヤー行動規範」
の制定
営にかかわる立場になること、といった行為が該当します。
ソニーでは、2003年に制定した
「ソニーグループ行動規範」
に
国内のエレクトロニクスビジネスにおける資材調達部門では、
おいてサプライヤーの方々が、関連法令の遵守、人権尊重、環境
「資材担当者の心得」というハンドブックを全員に配布し、eラー
保全などに関するソニーグループの基本方針に賛同することを期
ニングによる
「資材倫理」
の受講を義務づけて周知徹底を図ってい
待しています。サプライヤーの方々にもこの基本方針を理解し実
ます。また、このハンドブックは、既に、英語、中国語、タイ語
践していただくため、2005年6月に「ソニーサプライヤー行動規
に翻訳され、欧米、東アジア、東南アジア等のソニー事業所にも
範」
を制定しました。当行動規範は、2004年に米国のエレクトロ
広く配布され、グローバルベースで倫理の徹底を図っています。
ニクスメーカー共同で制定された「電子業界行動規範(Electronic
また、その他のソニーグループ会社においても、商取引において
Industry Code of Conduct)
」にもとづいており、ソニーは、サ
利益相反が起きないような仕組みを導入しています。
プライヤーの方々が効率的で、効果的にCSRに取り組む上で有意
義であると考えます。
英語、中国語、タイ語の
「資材担当者の心得」
※1
ソニー製品の製造委託先を「OEM先」と呼びます。
URL
16
ソニーの資材調達活動 http://www.sony.co.jp/SonyInfo/procurementinfo/index.html
電子業界行動規範(Electronic Industry Code of Conduct)
http://www.eicc.info/
「ソニーサプライヤー行動規範」
の導入
ソニーサプライヤー行動規範
(項目)
2005年度は、「ソニーサプライヤー行動規範」
の内容を対象と
2005年6月制定
なるサプライヤーの方々にお知らせするとともに、当行動規範の
●
●
●
●
●
●
法令遵守
労働
雇用の自主性
児童労働の禁止
差別の撤廃
非人道的な扱いの禁止
最低賃金の確保
労働時間の法令遵守
結社の自由の尊重
安全衛生
機械装置の安全対策
衛生管理
安全管理
緊急災害時対応
労働災害・職業的疾病管理
身体的な負荷のかかる作業への配慮
寮施設と食堂の衛生面確保
環境保全
製品含有物質規制の遵守
化学物質と環境汚染物質の管理
排水と廃棄物の管理
大気汚染の防止
環境許可証の取得と適切な報告
汚染防止や省資源対策
管理の仕組み
企業のコミットメント
経営の説明責任と責任
法律と顧客要求
リスク評価とリスク管理
活動目標、実行計画、測定
教育・研修
コミュニケーション
従業員フィードバックと参画
監査と評価
改善措置
文書化と記録
倫理的経営
汚職、恐喝、横領の禁止
情報の公開
不適切な利益供与・受領
公正な事業、広告、競争
内部通報制度
地域貢献
知的財産権の保護
URL
遵守を要請しました。サプライチェーンでの遵守状況を把握する
一環として、一部のサプライヤーに対して、自己評価のための質
問状の配布・回収と事業所視察を実施しました。
また、ソニーは、シスコ社、デル社、ヒューレット・パッカー
ド社、IBM社、インテル社、マイクロソフト社などのエレクトロ
ニクスメーカーが共同でCSRにかかわるサプライチェーン・マネ
ジ メ ン ト の 運 用 を 推 進 す る「 電 子 業 界 行 動 規 範 グ ル ー プ
(Electronic Industry Code of Conduct Group)」
に参画して
います。当グループは、業界での規範や運用を共通化することに
よって、業界全体での効率的な運用、改善、活動レベルの向上、
ステークホルダーコミュニケーションなどを目的としています。
2005年度は、こうした目的を達成するために、業界が共通で運
用できるリスク評価や監査方式などのツールや、参加企業間での
情報の流れを円滑にするウェブシステムの開発と導入を含めた運
用の仕組みの検討を進めました。
ソニーは、今後も業界との協調を保ちつつ、サプライチェーン
での「ソニーサプライヤー行動規範」の推進に努めていきます。
電子業界行動規範グループで検討中の主な共通運用ツール※3
●
●
●
●
※3
リスク評価ツール
自己評価ツール(質問状)
監査方式
ウェブシステム
GeSI
(Global e-Sustainability Supply Chain Working Group、欧州IT/
テレコム企業を中心とした団体)
との共同作成ツールを含む。
ソニーサプライヤー行動規範 http://www.sony.co.jp/csr
17
人々とソニー
ソニーとステークホルダーの歩み
株主
1970 年
ニューヨーク証券取引所上場
1961年
日本企業として初めて
ADR(米国預託証券)を発行
1958 年
東京証券取引所上場
○
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2001 年
ソニー CS 憲章を制定
1963 年
お客様ご相談センターを国内に開設
お客様
コミュニティー
2000 年
ボランティア活動推進プログラム
「Someone Needs You」開始
1984 年
ソニー音楽芸術振興会設立
1972 年
ソニー教育振興財団設立
ソニー・アメリカ財団設立
1959 年
ソニー理科教育振興基金を開始
○
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○
2003 年
ソニー MVP 認定制度導入
2000 年
社内教育機関
ソニーユニバーシティ設立
Contribution(貢献)=Compensation(報酬)にもとづいた新処遇制度
の導入開始
1998 年
ソニー安全衛生基本方針を制定
1992 年
目標設定&レビューを行う
自己申告制度実施
1966 年
社内募集制度導入
社員
ソニー・サウス・アフリカのコミュニティー・アップリフト
メント・プログラム(南アフリカ)(35ページ参照)
18 Sony Corporation
株主
ソニーは、全世界の株主や投資家に対して適時に、適法な、また十分な内容の、公正で、正確
な、そして理解しやすい情報を開示し、IR※1活動を通じて株主や投資家とのコミュニケーション
を積極的に行っています。
株式上場の歴史について
投資家情報ウェブサイト
ソニー
(株)
は、1955年8月、東京店頭市場に株式を公開し、そ
ソニーでは、経営に関する情報を、迅速に投資家情報ウェブサ
の後、1958年12月、東京証券取引所に上場しました。1961年
イトに掲載することで、法人・個人、国内外を問わず、より多く
6月には、日本企業として初めてADR(米国預託証券)
を発行、さ
の株主や投資家への公平な情報開示を推進しています。
らに1970年9月、ニューヨーク証券取引所に上場し、日本企業の
ウェブサイトでは、マネジメントからのメッセージをはじめ、
海外における資金調達の先駆けとなりました。
業績や製品に関する最新情報、各種ディスクロージャー書類、株
式・社債情報などをご覧いただけます。
情報開示とコミュニケーション
また、機関投資家やアナリスト向けの業績説明会・経営方針説
ソニーの情報開示は、全世界の株主や投資家に対し、適法・公
明会の模様を中継しており、プレゼンテーション資料の閲覧に加
正で、正確な、そして理解しやすい十分な内容の情報を適時に開
え、海外の機関投資家向けに行うコンファレンス・コール(電話
示することを基本方針としています。
会議)も聞くことができます。業績やソニーの経営全般に関する
業績説明会・経営方針説明会などのIRイベントやアニュアルレ
質問をウェブサイト上で四半期ごとに受け付け、IR担当役員が直
ポート・ファクトブックなどのディスクロージャー書類、投資家
接回答するコーナーも設けています。
情報ウェブサイトを通じて、財務情報、ソニーの経営方針・戦略
さらに、ソニーグループ関連のニュースをパソコン向け、およ
など、重要な経営情報をタイムリーに公開し、経営の透明性の向
び携帯電話向けにタイムリーに提供するIRニュースメール配信の
上を図っています。
サービスも行っています。
主なIRイベント
業績説明会(四半期ごと)
経営方針説明会
各種事業説明会
株主総会/株主懇談会
個人投資家向け説明会
機関投資家・アナリスト取材対応 など
ディスクロージャー書類
業績発表文(四半期ごと)
アニュアルレポート
米国証券取引委員会宛 年次報告書 Form 20-F
有価証券報告書
半期報告書
ファクトブック(四半期ごと)
グループ報告書(中間/年度)
※1
Investor Relations=企業が株主や投資家に対し、必要な情報を適時、適正、迅速、公平に継続して提供する活動のこと。
URL
ソニーの投資家情報 http://www.sony.co.jp/IR/
19
株主との直接のコミュニケーション
株式の所有者別状況
ソニーは株主総会を、株主との直接のコミュニケーションの場
2006年3月31日現在、総株主数は約72万名でした。株式の所
として重要であると認識しています。株主総会終了後も株主懇談
有者別状況を見ると外国人株主50.1%、金融機関18.5%、個人・
会を開催し、株主が経営陣と直接対話する機会を設けています。
その他27.0%、一般法人3.5%、証券会社0.9%となっています。
2006年6月の定時株主総会には約7,200名、株主懇談会には約
近年、機関投資家を中心とした外国人株主の持株比率が増加して
2,000名の株主が出席しました。同時に、商品展示会場を開設
います。
し、ソニーの製品・技術ならびにCSR活動をご紹介しました。
一方、株主総会当日に出席できない株主が、できる限り多く事
前に決議に参加できるよう、従来の郵送に加えて、パソコンや携
帯電話によるインターネットを利用した議決権行使も積極的に導
入しています。
(各年3月31日現在)
株式の所有者別状況
2004
外国人
金融機関
個人・その他
39.4%
20.7%
34.0%
2005
48.1%
2006
50.1%
17.2%
30.0%
一般法人
証券会社
4.8% 1.1%
3.7% 1.0%
また、株主総会および株主懇談会の模様(録画)
を、投資家情報
ウェブサイトで公開しています。
18.5%
27.0%
3.5% 0.9%
社会的責任投資
(SRI)指数への組み入れ状況
近年、従来の財務分析による投資基準に加え、社会・倫理・環
境などの観点から企業を評価・選別するSRI指数やSRIファンド
が、世界各地で設定されています。
ソニーのCSRへの取り組みは、国内外から評価を受けており、
ソニーの株式は代表的なSRI指数に組み入れられています(2006
2006年6月に開催された
定時株主総会(東京)
年6月1日現在)
。例えば、1999年に開発されたダウ・ジョーン
ズ・サステナビリティ・インデックスにおいては、ソニーは初年
度から毎年インデックスの構成に選出されており、2005年には
初めて業種別評価でのトップに選ばれました。
商品展示会場でのCSR
活動の紹介
ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・
インデックス
ダ ウ ・ジ ョ ー ン ズ ・イ ン デ ッ クス( 米 国 )、
STOXX(スイス)とサム・グループ(スイス)が共
同で開発。
FTSE4Goodグローバル100・インデックス
フィナンシャル・タイムズ(英国)
とロンドン証
券取引所の合弁会社FTSEグループが開発。
20
お客様:品質とカスタマーサティスファクション
ソニーでは、お客様に
「満足感」
「信頼感」
「安心感」を提供できるよう、お客様の視点で製品品質・
サービス品質のさらなる向上を目指しながら、さまざまな活動に取り組んでいます。
CS※1理念・基本方針
顧客視点での品質基準の制定および体制強化
ソニーは創業以来、お客様の視点に立った製品・サービスの提
ソニーは、品質改善を全社的な重要経営課題として認識し、開
供を最優先事項として、CSの重要性を経営基盤の一つに据えてき
発・企画・設計・製造から販売・サービスまでのプロセスで品質
ました。その理念は、設立趣意書
(1946年、ソニーの創業者、井
改善に取り組み、製品品質と信頼性の向上を図っています。
深大、起草)にも記されています。常にお客様視点を持ち、より
質の高いCSを実現すること、「お客様にとって最も信頼される
●
パートナー」であり続けることは、ソニーにとって最大の目標で
2004年に、顧客視点でのソニーのエレクトロニクス製品が満た
すべき品質要求事項(製品の安全性と性能、表示、サービスな
あり、使命であると考えます。
ど)を定めたコーポレート品質基準を新たに制定。
この理念のもと、ソニーでは2001年度より
「ソニーCS憲章」
を
●
制定し、顧客満足のさらなる向上を図っています。
製品分野、事業分野ごとに全世界で約40名のCS統括責任者を任
命。
●
社長およびエレクトロニクス製品を扱う事業本部や事業グルー
プ、生産やマーケティングのトップマネジメントによる
「CS戦略
ソニーCS憲章
会議」
を、ソニーのエレクトロニクスビジネスのCS・品質領域に
おける最高意思決定機関として定期的に開催。
ソニーは、ブロードバンド時代においても、世界中のお客様にとって
身近で最も信頼されるパートナーであり続けることを目指します。
●
常にお客様の声に耳を傾けます
お客様の声をフィードバック
●
高いクオリティと夢のある商品やサービスを提供し続けます
ソニーでは、お客様の声を製品づくりに生かす取り組みを行っ
●
社員一人一人がお客様との信頼を築くため行動します
ています。製品の販売直後から寄せられるお客様のご不満やご意
●
信頼に基づく、満足と夢のコミュニティーの創造を推進します
社会への貢献と調和を目指した企業活動を継続します
見、製品の不具合情報については、ご相談窓口でいち早く正確に
●
把握し、商品企画や設計部門などに伝達、連携を図っています。
こうして、早期に品質改善・向上に結び付ける活動を展開してい
ソニーは、CSの理念、
「ソニーCS憲章」に加え、2005年度に
ます。
提唱したカスタマービューポイント
(顧客視点)
イニシアチブによ
その一例として、DVDレコーダーの一部機種に関するお客様の
り、一層のお客様第一主義を実践し、魅力ある製品づくりを行っ
声への対応が挙げられます。映像の初期設定の切り替えが難しく、
ていきます。
取扱説明書の記載もわかりにくいという声をもとに、後継モデル
※1
Customer Satisfaction=カスタマーサティスファクション(顧客満足)。
では設定切り替えの操作性と取扱説明書の表現を改善しました。
お客様の声の活用
お客様
CS関連部門
買い物ご相談
共通課題抽出・品質改善の取り組み
経営トップ
使い方ご相談
ご相談窓口
修理ご相談
ご不満
お客様の声
分析
ご意見
データベース
品質問題
改善提案
商品企画・設計部門など
調査・解析
改善施策の実施
製品&サービスへ反映
より良い製品&サービス
21
社内の品質情報窓口の開設
製品・サービスの安全性
品質問題は早期発見が重要です。ソニーは、品質に関する問
ソニーでは、製品開発からサービスまでの全事業活動における
題、情報、意見などをグループ社員から幅広く収集するための品
あらゆる分野で、安全性の向上に取り組んでいます。
質情報窓口を2003年に設置しました。職場での解決や対応に関
製品の安全性に関する国際規格、各国規制への適合はもとよ
する判断が難しい問題、見落とされてしまったと思われる問題、
り、お客様がソニー製品によって危害・損害を被ることのないよ
またソニー製品のユーザーとして気づいた品質問題などについ
う、全事業活動においてソニー独自の安全基準を設定し、製品の
て、記名式で品質情報窓口の専用ホームページから連絡すること
安全性をより確実なものとする取り組みを行っています。
ができます。この窓口の事務局では、提供されたすべての情報に
ついて、事実確認を行うとともに、品質問題の未然防止策や再発
お客様応対サービスの啓発
防止策を立案・導入します。
ソニーでは、製品品質のさらなる向上に取り組むとともに、お
窓口開設以来、寄せられた情報は、2006年4月30日現在で
客 様 応 対 サービスにおいてもさまざまな取り組みを行ってい
834件に達しました。使いやすい製品にするための提案、取扱説
ます。
明書の記述をわかりやすい表現にする提案など、多岐にわたる情
2001 年からお客様応対業務に携わる社員、およびサービス
報により改善された項目は580項目以上に上ります。
パートナーのスタッフを対象に、eラーニングによるサービスト
レーニングプログラムを導入し、知識の共有を実現しています。
改善項目の内訳
ソニーでは、そうした研修を通じて、グローバルに均質のサービ
(2006年4月30日現在)
■ 設計仕様・基準見直し:28%
スを提供できるよう努めています。
■ ウェブ・カタログ改善:23%
また、日本やアジアでは、電話相談、修理受付窓口、訪問修理
■ マニュアル改善:
業務に携わる社員を対象に、技術と応対を競うコンテストを積極
13%
■ サービス対応見直し: 13%
■ 検証方法等見直し :
8%
■ 製造技術改善:
6%
■ その他:
9%
的に実施し、CSに対する社員の意識向上に努めています。
お客様のご相談窓口の充実
ソニー製品に関するお客様からのお問い合わせに対応するため
の窓口として、1963年に「お客様ご相談センター」を国内に開設
品質問題について
しました。以来、その機能を全世界へ展開しています。
家電製品のデジタル化の進行にともない、近年、ソフトウェア
国内のお客様ご相談センターでは365日、お客様のニーズに迅
の品質に起因する障害が増える傾向にあります。2005 年度に
速に対応できるよう努めています。日本と香港のお客様ご相談セ
起きた品質問題の半数近くがソフトウェアの品質に関するもので
ンターでは、コンタクトセンター国際規格であるCOPC-2000 ※1
した。
基準の規格にもとづく認証を取得しています。国際的な機関に評
ソニーでは、問題が起きた場合には、事実調査および処置や、
価されたお客様重視の応対品質を、今後、全世界に展開していく
お客様への情報開示および問題の改善対応を迅速に実行し、品質
ことで、一層のお客様応対業務の品質向上を図っていきます。
向上に結び付けていきます。
また、ソニーはお客様とソニーをつなぐ有効な手段として、イ
製品に関する主な問題および対策
該当製品
公表時期
液晶プロジェクションテレビ
および液晶テレビの一部機種
2006 年
2月
デジタルスチルカメラの一
部機種
2005 年
12 月
デジタルスチルカメラ、カ
ムコーダー、PDA、業務用
カムコーダーの一部機種
2005 年
10 月
22
内容
対策
テレビの一部機種で、ソフトウェアの不具合により、電
源オンまたはオフができないなどの症状が発生した。
国内では放送ダウンロード機能を利用し、自動のソフト
ウェアにて修理、もしくはフリーダイヤルを設置し、無
償で訪問修理を実施。海外では修正ソフトウェアの提供
を実施。
中国浙江省工商局による品質検査で、計 6 モデルが基準
に不合格との判定を受ける。調査の結果、製品側に品質
の問題があったわけではないものの、ソニーが提出した
品質等に関する書類内容に不備があったことが判明した。
製品に搭載している撮像素子(CCD)において、使用環
境などの要因が重なり、カメラ撮影時に不具合が発生す
る場合がある。
中国本土で該当機種の販売を停止し、ご希望のお客様に
対しては返品を行った。
こうした不具合が発生したものには、無償の修理などの
対応を実施。
ンターネットを活用しています。ウェブサイトでは、商品情報を
修理サービス拠点数(2005 年度)
公開するほか、よくいただくご質問をまとめたサイト
(Q&A)
の充
実を図っています。また、取扱説明書をウェブサイトからダウン
ロードできるようにするなど、製品やサービス、サポート情報を
タイムリーに提供するとともに、使いやすい構成、わかりやすい
記述を心がけています。
さらに国内では、パソコン初心者の方にも安心してお使いいた
だけるよう、さまざまなサービスの提供に取り組んでいます。オ
ペレーターがインターネットを経由して、お客様がご使用中の
地域
修理サービス拠点数
日本
北米
欧州
東アジア ※ 4
パンアジア※ 5
中南米
※4
※5
700
5,250
2,040
340
1,320
620
該当地域:中国本土、香港、台湾、韓国
該当地域:東南アジア、中近東、アフリカ、オセアニア
パーソナルコンピュータの画面を確認しながら使い方などのご案
内をさせていただくものや、お客様のご都合のよい時間に予約を
接続や互換性検証の推進
していただき、その時間にあわせてオペレーターからお客様へ電
ネットワーク対応の家電製品の普及にともない、機器の接続に
話をして使い方のサポートを行うものなど、お客様にご利用いた
よる使用が増え、同時に設計の段階から製品の接続や互換性を十
だきやすいサービスに努めています。
分考慮し、検証を確実に行う必要性が高まっています。
※1
ソニーでは、製品のデジタル接続や互換性検証を推進する専門
COPC-2000 は、米国国家経営品質賞のマネジメントモデルをもとに、
コールセンター(コンタクトセンター)、およびフルフィルメント(配送)
業
務に特化して策定されたマネジメント規格です。
組織を国内に設置しました。そこでは世界の事業所と連携をと
り、規格への準拠検証や実際に機器を接続して検証を行うことを
お客様ご相談受付件数(2005 年度)
地域
受付件数(電話、メール、書簡)
日本
北米
欧州
東アジア ※ 2
パンアジア※ 3
中南米
※2
※3
4,100,000
5,426,000
1,435,000
2,669,000
1,143,000
1,261,000
該当地域:中国本土、香港、台湾、韓国
該当地域:東南アジア、中近東、アフリカ、オセアニア
広く推進しています。また、ソニー製品の接続に関する情報を
ウェブサイトに掲載し、製品の接続によって広がる世界を紹介、
サポートしています。
ソニー製品・サービスに関する
消費者の視点からの提言
製品の
「高度な技術」
と、それを
可能とする「自由闊達な社風」が特
徴とされるソニーであるからこ
修理サービスの推進
ソニーは、サービスステーションと修理受付認定店などをあわ
せて、全世界に10,000カ所を超えるサービスネットワークを擁し
ています。中国では「安心・便利」をテーマにした活動拠点とし
て、2005年9月に、上海にアジア最大規模のサービスセンターが
そ、提案したいことがあります。
日本では今のところ、PL法に
もとづく
「欠陥製品」
に関する制度 佐野 真理子氏
的対応は、不十分ながらも、整備
主婦連合会 事務局長
されています。しかし、人的・物的損害をともなわない
「不具合」
や
「瑕疵
(かし)
」
についての情報提供・消費者対応
オープンしました。
や、無料改修するかどうかなどは、事業者の判断に任せら
お客様のご要望に迅速に対応できるよう、各地域で修理技術向
れています。「製品の不具合情報」
について、業界の先鞭を
上のための研修、最新の製品情報の共有化を日々実施していま
つけるような充実化を図っていただきたいと思います。
す。さらに、顧客視点に立った修理サービスを目指し、修理技術
次に、サプライチェーンへの適切な管理の中で、既に実
者のお客様とのコミュニケーション能力を向上させるよう注力し
施されている化学物質基準の実践とともに、汎用品部品の
ています。
品質管理をより徹底させてほしいと思います。グローバル
また、修理サービスの品質改善に向けて他社との比較分析を積
化が進む中、複数メーカーの同一ジャンルの製品群で、同
極的に行い、具体的な目標値を設定し、ソニーの相対的な強みと
一部品による品質問題が目立つようになったと思われてな
弱みを把握することに努めました。このほか、世界の各地域にお
りません。
いて、物流日数や修理日数の短縮、修理料金の見直しなども行っ
日進月歩のエレクトロニクス分野ですが、世界のソニー
ています。
として、消費者の信頼を確保するための一層の取り組みを
期待しています。
23
お客様:使いやすさへの取り組み
デジタル技術の進展により、商品は高性能化、多機能化し、操作が複雑になってきているのが現
状です。そのような状況を踏まえ、ソニーでは、
「使いやすさ」
も製品品質の一つとしてとらえ、
できるだけ多くの方に快適に使っていただける商品やサービスの提供を目指しています。
製品の「使いやすさ」
ゲームソフトの年齢別レーティング制度への取り組み
ソニーでは、より幅広いユーザーの方に、もっと気軽にハイビ
(株)ソニー・コンピュータエンタテインメント
(SCE)
は、ゲー
ジョンビデオカメラを使っていただけるように、さまざまな改
ムを音楽・映画・テレビとならぶエンタテインメントの一つに育
良・改善に取り組んでいます。
てたいと考え、幅広いユーザー層に向けプレイステーションビジ
例えば、ハイビジョンビデオカメラ(HDR-HC3)
では、
「カメラ
ネスを展開してきました。
を持つ」こと一つをとっても、そこには、握りやすさ、指がか
ゲーム業界では、ゲームソフトのジャンルの広がりに対応し、
り、手首の角度、重量バランスなど、持ちやすさに関係する数多
購入時にどのくらいの年齢層を対象としたソフトであるか、と
くの要素が含まれています。
いった商品情報を提供するために、日米欧各地域の業界団体
それらの各要素について、何種類もの試作品を作り、実際に
(CERO/ESRB/PEGI)
の年齢別レーティング制度を導入していま
ユーザーの方に使っていただき、そこで得られたご意見を反映す
す。特に、米国ESRBの制度は10年以上の実績をもっており、社
る形で商品化を進めました。また、撮影の際に煩雑な設定をしな
会的に高い評価を得ています。一方、PEGIはエンタテインメント
くても、初めての方でも、なるべく失敗しないように「シンプル
産業の自主規制の枠組みとして欧州委員会により支持されていま
ボタン」を設け、オート(自動)での撮影を可能としました。
す。日本においても、レーティング制度の見直しを行うととも
に、販売店の皆様の協力のもと「Z:18歳以上のみ対象」ソフト
ウェアの18歳未満のお客様への販売を自主的に規制するなど、
レーティング制度の実効性を高めるための施策を推進しています。
また、SCE は、PSP ®「 プレイステーション・ポータブル」か
手首に負担のかからない7度に傾斜させた
グリップ。
手になじむフォルムで長時間撮影も快適
ら、視聴年齢制限に対応するパレンタルロック機能をハードウェ
アに搭載しました。この機能は、2006年11月発売予定の
「プレイ
ステーション 3」
にも搭載し、プレイステーションプラットフォー
「お客様の声」
が出発点
ムにおいて、お客様がレベルを判断してお子様に適切なコンテン
地上波デジタル放送が始まったことで、テレビが複雑なものに
ツを視聴させることを可能にします。
なり、テレビ購入者アンケートからも「リモコンの使い方がわか
SCEは、ゲームの表現が将来世代の育成と調和のとれたものと
りにくい」という声が多数聞かれるようになってきました。この
なるよう、レーティング制度の普及に向けた活動に積極的に取り
ような状況を踏まえ、テレビのリモコンを徹底的に使いやすくす
組むとともに、社会にとって最適な仕組みの創出、改善に努めて
ることに取り組みました。ボタンはよく使うものに絞り、チャン
いきます。
ネルボタンの面積を従来の約1.8倍と大きくしました。ボタンレ
イアウトやグルーピングを工夫するなどの改良を重ね、検証のた
めにユーザーテストを繰り返し行った結果、見た目にもシンプル
で、実際の操作感も快適なリモコンを実現することができまし
た。液晶テレビ“BRAVIA〈ブラビア〉”V2000 シリーズおよび
S2000シリーズには、このリモコンが搭載されています。
見やすく、押しやすく、使いやすくなった
新シンプルリモコン
URL
24
特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO) http://www.cero.gr.jp/
Entertainment Software Rating Board
(ESRB) http://www.esrb.org/
Pan European Games Information
(PEGI) http://www.pegi.info/
社員:雇用、労使関係
ソニーは、健全な雇用・労働環境の整備を実践し、各国・地域の適用法令を遵守して社員を処遇
することを基本方針としています。また、事業活動においては経営層と社員間のコミュニケー
ションが大切であると考え、経営層の方針を社員に浸透させるとともに、社員の意見を経営に生
かしています。
基本的な考え方
エリア別人員構成
(2006年3月31日現在)
ソニーグループは、多様かつグローバルな環境で事業活動を
行っています。また、エレクトロニクス、ゲーム、映画、金融な
■ 日本:
38.8%
ど多岐にわたる事業分野で活動を行っています。特に、雇用・労
■ 北米:
18.6%
働環境面では、グローバルに共通の方針や方向性を持ちつつ、多
■ 欧州:
9.3%
※1
■ パンアジア : 11.8%
様な文化や地域性を尊重し、各国・地域に即した取り組みを行っ
■ 東アジア
ています。
※2
■ 中南米:
総社員数
※1
総社員数は、日本、北米、欧州、東南アジア地域で構造改革に
※2
:
19.4%
2.1%
該当地域:東南アジア、中近東、アフリカ、オセアニア
該当地域:中国本土、香港、台湾、韓国
ともなう削減を実施した一方で、東アジア地域の製造拠点におい
て大幅に増やした結果、ソニーグループの2005年度末の人員
中期経営方針に伴う労使コミュニケーション
は、前年度末に比べ約7,100名増加し、約158,500名となりま
ソニーは2005年9月に発表した中期経営方針にもとづき、競争
した。
力向上と経営体質強化に向け、構造改革と成長戦略を推進してい
ます。構造改革では、事業の絞り込み、製造拠点の統廃合、組
総社員数
織・ビジネスプロセスの重複排除による間接部門の効率化等にと
(単位:名)
200,000
もなって、成長領域への人材シフトや人員削減を行っています。
168,000
161,100
162,000
151,400
150,000
158,500
構造改革の趣旨や必要性については、社員に対し経営トップか
らメッセージを伝え、情報の共有と理解を促すとともに、それぞ
れのテーマに応じて、社員とコミュニケーションを図ってきまし
た。また、ソニー(株)
では、退職者に対して、早期退職プログラ
100,000
ムなど、経済的支援を実施しました。
50,000
欧州では、ブラウン管テレビの生産終了にともない、液晶テレ
ビを中心とした薄型テレビへの人材シフト、および製造事業所の
0
02
03
04
05
06
(各年3月31日現在)
閉鎖・縮小による人員削減を行いました。人員削減については、
EICC※3の会合で説明を行うとともに、各事業所において労働組合
との協議を重ねました。各事業所では、市場の状況を労使で共有
ビジネス別人員構成
(2006年3月31日現在)
し、閉鎖・縮小についての理解を得るとともに、退職する社員に
対しては、再就職支援などのサポートを実施しました。
■ エレクトロニクス:82.5%
■ ゲーム:
3.0%
■ 映画:
4.4%
■ 金融:
4.1%
■ その他:
4.7%
■ 全社(共通):
1.4%
構造改革を進めるにあたっては、会社の目的を明確に伝えると
ともに、社員との双方向のコミュニケーションを継続的に行って
います。
※3
EICC
(European Information and Consultation Committee)
:
欧州の経営層と社員代表が協議する委員会。
25
社員:多様性、機会均等
ソニーでは、人権尊重、機会均等の実現とともに、CSRの重点領域として、ダイバーシティ(社
員の多様性)の推進に取り組んでいます。多様な考え方を理解し、適切に経営に反映することが大
切であると考えています。
ソニーグループ行動規範における人権の尊重規定
多様性の尊重
2003年5月に制定した
「ソニーグループ行動規範」
では、人権に
グローバルな競争、お客様のニーズの多様化など、目まぐるし
関して以下の点を定め、グループの人権関連規定や活動の基本と
く変化するビジネス環境の中で、顧客視点をしっかりととらえた
しています。
製品・サービスの提供、斬新なアイデアや新しい価値の創造が求
(1)雇用における機会均等
められています。こうした環境の中、社内にダイバーシティ
(多
(2)強制労働、児童労働の禁止
様性)をとり入れ、社員のさまざまな個性や発想を生かしていく
(3)健全な雇用・労働の実践
ことが重要と考え、取り組みを行っています。国籍の多様化、現
(4)差別のない健康的で安全かつ生産的な職場環境
地人材の登用、マイノリティーや女性の活用、障害者雇用など、
これらは、国連で定められた
「世界人権宣言」
など、既存の国際
地域ごとに重点課題に取り組んでいます。
基準を参照し、制定しています。さらに、エレクトロニクスビジ
ネスのサプライヤーの方々にも、強制労働、児童労働の禁止をは
多様性推進への取り組み
じめ、各国の法令の遵守や社会規範を参照した「ソニーサプライ
ソニー・エレクトロニクス
(米国)では、ソニーの顧客や米国労
※1
ヤー行動規範」
の実践をお願いしています。
働人口構成の変化、多様性がビジネスに与える影響に対する理解
※1
を深める目的で、2004年、部長職相当以上を対象にダイバーシ
16ページをご覧ください。
ティ・ワークショップを開始しました。2005年には、eラーニン
機会均等と差別の禁止
グによるダイバーシティ研修を導入し、対象範囲を課長職相当以
ソニーは、
「ソニーグループ行動規範」
において、求人、雇用、
上に広げました。こうした研修への参加者は、2004年開始時よ
研修、昇進など、あらゆる局面において、応募者や社員を、人
り2005年度末までの累計で約800名に及んでいます。
種、宗教、肌の色、出身国、年齢、性別、障害、およびその他ソ
さらに2005年10月、多様な人材の活用をより一層推進するた
ニーのビジネス上の正当な利益と関連のない要素によって差別し
め、特に女性、およびマイノリティーの活用にそれぞれ焦点をあ
ないことをグローバルな基本方針とし、各国・地域での取り組み
てた2 つの社内グループを発足させました。女性やマイノリ
を実施しています。
ティーを含め、多様な人材を雇用するための支援、人的ネット
日本では、国内グループ会社を網羅する、人権尊重理念にもと
ワークの構築と部門間を超える教育機会の提供、コーチングやメ
づく人権基本姿勢を制定しています。国内ソニーグループの人権
ンタリングによるサポート、情報交換やコミュニケーションを促
担当者によるネットワークを構築し、基本姿勢を徹底するととも
進するためのフォーラムの実施など、社員の意欲、生産性、満足
に、情報の共有を進めています。2005年度には、「ハラスメント
度の向上を目的として活動しています。
の心理学」をテーマとした講演会などの人権啓発フォーラムの開
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(米国)では、人事部
催、セクシュアル・ハラスメント防止や、障害者、女性、外国人
門に多様性推進の担当部署を設置するとともに、関連社外団体と
などの人権尊重への理解を深めるための研修など、人権に関する
の情報交換や連携、多様な人材確保を意識した就職説明会への参
さまざまな取り組みを実施しました。
加、インターンシップ制度などを通して、マイノリティーや女性
米国では、すべての事業領域において、雇用機会均等に関する
の雇用を推進しています。また、全社員の受講を必須とした、違
明確なガイドラインを設け、差別を禁止しています。
法な差別・ハラスメントの予防などの研修コースを設けて、意識
ソニー・ヨーロッパ※2では、エレクトロニクスビジネスの欧州
向上につなげています。
ソニーグループ各社を対象とする雇用機会均等基本方針を設けて
ソニー・オブ・カナダでは、雇用均等法にもとづき、女性、先
います。
住民、障害者、マイノリティーに配慮した雇用を推進していま
※2
26
欧州のエレクトロニクスビジネスを統括するソニーグループ会社。
す。具体的には、多様な人材採用に関するネットワークの促進や
欧州では、雇用・就業形態を継続的に整備し、女性の活用につ
小売営業部門における女性雇用の促進を図りました。特に、小売
いて積極的な取り組みを行っています。また、その進捗を経営層
営業部門における女性雇用の取り組みでは、2004年に、問題意識
がレビューしています。2004年には、女性の雇用機会促進や働
を把握するため、女性社員を対象としたアンケートを実施したほ
きやすい環境整備に向け、80名の女性にインタビューを実施しま
か、研修内容の改善、女性に関連する職場環境や研修についての
した。その結果を受けて、2005年には、ロール・モデルとなり
経営者への定期的な報告の実施などに取り組みました。
うる女性管理職社員の体験談をイントラネット上で公開し、社内
メンター制度を導入したほか、育児関連制度を見直し、欧州全域
ジェンダー・ダイバーシティの推進
において一定の基準を確保するとともに、一部の地域では、必要
日本においては、多様な個性や価値観を持った社員一人ひとりが
に応じて勤務制度の見直しなどの施策に取り組んでいます。長期
能力を最大限に発揮できる組織風土の醸成や組織の活性化を目指
的には、専門職・管理職の女性比率を高めることを目的としてい
※1
し、2005年7月、ダイバーシティ・プロジェクト
(DIVI@Sony )
ます。
が発足しました。このプロジェクトは、国内グループ会社社員で
また、2005年3月には、CSRヨーロッパ※2の協力を得て複数他
構成され、ダイバーシティの中でも最初のステップとして、ジェ
社とともにこの目的を達成するための優れた事例を共有し、取り
ンダーに焦点をあて、女性のより一層の活躍を促進するための取
組みを検討するための作業部会
「ウーマン・イン・リーダーシッ
り組みを行っています。マネジメント、および一般社員へのイン
プポジション」を立ち上げ参加しています。
タビューやアンケート調査を実施し、プロジェクトメンバーで定
※1
期的に議論を重ねることで、解決すべき課題や必要な施策につい
※2
DIVI:Diversity Initiative for Value Innovation(呼称:ディーヴィ)ソ
ニー(日本)における多様性推進プロジェクト。
欧州にてCSRを普及させるNPO団体。
て検討してきました。女性の登用を推進する組織環境整備、女性
のキャリア支援、社内外情報発信、社員間ネットワーク構築など
地域別女性社員、女性管理職比率※ 3
を柱として、調査結果をもとに施策の検討を進め、経営層への提
言と同時に社員への働きかけを行っていきます。さらに、ホーム
ページを作成し、活動の周知や情報の発信を行うことで、社員一
人ひとりの意識改革につなげています。
また、女性の業種や業容を超えたネットワーク構築、さらなる
キャリアアップを支援する目的で、2005年4月、任意の企業・団
体により
「ジャパン・ウィメンズ・イノベーティブ・ネットワー
ソニーグループ
(日本)
ソニーグループ
(米国)
ソニーグループ
(欧州)※4
※3
ク」が設立されました。現在50の企業・団体で構築されています
が、ソニー
(株)
は幹事会社の一つとして積極的に参加しています。
※4
※5
女性社員比率
女性管理職比率
女性社員比率
女性管理職比率
女性社員比率
女性管理職比率
2004
2005
2006
28.0%
2.4%
38.1%
31.9%
35.0%
13.5%
30.0%
2.9%
37.8%
32.7%
36.0%
15.3%
29.0%
3.1%
38.0%
32.5%
38.0%
17.0%
ベンチ
※5
マーク
26.5%
2.6%
47.9%
35.2%
40.2%
24.9%
各グループ会社から提出されたデータにもとづく集計。日本、欧州は各年
3月31日現在。米国は表示前年の7月31日現在。尚、グループ会社での法
人間で管理職の定義が異なる場合があります。
ソニーグループ(欧州)のエレクトロニクスビジネス。
日本 平成16年度 厚生労働省賃金構造基本統計調査をもとに、従業員数
1,000名以上の企業を対象として算出。管理職は、部長、課長の合計
で計算。
米国 EEOC
(米国雇用機会均等委員会)統計2003
欧州 HR指標ベンチマーク2006 欧州人的資源有効性レポート、サラト
ガ/プライスウォーターハウスクーパース
DIVIの定例会議
27
国籍の多様化
ソニー太陽(株)では、デバイスからサービスまでの一貫生産体
欧州は地域特性として、多数の国、言語、文化で構成されてお
制の中で、作業者の疲労を軽減、障害を補完し、製造しているモ
り、多様性への理解なしにビジネスを成功させることが難しい環
デルの造り方を人にあわせるというコンセプトで、障害者が一人で
境となっています。ソニー・ヨーロッパは、社員の多様性を重視
製品をつくることが可能なカスタムセルを実現しています。
し、欧州各国からのさまざまな国籍の人材だけでなく、欧州以外
の国や地域からの人材を活用することによって、ビジネスに必要
な多様な文化の理解、尊重が図れると考えています。2006年1月
31日現在、ソニー・ヨーロッパでは多様な国籍の社員が働いてお
り、その数は79カ国となっています。
ソニー(株)においては、従来、国籍を問わず、外国人に門戸を
開いてきましたが、2001年以降、外国人の活用をより一層促進
するため、主に近隣の東アジア諸国出身の新卒エンジニアを積極
ソニー・太陽(株)カスタムセル
での作業の様子
的に受け入れ、それぞれが活躍しやすい環境づくりに努めてい
ます。
パンアジアでは、ソニー・エレクトロニクス(シンガポール)
(株)ソニー・ミュージックマニュファクチュアリングでは、各
と、パンアジアのエレクトロニクスビジネスを統括するソニー・
職場を対象としたアンケートを実施し、従事可能な業務を具体
エレクトロニクス・アジア・パシフィックで働く社員の多様化を
化、聴覚障害者の入社時期にあわせた手話教室の開催などに取り
促進しており、2006年2月28日現在、社員の国籍は13カ国と
組んでいます。また、設備面でも障害者が働きやすい環境を整備
なっています。
しています。こうした取り組みにより、同社では2006年3月31
日現在、3.65%の障害者雇用率を達成しています。
ソニー(株)の取締役・執行役構成
2006年6月22日現在、ソニー
(株)
の取締役は14名で、うち女
高年齢者雇用 性が1名、外国人が4名、また執行役は7名で、うち女性が1名、
2006年4月の高年齢者雇用安定法の改正にともない、ソニーグ
外国人が2名で構成されています。
ループ
(日本)
では、定年以降も就業を可能とする再雇用制度の整
備を行っています。一例として、ソニー(株)では、2001年より
障害者雇用
導入している再雇用制度の一部見直しを行い、従来一般社員に適
日本では障害者の雇用機会均等を進めるために、一定規模以上
用されていたものを管理職層にも拡大、さらに契約更新の上限年
の雇用主が総社員数の1.8%以上の障害者を雇用することが法律で
数を延長しました。また、フルタイム勤務に加え、数種類のパー
定められています。日本のソニーグループでは、就労意欲のある
トタイム勤務が可能なほか、国内ソニーグループを就業の場とし
障害者に対して社会参加の機会を提供する活動を積極的に展開し
て視野に入れたものになっています。
ています。
2005年度は、ソニー(株)の障害者雇用率が2.11%となってい
ます。1987年設立のソニー・太陽
(株)、2002年設立のソニー光
(株)に続き、2003年にはソニー希望
(株)
が障害者に雇用機会を
提供する特例子会社の認定を受けています。また、国内ソニーグ
ループ全体での障害者の雇用を推進するために、ソニー
(株)の障
害者雇用推進室を中心として、グループ各社で取り組みを強化し
ています。
ソニー(株)障害者雇用率※1
(%)
2.2
2.0
2.11
1.8
1.6
1.4
1.88
1.89
02
03
1.99
1.66
1.2
1.0
01
※1
28
04
05(年度)
4月から翌年3月までの各月末日における障害者雇用率を平均して求めた率。
社員:人事制度、人材育成
ソニーでは、一人ひとりの社員が最大限に力を発揮し、ソニーでの仕事がキャリアや人生を豊か
にする魅力的な「創発の場」となる職場環境づくりを目指しています。また、社員に対し、十分な
成長の機会、教育・研修を提供するため、さまざまな取り組みを行っています。
ソニーの人材育成
ソニー
(株)
では、フレックスタイム制度やエキスパート制度
(裁
ソニーは、社員が新しいことにチャレンジし、自律的プロ
量労働制)に加え、育児・介護に携わる社員には仕事との両立を
フェッショナルとして成長することのできる環境づくりに努めて
支援しています。「育児・介護休職」等の制度を法定の要請以上に
います。職場での日々の仕事を通じた育成に加え、次世代のリー
整備し、男女ともに取得可能な制度運用を推進しています。
「育児
ダー育成、管理職のマネジメント力向上、個人の能力・専門性を
フレキシブル勤務制度」
では、育児休職中の在宅勤務を可能にして
高めるための教育や研修など、各地域のニーズに沿って展開して
います。こうした取り組みが評価され、2005年にファミリー・フ
います。また、ソニー(株)で1966年に導入した社内募集制度に
レンドリー企業表彰
「厚生労働大臣 優良賞」
を受賞しました。 見られるように、社員が次のキャリアにチャレンジする意欲を尊
重するとともに、適材適所の実現を図っています。
社員意識調査の実施
ソニー(株)育児休職取得状況(2005 年度)
取得人数
356名(うち男性5名)
取得率
※1
95%※1
2005年度に出産した社員をもとに算出。
各地域において、社員意識調査を実施し、その結果をより良い
職場環境づくりに生かしています。
ソニー(株)では、2004年度より、全社員を対象として、職場
風土や個人の意識、マネジメント状況、社員の意見・要望と個別
社員インタビュー 「育児休職を体験して」
相談を確認する調査を実施しています。集計結果を材料として、
私は長女が9 カ月のころ、3 カ
各部門では、ディスカッションやワークショップの開催等、技術
月間の育児休職を取得しました。
や職種を超えたコミュニケーションを促進し、組織活性化の施策
これは、子どもの成長が顕著であ
につなげています。2005 年度から統括職個人向けのフィード
る大事な時期に深くかかわりたい
バックも実施し、マネジメント力向上を目指す契機としました。
という思いと、先に育児休職を取
中南米では、販売会社を対象として、2002年より定期的に社
得していた妻の職場復帰を早める 石川 英憲
員意識調査を実施しています。調査結果を受けて、管理職を対象
にマネジメントスキルやリーダーシップ力の向上を目的とした研
目的からでした。当時、新規ディ 半導体事業グループ
スプレイデバイスの開発に携わ
修を継続して実施しています。
り、多忙な日々を送っていたのですが、「育児フレキシブ
ソニー(株)
ル勤務制度」のパイロットとして、通常勤務の2割で在宅
評価・処遇制度
勤務を実施しました。
社員一人ひとりの可能性を十分に引き出せるよう、ソニーで
育児休職中の生活は、育児や家事だけでも大変で、仕事
は、常に次の時代を見据えた評価・処遇制度を構築、運用してき
ができるのは子どもの寝ている合間という、とても慌ただ
ました。ソニー
(株)
では、1992年、自己申告制度に目標設定と
しい毎日でした。でも、子どもとのかけがえのない充実し
レビューを実施、さらに近年では、従来の職能格制度から、貢献
た時間を過ごせただけでなく、限られた時間の中で成果を
に応じて相応の報酬を得る評価・処遇制度に刷新しました。この
出すべく、仕事も効率良く行えるようになりました。復職
制度のもとで、個人は自律的なプロフェッショナルとして能力・
後の仕事においても、この経験は非常に役立っていると感
専門性を高め、会社側は社員の貢献を公正に評価する仕組みを実
現しています。
じています。今は、夫婦二人三脚で仕事と子育てに奮闘す
る毎日です。
ワーク・ライフ・バランス
社員が、それぞれのライフスタイルに応じて能力を最大限に発
揮できるよう、柔軟な勤務制度を整備しています。
29
ソニーの価値創造に貢献した社員への表彰制度
多様なニーズに応じた体系的な研修プログラム
2003年度にソニーMVP認定制度が導入されました。これは、
各地域・事業領域において、新入社員から役員までを対象とし
特に専門技術・知識を活用・発揮し、ソニーの価値創造に貢献し
たさまざまな研修プログラムを展開しています。
た社員を顕彰する制度で、世界中のソニーグループの社員を対象
としています。これにより、社員一人ひとりが積極的にチャレンジ
研修体系事例:ソニーグループ
(日本)
ングな課題に取り組み、さらに大きな価値を創出することを目的と
しています。2005年度は、37名がMVPとして認定されました。
将来を担うビジネスリーダーの育成
ビジネス文書
ビ
ジ
ネ
ス
2000年、ソニーグループの将来を担うビジネスリーダーの育
成を目的として、ソニーユニバーシティーが発足しました。
これはソニー独自の社内教育機関で、2005年度は5つのプログ
ラムを中心として各国・地域の多様なビジネス領域から集まった
の有識者との議論を踏まえた経営課題についての提言や、ある
テーマについて現場の社員が経営者と率直に意見交換するなど、
プレゼンテーション
国内グループ会社
取締役研修
マネージメント・ベーシックス
交渉術
アカウンティング基礎
グ
財務
販売実習
コーチング
CMM基礎
特許
上流設計
技 ユーザーインターフェース
プロジェクトマネジメント
先端技術講座
術
約200名の社員が受講しました。各プログラムでは、トップマネ
ジメントと参加者が直接対話を行います。内容としては、社内外
ビジネス基礎
マナー・コミュニケーション
ソニー戦略技術講座
コンピュータソフト
基幹技術講座
技術基礎研修
技術基礎講座
クオリティライフデザイン
キ
ャ
リ
ア
キャリアマネジメントプログラム
プロアクティブキャリアワークショップ
新人
一般
管理職
役員
トップマネジメントが現場の状況を把握するとともに、経営にか
かわるメッセージをダイレクトに伝える場となっています。
ソニーグループ(日本)
では、特に、重要な基幹技術の継承や最
また、プログラムの一環として、製造事業所における人材をグ
新の技術力を高めるための技術研修を強化しています。技術の各
ローバルに育成するための研修も行われています。
領域においてソニーの第一線の専門性を持つ約200名の社員が、
講師として活躍しています。
現地リーダーの育成
2005年度は、ソフトウェアの品質向上のための
「プロジェクト
ソニーは、
「グローバル・ローカライゼーション
(グローバルな
リーダー養成講座」
を重点項目とし、また、現場力強化を目的と
経営にもとづいた現地化の推進)
」を基本理念とし、各地域・各国
して、モノづくりの基本である
「生産力向上技術講座」なども新規
での人材を活用することを基本としています。
に立ち上げました。2005年度の技術系研修は、延べ7,800名の
ソニー・チャイナでは、2005年度より
「マネジメント・アソシ
社員が受講しました。
エート・プログラム」を導入しました。このプログラムは、優秀
さらに、管理職のマネジメント力向上を目的とする研修「マネ
な新入社員の確保・育成を目的とし、入社後1 年間のOJT と研
ジメントベーシックス」を2003年度から実施しています。この研
修、2 年間の海外でのOJT により構成され、将来的にソニー・
修は、コーチングやリーダーシップのありかた、部下の取り組み
チャイナを担うリーダーを育てることを目的としています。
をどのように見て育成につなげるかなどについて、40時間のe
また、リーダーや中間管理層における中国人の登用を促進する
ラーニングと2 日間の集合研修を通じて学ぶ構成になっていま
ため、2000年からMBAプログラムにもとづく
「ソニー・CEIBS※1
す。2005年度は約1,000名が受講し、これまでの受講者は3,600
マネジメント開発プログラム」
を継続しています。このプログラ
名以上となっています。
ムの運用が部門間のコミュニケーションの土台となり、現地社員
の育成に結び付いています。
パンアジア地域においては、将来を担う人材の採用と育成を目
指した経営幹部育成プログラムを継続して実施しています。この
ような取り組みを受け、地域内各社でも育成プログラムの構築を
始めました。一例として、ソニー・インドでは、現在、および将
来のビジネスの成長を支えるリーダーの採用・育成を目的とし、
2005年度より中間管理職を対象とした新しいプログラムを導入
しました。これにより、ビジネスを牽引する経営幹部の現地化を
推進していきます。
※1
30
China Europe International Business School(中欧国際工商学院)
社員:職場環境、安全衛生
ソニーは、雇用・労働の健全性を確保し、健康的で安全かつ生産的な職場環境を維持するように
努めています。
基本方針とマネジメントシステム
安全のための取り組み
ソニーは、ソニーで働くすべての人の安全と健康を守るため
ソニーは、グローバルな労働安全衛生マネジメントシステムや
に、1998年に「ソニー安全衛生基本方針」を制定しました。この
関連プログラムを通じて、社員の安全な労働環境を確保するため
方針では、全世界の事業所が立地するその国、地方の安全衛生関
に、地域や国ごとに即した取り組みを行っています。
連法令を遵守する一方で、自主的に推進される活動内容を明確化
ソニー・テクノロジー(タイランド)
アユタヤテクノロジーセン
しています。
ターでは、優れた安全衛生活動が評価され、タイ国労働大臣より
この方針を実践するために、ソニーでは、事業所ごとに労働安
安全賞を受賞しました。具体的には、以前は手作業で行っていた
全衛生マネジメントシステムを継続的に推進しており、事業所ご
テレビの持ち上げ作業をすべて機械化したことなどが評価されま
とに、この方針に沿った目標を掲げて継続的に取り組んでいま
した。
す。また、労働安全衛生マネジメントシステムでは、人の安全と
健康に影響を与えるものとして、火災・地震対策、さらにはテロ
対策などを扱うセキュリティ活動も含めて総合的な安全衛生活動
を推進しています。
リスクアセスメント
テレビの持ち上げ作業をすべて機械化
したソニー・テクノロジー(タイラン
ド)アユタヤテクノロジーセンター
ソニーは人命と資産に脅威を与えるリスクに対して、その被害
の状況や程度を事前に予測し、考えられる予防対策や管理施策を
事前に実行することによって、リスクの顕在化を防いでいます。
また、労働災害、火災、地震、悪天候、事業所セキュリティに関
欧州については全域にわたって、PDCA※1にもとづいた環境・
する独自のチェックシートを活用することにより、潜在するリス
安全衛生マネジメントシステムの導入を進めています。2004年
クを明確化し、各事業所が実行している労働安全衛生マネジメン
度より開始した労働安全衛生方針、労働安全衛生マネジメントシ
トシステムの中で、継続的にこれらのリスクの低減と管理に努め
ステム、危険、有害な作業に対する安全衛生対策など幅広く網羅
ています。
したeラーニングによる研修には、2005年度末までに350名以上
の管理職層が受講しました。2006年は、欧州地域の優れた社内労
働安全衛生活動を表彰する労働安全衛生ベストプラクティス賞を新
設し、受賞した事業所の顕著な活動は模範事例となっています。
※1
ソニーセミコンダクタ九州(株)鹿児島テック
クリーンルームのガス安全対策確認風景
方針・計画の策定(Plan)、実行
(Do)、点検
(Check)、経営層による見直し
(Act)、という繰り返し。
労働安全衛生ベストプラクティス賞を
受賞した、ソニースペインバルセロナ
流通センターの腰痛予防のための、箱
を引き出す工具の開発
31
米州労働災害統計※2(米国除く)
グローバル労働災害統計
(年)
ソニーでは、2001年度より、グローバルな労働災害統計デー
国
タ収集システムを構築し、地域ならびに国ごとの労働安全衛生統
ブラジル
N/A
N/A
1.7
1.6
0.6
カナダ
N/A
N/A
N/A
N/A
4.1
メキシコ
N/A
2.4
3.5
2.0
1.4
計を年次で収集しています。この統計をもとに、地域、災害、疾
病、原因ごとにソニーの活動状況を把握し、傾向について分析し
ています。また、安全衛生活動の改善策の一つとして、コーポ
レート監査を定期的に実施しています。2005年度の労働災害統
※2
計は、全般的に改善傾向にあります。職場災害の主な原因は、転
倒、転落、組み立て工程や治工具の取り扱いにおける作業姿勢等
に起因する問題などでした。
日本においては、生産設備や化学物質に対する使用開始前のリ
スクアセスメントの徹底や、労働安全衛生マネジメントシステム
導入による継続的な作業リスクの低減・管理活動により、休業災
2001
2002
2003
2004
2005
災害頻度率=休業を要する災害発生件数÷延べ実労働時間数×200,000。
災害頻度率には、ソニーの製造事業所の派遣社員と正社員がすべて含まれま
す。電気機械器具製造業の災害頻度率はNAICSコード3343" 家庭用オー
ディオ・ビデオ機器"にもとづきます。上記のソニーの統計値には当社の
CRTの製造会社の災害頻度率(2003年のCRTのBLS値が1.4、ガラスのBLS
値が1.8)が含まれます。ブラジルの値には、一部の製造事業所は含まれてい
ません。カナダの集計範囲は2005年に変更となっています。
パンアジア、東アジア労働災害統計※ 3
国・地域
害度数率が減少しています。
(年度)
2001
2002
2003
2004
2005
米州では、パソコン等使用時の作業姿勢の改善、職場安全巡回
マレーシア
N/A
2.2
1.2
2.9
1.5
の励行による危険箇所の改善、継続的な研修といった啓発活動
シンガポール
N/A
1.6
1.4
0.7
1.3
タイ
N/A
0.1
0.2
0.5
0.1
より度数率の改善と安全に関する認識が向上しています。これら
中国本土
0.5
0.4
0.3
0.3
0.2
は、作業姿勢の改善による作業者の筋骨格系への負担減少や安全
韓国
N/A
1.7
1.1
1.9
1.7
により全般的に災害頻度が改善しました。
パンアジアと東アジアでは、安全活動に関する継続的な活動に
リスクアセスメント評価、継続的なトップマネジメントの労働災
※3
害減少に関するコミットメントや啓発などが主な改善理由となっ
ています。
欧州では、ソニーシックスシグマを利用した地域共同安全プロ
ジェクトの導入により全般的に災害統計が改善されています。
日本労働災害統計※ 1
1.2
1.0
製造業全体平均 0.99
0.8
0.6
電気機械器具製造業全体平均 0.39
0.4
0.2
0
※1
ソニー(日本) 0.06
01
02
03
04
05(年度)
休業災害頻度率=休業1日以上の災害発生件数÷延べ実労働時間数
×1,000,000
2.0
製造業全体平均
1.5
電気機械器具製造業全体平均
0.9
1.0
0.5
0
32
ソニー(米国)
01
02
03
04
05
欧州労働災害統計※ 4
国
ソニー vs.
2001
国内産業
2002
ソニー
13.5
13.3
オーストリア 国内産業
38.0
37.0
ソニー
34.7
28.5
フランス
国内産業
42.8
43.0
ソニー
26.5
13.2
ハンガリー
国内産業
N/A
N/A
ソニー
9.4
13.7
スロバキア
国内産業
15.4
14.6
ソニー
105.3
142.9
スペイン
国内産業 110.4
105.2
ソニー
23.7
25.2
イギリス
国内産業
11.3
11.6
※4
米国労働災害統計※2
(年)
度数率=休業1日以上の災害発生件数÷延べ実労働時間数×1,000,000。
度数率には、ソニーの全社員および製造会社内のソニーの派遣社員が含まれ
ます。
(年)
2003
12.5
39.0
26.8
40.9
35.6
N/A
15.6
13.0
116.6
99.6
30.5
10.8
2004
13.5
39.0
25.4
N/A
26.9
N/A
9.4
10.5
120.6
102.4
18.6
10.2
2005
17.7
38.5
16.7
N/A
18.2
N/A
7.7
N/A
123.0
N/A
7.7
N/A
災害頻度率は、1,000人当たりの災害発生件数。国ごとに労働災害統計の定
義が異なります。法律の定めるところにより、スペインの統計値に職業病お
よび非職業病の両方が含まれています。このように定義が異なるため、その
他の欧州諸国との直接的な比較はできません。
アスベスト問題への対応
HIV/AIDSの取り組み
ソニーでは、1970年代後半以降、ソニー国内グループ会社に
ソニーは、HIV/AIDSが人類にとって緊急の重要課題であると
おいて、断熱性や耐火性を高めるためにアスベストが吹き付けら
認識し、影響の大きい地域での重点的な取り組みを行ってい
れている箇所について、除去ならびに飛散しないように対策を実
ます。
施してきました。しかし、近年の日本でのアスベストへの関心の
取り組み事例として、ソニー・デバイス・テクノロジー(タイ
高まりを受け、2005年10月に国内ソニーグループが入居するす
ランド)
(以下、SDT)
では、HIV/AIDSの認識を高めるための研修
べての建物について、改めて調査を行いました。その結果、一部
を1993年から始めており、1998年にはHIV/AIDS方針を制定し
の鉄鋼材などに吹き付けアスベストの使用が確認されましたが、
ています。この方針には、雇用における差別の撤廃をはじめ、研
管理状態が良好であり、アスベストが空気中に飛散する恐れはあ
修の実施や社員の医療情報保護などが含まれています。タイでは
りませんでした。吹き付けアスベストが露出している場合は、周
薬物乱用が社会問題となっており、SDTは薬物乱用防止方針と
辺空気中のアスベスト濃度を定期的に測定し、法令で定める管理
HIV/AIDS方針をあわせて、対策を進めています。
濃度未満であることを確認しています。
ソニー・サウス・アフリカでも、HIV/AIDS対策に取り組んで
また、生産工程におけるアスベスト使用についても調査を行っ
います。雇用や職場におけるHIV/AIDS患者への差別を避けると
た結果、日本において1980年代に接着剤の基材やブラウン管の
ともに、医療専門家を招き、予防方法や感染源などに関する講演
生産工程におけるコンベアのクッション材として使用されていた
を聞くなど、HIV/AIDSの認識を深める活動を随時行っていま
ことが判明しました。当時、作業者に対するアスベスト曝露防止
す。また、2005年からは、コミュニティープログラムの一環と
対策は講じられていましたが、念のために2005年12月から当時
して、学校に通うHIV/AIDS患者の生徒たちに対して医薬や食事
作業者全員に健康診断を実施しています。
面での支援やHIV/AIDSに関する認識を向上させる活動を行って
これらの調査結果を受け、ソニーは2005年12月に
「ソニーアス
います。(コミュニティープログラムの詳細については、35ペー
ベスト管理指針」
を制定しました。今後はこの指針に則り、アス
ジをご参照ください)
ベスト使用箇所の定期調査および代替計画の推進、解体工事の際
の曝露防止対策などを行います。
また、2005年に、ソニー宮城(株)
なかだ事業所においてアス
ベスト除去工事を行い、関連法令にしたがって工事を完了しまし
た。施工に関しては、環境省が全国的に実施した除去工事中のモ
ニタリング事業所の一つとして協力し、敷地境界における空気中
のアスベスト濃度が環境省の定める基準値未満であることが確認
されました。
社員の健康
ソニー
(株)
では、社員が健康に働ける職場づくりを目指してい
ます。主に、定期的な健康診断による健康管理、健康全般に関す
る相談、インターネットを活用した情報配信による社員啓発など
の活動に取り組んでいます。
食生活の変化、運動不足によって増加しているといわれる生活
習慣病についても、特に企業で働く社員の場合は、長時間勤務に
よる運動不足、不規則な食生活との密接な関係が考えられます。
働く環境では、業務の複雑化、産業構造の変化、労働形態の多様
化にともない、長時間勤務やメンタルヘルスに対する対策の必要
性が年々高まっています。長時間勤務者に対しては、定期的に産
業医等の面談を実施するとともに、社員本人の希望にもとづく健
康相談に随時対応し、個々の健康問題に対処しています。また、
メンタルヘルスについては、早期発見と未然防止のため、職場の
中心となる管理職に対して研修を実施しています。さらに、心と
身体の相談窓口を社内外に設け、仕事上の悩みも含めてさまざま
な悩みや不安の相談に対応しています。
33
コミュニティー:社会貢献活動
ソニーの社会貢献活動は、事業活動を行う世界の各地域において、ソニーの得意とする分野で、
時代や社会のニーズに応えることを方針としています。
ソニーの社会貢献活動 2005年度の活動概要
ソニーの創業者である井深大は、ソニーの設立趣意書に「国民
社会貢献活動方針に沿って、科学教育をはじめとする教育分野
科学知識の実際的啓発」をソニー創業の目的の一つと位置づけま
での活動や、芸術・文化へ資する活動を中心に、ソニーの技術や
した。また、設立から13年後に、理科教育において優れた教育を
製品を生かし、事業活動を行う各地域で社会貢献活動に取り組み
目指している小学校を支援する
「ソニー理科教育振興基金」を設立
ました。2005年度のソニーグループ全体の社会貢献活動支出※1
しました。戦後間もない日本において、科学技術の振興こそが社
は、総額で約42億円となっています。
会を立て直す、そのためには次世代を担う子どもたちの理科教育
※1
に注力することが重要と考えたのです。
事業活動の拡大、グローバル化にともない、さまざまな分野に
社会貢献活動支出には以下のものを含んでいます。
a)寄付金、b)協賛金、c)自主プログラム経費、d)寄贈した製品の市場価格、
e)人的支援(勤務時間内に行った人的支援の時間数をもとに算出)、f)施設
開放(地域の活動等への自社施設の開放を、施設利用料をもとに算出)
おいて世界各地で社会貢献活動を展開する現在も、ソニーの得意
分野で時代や社会のニーズに応じた貢献をしていくという、設立
社会貢献活動支出の分野別内訳
以来の考え方が受け継がれています。
体制
世界各地のソニーグループ会社、ソニーの財団において、社会
貢献活動を行っています。2005年度はソニーグループの社会貢
■ 教育:
56%
■ 芸術/文化:
17%
■ 福祉/医療:
8%
■ 環境:
4%
■ 緊急(災害)支援・人道支援: 2%
献活動方針の検討、情報共有の場として社会貢献委員会を発足さ
■ その他:
13%
せました。
社会貢献活動の体制
社会貢献活動支出の地域別内訳
社会貢献活動方針
事業活動を行う世界の各地域において、ソニーの得意とする分野で、
時代や社会のニーズに応える活動を行う。
ソニーグループ各社における
取り組み
各社独自の社会貢献プログラムの
実施
ソニーの財団における
取り組み
●
ソニー・アメリカ財団
●
ソニー・オーストラリア財団
ミュージアムの運営
ソニー・カナダ科学奨学財団
ソニー・ヨーロッパ財団
34
47%
■ 東アジア※2:
22%
■ 北米:
21%
■ パンアジア※3: 5%
(財)ソニー教育財団
(財)ソニー音楽芸術振興会
社員のボランティア活動の推進
Someone Needs You
ソニー・マッチング・ギフト制度
■ 日本:
※2
※3
■ 欧州:
4%
■ 中南米:
1%
中国本土、香港、台湾、韓国
東南アジア、中近東、アフリカ、オセアニア
コミュニティー:地域とともに
ソニーは地域社会とのより豊かな関係づくりを目指して、世界各地のソニーグループ各社・各事
業所、ソニーが支援する財団で、それぞれの地域のニーズに応える活動を行っています。また、
社員によるコミュニティーへの参画を促進するよう、ボランティア活動を支援する制度の拡充に
取り組んでいます。
地域性を重視した活動
コミュニティー・アップリフトメント・プログラム
(南アフリカ)
ソニーは事業活動を行うそれぞれの地域社会において、地域の
ソニー・サウス・アフリカはコミュニティー・アップリフトメ
特性を生かした活動に取り組んでいます。各地の社会状況や文化
ント・プログラム(CUP)を2005年より開始しました。失業率の
的・歴史的背景などにより、地域のニーズが異なることから、ソ
高い、アレクサンドラ地域の2つの学校で、子どもたちの教育環
ニーはこのような多様性を重視した活動への取り組みを心がけて
境を改善するため、芸術文化、科学技術、スポーツ、健康、教
います。
育、環境の分野から、毎月1つのプロジェクトを選んで活動を
また、ソニーは、社員一人ひとりによるコミュニティーへの参
行っています。
画を支援する制度の拡充に取り組んでいます。社員が地域社会と
また、CUPでは、HIV/AIDSも重要なテーマとしています。南
かかわることは、一市民として社会に貢献するだけでなく、社員
アフリカは、HIV/AIDSの感染率が高く、多くの子どもたちが孤
自身の視野を広げ、社会性を育む機会になると考えています。 児になったり、本人も感染したりしています。CUPでは、学校や
2005年度は、21カ国で延べ約30,000人のソニーグループ社
政府と共同で患者とその家族に、食料や薬を提供したほか、教育
員がボランティア活動を行いました。
プログラムを実施しました。
各社で実施されたプログラムのいくつかをご紹介します。
教育プログラムへの支援
(米国)
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)
は、芸術教育
機関であるカリフォルニア・インスティチュート・オブ・ジ・
アーツ
(カルアーツ)
コミュニティ・アーツ・パートナーシップ、
ロサンゼルス文化部と共同で「ソニー・ピクチャーズ・メディ
HIV/AIDSの教育プログラム
ア・アーツ・プログラム」
を継続して開催しています。
メディア・アーツ・プログラムは、地域の子どもたちがカル
アーツの職員、卒業生、学生から、スケッチ、絵画、アニメー
ソニー・ネイチャー・フォトグラフィー・プロジェクト
(マレーシア)
ション、メディアアートを学ぶプログラムです。
ソニー・マレーシアは、「自然と生きる」をテーマとした「ソ
ロサンゼルスの5つのコミュニティーセンターで、10歳から14
ニー・ネイチャー・フォトグラフィー・プロジェクト」
を2005年
歳の子どもたちを対象に、週2回、放課後にワークショップが行
より開始しました。このプロジェクトは、写真を通して、自然環
われます。SPEは2005年、このプログラムで使用するパソコ
境への意識の向上を目指すもので、プロの写真家による講演会を
ン、デジタルビデオカメラなどの新しい機材や記録媒体を寄贈し
はじめ、100人の中学生と先生が参加したネイチャー・キャン
ました。
プ、自然写真コンテストとその展示会を行いました。
また、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカでは、
また、自然写真コンテストは、アマチュアの写真家と中学生、
ニューヨーク市の貧困地域の学校の、教育環境をよくするための
それぞれを対象に行い、2,000を超える応募作品の中から16作品
奨学金を継続して支援しています。
を選び、受賞者にはソニー製品と賞金を贈りました。
ソニー・ピクチャーズ・メディア・
アーツ・プログラムで映像機器を
使って学ぶ様子
自然の中で行われたキャンプ
35
ソニーのボランティア活動
Someone Needs You
「Someone Needs You
(誰かがあなたを必要としている)」
(頭文字でSonyを表す)
は、地域社会との豊かな関係づくりを目指す、社員向けのボランティア活動推進プロ
グラムです。世界各地のソニーグループ会社が、それぞれの地域のニーズに応じたボ
ランティアプログラムを検討・企画し、社員への参加を呼びかけます。ここでは、
2005年度に行ったボランティア活動の中からいくつかの活動をご紹介します。
のために最善を尽くすことを目指して活動を行ってきました。社
員の一人として、当社の社会貢献活動を誇りに思っています。ま
Russia
ロシアからのレポート
公園の清掃
ソニーCISの社員22人が参加してモスクワの国立公園を清掃し
た、社員のCSRイベントへの参加を促進したことで、地域との関
係の重要性について社員の理解が深まりました。これからも社員
とともに、さまざまな活動に取り組んでいきます。
ソニー・コリア
ハエナ・ウー
ました。この公園は、モスクワの市民に親しまれている公園です
が、資金難により公園の整備が十分でなかったため、清掃のボラ
ンティア活動を行いました。
私たちは公園中央の入口付近で、人々によく利用されているの
に長い間整備されていなかった場所を中心に清掃しました。当日
は気温が高かったので、短時間で集中して取り組みました。
このイベントは、公園管理局から感謝されたほか、参加したソ
ニーCISの社員にも好評でした。
Singapore
ソニーCIS
イヴァン・クマリン
シンガポールからのレポート
環境イベント
恵まれない家庭の子どもたちとシンガポールのソニーグループ
社員、合計約400人が、再生水「ニューウォーター」の訪問セン
ターを訪れました。参加者は、1日をかけて資源の再利用、緑化
などに関する環境問題について、ゲームを通して楽しみながら学
んだほか、施設内に設けられた環境保護活動に関する展示を見学
South Korea
しました。今年のテーマ
「ホーム・トゥ・ケア」
は、地域社会や環
境に配慮することの重要性を多くの人々に再認識してもらうこと
韓国からのレポート
ハッピー・メロディー・デー
を狙いとしています。この環境イベントは、1999年より7年に
ガンなどの重い病気で入院している子どもたちを励ますため、
私はこのイベントの組織委員会委員長を務めたことを光栄に
韓国のソニーグループ社員約80人が病院を訪問し、「ハッピー・
思っています。今年のイベントは、社員が子どもたちの指導者の
メロディー・デー」と題してイベントを行いました。
役割を果たす点が初めての試みでしたが、招待された子どもたち
イベントでは、社員によるバンド演奏のほか、子どもたちと一
がイベントでの体験を通して、地球環境の保護について楽しんで
緒に歌を歌ったり、ソニーBMG・ミュージック エンタテインメ
学んでくれたことが喜びでした。このイベントで、ソニーが地域
ントのアーティストによるコンサートを行ったりした後、キャラ
社会に貢献できたこと、また環境意識の向上に役立てたことを嬉
クターに扮した社員が病室を回り子どもたちにプレゼントを贈り
しく思います。
ました。
ソニー・エレクトロニクス・アジア・パシフィック
ムスタファ・イブラヒム
ソニー・コリアでは、6年間にわたり、子どもたちや環境保全
36
わたり、シンガポールの行政機関と共同で行われています。
緊急人道支援
ソニーでは、大規模な自然災害や地域紛争などの際に、
Japan
人道的な立場から、被災された方々などへの緊急支援を実
施しています。
日本からのレポート
環境美化活動
米国ハリケーン
仙台のソニーグループ社員とその家族、また地域住民の方々、
米国南部に甚大な洪水被害をもたらした米国ハリケーンに
延べ485人が参加して、市道の清掃活動や多賀城市の花壇へ花の
よる被災者に対し、ソニー・コーポレーション・オブ・アメ
苗を植える活動を行いました。この活動は2000年より年2回継
リカが中心となり、さまざまな支援活動を行いました。
続して行っており、社員や地域住民の方々にも定着したボラン
米国や日本では、社員から寄せられた義援金と同額を会社
ティア活動となっています。自然とのふれあいを通して環境学習
からも一緒に寄付するなどの支援を行いました。そのほか、
の場としていることもあり、子どもたちが主体的に笑顔で花を植
ラジオを被災地へ提供したほか、テレビ放映用のチャリティ
えている姿や
「手作り竹とんぼ教室」
で竹とんぼを楽しそうに飛ば
コンサートのためにスペースを無償で貸し出しました。
している姿を見たときは、担当者としても嬉しくなります。今後
も、継続して実施していきたいと思います。
ソニー株式会社
本多 進司
パキスタン地震
パキスタンやインド、アフガニスタンに大規模な被害を
もたらしたパキスタン地震の被災者に対して、ソニーグ
ループではさまざまな支援を実施しました。
日本国内のソニーグループ社員対象の募金活動では、寄
せられた義援金に会社からの同額寄付を加えて国際人道支
援機関ジャパン・プラットフォームへ寄付しました。さら
に、地震発生の3カ月後には、国内ソニーグループ社員向け
America
に、現地の支援活動に関する同団体の報告会を開催しました。
米国からのレポート
教育活動支援
援募金の受け付けならびに、パキスタン地震発生後から現
サンディエゴのソニー・エレクトロニクスでは、非営利団体で
の呼びかけに協力しました。
また、東京・銀座 ソニービルでは、パキスタン地震の救
在までの被害状況やNGO活動状況などの報告を行い、支援
あるジュニア・アチーブメントやローリング・リーダーズの活動
を通して、教育活動を支援しています。
ジュニア・アチーブメントのプログラムでは、ボランティア社
員が、小学1年生から5年生の子どもたちに対して、6週にわた
り週に1回、経済教育の授業を行い、ビジネスや経済の基本概念
や、職場と教育がどのように関係するかについて教えました。
また、ローリング・リーダーズと協力した活動では、ボラン
ティア社員が1年間、週に1回幼稚園や小学校を訪れ、教室で本
ソ ニー( 株)本社 で行 われ た
ジャパン・プラットフォーム
による報告会
を読み聞かせました。このほか、ソニー・エレクトロニクスは、
学校への本の寄贈も実施しました。
社員が子どもたちと直接接する、ジュニア・アチーブメントや
ローリング・リーダーズのプログラムは、多くの良い点がありま
す。ボランティア社員にとってもためになる活動で、また社員は
地域の子どもたちと活動することの重要性を理解しているので、
このプログラムを気に入っています。
ソニー・エレクトロニクス
ロザンヌ・ブラウン
37
コミュニティー:次世代を担う子どもたちのために
For the Next Generation
ソニーは、心に深く響く体験を通して、次世代を担う子どもたちの豊かな創造性を育むことを
目指しています。
ワークショップに参加した子どもたちが、「ドン・ジョヴァンニ」を題材にした
寸劇を大勢の観衆の前で披露しました。
子どもたちに贈るオペラ
“ドン・ジョヴァンニ”
(財)ソニー音楽芸術振興会
ベルギー王立歌劇場音楽監督 大野和士氏からの
(財)ソニー音楽芸術振興会では、スペシャル・コンサート・シ
メッセージ
リーズと題して、子どもたちに一流の芸術家が創造する音楽を体
お子さんたちに、オペラを、しか
験してもらうためのプログラムを毎年開催しています。2005年
も「ドン・ジョヴァンニ」をという
度はベルギー王立歌劇場
(モネ劇場)
の来日に合わせて
「子どもたち
ことで、当初、理解するのが難し
に贈るオペラ ドン・ジョヴァンニ」を開催しました。音楽監
いのでは、という声もありまし
督・大野和士氏の指揮とお話で、子どもたちにもわかりやすく解
た。でも、私たちには、必ず成功
説を交えながらハイライト版を上演しました。
するという確信があったのです。 ベルギー王立歌劇場
普段の生活の中では、ある意味で 音楽監督
ベルギー王立歌劇場は子どもを対象にしたワークショップやオ
ペラ公演を行うなど、音楽教育にも力を入れている歌劇場で、今
回のオペラ公演に合わせ、同歌劇場教育プログラム担当者が来日
し、ぐんま国際アカデミーでのワークショップを開催しました。
参加した子どもたちは、モーツァルト作曲「ドン・ジョヴァンニ」
を題材にして、楽曲について学ぶだけでなく、登場人物の感情表
現の方法やモーツァルトの人間像についても楽しく学びました。
また、ワークショップの成果を寸劇にして、大勢の観衆の前で披
露しました。
大野和士氏
教えることが困難な、「愛」
「 憎しみ」
「嫉妬」
「 絶望」
「 戦争」
「さまざまな国々や人々」
といった事柄は、オペラの中に自
然な形で凝縮されています。人間として、これからの人生
で皆、宿命的に体験することを、モーツァルトの音楽の魔
術を通して、直感的に味わうというのは、なんとスリリン
グなことでしょうか。こういう経験を通して、感受性の強
い、人とのコミュニケーションをスムーズに取れる人間に成
長してほしいと、願わずにはいられません。
ソニー音楽芸術振興会の関係者の皆様に、この機会をつ
くってくださったことを感謝申し上げると同時に、さらな
る継続を心より祈念いたします。
URL
38
(財)ソニー音楽芸術振興会 http://www.smf.or.jp/
ソニー・ムービー・ワークス
ソニー愛心勉学援助プロジェクト
ソニー株式会社
ソニー・チャイナ
ソニー
(株)
は、映像制作を通して中学生・高校生の創造性を育む
中国農村部の貧困地区では、授業に使う机と椅子の不足や老朽
ことを目指すプログラム、ソニー・ムービー・ワークスを開催しま
化、黒板の反射光による子どもたちの健康への影響が問題になっ
した。作品企画の審査を通過した中高生は、ワークショップに参加
ています。ソニーは子どもたちの教育環境を整えるため、机や椅
し、企画から撮影、編集、音響などを学んだ後、実際の映像作品づ
子、黒板の寄贈を2003年より継続して行っています。これまで
くりに取り組みました。
に、16省、約60校に支援を行いました。また、支援を行った学
作品の制作にあたり、ソニーグループから参加するボランティア
校へは後日、社員が訪問し、子どもたちとの交流の機会を持って
社員がチューターとして各チームの作品づくりをサポートしたほ
います。
か、ビデオカメラや編集用のパソコン等が提供されました。
また、電子デザインコンテストを10年にわたり中国の教育部・
上映会では2005年度のテーマ
「夢」
について中高生ならではの感性
情報産業部と共同で行っているほか、植樹やゴミ拾いのボラン
で表現した、個性あふれる作品が上映され、優秀な作品が表彰された
ティア活動にも継続的に取り組むなど、さまざまな活動を行って
ほか、それぞれの作品に対し審査員からの講評が伝えられました。
います。
社員インタビュー
「ソニー愛心勉学援助プロジェクトを担当して」
業務上、多くの社会貢献活動に参
加してきましたが、その中で最も
印象深かったのは、ソニー愛心勉
学援助プロジェクトです。支援を
科学の泉−子ども夢教室
(財)ソニー教育財団
子どもたちが科学を通じて好奇心や創造力を伸ばし、勇気を
持って新しいことに挑戦できる人に育つことを目指して、
(財)
ソ
ニー教育財団はさまざまな取り組みを行っています。
2005年からスタートした、小・中学生対象の
「科学の泉−子ど
も夢教室」は、ノーベル化学賞受賞者の白川英樹先生を塾長に自
した農村部の小学校へ実際に見学
呂暁光
に行き、子どもたちと直接コミュ ソニー・チャイナ ニケーションが取れたことはとて
も貴重な経験でした。全く新しくなった机に座る子どもた
ちの笑顔や瞳の奥にある希望に満ちた表情が忘れられず、
また行きたいと思うことがよくあります。今後も、さらに
多くの学校に、この活動を広げていければと願っています。
然とのふれ合い、科学に関連したさまざまな活動、先生や仲間た
ちとの生活を通して、子どもたちに人としてのあり方やすばらし
さを感じてもらおうという企画です。
初日、白川先生の「自然に学ぶ」をテーマにした講話を受けた
後、異なる学年の子ども同士のグループに分かれ、自然の中から
研究課題を見つけ出し、5日間をかけて課題追究に取り組みまし
た。
「カナヘビはなぜ垂直な木にのぼれるの?」
や
「アリはどんな種
類の虫を巣に運べるのか?」
など、グループごとに見つけ出した
ユニークな課題に対して、グループ内で話し合ったり、調べたり
し、その成果を最終日の報告会で発表しました。
子どもたちはそれぞれの「なぜ」に対して、自然の中で深く考
え、じっくり追究し、充実した5日間を過ごしました。
URL
(財)ソニー教育財団 http://www.sony-ef.or.jp
39
地球環境とソニー
ソニーの環境活動の歩み
2006 年
全世界統合 ISO14001 認証への移行完了
ソニー環境中期目標
「Green Management 2010」を制定
○
2004 年
ソニーグループ環境マネジメントの本社機能に
対して ISO14001 認証取得、全世界の事業所の
環境マネジメントシステムの統合を開始
○
○
○
○
○
○
○
2002 年
グリーンパートナー環境品質認定制度導入
○
○
○
○
○
2001 年
ソニー環境行動計画を改訂し、
「Green Management 2005」を制定
○
○
○
○
○
2000 年
ソニー環境ビジョンを制定
(2003 年 11 月にソニーグループ環境ビジョンに改訂)
○
○
○
○
○
○
1999 年
ソニー(株)本社ビルに地球環境展示室
「ソニーエコプラザ」開設
○
○
○
○
○
○
1998 年
ソニー環境行動計画を全世界で一本化し、
「Green Management 2002」を制定
○
○
○
○
○
○
1996 年
○
○
ソニー環境行動計画を更新し、
「Green Management 2000」を制定
○
○
○
○
1995 年
ソニー幸田(株)
(現、ソニーイーエムシーエス(株)
幸田テック)で ISO14001 認証を取得。以後、全
世界の事業所で順次 ISO14001 認証取得
○
○
○
○
○
○
○
1994 年
環境 ISO に関するソニー方針を制定・施行
○
○
○
○
○
1993 年
ソニー環境基本方針、環境行動計画を制定
○
○
○
○
1990 年
トップマネジメントより環境保全に対する指針発行
○
○
○
ソニー地球環境委員会発足
○
○
ソニーDADC ピットマン工場の自然保護区
(米国ニュージャージー州)(71ページ参照)
40
ソニーグループ環境ビジョン
ソニーは、グループ全体のグローバルな環境方針として、
「理念」と「基本姿勢」からなる「ソニー
グループ環境ビジョン」を制定し、持続可能な社会の実現を目指しています。このための目標管
理に「環境効率」を用いて推進しています。
ソニーグループ環境ビジョン(抜粋)
理念
ソニーは、あらゆる生命の生存基盤である地球環境が保全され、現在だけでなく将来の世代にわたり、人々が健全で幸せな生
活ができ、夢をもち続けられるような持続可能な社会の実現に向けて、イノベーションと健全なビジネス活動を通じ、積極的に
行動します。
ソニーは、限りある資源とエネルギーを効率良く使い、大きな付加価値を生み出し、環境効率の高いビジネスを目指します。
環境法規制を遵守し、エネルギーと資源の利用から生じる環境負荷を確実に減らすとともに、汚染の防止に努めます。また、複
雑な環境問題のより良い解決に向け、幅広いステークホルダーとの協力関係のもとに知識を深め、取り組んでいきます。
地球環境問題についての基本姿勢
ビジネス活動における基本姿勢
ソニーは、事業活動が地域のみならず、地球規模でも環境
ソニーは、グローバルな環境マネジメントシステムを継続
問題と関連があることを認識しています。特に、以下の4項目
的に改善しながら、新規ビジネスの企画から製品やサービス
の重要な地球環境問題に対しては、
次のような基本姿勢で臨み
の開発・販売、使用、アフターサービス、廃棄、リサイクル
ます。
にわたるビジネスサイクルを通じて環境活動を行います。
「ソ
ニーグループ環境ビジョン」
では、以下の11項目についてソ
地球温暖化について
ニーの基本姿勢を定めています。
事業活動ならびに製品・サービスのライフサイクルに起因す
●
法規制の遵守
●
企業市民として
地球資源について
●
情報開示とコミュニケーション
事業プロセスを通じて、資源生産性の向上を継続的に進める
●
教育
とともに、材料・水などの使用を少しでも減らし、その循環
●
新たなビジネスの企画
を可能な限り推進します。
●
研究開発
化学物質について
●
製品・サービスの企画、設計
使用する化学物質の確実な管理を行うとともに、有害な可能
●
部品、材料の調達
性のある物質には継続的な削減・代替に努め、可能となり次
●
事業所の管理
第その使用を中止します。
●
流通、販売、マーケティングとアフターサービス
●
使用済み製品の再資源化
るエネルギーの使用と、温室効果ガスの排出を削減する努力
をします。
自然環境について
地球上の野生生物、森林、海洋などの生態系を保全し、生物
の多様性を維持することが重要と考え、自然環境保護への建
設的な行動を支援します。
URL
ソニーは
「ソニーグループ環境ビジョン」
の実現に向けて、
目標・計画を作成し、行動します。
ソニーグループ環境ビジョン http://www.sony.co.jp/csr/
41
ソニーにかかわる環境負荷の全体像
ソニーの事業活動は、エネルギーや資源の消費など、さまざまな形で環境に負荷を与えます。
ここでは製品のライフサイクルという観点から、全世界のソニーにかかわる環境負荷の概要を示
しています。ソニーは
「ソニーグループ環境ビジョン」
の実現に向け、環境負荷を低減するための
さまざまな活動を行っています。
温室効果ガス
事業所 エネルギー使用量 4万2,000テラジュール
資源
再生可能エネルギー使用量 419テラジュール
・証書等による購入量
416テラジュール
・自家発電量
3テラジュール
水
化学物質
貢献量
事業所 水使用量 2,565万立方メートル
水資源保全貢献量(水涵養)
70万立方メートル
事業所 化学物質取扱量※1 2万2,000トン
材料使用量 143万トン※2
サプライヤー
再生材使用量
13万4,000トン
※3
7トン
自然循環可能材使用量
ソニー
(製造・非製造事業所)
製品輸送時
エネルギー使用にともなうCO2排出量 191万トン-CO2
PFC類等排出量
23万8,000トン-CO2
CO2排出量※4
69万5,000トン-CO2
事業所 廃棄物発生量 21万3,000トン
最終廃棄量 2万3,000トン
事業所廃棄物のリユース・リサイクル量
19万トン
事業所 化学物質排出量 1,838トン
大気、水域、土壌への排出量 914トン
廃棄物としての移動量
924トン
事業所の化学物質回収・リサイクル量
6,415トン
※2
※3
※4
42
クラス1∼3物質の取扱量(69ページ参照)。
製品出荷量と事業所廃棄物発生量との合計。
植物原料プラスチックの使用量。
輸送重量と輸送距離より算出。
製品 109万トン
包装材 16万トン
事業所 CO2排出量 214万8,000トン-CO2
再生可能エネルギーによるCO2削減貢献量
1万5,715トン-CO2
※1
製品出荷量 125万トン
環境負荷を製品のライフサイクルで把握
5つの環境指標
下記の図は、全世界のソニーの事業活動におけるエネルギーや
ソニーは、ビジネス活動のライフサイクルを考慮し、自社で把
資源の使用量、販売した製品がお客様のもとで消費するエネル
握かつ改善に向けた努力が可能な項目を中心に、下記のような独
ギー量、使用後にどの程度リサイクル・廃棄されるかなど、環境
自の環境指標を設定しました。この環境指標は、環境負荷を定量
に対する負荷をライフサイクルの流れでとらえたものです。この
的に表すもので、数値が低いほど環境負荷が低いことを意味しま
図は、ソニーが直接的に把握かつ管理可能な項目に関する2005
す。また、「Green Management( グリーン・マネジメント)
年度の主要な環境負荷を示しています。
2005」
では、温室効果ガスと資源の環境効率を向上させるという
目標に加え、これらの環境指標に関連する細かな目標も設定して
環境活動を推進してきました。2010年度までの目標を定めた
「Green Management 2010」※1では、これらの環境指標と個別
目標を見直し、新たに設定しています。
※1「Green
1
製品使用時
エネルギー使用量
Management 2010」
については、46∼47ページをご覧ください。
温室効果ガス指標
事業所 CO2排出量
再生可能エネルギー
によるCO2削減貢献量
29万8,000テラジュール
製品使用時 CO2排出量
お客様
(製品やサービスの使用)
お客様からの
製品回収・リサイクル量
2
資源投入指標
材料使用量
14万7,000トン
製品
3万トン
包装材 11万7,000トン
3
再生材使用量
自然循環可能材使用量
資源排出指標
事業所 廃棄物最終廃棄量
お客様からの
製品回収・リサイクル量
製品使用時
CO2排出量
製品出荷量
1,532万トン-CO2
4
水指標
水使用量
5
水資源保全貢献量
(水涵養)
化学物質指標
事業所 化学物質排出量
お客様からの回収製品の
化学物質含有量
製品の化学物質含有量
※
これら以外にも、購入資材の生産時、製品などのリサイクル時などで、別途環境負荷が発生しています。
43
「Green Management(グリーン・マネジメント)2005」の結果報告
「ソニーグループ環境ビジョン」
の実現のための環境中期目標「Green Management 2005」
に
定めた、環境効率および個別目標について、2005年度の最終結果をご報告します。
環境効率について
環境効率の計算式
環境効率は、ビジネス規模と環境負荷の比率によって表される
数値です。ソニーでは、右の式で環境効率を定義し、2005年度
に温室効果ガスと資源投入、資源排出の環境効率を2000年度に
環境効率 =
比べ1.5倍にするという目標を
「Green Management 2005」に
売上高
環境負荷
(環境指標)
おいて掲げてきました。
2005年度の環境効率は、資源投入と資源排出はいずれも2000
年度比1.42倍となり、2004年度より大幅に改善しました。これ
はブラウン管式テレビから薄型テレビへの移行が2005年度に大
きく進み、製品重量が減少したことが大きな要因です。一方、薄
型テレビへの移行とともにテレビの大型化が進んでいることによ
るテレビの平均消費電力の増加や、日本の半導体・液晶製造事業
所や中国の事業所での生産増加などにより、温室効果ガスの環境
資源投入効率の推移
投入量
(t)
250万
7.5
7.3
7.6
200万
2000年度からの環境効率の推移は、資源投入および資源排出
50万
については、製品の小型化や省資源化への取り組みが全体的に進
0
横ばいですが、これは個々の製品の消費電力削減の取り組みは進
んでいるものの、テレビの大型化やオーディオ製品の高機能化な
7.0
目標 1.50
150万
100万
んでいることにより、改善傾向にあります。温室効果ガスはほぼ
7.2
7.5
7.5
1.42
効率は2000年度比1.05倍と資源の環境効率と比べ改善されませ
んでした。
売上
(兆円)
7.8
1.13
1.18
1.19
1.19
176万
168万
167万
165万
1.00
192万
11万
50万
再生材および
自然循環可能材
使用量(t)
00
2
10万
01
11万
11万
6
11
02
03
143万
16万
0
13万
7
13
04
(年度)
05
売上高(兆円) 環境効率(倍)
■ 材料使用量(t) ■ 再生材使用量(t) ■ 自然循環可能材使用量(t)
■
■
どで相殺されてしまっていることが理由に挙げられます。
温室効果ガス効率の推移
資源排出効率の推移
排出量
(t-CO2)
2,500万
売上
(兆円)
7.8
7.3
218万
1,500万
1,000万
1.00
7.5
7.5
209万
210万
207万
1.08
1.05
1.07
1,509万
1,530万
1,511万
1,577万
0
※1
210万
目標 1.50
215万
7.0
5.5万
1.05
100万
0
748
2,570
00
01
02
6,837
03
6,469
04
1万5,715
05
(年度)
売上高(兆円) 環境効率(倍)
※1
■ 製品使用時CO2排出量(t-CO2) ■ 事業所CO2排出量(t-CO2) ■ 再生可能エネルギーによるCO2削減貢献量(t-CO2)
■
164万
1,532万
0
■
7.5
7.2
7.5
7.5
3.7万
2.9万
目標 1.50
2.6万
1.13
1.18
1.21
1.20
150万
146万
145万
143万
7.0
1.42
2.3万
1.00
0.97
1,648万
4.5万
150万
製品使用時CO2排出量については、2004年度以降のCO2 換算係数は製品が
販売された国ごとの係数を使用していますが、2003年度までは地域ごと
(日本、北米、欧州、その他)の代表値を使用しています。
44
7.6
200万
50万
500万
1万6,000
排出削減
貢献量
(t-CO2)
7.3
7.5
7.2
7.6
2,000万
売上
(兆円)
7.8
投入量
(t)
250万
125万
0
0
50万
排出
削減量
(t)
12.7万
11.7万
00
01
14.2万
14.3万
17.6万
02
03
04
14.7万
05 (年度)
売上高(兆円) 環境効率(倍) ■ 製品出荷量(t)
■ 事業所最終廃棄量(t) ■ お客様からの製品回収・リサイクル量(t)
■
■
「Green Management 2005」個別目標について
負荷を低減してきました。この結果を受け、2006年度から2010
「Green Management 2005」では、環境効率目標に加え、製
年度を活動期間とした新しい環境中期目標「Green Management
品や事業所に関する個別目標を設定しています。2005年度の結
2010」を策定しています※1。
果としては個々の目標数値には到達しませんでしたが、これらの
※1
46ページをご覧ください。
目標のもとに事業部門や事業所でさまざまな施策を実行し、環境
地球温暖化対策について
目標内容
製品の動作時消費電力を30%以上削減※2
製品の待機時消費電力を0.1W以下にする※2
ACアダプターの無負荷時消費電力の削減
基準年度 目標年度
達成状況
2000
2005
70%の製品カテゴリーで目標を達成
―
2005
56%の製品カテゴリーで目標を達成
―
2005
95%の製品カテゴリーで目標を達成
事業所のCO2換算エネルギー使用量を売上高原単位※3 で15%削減
2000
2005
2000年度比1%削減
事業所の温室効果ガス(CO2以外)の排出量をCO2換算で30%削減
2000
2005
2000年度比22%削減
再生可能エネルギー利用を全事業所エネルギー使用量の5%以上導入
2000
2010
グリーン電力証書、自家発電により1%導入
2002
2005
2002年度比3%増加
―
―
事業活動に用いる車両等の燃料からのCO2排出量を売上高原単位で
15%削減※4
自社物流および委託物流でのCO2排出量削減に取り組む
関連ページ
50ページ
65ページ
66ページ
55ページ
モーダルシフトや輸送効率の改善を実施
資源循環について
目標内容
製品の資源投入量を20%以上削減※2
製品の全ての包装に対して環境配慮を行う※5
事業所の廃棄物総発生量を売上高原単位で30%削減
基準年度 目標年度
達成状況
2000
2005
90%の製品カテゴリーで目標を達成
―
2005
96%の包装に対して環境配慮を実施
2000
2005
事業所のリユース・リサイクル率を95%以上にする
2000
2005
事業所の水の購入量および汲み上げ量を売上高原単位で20%削減
2000
2005
関連ページ
50ページ
2000年度比26%削減
全世界合計のリサイクル率は90%、日本国内では
67ページ
98%を達成
2000年度比12%削減
68ページ
化学物質管理について
目標内容
製品の環境管理物質の使用禁止・削減・管理
基準年度 目標年度
―
―
達成状況
全世界で出荷するほぼすべての製品から特定化学
物質を全廃
関連ページ
52ページ
使用禁止・全廃物質のうち、水銀、鉛はんだなどを
事業所の環境管理物質の使用禁止・全廃・削減・管理
クラス3物質の排出・移動量を売上高原単位で50%削減
2000
2005
例外として使用。
クラス3物質の排出・移動量は2000年度比27%の
69ページ
削減
※2
※3
※4
※5
この目標を基準に、製品カテゴリーごとの特徴にあわせた詳細目標を設定しています。
売上高原単位:環境負荷の発生量を、該当する年度の売上高で割った数値。
全世界の車両燃料データは2002年度より収集しているため、2002年度を基準年度としています。
再生材の使用、重量の削減、環境配慮型インキの使用など。
45
環境中期目標
「Green Management 2010」
環境中期目標
「Green Management 2005」に引き続き、2010年度までを活動期間とし、地球
温暖化対策、資源循環、化学物質管理などの多様で複雑な環境問題に対して、ソニーグループと
して取り組む、新たな環境中期目標「Green Management 2010」を策定しました。
「Green Management 2010」の環境指標
「Green Management 2010」の策定
ソニーは、2005年度までの目標を定めた環境中期目標「Green
指標
Management 2005」
にもとづき、製品の環境配慮や事業所での
環境負荷低減、製品リサイクルの推進など、さまざまな活動を
温室効果ガス指標
事業所CO2換算温室効果ガス総排出量
+製品使用時CO2 総排出量
+物流CO2総排出量
−温室効果ガス排出削減貢献量
資源指標
事業所廃棄物最終廃棄量
+製品資源投入量※2
−循環材使用量※3
−製品再資源化量
行ってきました。そして、「Green Management 2005」に引き
続きソニーグループが2010年度までに取り組むべき課題を整理
し、新しい環境中期目標「Green Management 2010」を策定し
ました。
目標の設定にあたっては、「Green Management 2005」のレ
ビュー結果、中長期的にソニーグループが影響を受ける法規制の
動向、投資家や環境NGOなどのステークホルダーのソニーへの関
計算式
※2
※3
製品、アクセサリー、取扱説明書、包装材の合計重量。ただし、ソニーグルー
プから排出された資源を製品等にリユース、リサイクルした重量は除く。
製品等へリユース・リサイクル材等を使用した量。
心事項、今後5年間のソニーのビジネス動向などを考慮しました。
この一環として、温暖化防止、自然保護などのテーマごとに、関
「Green Management 2010」の個別目標は、部品の調達から
連する活動を行っている複数の環境NGOとの意見交換を実施しま
製品製造、製品の使用、さらに製品の廃棄・リサイクルまでのビ
した。
ジネスサイクル全体をカバーする内容としています。例えば、地
また、目標を設定する上での基本的な考え方として、1)
グロー
球温暖化対策に関しては、全世界のソニーグループの事業所オペ
バル企業としての先進的な目標設定、2)
温室効果ガスなどの環境
レーションにおける温室効果ガス排出量の削減目標を絶対値で設
負荷を絶対値で管理する目標設定、3)
ソニーグループ全体として
定しています。同時に、製品使用時の消費電力を抑える目標、輸
のグローバルな目標設定、という3つのポイントを掲げました。
送時のエネルギー消費を把握・削減する目標を盛り込むことによ
り、製品の製造、輸送、使用の各段階での環境負荷の低減を目指
しています。
Green Management 2010の策定
これらに加え、さまざまなステークホルダーとの環境に関する
・GM2005のレビュー
・中長期の法規制動向
・ステークホルダーの関心事項
Green
Management
2010
・ソニーのビジネス動向
「Green Management 2010」の目標概要
「Green Management 2010」では、総合指標である環境指標
と個別目標を定めています。
環境指標は、ソニーグループ全体のビジネス活動、製品、サー
ビスのライフサイクルから生じている環境への影響を可能な限り
的確に把握し、個別目標にもとづきソニーが実施する環境施策
が、ライフサイクル全体での環境負荷の削減につながっているか
を監視するための指標で、「温室効果ガス指標」
と「資源指標」の2
つが設定されています。それぞれの指標に含まれる項目は、環境
影響の大きさ、ソニーが直接的に把握かつ管理可能か、などの点
を考慮して決定しました。これら2つの環境指標については、環
境効率※1の推移を把握し、ソニー全体の環境活動の進捗評価を行
い、個別目標や環境施策の改善へつなげます。
※1
46
44ページをご覧ください。
コミュニケーションの実施やパートナーシップの推進、教育など
に関する目標を含んだ広範なものとしました。
「Green Management 2010」の個別目標の概要
項目
2010年度目標
地球温暖化防止
CO2換算温室効果ガス総排出量を絶対量で7%以上削減
(2000年度比)
廃棄物総発生量を絶対量で40%以上削減
(2000年度比)
資源循環
廃棄物再資源化率を99%以上(国内製造事業所)
廃棄物再資源化率を95%以上(海外製造事業所)
水の購入量および汲み上げ量を、絶対量で20%以上削減(2000年度比)
適切に管理された森林からの紙および再生紙の利用の推進
環境管理物質の使用禁止・削減・管理※4
事業所オペレーション
揮発性有機化合物(VOC)の大気への排出量を絶対量で40%以上削減(2000年度比)
化学物質管理
水質汚染物質の削減:生物化学的酸素要求量(BOD)
、化学的酸素要求量(COD)
の自主管理
大気汚染物質の削減:NOx、SOxの削減
環境事故防止対策の構築、維持
高濃度ポリ塩化ビフェニール(PCB)を含む大型機器の適正処理を完了
グリーン購入
非生産材のグリーン購入の推進
事業所の新設・変更
事業所、工場等の新設または変更の際の環境負荷低減
地球温暖化防止
資源循環
製品・リサイクル
化学物質管理
年間消費電力量の削減
製品等の輸送にともなうCO2排出量の総量の把握と削減施策の実行
循環材利用率※5を12%以上に向上
製品再資源化量、製品循環率※6 を継続的に増加
環境管理物質の使用禁止・削減・管理※7
ポリ塩化ビニル(PVC)、臭素系難燃剤の削減
ライフサイクル
主要な製品すべてについてLCA実施
アセスメント(LCA)
コミュニケーション・
パートナーシップ・
教育など
※4
※5
※6
※7
企業市民
調達先・
ビジネスパートナー
地域のニーズに応じた地域環境保全のための活動を実施、または地域の環境活動の支援
情報開示
継続的な情報開示、対話の充実、製品の環境情報の提供
研究開発
環境に配慮した研究開発
教育
環境に配慮しながら職務を遂行できる能力を身につける
環境に配慮した部品・製品・サービス等の提供、および環境に配慮した業務の遂行を求める
対象物質リストは、73ページをご覧ください。
製品資源投入量に対する循環材使用量の比率。
製品出荷量に対する製品再資源化量の比率。
詳細については、52∼54ページをご覧ください。
47
環境マネジメント体制
ソニーは、「ソニーグループ環境ビジョン」の実現、環境中期目標
「Green Management 2010」
の達成、グループとして定めた規則類の遵守を徹底するために、グローバルに統一した環境マネ
ジメントシステムを構築し、継続的に改善しています。
グローバルな環境マネジメントシステム
環境ガバナンスの強化
ソニーは、1990年代初頭より「PDCA※1」サイクルの考え方に
環境に配慮した製品の製造、販売や製品リサイクルの実施、事
もとづいた環境マネジメントシステムであるISO14001の認証取
業所
(サイト)
における環境配慮など、多様で複雑な環境問題に対
得を全世界の各事業所で進め、2000 年初めに完了しました。
応するため、グループの本社環境機能としてサイト環境領域、製
2003年度より、これを発展させ、これまでの各事業所でのマネ
品環境領域、資材調達に関する環境領域、製品リサイクル領域の
ジメントシステムを生かしつつ、本社と各事業部門、各事業所が
各領域を担当する専門機能を設置しています。それぞれの専門機
一体となった、グループとしてグローバルに統一した環境マネジ
能は、品質やCS※3、安全衛生や防災等の関連分野・組織とそれぞ
メントシステムの体制構築を進めました。規則体系や監査体系の
れ融合や連携を図ることにより、効果的なマネジメント体制を構
整備、海外地域環境部門の強化等を行い、マネジメントシステム
築しています。各専門機能は、実行部門である事業部門・事業所
の核となるグループ本社を含めた402拠点を統合し、全世界で一
に対し、目標の提示や進捗レビューなどの管理を行います。ま
本化した、ISO14001の統合認証を2005年度に取得※2しました。
た、グローバルに環境マネジメントを展開するため、地域内の法
※1
規制等の把握や、地域内の事業部門・事業所に対する本社規則類
方針・計画の策定(Plan)、実行
(Do)
、点検
(Check)、経営層による見直し
(Act)、という繰り返し。
※2 ISO認証取得事業所の対象範囲は、すべての製造事業所および人員数100人
以上の非製造事業所です。
の伝達や監査の実行など、地域横断的な活動を推進する地域環境
オフィスを設置しています。
※3
Customer Satisfaction カスタマーサティスファクション(顧客満足)
。
ソニーグループ グローバル環境マネジメントシステム
本社
経営層
本社環境機能
グループ全体の環境マネジメントの統括、
グループのビジョン・目標・規則制定など
地域環境オフィス
米州
欧州
米州
欧州
38
41
東アジア
パンアジア
日本※4
東アジア※5
パンアジア※6
216
9
98
地域内の法規制等の
把握、コーポレート
監査実行など
事業部門・事業所
認証対象拠点数
世界合計:402カ所
※4
※5
※6
48
該当地域:日本、台湾
該当地域:中国本土
該当地域:東南アジア、韓国、香港、中近東、アフリカ、オセアニア
環境マネジメントの
実行、内部監査の
実行
ビジネス活動と連動した環境マネジメント
統合した環境監査
グループとして定めた「ソニーグループ環境ビジョン」や、環境
ソニーでは、グループの環境マネジメントシステムの継続的な
中期目標「Green Management 2010」等を確実に実現・達成す
改善、および事業所における環境事故・災害等の未然防止、開示
るために、各事業部門・事業所は、それぞれの環境の要素を盛り
する環境データの信頼性向上を目的に、
「内部監査」
「コーポレート
込んだ年度事業計画を立案し、実施していきます。事業計画の実
監査」
「外部監査」
の3種類の監査を組み合わせ、グループで統合し
施状況は定期的にレビューし、主な事業部門・事業所に対して
た環境監査体制を構築しています。
は、1年に1回、業績評価の一部として環境活動の進捗結果を評価
しています。実施状況をつかむために、製品の消費電力や重量、
事業所のエネルギー使用量や廃棄物量などの環境パフォーマンス
データを定期的に集計するオンラインデータシステムをグローバ
ソニーグループ環境監査体系
本社・地域オフィス
外部認証機関
ルに構築しています。また、環境活動を推進するための仕組みと
コーポレート監査
して、職場での社員の役割の中で有効な環境活動が推進できるよ
本社や地域の環境オフィスが事業部門
や事業所に対して実施。
コーポレートルールの遵守状況確認。
う、目的や職務内容に応じたさまざまな環境教育を実施していま
外部監査
す。さらに社外講師を招いた環境講演会なども定期的に開催し、
社員の環境に対する意識向上を図っています。
ソニーグループ環境マネジメントシステムのPDCAサイクル
Plan
継
続
的
改
善
Do
「ソニーグループ環境ビジョン」
「Green Management 2010」
グループ全体の環境関連規則、
年度事業計画の作成
組織の年度事業計画を作成、
年度事業計画にもとづいた環境
マネジメントの実行
内部監査
各事業部門
・
事業所
事 業 部 門・事 業
所が実行部門の
視点でそれぞれ
の環境マネジメ
ント体制を確認。
外部の認証機関がソ
ニーグループ全体の
環境マネジメント体
制が機能しているか
を確認。
(CSRレポートの環
境データ検証を含む)
監査等により改善された事例
・本社環境機能の明確化
製品の化学物質管理における重要な役割を担う資材調達部
門の位置づけを明確にした。
Check
監査実施、年度事業計画および
「Green Management 2010」
レビュー業績評価、表彰
・パフォーマンスレビュー体制の強化
本社、ビジネス部門のそれぞれで、製品環境分野、サイト
環境分野ともパフォーマンスレビューの頻度・内容を強化
した。
Act
トップマネジメントによる見直し
・活動の横展開
グローバルに統一したシステムを有効活用し、環境監査の
手法、環境教育の実践例など、優れた活動の横展開、共通
課題の一斉改善を行った。
・業務の効率化
規則などの文書を統合管理することで、個別部門の業務効
率を軽減した。
49
製品の省エネルギー・省資源
ソニーは、製品のライフサイクルでの環境負荷を削減するための活動を続けています。
製品の企画・設計段階でアセスメントを実施し、消費電力や資源使用量の削減などの目標を定
め、製品出荷までのいくつかの段階で、目標に対する達成状況を確認しています。
製品への資源使用量について
製品の使用にともなう温室効果ガス排出量について
2005年度に販売された製品への資源使用量は、2004年度より
ソニー製品がお客様のもとで使用される際に、電力が消費さ
約13%減の約125万トン、再生材使用量は2004年度より約17%
れ、間接的にCO2が排出されます。2005年度に販売された製品
減の約13万4,000トンでした。資源使用量が減少した主な要因
の生涯にわたる使用にともなうCO2排出量は、2004年度より約
は、日本・欧州・北米地域において、ブラウン管式テレビから軽
7%減の約1,532万トンとなりました。CO2排出量が減少した主
量で資源使用量の少ない薄型テレビへ需要が移行したことです。
な要因としては、資源使用量の減少要因と同様に、日本・欧州・
また、再生材使用量については、再生プラスチックの使用量は増
北米地域において、ブラウン管式テレビから薄型テレビへ需要が
加したものの、テレビやオーディオ製品などでのダンボール使用
移行したことが挙げられますが、薄型テレビの大型化によるテレ
量の減少が影響し、全体としては減少する結果となりました。
ビ1台当たりの消費電力の増大もあり、CO2排出量は資源使用量
個々の製品重量を削減する取り組みについては、市場全体で大
ほどの減少にはなりませんでした。
型化の進んでいるノートパソコンや業務用機器の一部を除く約90
個々の製品の消費電力削減の取り組みについて、約95%の製品
%の製品カテゴリーで目標を達成しました。包装材については、
カテゴリーでACアダプターの無負荷時消費電力の削減目標を達
環境配慮材料の調達が困難な一部の海外モデルを除き、約96%の
成しました。また、動作時消費電力と待機時消費電力について
包装材で環境配慮を実施しました。
は、テレビやビデオ製品を中心にそれぞれ約70%、約56%の製品
2 0 0 0 年度からの資源使用量の変化としては、D V Dプレー
カテゴリーで目標を達成しました。
ヤー、デジタルカメラなどの販売台数の増加やテレビの大型化な
2000年度からのCO2排出量の変化としては、全体の排出量の
ど資源使用量の増加要因があったものの、個々の製品における重
約8割を占めるテレビの大型化やオーディオ製品の多機能化など
量削減の取り組みが順調に進んだことに加え、ブラウン管式テレ
の増加要因があったものの、各製品の消費電力削減の取り組みに
ビから薄型テレビへの需要の移行、ステレオコンポの小型・軽量
よりこれを抑えたことや、薄型テレビへの需要の移行などによ
化などによる資源使用量の減少が影響し、2000年度に比べ約
り、全体としてほぼ横ばいでの推移となっています。
24%の削減となりました。
製品の使用にともなう温室効果ガス排出量※1
製品への資源使用量
(万t)
200
(万t-CO2)
2,000
164
150
150
146
145
1,600
143
1,577
1,648
1,509
1,530
1,511
01
02
03
1,532
125
1,200
100
800
50
400
0
00
01
02
03
04
0
05(年度)
■ テレビ ■ ビデオ ■ オーディオ ■ 情報通信 ■ 業務用
■ デバイス・その他 ■ ゲーム ■ 音楽
04
05(年度)
■ ゲーム
※1
50
00
■ テレビ ■ ビデオ ■ オーディオ ■ 情報通信 ■ 業務用
2004年度以降の電力のCO2換算係数は製品が販売された国ごとの係数を使
用していますが、2003年度までは地域ごと
(日本、北米、欧州、その他)
の
代表値を使用しています。
製品環境目標の管理
製品のライフサイクルアセスメントの実施
ソニーグループ環境中期目標「Green Management 2010」で
製品を構成する部品の製造時、製品の製造時、製品の輸送時、
は、製品に関する目標として、年間消費電力量の削減、省資源の
お客様の使用時
(消費電力など)、製品の廃棄時やリサイクル時な
推進、化学物質管理、ライフサイクルアセスメントの実施などを
ど、製品のライフサイクルで環境負荷を把握するライフサイクル
※1
定めています 。各事業部門では、対象となる製品カテゴリーご
アセスメントを行うことにより、環境負荷の大きい製品やライフ
との特徴にあわせ、グループ目標と整合した年度目標を設定し、
サイクルステージの特定、改善すべき重点課題の把握や目標の設
四半期ごとに目標に対する進捗状況をレビューして本社環境部門
定が可能となり、環境負荷低減を目指す活動に結び付けることが
に報告します。本社環境部門は、各事業部門が設定した目標と進
できます。
捗状況の評価を行い、これをとりまとめてグループ目標に対する
ソニーでは、2000年度にライフサイクルアセスメントを行う
進捗状況をレビューします。このレビュー結果にもとづき、次年
ためのシステムを開発して以来、さまざまな製品についての解析
度の重点項目の決定や目標の改定を行っています。
を行っています。2005年度は新たに、新モデルの
「プレイステー
ション 2」やポータブルオーディオなどを加え、多くの製品につ
製品環境目標管理の流れ
いてライフサイクルアセスメントを実施しました。
下記のグラフは、
「プレイステーション 2」について、ライフサ
本社環境部門
重点項目決定
各部門目標レビュー
グループ目標進捗レビュー 反映
提
示
報
告
部門目標策定
事業部門
次年度重点項目決定
中期目標改定
部門目標進捗レビュー
環境配慮設計
の実行
イクルステージごとの環境負荷(CO 2排出量)
の旧型モデルとの比
較を示しています。新型モデルでは、製品重量の減量および使用
部品の点数削減、動作電力の低減などにより、ライフサイクル全
体でCO 2排出量を旧モデルと比べて約35%削減できていることが
わかります。
「プレイステーション 2」新型モデルと旧型モデルの環境負荷(CO 2排出量)比較
■ 廃棄
■ 使用
製品に関する目標のうち、省資源については、資源投入量を削
■ 輸送
減するだけではなく、循環材を積極的に使用していくことを目標
として、植物原料プラスチックや再生プラスチック、再生紙の製
−35%
■ 製品製造
■ 材料/部品製造
品への導入を推進しています。
既に多くを導入している再生紙に比べ導入量の少ない再生プラ
スチックについては、まず安定した入手経路を確保することが重
以下の仮定条件のもと算出しています。
製品使用年数:5 年
製品の輸送:日本国内のトラック輸送(500km)
要です。そこで、資材調達部門を中心とした専門チームを設け、
全世界で再生プラスチックを調達するための調査、品質の確認、
長期的な調達量の確保を行い、設計部門や環境部門、製造事業所
と連携して導入を推進しています。これまでに、
“ロケーションフ
旧型モデル
新型モデル
(SCPH-30000 (SCPH-70000
シリーズ)
シリーズ)
リーTM ”テレビ、オーディオ製品、液晶プロジェクションテレビ
“BRAVIA<ブラビア>”、VHSカセット、ミニディスクなど、さ
まざまな製品に再生プラスチックを使用しています※2。
※1
※2
47ページをご覧ください。
58ページをご覧ください。
© Sony Computer Entertainment Inc. All rights reserved.
旧型モデル
新型モデル
ソニーでは2005年度までに、主な製品カテゴリーにおけるラ
イフサイクルアセスメントの実施を完了しました。今後もライフ
サイクルアセスメントをもとに、各ライフステージでの環境負荷を
定量化し、製品全体の環境負荷を下げる努力を続けていきます。
51
製品に含まれる化学物質の管理
ソニーは、製品に含まれる化学物質を管理するために、サプライチェーンを適切に管理すること
が重要と考えています。ソニーはこの分野で、先進的なマネジメント体制を導入し、化学物質の
管理や、削減、全廃を実施しています。
全世界共通の化学物質管理
通の化学物質管理基準「部品・材料における環境管理物質管理規
ソニーが製造・販売するエレクトロニクス製品は、一製品につ
定(SS-00259)」を導入しています。この基準にしたがい、ソ
き数百から数千の部品で構成されており、さまざまな化学物質が
ニーでは2005年度末までに、法規制のある地域だけではなく、
含まれています。製品に含まれる化学物質の中でも、有害性が懸
全世界で出荷するほぼすべての製品において特定化学物質を全廃
念される物質は、廃棄段階で適切に処理されないと、環境を汚染
しました。また、SS-00259ではCD、MDなどのディスクやビデ
する可能性があります。こうした環境の汚染を未然に防ぐため
オテープなど、RoHS指令では対象外とされている製品も対象と
に、EUではRoHS指令※1により特定化学物質の製品への含有が禁
しています。
止されています。また、日本では特定化学物質を含有した製品に
※1 、※2
53ページをご覧ください。
対するJ-Moss ※2マークによる情報開示が義務づけられていま
す。
部品・材料における環境管理物質管理規定
(SS-00259)
ソニーでは、製品の市場とサプライチェーンのグローバル化に
部品、材料に含有される化学物質の管理を徹底するため、ソ
ともない、RoHS指令などの全世界の関連法規制を考慮するとと
ニーがサプライヤーに提示しているSS-00259は、2006年2月に
もに、ステークホルダーの声を反映した、ソニー独自の全世界共
第5版が発行されました。
製品に含まれる化学物質の管理
サプライヤー
OEM先※3
原材料メーカー
グリーンパートナー監査
ソニー
(全世界約3,700社)※4
部品・材料における環境管理
物質管理規定(SS-00259)
検定
測定
測定
情報提供
※4
※5
52
量産・出荷
在庫
管理
不使用証明書
測定データ
部品メーカー
※3
設計
原材料
データベース
※5
(グリーンブック)
測定
部品
データベース
他社に製造委託したソニーの製品を「OEM製品」、それを製造しているメーカーを「OEM先」と呼びます。
2006年3月末時点の監査合格サプライヤーおよびOEM先。
54ページをご覧ください。
お客様
SS-00259では、対象とする化学物質とその用途を、即時使用
製品に含まれる化学物質の管理に関する基本3原則
禁止
(レベル1)
、ある期日をもって使用禁止
(レベル2)
、現時点で
こうした管理基準を遵守するために、ソニーでは、次の管理の
は期日を定めないが全廃を目指す対象
(レベル3)に分類し、サプ
ための基本3原則を定め、それにもとづいたマネジメントを実施
ライヤーに対する納入基準としています。また、主なレベル1
しています。
の物質については、不純物の許容濃度とそれを保証するための測
定器による測定基準についても定義し、基準の明確化を図ってい
ます。
1
ソニーが定める環境管理物質※ 1
物質名
重金属
有機塩素系化合物
有機臭素系化合物
有機すず化合物
製品に含まれる化学物質の管理に関する基本 3 原則
主な用途の
管理水準
源流管理
グリーンパートナー環境品質認定制度
OEM グリーンパートナー環境品質認定制度
品質管理への組み込み
2
部品検定、製造時検定、 出荷時検定と数回に
わたって測定原則にもとづいた確認が行われる。
カドミウムおよびカドミウム化合物
レベル 1
鉛および鉛化合物
レベル 1 ※ 2
水銀および水銀化合物
レベル 1
六価クロム化合物
レベル 1
ポリ塩化ビフェニル(PCB)
レベル 1
ポリ塩化ナフタレン(PCN)
レベル 1
ポリ塩化ターフェニル(PCT)
レベル 1
塩素化パラフィン(CP)
レベル 1
その他の有機塩素系化合物
レベル 3
ポリブロモビフェニル(PBB)
レベル 1
ポリブロモジフェニルエーテル(PBDE)
レベル 1
その他の有機臭素系化合物
レベル 3
パートナー基準)を明確化し、その基準にもとづき、サプライ
トリブチルスズ化合物、トリフェニルスズ化合物
レベル 1
ヤーの監査を実施しています。ソニーは、監査に合格して「グ
3
測定原則の適用
社内および部品納入を行うサプライヤーにおいて
測定による実測データにもとづいた管理を行う。
1. 源流管理
ソニーでは、2002年に「グリーンパートナー環境品質認定制
度」
を設けました。ここで、化学物質管理に必要な基準(グリーン
石綿(アスベスト)
レベル 1
特定アゾ化合物
レベル 1 ※ 2
リーンパートナー」
と認定されたサプライヤーからのみ部品の調
ホルムアルデヒド
レベル 1
達を行っています。
ポリ塩化ビニル(PVC)およびPVC混合物
※3
※1
※2
※3
詳細情報については、ソニーの資材調達活動のウェブサイトをご覧ください。
代替技術がないものなど一部の用途はレベル3です。
用途ごとにそれぞれ管理水準を定めています。
管理水準
レベル1:現時点で使用禁止
レベル2:時期を定めて使用禁止
レベル3:全廃を目指す
認定サプライヤーについては、定期的に監査を実施し、グリー
ンパートナー基準が維持できていることを確認しています。製造
を委託しているOEM先に関しても同様の仕組みを導入し、管理の
徹底を図っています。これまでソニーでは、全世界のほぼすべて
のサプライヤー、OEM先に対して監査を実施し、2005年度には
監査に合格したサプライヤー約3,500社、OEM先約200社をグ
リーンパートナーとして認定しました。
RoHS指令
J-Moss
電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関す
「電 気・ 電子 機器の 特定 の化 学物質 の含 有表 示方法( J -
る指令(RoHS指令)は、2003年2月13日にEU官報に告示さ
Moss)」
は、2005年12月に公示されたJIS規格です。特定化
れ発効しました。このRoHS指令により、EUにおいては、
学物質の含有表示の標準化により、事業者の化学物質管理の
2006年7月1日以降新たに上市される電気・電子機器には、
改善を促進するとともに消費者の理解を容易にし、資源の有
特定化学物質として指定されたカドミウム、鉛、水銀、六価
効利用と環境負荷の低減、適切に管理された製品の普及を図
クロム、ポリブロモビフェニル
(PBB)、ポリブロモジフェニ
ることを目的としています。
「資源の有効な利用の促進に関す
ルエーテル(PBDE)
の6物質群の含有が禁止されています。ソ
る法律」にもとづき、日本においては指定された製品に特定化
ニーでは、欧州だけでなく、全世界共通の化学物質管理基準
学物質が基準値以上含有されている場合には含有表示をする
を設けて、これらの化学物質を製品に含有しないよう厳格に
ことが義務づけられ、基準値以下である場合には非含有を示
管理しています。
すグリーンマークを表示することができます。ソニーでは、
日本の総合カタログにおいてグリーンマークを表示しています。
URL
ソニーの資材調達活動(グリーンパートナー環境品質認定制度、部品・材料における環境管理物質管理規定(SS-00259)抜粋版など)
http://www.sony.co. jp/SonyInfo/procurementinfo/
53
2. 品質管理への組み込み
ポリ塩化ビニル削減の取り組み
ソニーでは、化学物質の管理を品質管理の仕組みに組み込むこ
ポリ塩化ビニルは、不適切な処分により有害な物質が生じるリ
とでグループ内の化学物質管理体制を実現しています。新規の部
スクが指摘されています。また、ポリ塩化ビニルの可塑剤、安定
品、材料を使用する際には、それらが要求される条件を満たして
剤として使用される物質の一部には、環境面および人体への影響
いることを確認するために検定を受ける必要があります。ここ
が懸念されているものがあります。こうした状況を受け、ソニー
で、通常の品質基準に加え、SS-00259に準拠しているか否かの
では、エレクトロニクス製品においては、ポリ塩化ビニルは法規
確認が行われ、合格すると部品データベースに登録され、製品の
制の対象とはなっていませんが、製品中のポリ塩化ビニルの全廃
設計者がその部品、材料を利用することが可能となります。
を目指し、技術的・経済的に利用可能な代替品がある限り、順次
2006年4月現在、ソニーで使用している約58万点の部品が登録
代替材料に切り替えています。すでに包装材については、ポリ塩
されています。
化ビニルの使用を一部の用途を除き全廃しています。包装材以外
また、製品の量産段階では、定期的に量産部品の抜き取り検査
に関しても、非接触ICカード“Felica
(フェリカ)”
では当初からポ
を実施しています。万が一、これらの検査で不適合品が見つかっ
リ塩化ビニルを使用せず、また主なキャリングバック、キャリン
た場合、同一部品の調達停止などの措置が行われます。さらに、
グケースでもポリ塩化ビニルを使用していません。このほか、こ
既に法律が運用されている欧州については、製品の出荷前に倉庫
れまでに一部の製品内の配線材、ACアダプター出力コード、電
で検査を実施しています。このような各段階での検査に加え、ソ
源コードにおいて、ポリオレフィン系材料への切り替えを行って
ニーでは、部品・材料納入から製品出荷に至るサプライチェーン
います。
での在庫管理を全世界で実施し、不適合品を市場に流出させない
ための管理を徹底しています。
3. 測定原則の適用
このような管理システムを支えるのが、科学的手法にもとづく
測定原則です。目に見えない化学物質は、書類上の管理だけでは
禁止物質が不慮に混入する可能性があります。それを未然に防止
するために、サプライヤーに対して、規定した禁止物質が含まれ
ていないことを証明する不使用証明書に加えて、測定データの提
出を義務づけています。また、ソニーの内部管理においては、品
質管理の際の検定時に、全世界の事業所に配備した測定器を用い
て、測定にもとづく確認を実施し、禁止物質の混入防止に努めて
います。
サプライヤーへの情報提供
前述の仕組みにもとづき、ソニーではサプライヤーの協力のも
と、徹底した化学物質管理を実施していますが、より効率的に運
用するため、2003 年秋からソニーと直接取引のあるサプライ
ヤー
(一次サプライヤー)に対して、原材料データベース
「グリーン
ブック」
を電子調達システム上で公開しています。この「グリーン
ブック」
には複数の一次サプライヤーで共通して用いられること
の多い、樹脂、インキ、電線、プリント配線板などの基本的な材
料を対象として、ソニーが測定を実施し、SS-00259基準への適
合が確認されたもののみを登録しています。一次サプライヤー
が、この
「グリーンブック」上の材料を用いる場合は、測定データ
の提出が不要となります。
「グリーンブック」
には、2006年4月現
在で約1万5,000点の原材料が登録されています。
54
スピーカーボックスの外装にポリ塩
化ビニルを使用していないホームシ
アターシステムDAV-DZ110
物流における環境負荷低減への取り組み
ソニーは、部品や製品などを輸送する際に発生する環境負荷を低減するため、輸送方法の転換や
輸送梱包の改善、輸送効率の向上に取り組んでいます。
物流における環境負荷
国際物流における効率改善
部品や製品を輸送する際に使用されるエネルギーや包装材の削
ソニーのグローバル物流企画を行うSSCSでは製品設計、製造
減は、製品のライフサイクルでの環境負荷低減のために重要な活
の各部門と共同で包装物流改善を積極的に推進しています。
動の一つです。また、日本においては、2006年4月からすべての
2004年度には、テレビの国際間物流において集合包装を導入し
荷主企業に自社の貨物の輸送にかかわるエネルギーの削減が義務
ました。テレビを、スタンド部分、ディスプレイ部分、アクセサ
づけられるなど、輸送分野への社会的な関心も高まっています。
リーの3種類に分け、それぞれを輸送用パレットに最適な数でま
ソニーの物流関連会社であるソニーサプライチェーンソリュー
とめて集合包装化して現地の事業所へ輸送し、組み立てと個別包
ション(株)
(SSCS)が管理している部品調達、国内製品出荷、国
装をする取り組みで、輸送コストおよび輸送に関するCO 2排出量
際地域間輸送による2005年度のCO 2排出量は、約69万5,000ト
を削減することができました。さらに、2005年度には集合包装
ンでした。ソニーでは輸送方法や積載効率の最適化など、荷主と
に使用する包装材に、国際間で繰り返し使用できる通い箱を導入
して可能な施策を実施し、排出量削減に取り組んでいます。
し、包装材廃棄物の発生を抑制しています。今後は、この通い箱
また、ソニーが全世界で自ら所有している移動用車両などから
を部品などにも展開していく予定です。
の2005年度のCO2排出量は約3万5,000トンで、2002年度と比
べ約1,000トンの増加となり、売上高当たりの排出量では3%の
増加となりました。※1
※1
全世界の車両燃料データは2002年度より収集しているため、2002年度を
基準年度としています。
日本国内物流におけるモーダルシフトの推進
国際間で繰り返し使用できる
通い箱
SSCSでは、物量やリードタイム、コストとの調整を図りなが
ら、輸送にともなう環境負荷を低減させるために、トラックと比
べCO2排出量の少ない鉄道、海運を利用して運送するモーダルシ
フトや、鉄道コンテナを利用する他社との共同輸送も継続して実
液晶テレビ包装の薄型化
施しています。
製品の重量や体積を、輸送時のパレットやコンテナのサイズに
2005年度の日本国内でのモーダルシフトによる輸送物流量は
あわせて最適化することは、物流費用削減および物流によるCO 2
約1 万4,300トンでした。これは、トラックで運んだ場合に比
排出量低減の両方に有効な取り組みです。SSCSは製品設計、製造
べ、約2,670トンのCO2排出量を削減したことになります。
の各部門と共同で、液晶テレビ
“BRAVIA<ブラビア>”
Xシリーズ
においてスタンドを本体の下に収納できる包装方式を導入し、前
日本国内物流におけるモーダルシフトによるCO2削減量
(t-CO2)
4,000
(%)
13
12
11
3,500
12
10
モデルに比べて体積を40%削減しました。これにより、輸送時の
積載効率が2倍となり、CO2排出量を大幅に削減しています。
11
9
3,000
9
2,159
1,536
2,500
7
2,000
2,053
1,419
2,036
1,500
5
3
1,000
1,797
1,501
1,168
500
860
0
01
02
03
04
1
633
-1
05(年度)
■ 鉄道輸送によるCO2削減量(t-CO2)■ 海運輸送によるCO2削減量(t-CO2)
■
全輸送量に対するモーダルシフト率(%)
液晶テレビ“BRAVIA <ブラビア>”
Xシリーズの薄型包装
55
環境配慮型製品・サービスの具体例
ソニーは、「楽しみを高めること」と「環境負荷を低減すること」の両立を目指して商品づくりを
行っています。ユニークな発想や独自の技術から生まれるスタミナや高画質、高音質などの新た
な楽しみのそばで、ソニーの環境配慮も生み出されています。
Eco Products
ユニークな発想や独自の技術に支えら
れるソニーの環境配慮型製品の代表的
な事例をご紹介します。
小型の光学エンジン
Virtual Mobile EngineTM
(バーチャルモバイルエンジン:VME)
を搭載した半導体チップ
<ブラビア> E シリーズ KDF-50E1000
大画面で省電力の液晶プロジェクション
テレビ“BRAVIA<ブラビア>Eシリーズ”
液晶プロジェクション方式のテレビは、低
出力のランプでも明るい映像が得られるた
“ウォークマン ®A
NW-A608
シリーズ”
め、他の方式の薄型テレビより消費電力を低
く抑えられます。
“BRAVIA<ブラビア>Eシ
低消費電力の半導体による長時間連続
再生“ウォークマン®”
リーズ”
は、新開発のリフレクター
(反射板)
を
ソニー独自の低消費電力半導体技術である
率を高め、50V型という大画面で高輝度を実
TM
Virtual Mobile Engine (バーチャルモバイ
ルエンジン:VME)を搭載したわずか数ミリ
のチップが、回路を効率的に変化させること
により、音楽再生におけるLSIの消費電力を従
採用したランプにより、光学エンジンの集光
現しながら、プラズマテレビの半分以下 ※3の
低消費電力(195W)を達成しました。
※3
50V 型において。当社プラズマテレビ
KDE-P50HVX との定格消費電力での比較
来の約4 分の1 に削減しました※1 。これによ
り、
“ウォークマン®NW-A608”
の連続再生時
間は約50時間 ※2となり、「環境配慮」と同時
に、お客様に「より長く音楽を楽しむこと」
を
提供できるようになりました。
※1
※2
56
VME 非搭載 LSI との比較
内蔵充電池使用時、ATRAC3 132kbps モード
時、パワーセーブモードノーマル時
ソニーの製品・サービスにおいて、「楽しみを高めるこ
と」と「環境負荷を低減すること」を両立している製品
や活動を“Sony-made ECO”(ソニー・メード・エ
コ)というキャンペーンフレーズでご紹介しています。
「S-Master」
のプリント配線板※4
発熱量を10分の1に抑えるデジタルアンプ
で低消費電力と高音質を両立
“BRAVIA<ブラビア>Xシリーズ”をはじ
め、さまざまな製品に採用されているフルデ
ジタルアンプ「S-Master」は、電力を音に変
“BRAVIA <ブラビア> X シリーズ”
KDL-46X1000
える際の効率に着目し、約85%以上※5の電力
効率で電力を無駄なく音に変換し、省電力を
達成しています。また、発熱量はアナログア
ンプの約10分の1 となり、熱による音質劣化
をほとんどなくしたため、高音質を実現しま
マルチチャンネル
インテグレートアンプ
TA-DA9100ES
した。また発熱を安定させるためのヒートシ
ンクを大幅に小型化することが可能となり、
省資源にも貢献しています※ 5。
※4
写真は
“BRAVIA<ブラビア>Xシリーズ”
に搭載の
「S-Master」
のプリント配線板です。
※5 「S-Master」
アンプブロックでの実測値。定格出
力の1/10以上において。
新開発 LED で、薄さ 4.5mmの液晶ディス
プレイと省電力を実現
モバイルノートパソコン“VAIO type T”
の
液晶ディスプレイは、従来の蛍光管液晶ディ
スプレイに比べ、新開発の白色LED バックラ
イトの採用、導光板の薄型化、システム基板
の小型・軽量化により、薄さは約 50%の約
4.5mm、重量は約 30%の削減を実現。また、
白色 LED バックライトの採用で、最大輝度時
で約 25%も消費電力を低減しました。
また、本体のドライブにメディアが入って
いないことを検知して、自動的にドライブ電
源を切るなどの省電力機構を採用し、薄型な
がら、最長約 9 時間※6 もの長時間駆動を実現
しています。また液晶画面では蛍光管※ 7 のか
モバイルノートパソコン“VAIO type T”
わりに水銀が含まれないLEDバックライトの
搭載によって環境への影響を低減しています。
※6
※7
VGN-TXシリーズでPentium ® Mプロセッサー/
メモリー512MBを選択した場合
液晶画面に搭載される蛍光管での水銀の使用は
RoHS指令(53ページ参照)の除外項目となってい
ます。
製品の環境配慮点を具体的に示す「eco info(エコ・インフォ)」
ソニーでは、お客様に製品の環境配慮情報を的確に伝えるために、「eco infoマーク」
を使用しています。環境配慮内容を「eco
infoマーク」
の右側に具体的に記載して、商品カタログ、商品本体へのステッカー、包装、取扱説明書、各種宣伝媒体に表示する
ことにより、お客様に製品やサービスの環境配慮点をお知らせしています。「eco infoマーク」
を使った環境配慮情報の開示は、
日本だけでなく、欧州、韓国、米国などでも行っています。
eco infoマークと
具体的なeco infoマークの
環境配慮点表示例
・はんだ付けに無鉛はんだを使用
・キャビネットと主要部のプリント配線板でハロゲン系難燃材を不使用
・節電モードにより、明るさを調整し、節電することが可能
・梱包箱は、表層に100%雑誌古紙再生材を使用
・包装用緩衝材に再生発泡スチロールを使用
57
独自の高密度設計により小型化・省資源
を実現した“ハンディカム®”
いままでプロのものとされていたハイビジョ
ンビデオカメラを、ソニーの高密度設計技術に
HDR-FX1
よっ て身近 なもの にした“ ハンデ ィカム ® ”
H D R - H C 1 。さらに、後継モデルのH D R HC3では体積比、重量比ともに前モデルに比
HDR-HC1
べ約26%の削減を実現しました。また、新開
発の
「クリアビッドCMOSセンサー」
を搭載する
ことにより、消費電力を3CCD搭載のHDR-FX1
と比べ約45%削減しています。これにより、手
HDR-HC3
軽なハイビジョン撮影を可能にしました。
民生用ハイビジョンビデオカメラの小型化
パルプモールドの緩衝材を採
用したHDD搭載DVDレコー
ダー
“スゴ録”RDR-HX65
段ボールを斜めに使うことで
衝撃吸収性を向上した緩衝材
を採用した
XDCAM ドライブユニット
PDW-D1
包装における環境配慮の取り組み
一枚の段ボールから組み立て
た緩衝材を採用した
PSP®「プレイステーション・
ポータブル」PSP-1000K
ソニーでは、1989 年より包装の環境配慮
を設計目標の一つとして、数々のプロジェク
トをつくり、強力に推進してきました。必要
最小限の材料で製品を保護するだけではなく、
世界的にリサイクルしやすい材料やリサイク
ルの仕組みが整っている材料の使用、および
再生材の使用を推進しています。また、お客
様がリサイクルのための分別を容易にできる
筐体外枠等に再生材プラスチックを採用した
“ロケーションフリーTM”テレビ
LF-X11(北米モデル)
ように、分別しやすい構造や識別表示方法を
採用しています。単なる資源保護や使用量の
削減ではなく、焼却・埋め立て処分される材
製品への再生プラスチック材の導入
料が最少となるよう、技術開発を進め、リサ
ソニーは、枯渇性資源の新規使用量を
イクルも視野に入れた総合的な取り組みを推
減らすために、環境アセスメント評価、
進しています。
プラスチック部分の 30%に
再生プラスチックを採用した
ミニディスク
“ビアンカ”5MDW74BAA
品質管理、適用技術の検討などを行い、
再生プラスチック材を積極的に導入して
います。VHSカセット、ミニDVカセッ
ト、ミニディスク等のメディア製品をは
じめ、
“ロケーションフリー TM”テレビの
モニターの筐体などに採用しています。
58
水銀を含まないボタン形酸化銀電池
SR626SW
Eco Technology
ソニーでは、技術革新による環境問題
の解決を目指し、研究開発に取り組み、
商品化しています。
水銀を含まないボタン形酸化銀電池の導入
ボタン形酸化銀電池には、劣化の原因となる水素ガスの発生を防
ぐために水銀を使用しています。このボタン形酸化銀電池の無水銀
化は実現不可能として、例外的に使用が認められています※4。しか
し、ソニーは 1990年代から研究を続け、新規亜鉛粉や新規腐食抑
制剤の使用、防食処理などにより、安全性・保全性を損なわずに無
水銀化することに成功し、2004年に世界に先駆けて製品化しまし
た。2006 年 3 月現在、ソニーのボタン形酸化銀電池生産量の約
80%にあたる主要 10 モデルが無水銀化に対応しています。
※4
2006年3月現在、電池に対する使用要求
(電池指令)の改定検討が進められて
いる欧州議会・欧州環境理事会において承認。
植物原料プラスチックの開発と実用化
植物原料プラスチックは、バイオマスと呼ばれるトウモロコ
シなどの植物資源を主原料としています。そのため、一般のプ
ラスチックに比べて以下の環境面で優れた材料です。
・石油資源の使用量削減
社員インタビュー
「水銀ゼロへの挑戦」
ボタン形酸化銀電池は、約 30 年
前から製造しているソニーの伝統的
な製品です。担当者としては当然製
・温室効果ガスの排出を抑制※1
品に誇りを持っていましたが、水銀
・さまざまな使用後の処理が可能※2
を使っていることが常に気になって
ソニーは、この植物原料プラスチックの開発・使用に積極的
いました。「胸を張って売れるもの
に取り組み、業界に先駆けて2002年度から
“ウォークマン®”
の
をつくりたい」という思いから、水 寺本 一憲
キャビネットなどに使用し、これまでに製品筐体として5カテ
ゴリー計7機種で製品化しています。
銀を使わない酸化銀電池ができない デバイス(株)
かと研究を続けてきました。
2004年には世界で初めて難燃型※3の植物原料プラスチック
研究により代替物質は特定できましたが、課題は量産技術
を開発し、より広範囲な製品で植物原料プラスチックを使える
でした。内部の電解液が漏れ出すことなく、適切に、しかも
ようにしました。また、電子マネー等に使用されている
量産スピードを落とすことなく、
代替物質を集電体に付けな
“FeliCa
(フェリカ)
”
技術搭載の非接触型ICカードへの応用につ
ければなりません。検討を重ねた結果、ソニーグループ内の
ソニーエナジー・
いても実証実験に成功し、導入検証中です。
他のデバイス分野独自の表面処理技術により、
本格的な量産
※1
が可能になったのです。
このボタン形酸化銀電池の開発と製
※2
※3
原料となる植物は、栽培時に光合成を行い CO 2 を吸収するため、製
品の原材料生産から廃棄までを捉えるライフサイクルでみると、通常
のプラスチックに比べ CO2 の排出が少ない。
材料リサイクル、ケミカルリサイクル、焼却など。
電気製品に使用するプラスチックの一部は、燃えにくくする工夫が不
可欠。
品化は、第一回ものづくり日本大賞において「経済産業大臣
賞」を受賞しました。環境面で付加価値のある、高品質な製
品を追求したいという関係者の熱意を評価していただいたの
だと思っています。
植物原料プラスチックの開発と実用化
2000∼
包装材への採用
ミニディスク
“NEIGE”
(外装フィルム)
ポータブルラジオ
ICR-P10
(ブリスターパック)
2002∼
2004∼
筐体への採用
難燃型材料の実用化
エンターテインメントロボット
DVDプレーヤー
“AIBO”ERS-7 / ERS-7M2
DVP-NS999ES
(手の甲、
ストッパー、ポール)
(フロントパネル)
“ウォークマン®”
WM-FX202
(筐体)
DVDプレーヤー
DVP-NS955V/NS975V
(フロントパネル)
2005∼
製品カテゴリーの拡大
非接触カード(試験運用) 携帯電話
premini®-II S※5
(マクロスイッチ)
携帯電話(非売品)
ムーバ® SO506iC※5
(筐体)
“VAIO type S”
SZシリーズ
(ダミーカード)
エンターテインメントロボット
“AIBO”ソフトウェア
ERF-210AW06J
(付属マーカーベース)
※5 「mova/ムーバ」
、「premini」
は、株式会社NTTドコモの登録商標です。
59
Eco Entertainment
ソニーグループでは、エンタテインメントを通じて、
ソニーやアーティストの地球環境への思いを人々へ届
け、グリーン電力をはじめとするさまざまな取り組み
で、このメッセージを楽しく広げることを目指してい
ます。
Publications
身近な視点でエコロジー
Live Music
(株)
ソニー・マガジンズは2003年度より
「心とカラダにやさ
音楽ライブで広がる環境活動
行しています。アーティストやミュージシャンと、身近にある
しい生活」
をテーマにしたエコロジカルでオーガニックなライ
フスタイルを提案する「Lingkaran
(リンカラン)
(隔月刊)
」
を発
お客様とアーティストが一体となって楽しむライブやコン
楽しいエコロジーを見つけて読者に届けています。
サートなどのイベント。日本におけるソニーミュージックグ
「Lingkaran」
はインドネシア語で
「輪」という意味で、そのイン
ループでは、これらのイベントにおいてお客様とともに環境
ドネシアのカリマンタン島にある焼失した熱帯雨林の一部を
意識を高めるさまざまな工夫をしています。また、イベントを
「リンカランの森」
と名付け、読者と共に植林し、森の再生に寄
支えるライブホールや舞台裏でも環境配慮を進めています。
与しています。さらに栃木県で30年以上にわたり無農薬で農
(株)
ホールネットワーク
※1
は、全国6カ所のライブホール
「Zepp
(ゼップ)
」
をすべてグリーン電力で運営しています。ま
た、ポリ乳酸樹脂製カップリサイクルの実証実験に協力し、
業を営む農家と
「リンカランの畑」
をつくり、読者に
「農」
や
「食」
の大切さを感じる場を提供するなど、参加型のイベントも行っ
ています。
高い回収率と認知度向上で貢献しました。
また、(株)
ソニー・ミュージックアーティスツでは、舞台
公演で使用するためのリサイクル品のガムテープを積水化学
工業(株)
と共同開発し、実用化に成功しました。
※1
ソニー・カルチャーエンタテインメントの関係会社です。
雑誌「Lingkaran(リンカラン)」
Zepp Tokyo で開催された環境省
主催のエコライブ「Re-style live
(リ・スタイル・ライブ)vol.3」
読者と共に
「リンカランの畑」
づくり
TUBE「SEASIDE VIBRATION」ツ
アー(全国7カ所の海岸で、ゴミ袋
をファンの方に配布し、ビーチク
リーン活動を呼びかけました)
グリーン電力マーク:
日本自然エネルギー(株)の「グリーン電力証書システム」による、グリーン電力(自然エネルギー)の利用を証明するマーク。
「グリーン電力証書システム」に関しては、66ページにも記載があります。
60
Eco Solutions
環境ソリューションビジネス
(株)
ソニー・ミュージックコミュニケーションズでは、2004 年度か
ら環境ソリューションビジネスを通じて環境保全活動団体を支援するプ
ログラム「GREENSTYLE(グリーンスタイル)デザイン」を開始しま
した。(株)
ソニー・ミュージックコミュニケーションズは、その売上の
封筒を使わない発送方式
「GREENSTYLE エコメール便」
一部をGREENSTYLE基金を通じて環境保全活動を行っている団体に寄
付しています。
エンタテインメントで培ったノウハウをもとに、グリーン電力を導入
している録音スタジオを使用したCD/DVD制作や、封筒なしで発送で
きる「GREENSTYLEエコメール便」などの提供を行っています。
「野口 健ECO×TOUR 」のDVD
を(株)ソニー・ミュージック
ダイレクトより発売。グリー
ン電力スタジオで制作し、解
説書にはFSC認証用紙※4 を使
用。また、初回購入特典とし
て、個人向けグリーン電力証
書をプレゼント。
グリーン電力を導入した乃木坂スタジオ
※4
Artists’ Messages
FSC(Forest Stewardship Councilの略。森林管理協議会)認証とは、適切な管
理を行っている森林から切り出された木材を使って、製品がつくられていることを
証明する森林認証の一つ。
アーティストからの環境メッセージ
(株)
キューンレコード※2で発行しているメールマガジンでは、
「エコバナ」というコー
ナーを設け、アーティスト自身の言葉で環境に関する思いを語り、読者からも体験や感
想が寄せられるという双方向コミュニケーションを実施しています。
また、音楽専門チャンネル「MUSIC ON! TV」を放映している(株)
ミュージック・オ
ン・ティーヴィ※3は、すべての電力をグリーン電力で賄っています。また、
「Harmony
with the Earth」
をテーマにした映像を番組の合間に放映し、自社の環境活動やアーティ
ストの環境への思いを視聴者へ発信しています。
また、
(株)
デフスターレコーズ※2では、CDを購入したユーザー向けに、期間限定で自
分の日常生活でのCO 2排出量を測定できる<MY CO 2 TEST>ウェブサイトを公開する
など、新たな取り組みを行っています。
※2
※3
ソニー・ミュージックエンタテインメントの関係会社です。
ソニー・カルチャーエンタテインメントの関係会社です。
奥田民生さん
(ミュージシャン)
主演の
「Harmony with the Earth」をテーマ
にした映像の一場面。
2 0 0 6 年春に「エコバナ」を担当した
真心ブラザーズ(ミュージシャン)
61
製品リサイクルの取り組み
ソニーは、拡大生産者責任※1の理念を尊重し、限られた資源を有効に活用するために、使用済み
製品の回収やリサイクルを推進しています。今後も、地域のニーズに適応したリサイクルシステ
ムの構築と運用を進めていきます。
ソニーにおける製品リサイクルの考え方
2005 年度のテレビのリサイクル
(日本)※
ソニーは資源の有効活用のため、事業プロセスを通じて資源生
指定引取場所での引取台数
産性の向上に継続的に取り組んでいます。また、使い終わった製
再商品化等処理台数
648,134 台
品をリサイクルし、再度資源として利用することも重要であると
再商品化等処理重量
17,636 トン
考えています。ソニーは、使用済み製品の処理または処分に関し
再商品化重量
13,490 トン
て、製造者としての社会的責任を認識し、日本の家電リサイクル
再商品化率
法やEUのWEEE指令、アメリカにおけるカリフォルニア州廃家電
※
650,767 台
76%
引取台数と処理台数の差は、年度締め時点での処理在庫です。
リサイクル法など、世界各国および地域のリサイクル法規制にし
たがって使用済み製品の回収やリサイクルを推進しています。
また、
「Green Management 2010」では、「製品再資源化量
テレビから再商品化された資源(2005年度)
を継続的に増加すること」
および「製品循環率を継続的に向上させ
ること」
を製品リサイクルに関する目標としています。製品循環
■ 鉄:
1,344トン
率は製品出荷量に対する製品再資源化量の比率であり、リサイク
■ 銅:
718トン
ルの推進だけでなく、資源使用量の削減を指標として取り入れて
■ アルミニウム:
20トン
■ 非鉄・鉄等混合物: 109トン
います。これらの目標を達成するため、製品の回収プログラムの
■ ブラウン管ガラス:8,367トン
実施やリサイクル技術の開発および導入に努めています。また、
■ その他の有価物: 2,750トン
将来にわたって製品再資源化量を増加できるように、リサイクル
に配慮した製品開発および設計の実施に取り組んでいきます。
日本におけるリサイクル活動
ソニーでは、日本におけるリサイクル関連法にもとづき、テレ
テレビのリサイクル実績
(t)
30,000
(%)
100
ビ、パソコンのリサイクルを行っています。ニカド電池やリチウ
ムイオン電池などの小型二次電池や包装材などについても、法律
にもとづきリサイクル費用を負担しています。
78
81
84
86
76
75
22,500
日本では2001年4月に、テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコンの
17,636
4品目を対象にした、家電リサイクル法が施行されました。この
うち、ソニーでは、テレビ(アイワブランドを含む、ブラウン管
15,221
15,000
式のもの)が対象製品となっています。家電リサイクル法では、
者等が廃棄製品の引取り・引渡しを、生産者がリサイクルの実施
9,728
8,851
対象製品の廃棄時に、排出者がリサイクル費用の負担を、小売業
13,490
13,161
12,853
12,008
10,808
6,989
7,500
50
25
を義務づけられています。
ソニーは同業5社と共同で全国規模のリサイクル体制を構築し
0
01
ています。現在、ソニー製テレビのリサイクルを行っている工場
は全国に15カ所あり、このうち愛知県のグリーンサイクル(株)
62
03
04
■ 再商品化等処理重量
(t) ■ 再商品化重量(t) ■
※1
02
再商品化率(%) 使用済み製品の処理または処分に関して、生産者が、財政的および/または物理的に相当程度の責任を負うという考え方。
0
05(年度)
に、ソニー
(株)は筆頭株主として出資しています。2005年度に
ソニー・オブ・カナダは、サスカチェワン州とブリティッシュコ
は、約65万台のソニー製テレビがリサイクルされました。家電リ
ロンビア州において廃家電リサイクルプログラムの導入が2005年
サイクル法ではテレビの再商品化率を55%と義務づけています
度に決定されたのを受けて、その構築に積極的に参加しています。
が、ソニーは2001年度以降、この再商品化率を上回る実績を上
また、SELがメンバーを務めるNPO団体のリチャージャブル・
げています。2005年度の再商品化率は76%と2004年度までと
バッテリー・リサイクリング・コーポレーションでは、2005年
比べて下がっていますが、これはブラウン管からリサイクルされ
には、前年を約10%上回る約2,200トンの充電池や携帯電話を北
るガラスカレットについて、国内での需要が減少していることに
米全土で回収しました。ソニー・オブ・カナダは、75カ所のソ
よります。
ニーの販売店でこの回収プログラムに参加しました。
また、ソニーは「資源の有効な利用の促進に関する法律」にもと
さらに、SELの事業所でも回収された製品などのリサイクルを
づき、法人ユーザーなど事業系から出される使用済みパソコンの
実施しています。ソニー・マグネティック・プロダクツ ドーサン
リサイクルに加えて、2003年10月に、一般家庭からの使用済み
工場ではリチウムイオン電池のリサイクルが行われており、SEL
パソコンの回収とリサイクルを開始しました。対象品目は、デス
の子会社であるアメリカン・ビデオ・グラス・カンパニーでは、
クトップパソコン本体、ノートブックパソコン、ブラウン管ディ
ソニー・テクノロジーセンター・ピッツバーグで洗浄したブラウ
スプレイ、液晶ディスプレイです。これらのソニー製パソコン
ン管製造工程および廃家電からの廃ガラスカレットを新製品にリ
は、グリーンサイクル(株)でリサイクルされています。
サイクル使用しています。
2005年度は、約2万3,000台のソニー製パソコンが回収さ
れ、金属類、プラスチック類、ガラスなど約190トンを再資源化
アジア・オセアニアにおけるリサイクル活動
しました。また、ノートブックパソコンや液晶ディスプレイなど
ソニーは、アジア・オセアニア地域においても、リサイクルプ
のLCDパネルの一部を部品として再利用しています。
ログラムの支援を行っています。
ソニー・台湾は、政府との協力のもと、電池の回収・リサイク
2005 年度のパソコンのリサイクル(日本)
ルプログラムへ参加しました。このプログラムは2004年度から
単位
デスクトップ
PC 本体
ノートブック
PC
ブラウン管
ディスプレイ
液晶
ディスプレイ
プラント搬入台数
台
5,801
4,558
9,316
3,073
再資源化処理量
t
64.0
10.1
182.4
13.4
資源再利用量
t
46.1
4.6
133.1
9.1
た。ソニー・台湾は電池の回収箱やプログラムの参加を呼びかけ
資源再利用率
%
72
46
73
68
るポスターを提供すると同時に、このプログラムにかかる費用を
2005年度まで実施され、台湾各地の学校などに電池の回収箱が
設置され、合計で約290トンの電池が回収、リサイクルされまし
負担しました。
北米におけるリサイクル活動
また、ソニー・オーストラリアでも、リサイクル事業者と協力
ソニー・エレクトロニクス(米国、以下SEL)およびソニー・オ
し、2005年度から電池の回収・リサイクルプログラムを開始し
ブ・カナダは、さまざまなリサイクル活動や支援活動を通じて、
ました。国内各地にあるソニーの販売店や、ソニー・オーストラ
北米におけるリサイクル基盤の強化に貢献しています。
リアの各地のオフィスに回収箱を設置しています。回収された電
SELは、2005年に廃家電リサイクル法施行から1年を経過した
池はリサイクル事業者に引き渡され、適切に処理されています。
カリフォルニア州で、直営店とビジネス向け販売におけるリサイ
クル費用を回収し、環境配慮設計への取り組みなどに関する報告
書とともに州に提出しました。2005年のカリフォルニア州全体
での廃家電回収量は約3万2,000トンで、このうちソニー製品は
約1,590トンと推計されます。メイン州では、廃家電リサイクル
法のもと、州に提出した実施計画にもとづき、2006年1月からリ
サイクル費用を負担しています。メリーランド州においては、リ
サイクル制度構築のための費用を負担しています。SELでは継続
的に地域社会で自主的に廃家電を回収するプログラムの中で、ソ
ニー製品のリサイクル費用を負担するなどの支援を行っていま
台湾の回収箱
オーストラリアの回収箱
す。2005年には13州で約150回の回収イベントが行われ、約53
トンのソニー製品を含む、計約1,921トンの廃家電製品を回収し
ました。
URL
ソニーのリサイクル活動 http://www.sony.co.jp/csr
ソニーのPCリサイクル http://www.sony.co.jp/SonyInfo/pcrecycle/
グリーンサイクル
(株)のホームページ http://www.greenc.co.jp
63
ヨーロッパにおけるリサイクル活動
WEEE 指令・リサイクル法規制への対応
ソニーは、ヨーロッパ全域において、拡大生産者責任の達成、
およびリサイクル市場における競争原理の確保を目指し、廃電
気・電子機器の回収とリサイクルの体制を構築しています。
EUの廃電気・電子機器リサイクル指令
(WEEE指令)では、製造
■ ERP を通じて対応する国
者が使用済み電気・電子機器を回収し、リサイクルするための仕
■ NERA を通じて対応する国
組みの構築と費用負担において責任を負うことが規定されていま
■ 各国の仕組みで対応する国
す。現在、ほとんどのEU加盟国がWEEE指令にもとづく国内法の
制定を完了し、そのうち、2005年度にはオーストリア、フィン
ランド、ドイツ、アイルランド等のEU加盟国において、それぞれ
の国内法にもとづく回収・リサイクルに関する活動が開始されま
した。
このWEEE指令に対応するため、ソニーは、ドイツのブラウン
社、スウェーデンのエレクトロラックス社、アメリカのヒュー
また、WEEE指令の要求事項にもとづき、ソニーはその適用を
レット・パッカード社と共同で、「ヨーロピアン・リサイクリン
受ける欧州市場向けの製品に対して、WEEEマークの添付と、取
グ・プラットフォーム
(ERP)」
を2002年12月に形成しました。
扱説明書その他へのWEEE指令における消費者の役割記述に関す
ERPは2004年11月、前記4社を株主とした法人組織ERP SAS社
る対応を2005年8月13日までに完了しました。
をフランスに設立し、その後、2005年度にはWEEE各国法の要
欧州の多くの国では法規制により、廃包装材と廃電池の回収と
求事項にもとづき、アイルランド、ポーランド、ポルトガルに現
リサイクルにおける生産者の義務が規定されています。 特に廃包
地法人組織を、スペインに支社組織を設立しました。
装材に関する回収とリサイクルについては、ほぼ欧州全域で生産
また、回収・リサイクルの実務体制構築のため、ERP SAS社
者の責任が規定されており、ソニーは各国の廃包装材、廃電池に
は実務を担当するゼネラルコントラクター
(GC)2社と2004年12
関するリサイクルスキームに参加することにより、その義務を遂
月に契約を締結しました。現在、GC2社はERP SAS社からの委
行しています。
託を受けて、各国のリサイクル業者、ロジスティック業者と協力
の上、各国国内法に準拠した回収・リサイクルの実務を担当して
ヨーロッパにおける業務用機器のリサイクル
います。2006年5月末現在、ERPはオーストリア、ドイツ、アイ
WEEE指令は、一般家庭以外のユーザーから排出される廃電
ルランド、スペインの計4カ国で実際の処理を開始しており、フ
気・電子機器についても生産者に対するリサイクル義務を規定し
ランス、イタリア、ポーランド、ポルトガル、イギリスの計5カ
ています。多くの欧州諸国では、生産者がユーザーからの直接回
国で回収・リサイクルの仕組みを構築中です。また、ソニーは北
収を手配する責任を持つなど、いくつかの点でコンスーマー製品
欧のデンマーク、フィンランドの2カ国において、ノルディッ
とは異なる法制化が行われています。
ク・エレクトロニクス・リサイクリング・アソシエーション
ソニーでは、これらの義務に適切に対応するため、放送局業務
(NERA)とその現地法人を2005年度に設立、これらの国のWEEE
関連法規制に準拠し回収・リサイクルを行っています。
用機器等を対象に
「ビジネス・WEEE・コレクション・サービス」
(BWCS)
という独自のリサイクル体制を構築しました。BWCSは
上記1 1 カ国以外のE U 加盟国およびE U 非加盟国であるノル
インターネットでソニーの業務用機器を使用するお客様からの回
ウェーとスイスにおいても、ソニーはWEEE指令にもとづく各国
収依頼を受け付け、ソニーが指定するリサイクル業者が回収、処
法または各国のリサイクルに関する法規制にもとづき、生産者に
理を担当するという仕組みです。また、回収した製品・部品のリ
代わってリサイクルを請け負う組織と協力し、各国法の要求に応
ユースも視野に入れた取り組みを行っています。
じた回収・リサイクルを実施しています。
ソニーではWEEE指令の施行日である2005年8月13日からお
ソニーは欧州において、これらの仕組みを通じて、2005年度
客様へインターネット、パンフレットを通じ欧州全域でBWCSの
中に約1 万2,000トンの廃電気・電子機器を処理し、約800万
案内を開始しました。
ユーロの費用を支払いました。
64
事業所における地球温暖化防止活動
ソニーは、地球温暖化の主因とされる温室効果ガスの排出を削減する努力を続けています。事業
所においてエネルギーを効率的に使い、省エネルギー化を推進し、温室効果ガスを排出しない再
生可能エネルギーの導入などを行っています。
エネルギー使用にともなうCO2排出量
温室効果ガス排出量をCO2換算で2000年度比30%削減」
という目
ソニーは、「2005年度までに事業所のCO 2換算エネルギー使用
標を掲げて、排出量の削減に取り組んできました。ソニーの
量を売上高原単位で2000年度比15%削減」
という目標を掲げ、省
2005年度のCO 2換算温室効果ガス排出量 ※3は約23万8,000トン
エネルギーに取り組んできました。2005年度の事業所でのエネ
と2004年度とほぼ同じ量となりました。目標の基準年度である
ルギー使用にともなうCO2排出量は約191万トン※1で、2004年
2000年度以降、半導体製造事業所の新設や小型液晶パネル製造
度に比べ約4万トン増加しました。2000年度以降の推移では、各
事業所の買収、既存事業所の増強などのビジネス変化による排出
地域のブラウン管製造事業所の閉鎖などによる減少要因を、日本
量の増加要因がありましたが、除害装置の導入などの削減施策に
の半導体・液晶製造事業所の新設や増強、中国の製造事業所の新
積極的に取り組み、2000年度に比べ22%の削減となりました。
設および生産拡大などの増加要因が上回っていますが、各事業所
※3
エネルギー使用にともない発生するCO2 は除きます。
における省エネルギー施策の実施や、欧州を中心にした再生可能
エネルギーの導入、CO 2排出のより少ない燃料への転換などに継
続的に取り組み、売上高当たりの排出量では、2000年度に比べ
1%の削減となりました。日本における排出量は約99万トン※2
事業所の温室効果ガス排出量(エネルギー使用にともなうCO2排出量を除く)
(万t-Co2)
35
31
30
で、小型液晶パネル製造事業所の買収や、液晶テレビの増産など
の影響により、2004年度に比べ4万トン増加しています。
※1
※2
日本における購入電力のCO2換算係数の変動の影響を考慮した場合、2005
年度のエネルギー使用にともなうCO2 排出量は約203万トンになります。
日本における購入電力のCO2換算係数の変動の影響を考慮した場合、日本
の2005年度のエネルギー使用にともなうCO2排出量は約108万トンになり
ます。
事業所のエネルギー使用にともなうCO2排出量
(%)
120
(万t-CO2)
300
27
20
20
250
94
97
98
102
99
100
188
183
186
188
187
191
21
19
目標
10
5
00
01
02
03
04
05(年度)
■ HFC類 ■ PFC類 ■ SF6(六フッ化硫黄)
■ NF3(三フッ化窒素) ■ その他
目標 85
200
24
15
0
100
24
25
80
150
60
100
40
「Green Management 2010」における地球温暖化防止
目標
ソニーでは、「Green Management 2010」において、事業所
20
50
の地球温暖化防止に関する目標を、
「2010年度までにCO2換算温
室効果ガス排出量を絶対量で2000年度比7%以上削減」と定めて
います。これは、エネルギー使用にともなうCO 2排出量と、PFC
0
00
01
02
03
04
0
05 (年度)
■ 日本 ■ 米州 ■ 欧州 ■ パンアジア ■ 東アジア
■
売上高当たりのCO2排出量(%)
(2000年度を100とする)
類等の温室効果ガス排出量の合計値を対象にしています。エネル
ギーに関しては、高効率機器の導入や燃料転換などの省エネル
ギー施策を実行していきます。PFC類等の温室効果ガスについて
は、使用した温室効果ガスを分解する除害装置の導入や、地球温
PFC類等の温室効果ガス排出量
暖化係数のより低い代替ガスの導入により、排出量削減に取り組
ソニーは、半導体や液晶パネルを製造する際に、クリーニング
んでいきます。
やエッチングなどの工程で、温暖化係数の高いPFC
(パーフルオ
ロカーボン)類などの温室効果ガスを使用しています。これらの
温室効果ガスについて、
「2005年度までに事業所のPFC類などの
65
省エネルギーの推進
業所で、再生可能エネルギーによって発電された電力の購入など
ソニーイーエムシーエス
(株)幸田テックでは、空調設備の更新
を行っています。
にあたり、単純な高効率機器の導入ではなく、大幅な省エネル
※1
ギー実現のために新しい空調機を設計しました。風量を抑えるこ
太陽光や風力、バイオマスなど、枯渇せず、繰り返し使用できるエネル
ギー。
とが空調機の消費電力量の削減に効果的であることに着目し、高
列数コイルと高効率プラグファンを採用すると同時に、室内温度
新社屋での環境配慮
とコイル出口温度によってファン回転数と冷水弁の開閉をコント
2006年10月に竣工予定のソニー新社屋(東京)は、ビルの省エ
ロールするカスケード制御としました。これにより、結露等の問
ネルギー化と同時に、設計会社及び施工会社と協力し、建設時の
題を発生させずにコイル温度差を大きくとることができ、常に必
環境負荷の削減に取り組みました。
要最小風量で空調機を運転することが可能になりました。今後、
建設時には、生コンクリート製造プラントや敷地で検出された
すべての空調機を更新することにより、幸田テックのエネルギー
自然由来の化学物質を除去する土壌洗浄プラントを建設現場に設
使用にともなうCO2排出量の3.2%を削減できる見込みです。
置することにより、コンクリートや土壌の運搬に使用する車両数
ソニー・マグネティック・プロダクツ ドーサン工場では、
を大幅に削減しました。また、配管洗浄水(フラッシング水)の再
2005年12月にボイラーに使用する燃料を、天然ガスからバイオ
利用や、建設資材の輸送効率向上などの施策を実施しています。
燃料へと転換しました。導入後の4カ月間で、CO2換算で約120
これらの施策によるCO 2削減効果は約3万8,000トンと推計さ
トンの天然ガスを削減しています。
れます。
オーストラリアの販売会社であるソニー・オーストラリアで
竣工後の新社屋では、外光利用による照明の自動制御、外気導
は、州政府が主催するオフィスでの省エネルギー推進プログラム
入量の自動制御、高効率熱源システム、隣接する芝浦水再生セン
に参加し、照明の自動調節機器の導入や、再生可能エネルギーに
ターの下水排熱の利用など、さまざまな先進的省エネルギー施策
よる電力購入などを通じ、1997年から2005年までのプログラム
を採用し、ソニー本社圏でのエネルギーの使用にともなうCO 2排
実施期間にCO2換算で約2,600トンの電力削減を実現しました。
出量を8%削減する見込みです。
幸田テックの空調設備
再生可能エネルギーの導入
ソニーは、温室効果ガス排出量削減施策の一環として、再生可
能エネルギー※1の導入に取り組んでいます。2005年度のグリー
ン電力証書システムの利用や、太陽光発電システム導入による
CO2排出削減貢献量は、約1万5,700トンとなりました。グリー
ン電力証書システムとは、再生可能エネルギーによる発電実績を
証書化して取引することにより、発電所から遠く離れた場所で
あっても、再生可能エネルギーによる電力を使用したとみなす仕
組みです。日本では、2001年度から利用を進めており、2005年
度には、ソニーマーケティング
(株)が運営するショールームや、
ソニー生命保険
(株)
、(株)ソニーファイナンスインターナショナ
ルでグリーン電力証書システムの利用を開始しました。また、ソ
ニーケミカル
(株)
鹿沼事業所、ソニーイーエムシーエス
(株)東日
本CSフロントセンターでは、太陽光発電システムを自社敷地内
に導入しています。海外においても、ソニー・ロジスティック
ス・ヨーロッパ
(オランダ)や、ソニー・ユナイテッド・キングダ
ム
(英国)、上海索広映像有限公司
(中国)
などさまざまな地域の事
66
ソニーの新社屋(東京)
(完成予想図)
事業所における資源の循環利用
ソニーは、事業所において資源を有効に活用し、廃棄物の発生を抑制する各種の取り組みを行っ
ています。また、さまざまな手法を用いたリサイクルの推進によって、廃棄物ゼロエミッション
活動を展開しています。
廃棄物発生量について
廃棄物削減の推進
ソニーは、
「2005年度までに事業所の廃棄物総発生量を売上高
ソニーセミコンダクタ九州
(株)熊本テクノロジーセンターで発
原単位で2000年度比30%削減」
「事業所の廃棄物リユース・リサイ
生する硝フッ酸廃液は、当初は全量を回収し、廃棄物処理業者に
クル率を95%以上にする」という目標を掲げ、廃棄物の削減、資
引き渡し、ステンレス鋼材の酸洗浄剤としてリサイクルされてい
源の有効利用に取り組んできました。2005年度の事業所での廃
ました。しかし、2004年度から工程変更の影響で硝フッ酸廃液
棄物発生量は約21万3,000トンで、2004年度に比べ約2,000ト
濃度が希薄になり硝酸濃度が規定濃度に達しなくなったため、酸
ンの削減となりました。各事業所での廃棄物削減の取り組みによ
洗浄剤としてのリサイクルができなくなりました。さらに、生産
り、売上高当たりの廃棄物総発生量は2000年度に比べ26%の削
設備の増強により、硝フッ酸廃液量は熊本テクノロジーセンター
減と大きく改善しました。また、2005年度の全世界合計でのリ
の産業廃棄物総排出量の約40%程度まで増加しました。そこで濃
ユース・リサイクル率は90%となり、2000年度より継続して向
度の低い硝フッ酸廃液の量を抑えるために設備を改造し、硝酸濃
上しています。なお、日本国内におけるリユース・リサイクル率
度を調整できるようにしました。この結果、濃度の低い廃液は場
は、2001年度に96%と目標を達成し、2005年度には98%とさ
内処理を行い、濃度の高い廃液は酸洗浄剤としてのリサイクルが
らに向上しています。
できるようになり、年間約820トンの廃棄物削減と硝フッ酸廃液
の有効利用が実現しました。
事業所の廃棄物発生量
(千t)
500
(%)
120
硝フッ酸の場内処理フロー
硝フッ酸廃液
100
400
目標 95
88
80
300
281
82
83
87
100
新設配管
88
90
74
78
78
78
224
224
215
258
タンクA
80
濃硝酸廃液
タンクB
場内処理し、下水へ放流
洗浄剤としてリサイクル
濃度調整
目標 70
213
60
また、ソニー・ヌエボ・ラレド
(メキシコ)では、2005年11月
200
40
より、リサイクル業者との協力のもと、製造工程からの廃棄物の
リサイクルを開始しました。ビデオテープ製造工程からのフィル
100
20
0
00
01
02
03
04
(年度)
05
0
ムや、ディスク製造工程からのアルミニウムと鉄など、2005年
度は、合計247トンの廃棄物をリサイクルしました。
■ 日本 ■ 米州 ■ 欧州 ■ パンアジア ■ 東アジア
■
■
売上高当たりの廃棄物総発生量(%)
(2000年度を100とする)
リユース・リサイクル率
(%)
「Green Management 2010」における廃棄物削減目標
ソニーでは、「Green Management 2010」において、事業所
の廃棄物削減に関する目標を、
「2010年度末までに廃棄物の総発
生量を、絶対量で2000年度比40%以上削減」
および
「廃棄物再資
源化率を国内製造事業所で99%以上、海外製造事業所で95%以
上にする」と定めています。これらの目標にしたがい、廃棄物の
発生そのものを抑制すると同時に、発生した廃棄物のリサイクル
に取り組んでいきます。リサイクルにあたっては、リサイクル率
の向上と同時に、事業所内での循環利用やマテリアルリサイクル
など、より質の高いリサイクルを行うことを目指していきます。
67
水使用量について
水使用量削減の推進
ソニーでは、
「2005年度までに事業所の水の購入量および汲み
ソニー
(株)
と(株)
豊田自動織機の合弁会社で、中小型液晶パネ
上げ量を売上高原単位で2000年度比20%削減」
という目標を掲
ルの製造事業所であるエスティ・エルシーディ(株)では、液晶製
げ、水使用量の削減に取り組んできました。2005年度の事業所
造工程レジスト剥離装置※2で排水の再利用を実施し、同装置の年
3
3
での水使用量は約2,565万m で、2004年度に比べ約78万m の
間純水使用量の約43%に当る約4万m3を削減しました。
増加でした。これは、2005年度に小型液晶パネル製造事業所を
従来、一次洗浄ユニットと二次洗浄ユニットでそれぞれ純水供
買収したことなどが影響しています。2000 年度以降の推移で
給を行う構成でしたが、二次洗浄ユニットからの排水を一次洗浄
は、日本の半導体・液晶製造事業所での生産増加および新規事業
ユニットの純水タンクへカスケード接続する構成に変更しまし
所の稼働、中国の事業所での生産増加などのビジネス変化による
た。当初は、揚水ポンプ等の新規設備導入による改造を候補とし
増加要因がありましたが、水の再利用の推進などの施策や、各地
ていました。しかし、社内で検討を重ねた結果、配管経路の曲げ
域のブラウン管製造事業所の閉鎖などにより、売上高当たりの水
回数を増やし、二次洗浄ユニットからの排水配管を直接一次洗浄
使用量では12%の削減となりました。
ユニット側純水タンクへカスケード接続することにより、動力を
使わず水位落差のみで排水の再利用が可能であることを確認し、
事業所の水使用量
社内で改造を実行しました。このため、投資費用を抑えつつ、大
(百万m3)
40
(%)
120
100
29
30
89
90
26
26
100
89
排水の再利用
88
78
23
幅に純水使用量を削減することができました。
それぞれに水を使用
80
25 目標 80
再利用による水使用量削減
26
20
60
一次洗浄
ユニット
40
二次洗浄
ユニット
一次洗浄
ユニット
10
二次洗浄
ユニット
接続
20
0
00
01
02
03
04
05
(年度)
■ 日本 ■ 米州 ■ 欧州 ■ パンアジア ■ 東アジア
■
排水
0
売上高当たりの水使用量(%)(2000年度を100とする)
「Green Management 2010」における水削減目標
排水
排水
ソニー・ディスプレイ・デバイス・シンガポールでは、1998
年から水のリサイクル設備を導入し、その後、設備の増強を重ね
てきました。この結果、2005年度には2000年度に比べ水の使用
ソニーでは、「Green Management 2010」において、事業所
量を約70%削減しています。この設備により、ブラウン管の洗浄
の水使用量の削減に関する目標を、「2010年度までに製造に使用
に使った水を再度、洗浄に利用できるようになりました。さら
する水の購入量および汲み上げ量を、絶対量で2000年度比20%
に、この設備によりリサイクルされた水は、通常購入する水と比
以上削減」と定めています。効率的な水の使用や、製造工程から
べても水質が良いため、事業所内で使用する純水の精製に必要な
排出される水の再利用を推進すると同時に、水の涵養など、水資
水や化学物質の投入量も削減されています。
※1
源の保全にも取り組んでいきます 。
また、米国のソニーDADC テラヒュート工場でも、2005年12
※1
月から製造工程で使用した水の冷却塔での再利用を開始していま
水の涵養に関する活動については、71ページをご覧ください。
す。これまで排水として下水へ排出されていた水を有効利用するこ
とにより、排水にかかる費用と水使用量を削減できる見込みです。
※2
68
レジスト(紫外線感光性樹脂膜)を薬液使用により除去する装置。
事業所における化学物質の管理
ソニーは、化学物質の長期的な環境影響を考慮し、環境や人体に影響のある物質には、代替物質
を絶えず探求し、有害な化学物質の使用量および排出量の削減に、確実かつ継続的に努めていま
す。ここでは、事業所で使用される化学物質についてご報告します。
化学物質の使用量
クラス3物質の排出・移動量
ソニーでは、事業所で使用する化学物質について、原則的に、
(t)
4,000
(%)
120
107
法律で規制されている化学物質、地球規模や比較的広い地域での
100
100
環境への影響が指摘される化学物質、ソニーでの使用量が多い化
学物質を対象として、グループ共通で管理を行っています。
3,000
2,751
ス1から5に分類し、使用量だけでなく、大気・水域・土壌への排
79
80
80
1,838
60
66
2,009
2,000
2,021
1,593
出量および廃棄物としての移動量も管理し、排出・移動量の削減
目標 50
40
を推進してきました。PRTR(環境汚染物質排出・移動登録)
の考
え方にもとづき、法的な報告義務がない国においても、独自に各
73
2,476
「Green Management 2005」においては、環境管理物質をクラ
1,000
20
事業所で化学物質管理を行っています。
クラス1物質は使用を禁止する物質で、このうち、代替物質が
0
ないために2005年度に使用されたのは、ボタン形電池の添加物
00
01
02
03
04
(年度)
05
0
■ クラス3物質の排出・移動量(t)
として使用される水銀606kgです。
■
クラス2物質は2006年3月末までに全廃を目指す物質ですが、
売上高当たりのクラス3物質の排出・移動量(%)
(2000年度を100とする)
2005年度には鉛はんだやメチルセルソルブなど約20トンが使用
されました。鉛はんだは現時点で代替技術のないものなど、一部
の用途において例外として使用されています。
「Green Management 2010」における化学物質管理の
目標
クラス3物質については、
「2005年度までに排出・移動量を売
ソニーグループの2010年度までの目標を定めた「Green Man-
上高原単位で50%削減」
という目標を掲げてきました。2005年度
agement 2010」
においては、化学物質をクラス1から4に分類し
の排出・移動量は約1,830トンで、2000年度に比べ売上高当た
ています。クラス1については即時使用を禁止するもので、以前
りの排出・移動量では27%の削減となりました。
より禁止していたもののほか、2006年3月末までに全廃すること
としていた物質を追加しています。クラス2物質は2011年3月末
化学物質(クラス1∼3)取扱量の内訳(2005年度)
までに全廃を目指す物質です。クラス3物質は、揮発性有機化合
物(VOC)と温室効果ガスが対象となっています。VOCについて
■ 製品として出荷:6,004トン
は、2010年度末までにソニーグループ全体で、大気への排出量
■ 除去処理:
7,743トン
を絶対量で2000年度比40%以上削減することを目標としていま
■ リサイクル:
6,415トン
す。温室効果ガスについては、2010年度末までにソニーグルー
■ 排出・移動:
1,838トン
プ全体で、CO2換算排出量を絶対量で2000年度比50%削減する
ことを目標としています。クラス4物質については、使用量およ
び排出・移動量を適切に管理していく物質としています。
事業所で使用される環境管理物質のクラス分類 ※
クラス
※
対応
1(使用禁止)
即時使用禁止
2(全廃)
2011年3月末までに全廃
3(削減)
大気への排出量を削減
4(一般管理)
使用量および排出・移動量を管理
対象物質リストについては、73ページをご覧ください。
69
環境管理物質削減の推進
事業所における環境リスクマネジメント
ソニーセミコンダクタ九州
(株)鹿児島テクノロジーセンターで
2005年度は、ソニーの事業所における環境事故はありません
は、使用量が最も多い環境管理物質であるイソプロピルアルコー
でした。ソニーでは事業所における化学物質管理や緊急時対応な
ル(IPA)の工程内再利用を開始しました。
どに関し、効果的なリスクマネジメントを遂行するために、具体
使用済みIPA は、品質上の問題から工程での再利用は困難で
的な対策内容を記載した「ソニーグループサイト環境リスクマネ
あったため、場内排水処理槽のバクテリアの餌としての利用と、
ジメント標準」を制定し、タンクや配管の地中直埋設の禁止や、
社外への有価売却としていましたが、ソニーセミコンダクタ九州
漏洩防護の徹底など、共通した事故防止対応をしています。今後
(株)とソニー(株)の共同開発により、基板洗浄機で使用したIPA
も、環境事故ゼロを目指し、適切な化学物質管理を実行していき
を精製し、パネル洗浄機で再利用する技術を確立しました。これ
ます。
により、新規IPA購入量を大幅に削減するとともに、廃IPAの量も
減少しました。また、他の製造ラインからの廃IPAも含め、すべ
事業活動に起因する土壌・地下水汚染除去の取り組み
て場内排水処理槽で再利用できるようになり、鹿児島テクノロ
2005年度までにソニーの事業活動に起因する土壌・地下水汚
ジーセンターから排出する廃IPAをゼロにすることができました。
染が確認されていた4事業所のうち、ソニー(株)
横浜リサーチセ
ンターでは2005年度に土壌改良が完了しました。このほかの3事
業所で汚染の除去を継続しています。
ソニーの事業活動に起因する土壌・地下水汚染除去の状況
(2006年3月31日現在)
サイト名
ソニー(株)
横浜リサーチセンター(日本)
確認時期
2005年4月
(土 壌 汚 染 対 策 法 に も と づ く
(調査)
2004年9月
ソニー羽田(株)
(日本)
(土壌汚染対策法および東京都
条例にもとづく調査)
(
検出物質
原因
対策
フッ素
鉛
過去に物質を使用し
セレン
ていた場所での漏洩
2005年度に土壌改良を実施し、完了
ヒ素
フッ素
ホウ素
過去に物質を使用し
2005年7月より地下水の汲み上げを実
鉛
ていた場所での漏洩
施中
トリクロロエチレン
・排水系統に漏洩検出センサー付き二
ソニーイーエムシーエス(株)
稲沢テック(日本)
2001年6月
(自主調査)
フッ素
排水系統での亀裂に
よる漏洩
重配管を設置
・地下水浄化とモニタリングを継続中。
汚染濃度は最大時58mg/l から
2mg/l 以下まで改善
・土壌改良を完了
ソニー・マグネティック・
プロダクツ
ドーサン工場(米国)
1990年
(自主調査)
有機溶剤
過去に物質を使用し
・地下水を汲み上げ、曝気処理後ドー
ていた場所での汚染
サン市の汚水処理施設へ搬送。汚染
(特定できず)
濃度はモニタリングを要しないレベ
ルにまで改善
70
事業所における自然環境保全
ソニーは、事業活動に起因する環境負荷の削減に取り組むとともに、事業所周辺の自然環境保全
のため、地域の方々と協力しながら、資源の循環・緑化・生態系の保護などに取り組んでい
ます。
自然保護区の整備
地下水の涵養プロジェクト
ソニーDADC ピットマン工場
(米国)
は、2006年に敷地の一部
ソニーセミコンダクタ九州(株)熊本テクノロジーセンターで
を自然保護区とすることについてニュージャージー州と協定を締
は、2003年度から地元の方々や環境NGO、営農団体、農協など
2
と協力して、地下水の涵養を継続して実施しています。これは、
で、この地域には池や林などがあり、鹿や狐、鳥、水生生物など
近隣の田畑に川から引いた水を張り、浸透させて地下に水を還元
多くの野生生物が生息しています。今後、ピットマン工場は対象
する取り組みです。熊本テクノロジーセンターでは、年間水使用
の敷地の自然を協定締結時の状態に保全し、ニュージャージー州
量と同量の地下水を涵養できる田畑面積を確保していますが、
の定期的な監査を受けることとなっています。
2005年度は例年よりも降雨量が少なかったことが影響し、涵養
結しました。対象はピットマン工場の敷地のうち約4万8,500m
できたのは約70%に相当する約70万m3でした。また、熊本テク
ノロジーセンターでは、一部の涵養地の水田で収穫された米を買
い取り、社員食堂で社員に提供しています。
ピットマン工場の自然保護区
生物多様性保全の重要性
私たちの
「生命の自然遺産」とい
緑化の推進
える生物多様性を失いつつあるこ
ソニーイーエムシーエス(株)幸田テックでは、事業所創立以
とは、今日の最も差し迫った環境
来、「緑豊かな公園工場(インダストリアル・パーク)
」を目指し、
問題の一つです。生物多様性と
事業所建設段階から樹林の保全を行うなど、緑化活動に取り組ん
は、地球環境を構成する動植物種
できました。初期の植林では緑地の拡大を重視し、その後、落葉
樹や幸田の土地に合った樹木を植えるようにするなど、中長期計
画のもとで緑化を推進してきました。1998年からは工場敷地内
の自然林を「ソニーの森」として整備し、展望台やアスレチックな
どを設置して地域の方々に開放しています。
このような長年にわたる緑地の造成や管理、地域社会への貢献
活動が評価され、(財)
都市緑化基金による
「社会・環境貢献緑地評
価システム
(SEGES)」
の第1回トライアル審査で、幸田テックは
最高位の
「Excellent Stage 3」に認証されました。
の豊かさであり、澄んだ空気や新
鮮な水などの自然の恵みをもたら グレン・プリケット氏
すなど、生きるために不可欠な地 コンサベーション・
インターナショナル
球全体のシステムの均衡を保って 企業と米政府関係担当
います。これは、金額換算で50 上級執行役員
兆ドル以上の価値があります。
ソニーは、効率性の追求と社有地における自然保護に取
り組むことで、重要な第一歩を踏み出しています。ソニー
のようなグローバル企業は、サプライチェーン全体の中で
生物多様性への配慮に取り組むとともに、地球温暖化と生
物多様性の関係を認識し、そして社会を啓発していくこと
で、さらなる貢献が可能になるでしょう。また、技術分野
のリーダーとして、生物多様性への理解促進や調査・分析
に、革新的技術を提供することができるのも、ソニーなら
ではといえます。
幸田テックのソニーの森
SEGES Excellent
Stage 3
認定マーク
コンサベーション・インターナショナルは、民間企業が
生物多様性の保全における原動力となりうることを示すた
め、企業との協働を促進しています。私たちはソニーのよ
うな企業には、業務に立脚しつつ、生物多様性保全活動に
おけるリーダーを目指し、グローバルな挑戦をしていただ
きたいと考えています。
URL
社会・環境貢献緑地評価システム http://www.seges.jp/
71
事業所環境データ
6年間の要約データ
エネルギー
水
廃棄物
化学物質
単位
2000年度
2001年度
2002年度
2003年度
2004年度
2005年度
電気使用量
t−CO2
1,325,478
1,317,742
1,360,856
1,393,452
1,423,706
1,496,083
ガス使用量
t−CO2
312,151
275,016
334,793
326,985
301,464
285,848
油使用量
t−CO2
240,770
234,095
165,083
161,859
149,299
125,247
車両燃料
t−CO2
0
0
34,261
36,594
34,290
35,193
計
t−CO2
1,878,399
1,826,854
1,894,993
1,918,889
1,908,759
1,942,371
25,648,533
m3
28,624,900
26,346,288
26,389,755
22,982,536
24,871,019
廃棄物発生量
水使用量
t
281,450
257,769
223,726
224,166
214,807
213,120
リサイクル・減量
t
226,046
212,630
186,528
195,156
189,197
189,893
最終廃棄量
t
55,404
45,141
37,198
29,010
25,610
23,377
クラス1物質使用量
t
3.9
0.3
0.4
0.7
0.7
0.6
クラス2物質使用量
t
703
468
203
177
85
20
クラス3物質使用量
t
17,042
19,221
16,292
14,412
15,594
16,083
クラス4物質使用量
t
27,490
26,627
43,408
36,013
28,460
28,895
計
t
45,235
46,315
59,904
50,603
44,140
44,998
※電力のCO2 換算係数は国別の2000年度のものを使用しています。
※化学物質の使用量は、取扱量からリサイクル量を引いた値です。
※2003年度以降のクラス4物質使用量は、クラス4物質とクラス5物質の合計です。
事業所における温室効果ガス排出量(単位:t-CO2 )
温室効果ガス
HFC類
PFC類
SF6
NF3
その他
小計
エネルギー使用に
ともなうCO 2
合計
2000年度
7,823
242,580
51,947
2,780
235
305,366
1,878,399
2,183,765
2001年度
6,553
206,780
43,118
8,669
401
265,522
1,826,854
2,092,375
2002年度
6,754
150,996
39,351
5,988
1,131
204,220
1,894,993
2,099,213
2003年度
4,275
130,464
45,481
7,833
6,634
194,687
1,918,889
2,113,577
2004年度
5,619
150,298
58,163
15,637
6,931
236,647
1,908,759
2,145,406
2005年度
4,492
150,928
62,099
11,490
8,864
237,872
1,942,371
2,180,244
※一部のデータは暦年の実績を含みます。
※エネルギー起源のCO2 の2002年度以降のデータには、自ら所有している移動用車両などからの排出量を含みます。
※NF3 はPFC類に比べ、除害の容易な代替ガスの一つですが、使用量が多いために自主的に開示しています。
日本の事業所におけるエネルギー使用にともなうCO2 排出量(単位:t-CO2)
1990年度
2000年度
2001年度
2002年度
2003年度
2004年度
2005年度
電気使用量
429,840
596,848
631,784
714,110
802,864
827,986
860,338
ガス使用量
41,874
139,828
130,598
134,177
129,054
92,605
98,398
油使用量
133,335
190,680
176,099
137,168
148,726
138,267
116,936
計
605,049
927,355
938,480
985,455
1,080,644
1,058,858
1,075,672
※電力のCO2 換算係数は各年度のものを使用しています。ただし、2005年度は2004年度の係数を代用しています。
大気汚染物質/水質汚濁物質の排出状況(単位:トン)
NOx
SOx
BOD
2002年度
457
156
140
420
2003年度
351
52
142
337
2004年度
288
64
135
311
2005年度
274
59
142
158
72
COD
環境保全コスト(単位:百万円)
2005年度の環境保全コストについて
投資額
2004年度
製品設計
費用額
2005年度
2004年度
2005年度は、事業所における水のリサイクル設備、公害防止
2005年度
関連設備の積極投資により、投資額は約43億円となりました。費
13
5
915
714
0
0
912
1,125
用額については、製品リサイクル費用、地下水や土壌の汚染対策
3,415
3,964
10,891
11,723
費用、管理活動の強化により、約196億円となりました。いずれ
189
372
3,334
4,533
研究開発コスト
0
0
921
1,331
社会活動コスト
30
6
150
106
製品リサイクルコスト
生産・サービス活動コスト
管理活動コスト
環境損傷対応コスト
合計
0
2
12
21
3,647
4,349
17,135
19,552
も前年度から増加しています。
事業所の環境管理物質一覧
クラス1 オゾン層破壊物質:CFC(非冷媒)、HCFC
(非冷媒)、臭化メチル、ハロン(消火器または消火設備以外)
VOC: 1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロエチレン、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロ
エチレン、テトラクロロエチレン、四塩化炭素
重金属化合物:カドミウム/化合物、水銀/化合物、鉛はんだ
発ガン性物質:石綿(アスベスト)、塩化ビニルモノマー、PCB、ベンゼン、N,N-ジメチルホルムアミド
環境ホルモン/生殖毒性物質:ノニルフェノール、オクチルフェノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ダイオキシン、フラン
農薬・殺虫剤・その他: アルドリン、ディルドリン、エンドリン、クロルデン、ヘプタクロル、トキサフェン、マイレックス、DDT、ポリ塩化ナフタレン(塩素数が3以上のも
のに限る)、ヘキサクロロベンゼン、ビス(トリブチルスズ)=オキシド、特定のパラ-フェニレンジアミン、2,4,6-トリーターシャリーブチルフェノール
クラス2 オゾン層破壊物質:CFC(1985年以前導入の冷凍機冷媒)
クラス3 温室効果ガス:PFC類、HFC類、SF 6、N2 O、CH 4、NF3 、CO(エネルギーの使用にともなうものを除く)
2
VOC: メタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、n-ヘプタン、n-ヘキサン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、スチレン、エチル
ベンゼン、テトラヒドロフラン、1-メトキシ-2-プロパノール、n-ブタノール、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ホルムアルデヒド、その他VOC
クラス4 オゾン層破壊物質: HCFC
(冷媒)、HFC(冷媒)
(HCFCとHFCは、2011年3月末までに導入する新規冷凍機に認める)、CFC(1985年4月以降導入の冷凍機冷媒)、ハロン(消火
器および消火設備)
重金属化合物: 無鉛はんだ、六価クロム化合物、鉛/化合物(鉛はんだ以外)、アンチモン/化合物、砒素/化合物、ニッケル化合物、亜鉛化合物、マンガン/化合物、コバル
ト/化合物、ふっ素/化合物、ほう素/化合物、セレン/化合物
毒物・劇物:その他法規制対象物質
その他:その他法規制対象物質
クラス1:使用禁止、クラス2:2011年3月末までに全廃、クラス3:削減、クラス4:一般管理
「/」は「およびその」を表す。
ウェブサイトに掲載するデータ
次のデータについては、ウェブサイトで開示しています。
●
地域別事業所環境データ
●
製品の環境データ
●
ISO14001統合認証対象事業所一覧
●
日本のPRTRデータ
URL
●
日本のPCB含有電気機器保管状況
ソニーの環境データ http://www.sony.co. jp/ecodata
73
環境データの第三者検証報告書
74
環境データの第三者検証について
ソニーでは、2001年度から、報告内容に対する信頼性の確保
プに第三者検証を依頼しています。2005年度は、環境データ収
および環境マネジメントの継続的改善への活用を目的に、環境
集・集計・報告プロセスの信頼性、集計データから導かれた結論
データの第三者検証を受けています。
の妥当性などについて、製造事業所、物流拠点、設計開発部門、
2003年度からは、ソニーグループ・グローバル環境マネジメ
およびソニー本社での第三者検証が行われました。
ントシステムの外部監査機関でもあるビーブイキューアイグルー
BVQIからの参考所見
BVQIは、当該数値等について、本社レベルおよび事業所レベルでの環境データ収集活動や、環境活動の検証を行った。この間に得た所
見は以下のとおりである。
1. 事業所の環境負荷情報
各サイトでのデータ収集・集計に際して、表計算ソフトの活用が進められており、集計データの信頼性は昨年よりも向上している。
各サイト担当者の理解度、習熟度は高く、海外を含めてデータは着実に収集されている。
サイト環境負荷情報収集システムの入力データの定義が見直された。NOx、SOx排出量の算出方法はサイトにより異なる。統一すべ
きであろう。
本年調査したサイトは昨年と異なるが、昨年度の指摘事項に対する対応として、集計をする際にデータの再確認が実施されていた。
本年検証したサイトの中には昨年の検証サイトに比較して誤りが多いところがあった。前年との比較で大きな変動があったもの(廃棄
物など)もあり、データの正確性を高めることが求められる。
集計範囲や集計単位の誤り(構内車両の燃料計上洩れなど)、入力値の軽微な誤りが認められた。発見された誤りはすべて訂正されて
いる。
サイト環境負荷情報収集システムは、入力値を訂正した場合に履歴が記録されず、本社側やサイトの担当者が履歴を再確認できない
弱点がある。
●
●
●
●
●
●
●
2. CO2排出量
CO2 換算係数は最新の係数が用いられ、CO2 排出量が正確に算出されている。
電力使用量は正確に把握されている。軽微なミス(事業所内での他社使用分を加算)が発見されたが、すべて修正されている。
エネルギー起源以外の温室効果ガス排出量は、電子情報技術産業協会(JEITA)への報告と化学物質データ管理システムの化学物質の
排出移動量にもとづいて算定されている。しかし、排出係数が不適切であったり、データベースの更新の遅れにより、排出移動量が
誤っていた。排出係数はGHG排出量に大きな影響を与える可能性があるため、係数を見直してデータを修正し、排出量が妥当である
ことを確認した。ただし、N 2Oは排出量が多いため、実測にもとづいた排出係数を使用する必要があろう。
新しい環境中期目標「Green Management 2010」において、目標とするGHG排出削減量を具体的に明記したことは評価できる。
●
●
●
●
3. 製品の環境負荷情報
製品への資源使用量および製品の使用に伴うCO2排出量は、集計の仕組みが体系的に整理されている。また、データの補間、集計お
よび網羅性の確認方法が改善され、集計値の信頼性が向上した。
「Green Management 2005」
にもとづく製品ごとの個別目標は各部門で具体的な形で展開され、改善努力がなされていた。
消費電力、総資源量は共に削減されており、目標に対する努力は評価できる。
各個別目標の達成度は、達成度の定義の見直しが行われ、適切に評価されている。
●
●
●
●
75
CSR レポート 2006 について
ソニーは、ステークホルダーの皆様への適切な情報開示、コミュニケーションを大切に考えています。
1994年、1997年、1999年、2001年には、環境報告書を発行しました。2002年には、企業の社会的
責任に対するアカウンタビリティー
(説明責任)の重要性を認識し、人々とのかかわりについて新たに記述
した「社会・環境報告書」を発行。そして、2003年には、企業の社会的責任にかかわる情報をさらに充実
させ、タイトルを「CSRレポート」
と改め、現在の発行に至っています。
報告の対象範囲と期間
単位について
本レポートは、原則的に全世界で事業を行うソニーグループ
本レポートでは、基本的に文中の単位をカナ、グラフ中の単位
(連結ベース)を対象として、2005年度(2005年4月1 日から
を記号で表記しています。
2006年3月31日)
を中心に、CSR活動を報告するものです。ただ
化学式については文中でも記号で表記しています。
し、組織体制などに関する重要な報告については、2006年7月1
二酸化炭素は、CO2と表記しています。
日までの情報を含んでいます。
重さの単位:トン/ t
「ソニーグループ」と社名表記について
体積の単位:立方メートル/m3
本レポートの文中では、ソニーグループを「ソニー」、ソニー株
熱量の単位:ジュール/ J
式会社を
「ソニー
(株)
」として区別して表記しています。
10 の 12 乗:テラ/ T
ソニーグループとは、ソニー株式会社およびソニー株式会社の
出資比率が50%を超える連結会社を指します。ただし、一部の記
参照ガイドライン
述およびデータは、資本出資率50%合併会社であるエスティー・
GRI発行「サスティナビリティ・リポーティング・ガイドライン
エルシーディ(株)、ソニー・エリクソン・モバイル・コミュニ
2002」
ケーションズ
(株)や
“ソニー/SONY”
を商号の一部として使用し
環境省発行
「環境報告書ガイドライン(2003年度版)
」
ている会社を含めています。
経済産業省発行「ステークホルダー重視による環境レポーティン
グガイドライン2001」
環境データについて
事業所データ集計範囲:2005年3月31日時点でのISO14001統
合認証対象事業所(48ページ参照)
●
●
●
ウェブサイトに掲載する情報・データ 一覧
●
環境データ集計の方法および考え方
ただし、統合認証対象事業所でも、海外の一部事業所でデータ
●
地域別事業所環境データ
を集計していない事業所があります。また、統合認証対象外で
●
製品の環境データ
も、自主的にデータを集計している事業所を含めています。
●
ISO14001統合認証対象事業所一覧
原則的に2005年度を集計期間としていますが、一部の事業所
●
日本のPRTRデータ
のデータについては見込み値を含みます。
●
日本のPCB含有電気機器保管状況
事業所で使用する電力のCO2換算係数は、注記のない限り、国
●
サイトレポート(事業所の環境などにかかわる報告書)
別の2000年度の係数を使用しています。
●
環境活動の沿革
●
CSR・環境に関する外部表彰一覧
製品データ集計範囲:2005年度にソニーグループにおいて生産
され、ソニーグループ外へ販売された全製品を対象としていま
す。アクセサリー、半製品、部品などの形態で販売されたものを
含みます。また、重量データには包装材を含みます。
「CSRレポート2005」で報告した値からの修正
●
2004年度製品データを再集計しました。
●
2004年度事業所データの見込み値を修正しました。
URL
76
GRI サスティナビリティ・リポーティング・ガイドライン 2002 http://www.globalreporting.org/
ソニーのCSR・環境情報、データ http://www.sony.co.jp/csr/
本社所在地
コミュニケーションスペース
ソニー株式会社
ソニーでは、科学への興味を持っていただくためのサイエンス
〒141-0001 東京都品川区北品川6-7-35
ミュージアム、ソニーの歩みや環境に対する取り組みのご紹介な
TEL : 03-5448-2111
ど、さまざまな展示活動を行っています。
FAX : 03-5448-2244
ソニー・エクスプローラサイエンス(東京、北京)
ソニーのホームページ
科学の原理・原則、デジタル技術の進化や面白さを実際に見て、
日本語
http://www.sony.co.jp/
触れて、楽しみながら体験できる科学ミュージアムです。
英語
http://www.sony.net/
http://www.sonyexplorascience.com/
ソニーミュージアム・ソニーエコプラザ(東京)
CSRレポート/CSR活動についてのお問い合わせ・ご意見
ソニーミュージアムでは創業時からのソニー製品を年代順に展示
ソニー株式会社
しており、
ソニーエコプラザではソニーの環境活動をご紹介してい
CSR部
ます。
〒141-0001 東京都品川区北品川6-7-35
http://www.sony.co.jp/csr/
TEL : 03-5448-3533
FAX : 03-5448-7838
ソニー・ワンダーテクノロジーラボ(ニューヨーク)
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/Support/
教育、エンタテインメント、技術が融合した音楽、映画、テレビ
上記のホームページ上にある項目「その他のお問い合わせ」より
ゲームやデジタル技術の展示をご覧いただけるインタラクティブな
お問い合わせください。
ミュージアムです。
http://www.sonywondertechlab.com/
CSRにかかわる活動のホームページ
日本語
http://www.sony.co.jp/csr/
英語
http://www.sony.net/csr/
アニュアルレポート
最新のアニュアルレポートはこちらでご覧いただけます。
日本語
http://www.sony.co.jp/IR/
英語
http://www.sony.net/IR/
[環境への配慮]
100% 古紙再生紙使用
VOC(揮発性有機化合物)ゼロ植物油型インキ使用
有害な廃液の出ない水なし印刷方式を採用
[読みやすさへの配慮]
●
●
日本語版の文字サイズ:12 ポイント以上(ヘッドラインとリードのみ)
主な章を、明るい茶色・青色・緑色の 3 色に色分けし、各ページのヘッドラ
インやリードに使用。茶色と緑色の章の間に青色の章をはさむことで、色覚
障害の方にも章の区別が可能になるよう配慮。
Sony Corporation 1

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