医療機関における携帯電話等の 使用に関する指針について

医療機関における携帯電話等の 使用に関する指針について
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医療機関における携帯電話等の
使用に関する指針について
電波環境協議会(電波による電子機器等への障害を防止・除去するための対策を協議するための学識
経験者,関係省庁,業界団体等により構成された協議体)は,
「医療機関における携帯電話等の使用に
関する指針」の策定に向け,作業部会を設置して調査・検討を行ってきました。本作業部会には総務省
と並んで厚生労働省も参加し,計5回にわたり検討が行われ,今般,指針が策定されましたので,その
概要を紹介します。厚生労働省といたしましても,医療安全の観点から,本指針を参考に各医療機関に
おいて,携帯電話等の使用に関する合理的なルールを定めていただくようにお願い申し上げます。
(参考)
・電波協議会ホームページ「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」等の公表について
(http://www.emcc-info.net/info/info2608.html)
・平成26年8月19日付け医政総発0819第1号・薬食安発0819第1号厚生労働省医政局総務課長・医薬
食品局安全対策課長連名通知「電波環境協議会による「医療機関における携帯電話等の使用に関す
る指針」について」
1.指針の目的・背景
医療機関における携帯電話等の使用については,
これまで,
医療機器の電磁的耐性に関する薬事法(昭
和35年法律第145号)に基づく規制,不要電波問題対策協議会(現・電波環境協議会)から平成9年に
公表された指針及びマナーの問題等を勘案して,各医療機関において独自にルールが定められてきた。
一方,この間,携帯電話等の日常生活への浸透,医療機器の電磁的耐性に関する性能の向上等,関連
する状況が大きく変化してきていることから,医療機関でのより安心・安全な携帯電話等の無線通信機
器の活用のために,有識者,医療関係団体,携帯電話各社や関係省庁等による検討を行い本指針が作成
された。
本指針は,新たな規制等を導入するものではなく,個々の医療機関において,本指針を参照して,各
機関の状況等も考慮しながら,携帯電話等の適切な使用ルールの設定がなされることを期待するもので
ある。
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2.医療機関利用者向けの携帯電話端末使用ルールの設定
近年,携帯電話端末(スマートフォン及び携帯電話内蔵のタブレット端末を含む。以下同じ。)は,
ますます生活に不可欠なものとなっており,患者の利便性・生活の質の向上のためには,医療機関にお
いても患者や面会者等(以下「利用者」という。
)の携帯電話端末の使用は,可能な限り認められるこ
とが望ましい。一方で,医用電気機器(医療機器のうち,電気で駆動し,電気回路かセンサのどちらか
もしくは両方を有するもの)には一定の電磁的耐性が義務付けられているものの,携帯電話端末がごく
近接して使用された場合には動作への影響を受けるおそれがある。また,通話時の音声,着信音,操作
音,テレビ視聴音等(以下「通話等」という。
)に関するマナーの問題も懸念される。
そのため,医療機関における携帯電話端末の使用に際しては,一定の使用制限を設けるなど,使用に
関して適切なルールが定められる必要がある。一般的な注意事項及び使用ルール設定の考え方を以下に
示す。
(1)離隔距離の設定
離隔距離については,医用電気機器の電磁両立性に関する国際規格で用いられている推奨分離距離
等を参考にして,影響が懸念される医用電気機器から1m程度離すことを目安とすることができる。
ただし,各医療機関において独自に行った試験の結果や医用電気機器の取扱説明書からの情報等をも
とに安全性を確認している場合は,1m程度よりも短い離隔距離を設定することができる。
(2)マナーの観点,個人情報・医療情報の保護,EMC管理体制の充実
各医療機関においてマナーの観点を考慮した使用制限を設けることが適切である。また,携帯電話
端末には録音,カメラ機能を備えるものが多いが,個人情報の保護,医療情報漏えい防止の観点から,
これらの機能の使用は,原則として控えられることが適切である。さらに,医療機関においては,良
好なEMC(電磁的耐性及び,自らが発出する電磁波などによる周囲の電気機器への影響(電磁障害)
の防止)環境の実現に関する担当者を設置することが望ましい。
(3)エリアごとの使用ルールの設定
エリアによって,使用される医用電気機器の種類,携帯電話端末使用に対するニーズ,他者への配
慮の必要性等の状況が大きく異なると考えられるため,各医療機関におけるルールは,エリアごとに
設定する必要がある。また,携帯電話端末が使用可能なエリアにおいては,使用する際の条件(離隔
距離,使用の際の留意事項等)についてもあわせて設定することが必要である。
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(参考事例:エリアごとのルール設定)
場 所
通話等
メール・
ルール設定の考え方,留意事項
Web等
・通常は医用電気機器が存在しないため使用可能
・医用電気機器からは設定された離隔距離以上離すこと
⑴食堂・待合室・廊下・
エレベーターホール
○
○
・使用が制限されるエリアに隣接する場合は,必要に応じ,使用が
制限される
等
・歩きながらの使用は危険であり,控えること
・通常使用されている医用電気機器は限定されており,影響の程度
は比較的少ないと考えられるため使用可能
⑵病室等
△
○
・医用電気機器からは設定された離隔距離以上離すこと
・多人数病室では,通話等を制限するなどのマナーの観点からの配
慮が必要
・使用されている医用電気機器の多くは診断用装置であり,診察室
は医療従事者の管理下にあるため,電源を切る必要はない(ただ
⑶診察室
×
△
し,医用電気機器からは設定された離隔距離以上離すこと)
・診察の妨げ,他の患者の迷惑にならないよう,使用を控えるなど
の配慮が必要
⑷手術室,集中治療室
(ICU等)
,検査室,治
・生命維持管理装置など,万一影響が発生した場合のリスクが非常
×
×
療室等
⑸携帯電話使用コーナー
等
に大きいものが多くあるため使用しないだけでなく,電源を切る
(または電波を発射しないモードとする)こと
○
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○
・利用者の利便性・生活の質の向上のため,適切な場所に設けられ
ることが望ましい。
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3.医療従事者向けの携帯電話端末使用ルールの設定
医療業務用の携帯電話端末の使用については,医療業務の迅速かつ最適な遂行に資するものであるた
め,医用電気機器への影響の防止に関する教育が十分になされることを前提として,通話等を含めて原
則として使用可能とすることができる。
なお,専用のストラップを装着するなどにより,利用者がルールを混同することを防ぐための対策を
施すことが必要である。
4.医療機関での携帯電話端末の使用ルールの周知
携帯電話端末の使用ルールが遵守されるためには,その内容を利用者,医療従事者,関係業者等に十
分周知することが必要である。利用者に対しては,患者の入院時等に口頭及び配布物等により丁寧に説
明を行うとともに,医療機関内各エリアの目につきやすい場所に使用ルールの内容について分かりやす
い掲示をすること。掲示には,
通話等についての使用ルールとそれ以外のメール・WEB閲覧等の使用ルー
ルの区別をそれぞれ分かりやすく表示すること(以下の参考例を参照。
)
。なお,医療従事者や関係業者
については,率先してルールを遵守することが求められるため,文書の配布や注意喚起等により,特に
周知徹底を図ること。
(参考例:医療機関での掲示の一例)
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医薬品・医療機器等安全性情報 No.317
5.携帯電話端末以外の無線通信機器の使用
今後も使用機会の増加が想定される携帯電話端末以外の無線通信機器の使用についての考え方を以下
に示す。ただし,手術室,集中治療室(ICU等)等での使用に当たっては,各医療機関において独自に
試験を行った場合はその試験結果,あるいは医用電気機器の取扱説明書からの情報等をもとに,当該エ
リアにおける医用電気機器へ影響を及ぼさないことを確認すること。また,端末又は無線LAN機器を
医用電気機器の上に置くことは禁止すること。
(1)PHS
医療用PHS端末は,実際に多くの医療機関において既に導入されており,原則として医療機関にお
いて使用が可能と考えられる。
(2)無線LAN
一般に使用されている無線LAN機器は携帯電話端末よりも出力電力が低いため,原則として医療
機関において使用が可能と考えられる。また,混信等の障害が発生するおそれがあるため,来訪者が
持ち込んだ無線LAN機器の使用の制限などの対策を講じる必要がある。
(3)その他
医療機器の識別・管理等に用いられるRFID,ZigBee,Bluetooth等の導入に当たっては,各医療機
関において独自に試験を行った場合はその試験結果,あるいは医用電気機器の取扱説明書からの情報
等をもとに,医用電気機器への影響について確認を行うこと(特に,RFIDは,読み取り機(リーダ)
等から強い電磁波が発出される場合があるため慎重に影響の確認が必要)
。
6.医療機関の管理体制の充実
医療機関のEMCについて,以下の役割を担うEMC管理者が配置されることが望ましい。
(EMC管理者に期待される取組)
・医療機関で使用される無線通信機器・医用電気機器のEMC評価
・電波環境の評価・改善
・携帯電話使用に関する利用者向けルール,医療従事者向けルールの策定
・良好なEMC環境を構築するための医用電気機器及び無線通信機器の調達・導入・運用・管理の体
制構築
・利用者に対する周知,医療従事者に対する教育
・最新の技術情報の継続的収集
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