デジタルカメラCaplio GX
Caplio GX,Digital Camera by Ricoh
久松 成一*
大橋 和泰**
篠原 純一*
入沢 茂*
Seiichi HISAMATSU
Kazuyasu OHASHI
Junichi SHINOHARA
Sigeru IRISAWA
牧 隆史
*
渡邊 義一
Takashi MAKI
*
吉田 彰宏
*
Yoshikazu WATANABE Akihiro YOSHIDA
要
旨
Caplio GXは,カメラメモ機能等を搭載したソリューションモデルと有効513万画素CCDを採
用した高画質モデルという2面性を持つデジタルカメラであり,特徴は以下の通りである.
1) 28~85mm相当の広角3倍ズームレンズ
2) 有効513万画素CCD
3) 絞り優先/マニュアル露光モード搭載
4) レリーズタイムラグ0.12秒
5) リチウム・単三・ACの3電源対応
6) カメラメモ/USBダイレクトプリント機能
7) 1cm/AFターゲット移動機能マクロ撮影
8) アダプタ方式採用による光学系拡張機能
ABSTRACT
Caplio GX is a digital camera having 2 nature named the high-resolution model who adopted solution
model that carried camera memo functions, 5.13mega-pixel of effective CCD, and a characteristic is as
follows
1) Wide-angle three times zoom lens of 28-85mm equivalent
2) 5.13mega-pixel of effective CCD
3) The crepe priority / manual exposure mode deployment
4) The achievement of a shutter response is 0.12 second
5) Choice of three power sources – Lithium-ion battery,AA batteries and AC adapter
6) A camera memo /USB direct print function
7) 1cm/AF target locomotive function macro photography
8) An optical system expansion function by adapter system adoption
* パーソナルマルチメディアカンパニー ICS事業部
Image Capturing Solution Division,Personal Multimedia Products Company
** 画像技術開発本部 OE開発室
Opt-Electronics Development Department, Imaging Technology Division
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1.背景と目的
3.製品の特徴
デジタルカメラ市場は世界規模での急成長が続いており,
3-1
購買層および用途は急速に広がっている.
撮影レンズ
このような状況の中で,リコーとしては『撮影領域の拡
大』をキーワードに掲げ,時間軸や空間軸での撮影領域の拡
大という意味で,より速く,より広く,より高精細に撮影で
きるカメラとして,28mm広角ズームレンズを搭載した500万
画素モデル Caplio GXを開発した.
本稿ではCaplio GXの主な特徴を中心に記載する.
2.製品の概要
本機の主な仕様をTable.1に,全体外観をFig.1に示す.
Table 1
Fig.1
Specification of Caplio GX.
<静止画>圧縮:JPEG(Exif ver.2.21)非圧縮(TIFF)
DCF準拠 DPOF対応
記録フォーマット <文字モード>TIFF(MMR方式)
<動
画>AVI(Open DML Motion JPEGフォー
マット準拠)
<音
声>WAV(Exif ver.2.21)
SDメモリーカード/マルチメディアカード,
記録媒体
内蔵メモリー(16MB)
撮像素子
Caplio GXの撮影レンズは,以下の基本要求に応えるべく,
開発したものである.
(1)
(2)
<静止画>2592×1944,2048×1536,1280×960,640×480
<文字モード>2560×1920,2048×1536
<動 画>320×240,160×120
静止画(連写,S連写,M連写),絞り優先/マニュ
記録モード
アル露光,シーン(ポートレート,スポーツ,遠景,夜
景,文字,高感度)動画,音声
<静止画>2592×1944 NC:1枚
F:7枚
N:13枚
2048×1536
F:10枚
N:20枚
記録枚数(16MB)
1280×960
F:20枚
N:39枚
640×480
N:141枚
<動 画>320×240 44秒,160×120 158秒
記録時間(16MB) <音
声>33分53秒
焦点距離 f:5.8~17.4(35mm換算28~85mm)
レンズ
明るさ(F値)F2.5(W)-4.3(T)
レンズ構成 7群9枚
シャッター
撮影距離
1/1.8型500万画素以上のCCDに対応した,広角端28mm
相当からの3倍ワイドズーム
1/1.8型原色CCD有効画素513万画素
解像度
デジタルズーム
Caplio GX.
明るく,かつ,コンパクト(鏡胴ユニットにレンズバ
リアが内蔵可能なこと)
(3)
周辺部まで均一な像性能
ズームレンズの大口径化のためには,最も物体側に正の
屈折力のレンズ群を配置した正先行タイプが有利であるが,
広角端28mm相当の広画角化を実現しようとすると,前玉径
が非常に大きなものとなってしまう.本撮影レンズではコン
4倍(光学ズームと合せて最大12倍)
パクト化に有利な構成として,物体側から順に,負の屈折力
<静止画>30,15,8,4,2,1~1/2000秒(電子シャッター,
メカニカルシャッター併用)
<動 画>1/30~1/2000秒(電子シャッター)
約0.3m~∞(マクロ撮影範囲約0.01m~∞テレマクロ
撮影範囲約0.08m~∞)
を有する第1群,正の屈折力を有する第2群,正の屈折力を有
ISO感度
AUTO/64,100,200,400,800,1600
ファインダー
実像式光学ズ-ムファインダー
液晶モニター
1.8型 低温ポリシリコンTFT液晶 約13万画素
する第3群を配置してなる,いわゆる負正正3群ズームタイプ
を採用した.Fig.2に本撮影レンズの構成と,ズーミング時
の移動軌跡を示す.
第1群は高屈折率低分散ガラス非球面レンズ1枚を含む3群
フラッシュ
バッテリー
4枚構成(負・負・正負)である.広角化に重要な役割を果
オート(逆光時自動発光)/強制発光/スローシンク
ロ/発光禁止/赤目軽減
到達距離0.2m~5.0m(W) 0.15m~2.9m(T)
専用リチウムイオン充電池(DB-43オプション)
単三型電池(アルカリ/ニッケル水素充電池)
外形寸法
113.6mm(W)×29.0mm(D)×58.0mm(H)(突起部含まず)
質量
約205g(バッテリー/SDメモリーカード/ストラップ
は含まず)
たすレンズ群であり,非球面の効果によって広角端の歪曲収
差を十分に小さく補正すると共に,接合レンズの採用等に
よって倍率色収差の低減を図っている.
第2群は非球面レンズ2枚を最も物体側と最も像側に配置
した3群4枚構成(正・負正・正)である.物体側の非球面は
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主に球面収差の補正に寄与し,像側の非球面は主にコマ収
モニタリング駆動は,被写体のフレーミングや,AF
差・非点収差の補正に寄与している.変倍と結像のほとんど
(Auto Focus)・AE(Auto Exposure)・AWB(Auto White
を担当する第2群をこのような構成とすることにより,負先
Balance)をレンポンス良く制御するために垂直方向に画素
行タイプとしては大口径と言えるF2.5-4.3の明るさが確保で
の間引き・加算処理をCCD内部でおこなっている.具体的
きた.また,物体側の非球面レンズを光軸と直交する方向に
には18画素中4画素を垂直転送路に読み出し,更に水平転送
シフトすることで,他のレンズの偏心等による像面の倒れを
路で同色2画素を加算することにより,最終的には2ラインを
吸収できる設計としており,標準の工程に調整を盛り込むこ
出力する.よって,垂直方向に画像データを1/9に圧縮して
とによって,周辺部まで均一な解像力を得ている.
出力している.
第3群は正の非球面レンズ1枚で構成される.非球面は
一方,静止画駆動では3フィールド転送方式(フレーム転
ズーム全域およびフォーカシングを含めた収差のバランス取
送を,第1~第3フィールドに分割・順次転送する方式)を採
りに効果を上げている.
用し,メカシャッタとの併用により高解像度の撮影を可能に
以上,計7群9枚構成となる本撮影レンズは,広角端にお
している.1画面を多フィールドに分割し転送する方式は,
いても豊富な周辺光量を確保しながら,レンズバリアの設置
素子の小型化や多画素化に伴い減少傾向にあった取り扱い電
が可能な小径化を達成した.さらに,8つの面にマルチコー
荷量(垂直転送路内を流し得る電荷量)を従来品と同等に維
トを施し,不要なゴースト光も十分に低減している.
持するための解決策として,製品化された技術である.この
静止画転送方式は,いずれの転送フィールドにもRed・
第2群
第1群
第3群
Green・Blueの3色のセルを有するため,1つのフィールドで1
非球面レンズ
枚の静止画を作ることが可能である.この特徴は,高解像度
よりも高速に静止画像を記録することを優先する撮影モード
に活用でき,Caplio GXにおいても採用されている.
3-3
Wide
0.3m
∞
Fig.3,Fig.4にCaplio GXの鏡胴ユニット構成を示す.撮影
レンズは3群構成で,第1群と第2群はDCモータを用いたカム
Tele
Fig.2
鏡胴ユニット
Construction of Taking Lens.
駆動方式,第3群はパルスモータ直結リードスクリュー方式
である.
フォーカス調整を行う第3群にパルスモータ直結リードス
3-2
CCD(撮像素子)
クリュー方式を採用することにより駆動伝達系部材を削減し,
Caplio GXに搭載しているCCDは,単位画素サイズが2.775
小型化,消音化,AF高速化を実現している.
μm×2.775μm,総画素数が約530万(水平2668画素,垂直
ファインダユニットは撮影系の第1群と第2群を駆動する
1970画素),有効画素数が約513万(水平2616画素,垂直
カム部品上に一体的にファインダカム部を設け駆動すること
1960画素),光学サイズが1/1.8インチ型のインタラインタ
により駆動伝達系部材を用いず,小型化と部品点数の削減を
イプである.近年,市場においてデジタルカメラに対する小
可能としている.
型化の要求は強いが,その構成要素であるCCDにおいても
第2群に取り付けられたシャッタユニットの絞り部は3段
感度・飽和・S/N・スミアなどの諸特性を維持した上での縮
切替えで,ボケ像を考慮した円形開口を有する絞り板をムー
小化の対応は急速に進められている.このCCDは2004年6月
ミングマグネットモータによるダイレクト駆動で切替えてい
時点で500万画素クラスとしては最小サイズのものである.
る.
その駆動方式は,カメラの撮影状態により大きくモニタ
第1群に取り付けられたレンズバリアユニットは閉状態で
リング駆動と静止画駆動の2つに分けられる.
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最も物体側に位置する第一レンズの曲率形状に合わせ,4枚
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あるバリア板のうちレンズ中心側に位置する2枚を物体側に
の電池に対応する接触力量と接点ストロークを確保するため
配置し,レンズ周辺側に位置する2枚のバリア板をレンズ側
に別々の接点を設けていたが,Caplio GXではFig.5-(2)に示す
に配置することによりバリアユニットとレンズとの近接配置
ようなトーションバネによる接点機構を採用し,両電池に対
を可能とし,鏡胴ユニット全体の光軸方向サイズの増加を抑
するマイナス極用接点を共通化した.これによって,2種類
え,また撮影系の広角化によるレンズ入射開口の大型化に対
の電池用のスペースを最小化し,カメラの薄型化を実現して
応している.
いる.
Fig.3
Outline view of Optical unit.
Fig.5
3-5
Layout of two kinds of Batteries.
処理高速化
Caplio GXでは従来の機種から比較して各種処理高速化が
行われている.第一に,撮影間隔の短縮が挙げられる.
Caplio GXは500万画素超のCCDを搭載しているため,基本設
Fig.4
Section of Optical unit.
計を共通とする300万画素クラスの従来機種と比較し,処理
する画素数が約1.6倍に増加している.このため,静止画撮
影におけるCCD転送や画像圧縮にかかる処理がこれに比例
3-4
3電源対応での本体小型化
して増大し,従来機と同じ処理方法では撮影間隔が2秒を超
本機はCaplio G3,G4シリーズを踏襲し,大容量のリチウ
えてしまう.Caplio GXでは,撮影後に行われる信号処理の
ムイオン2次電池,どこでも入手容易な単三電池,さらにAC
多重化により,次のレリーズ受付開始までの時間を従来機
アダプターの3電源に対応するシステムを採用しているが,
(Caplio G4wideの1.57秒)よりも短い1.2秒とすることを可
カメラ小型化のために電池室構造を大きく変更しているのが
能とした.
第二は,レリーズタイムラグのさらなる高速化である.
特徴である.従来機種ではFig.5-(1)に示すように,それぞれ
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Caplio GXではプログラム実行の優先順位を見直すことによ
メラとパソコンを接続したときのドライバーソフトの設定方
り,平均で従来の0.14秒から0.12秒へと短縮した.ここでい
法に関するものが多かった.Caplioレスキューを使えば,パ
うレリーズタイムラグは,AFモードでフォーカスロックを
ソコンの状態をチェックしてドライバーソフトを正しくイン
使用しない状態でシャッターを押し下げしてから露光が開始
ストールし,カメラからパソコンへ画像を取り込めるように
されるまでの時間であり,2004年6月時点で世界最速である.
詳細にガイダンスしてくれる.
第三は,起動時間の短縮である.Caplio GXでは,起動時
のレンズ駆動とシステムの初期化シーケンスの見直しにより,
G4wideよりも0.6秒高速化し,起動時間1.2秒を実現している.
3-6
4.今後の展開
昨今のデジタルカメラの性能向上は目覚しいものがある
絞り優先/マニュアル露光機能
が,カメラ付携帯電話の普及により,デジタルカメラに対し
GXでは新たに搭載された絞り優先モードでの使い勝手を
てはさらに高いレベルが求められることは必然である.その
向上させるため,アップダウンダイヤルを搭載している.
中で『撮影領域の拡大』を念頭に置き,画質,操作性,携帯
アップダウンダイヤルは絞り優先モードにおいて絞りの設定
性,省電力,速写性といった全ての面における更なる改良・
をしやすくする目的で使用されるほか,マニュアル露光機能
改善を実施し,よりお客様の要望に合致したデジタルカメラ
モードにおいては方向キーの上矢印を押しながら操作するこ
開発していくことが我々の使命である.しかも,社会ニーズ
とで,シャッター秒時の変更も同様に行える仕様としている.
に合わせてタイムリーに開発することが非常に重要である.
アップダウンダイヤルはこの他,メニュー画面中でのカーソ
ル移動や再生モードでの駒の送り戻しなどでも動作し,カメ
謝辞
ラ全体としての操作性向上に寄与している.
3-7
最後にCaplio GXの開発設計にあたり,社内外の多くの
使いやすさを追求したパソコン用ソフト
方々にご指導,ご支援を賜りましたことに深く感謝いたしま
ウェア
す.
Caplio GXでは,撮影された大量の画像を容易に分類でき
るように,個々の画像にテキスト情報,または音声情報をメ
タデータとして付加する『カメラメモ』機能を搭載している.
テ キ ス ト 情 報 は , あ ら か じめ パ ソ コ ン 用ソ フ ト ( List
Editor)で作成したメモリストをカメラに取り込み,撮影時
にはそのリストから選択することで,簡単な操作でメモ情報
を付加することができる.また,音声情報は,撮影時に録音
した音声をメモ情報として付加し,パソコン用ソフト(DU10x)で再生したり,音声認識によりテキストへ変換するこ
とができる.
カメラからパソコンへの画像の転送は,パソコン用ソフ
ト(Ricoh Gate La)により,USBケーブルでカメラを接続し
ただけで自動的に転送される.
さらに今回,上記のパソコン用ソフトのインストールや
設定などにまつわるトラブルを,パソコン初心者でも解決す
ることができるソフト(Caplioレスキュー)を追加した(日
本語版のみ).パソコンソフトの問い合わせは,はじめてカ
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